JPH034987Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、第１のリール軸と第２のリール軸
との略中間位置以外に設けられたキヤプスタンを
有し１つの電動機で第１のリール軸、第２のリー
ル軸及びキヤプスタンが回転される磁気記録テー
プ走行装置に使用され、磁気記録テープの第１の
リール軸による駆動と第２のリール軸による駆動
との間の変更を行う磁気記録テープ走行装置のリ
ール軸駆動変更装置に関する。

従来の上記磁気記録テープ走行装置では、第１
のリール軸及び第２のリール軸の夫々が駆動ベル
トあるいはギヤ列によつてキヤプスタンを駆動す
る一方向及び他方向に同じ特性で回転可能な両方
向性電動機に連結されている。

このような構成の第１のリール軸および第２の
リール軸には、駆動ベルトあるいはギヤ列により
常に駆動され回転している円筒形状の駆動部材
と、駆動部材に対して同心的に回転自在に設けら
れリールハブが装着されるリールハブ装着部材と
が設けられている。リールハブ装着部材の外周面
には、平面形状が螺線の一部の形状をした部分が
複数形成されており、この外周面は駆動部材の内
周面と対向している。上記外周面の螺線の一部の
形状をした部分の夫々と上記内周面との間にはボ
ールあるいはコロが配置されている。なお第１の
リール軸と第２のリール軸とにおける螺線の形状
は一方が右巻きであり他方が左巻きである。そし
てキヤプスタンが一方向に回転した時、第１のリ
ール軸においては、ボール又はコロが駆動部材の
内周面との摺動により螺線形状の直径の大きい部
位に移動して駆動部材の内周面とリールハブ装着
部材の外周面とによつて挟持され、リールハブ装
着部材を駆動部材とともに両方向性電動機の駆動
力により一方向に回転させる。この時第２のリー
ル軸においては、ボール又はコロが駆動部材との
摺接によりリールハブ装着部材の螺線形状の直径
の小さな部位に移動して、駆動部材の内周面とリ
ールハブ装着部材の外周面との間で空回りをす
る。従つて磁気記録テープが、第２のリール軸に
装着された第２のリールハブから第１のリール軸
に装着された第１のリールハブへと走行する。キ
ヤプスタンが他方向に回転した時はこの逆にな
る。このような構成の従来の磁気記録テープ走行
装置のリール軸駆動変更装置においては、駆動部
材の内周面とリールハブ装着部材の外周面との間
に油や埃が侵入した時、巻取側リール軸として機
能する側のリール軸におけるボール又はコロの駆
動部材およびリールハブ装着部材との摩擦係合や
供給側リール軸として機能する側のリール軸にお
けるボール又はコロのから回りが阻害されてしま
うという欠点がある。このような欠点が生じた
時、磁気記録テープが、キヤプスタンと第１のリ
ール軸との間あるいはキヤプスタンと第２のリー
ル軸との間で弛みを生じてしまい、この弛みによ
り磁気記録テープが破損してしまう。またコロや
ボールを使用した上記装置は、構成が複雑であ
り、製造及び組み立てに比較的多くの費用がかか
るという欠点も有している。

この考案は上記事情に基づいてなされたもので
あり、この考案の目的は、磁気記録テープの第１
のリール軸による駆動と第２のリール軸による駆
動との間の変更を油や埃りの侵入によつて阻害さ
れることなく確実に行うことができるばかりでな
く、簡易な構成であり、製造及び組み立てに比較
的安い費用しか要しない磁気記録テープ走行装置
を提供することである。

第１図には、図示しない基板に回転自在に設け
られた第１のリール軸１０及び第２のリール軸１
２が示されている。第１のリール軸１０は、第１
のリールハブ１４が装着された第１のリールハブ
装着部１６を備えている。また第２のリール軸１
２は、第２のリールハブ１８が装着された第２の
リールハブ装着部２０を備えている。第１のリー
ルハブ装着部１６には第１の歯車２２が同心的に
固定されており、第１の歯車２２は第１のリール
ハブ装着部１６とともに回転する。

第１図には、図示しない基板に回転自在に設け
られているキヤプスタン２４も示されている。キ
ヤプスタン２４は、キヤプスタン２４は、第１の
リール軸１０と第２のリール軸１２との略中間位
置の左斜め下方に配置されている。キヤプスタン
２４には、第３の歯車２６とフライホイル２８と
が同心的に固定されている。従つて第３の歯車２
６とフライホイル２８とは、キヤプスタン２４と
ともに回転する。

第１のリールハブ１４には、磁気記録テープ３
０の一端が巻装されており、第２のリールハブ１
８には、磁気記録テープ３０の他端が巻装されて
いる。磁気記録テープ３０は、第１のリールハブ
１４と第２のリールハブ１６との間で、キヤプス
タン２４の外周面に接触している。

フライホイル２８の外周面には、フライホイル
２８がプーリとして機能する為の環状溝が形成さ
れている。フライホイル２８の環状溝には駆動ベ
ルト３２が掛止されており、駆動ベルト３２はま
た、一方向及び他方向に同じ特性で回転可能な両
方向性電動機３４の出力軸に掛止されている。従
つて両方向性電動機３４が第１図に矢印Ａで示す
如く一方向に回転した時、フライホイル２８、第
３の歯車２６及びキヤプスタン２４も第１図に矢
印Ｂで示す如く一方向に回転する。また両方向性
電動機３４が第１図に矢印Ａで示す方向と反対の
方向である他方向に回転した時、フライホイル２
８、第３の歯車２６及びキヤプスタン２４は第１
図に矢印Ｂで示す方向とは反対の方向である他方
向に回転する。

キヤプスタン２４には、第１図に示す如く、一
端をキヤプスタン２４の半径方向の外方に延出さ
せた揺動部材３６の他端が揺動自在に取り付けら
れている。揺動部材３６の一端には、第４の歯車
３８が回転自在に取り付けられており、第４の歯
車３８は第３の歯車２６と歯合している。

この実施例において、揺動部材３６の一端に
は、第２図に特に詳細に示す如く、ピン４０が植
設されている。そしてピン４０に、第４の歯車３
８が同心的に回転自在に取り付けられている。ピ
ン４０の頭部４２は、ピン４０の本体４４よりも
直径が大きくなつている。ピン４０の頭部４２と
第４の歯車３８の下面との間には、第２図に示す
如く、付勢手段４６が配置されている。付勢手段
４６は、第２図に示す如く、第４の歯車３８の下
面を上方に押圧し、第４の歯車３８の上面の揺動
部材３６の下面に対する押圧力を増大することに
より、第４の歯車３８の回転時の摩擦抵抗を増大
させている。

揺動部材３６の一端の回転軌跡内には、第２の
歯車４６が配置されており、第２の歯車４６は前
述の図示しない基板に回転自在に取り付けられて
いる。第２の歯車４６には、プーリ４８が同心的
に固定されており、プーリ４８には駆動ベルト５
０が掛止されている。この実施例において、第２
のリール軸１２の第２のリールハブ装着部２０に
もプーリ５２が同心的に固定されている。駆動ベ
ルト５０は、第２のリール軸１２のプーリ５２に
も掛止されている。従つて第２のリール軸１２
は、第２の歯車４６とともに回転する。この実施
例では、第２のリール軸１２のプーリ５２、第２
の歯車４６のプーリ４８及び駆動ベルト５０が第
２の歯車４６と第２のリール軸１２との為の連結
手段を構成している。なお、第２の歯車４６と第
２のリール軸１２との為の連結手段は、ギヤ列に
よつて構成されていても良い。

今、両方向性電動機３４が第１図に矢印Ａで示
す一方向に回転したとする。するとキヤプスタン
２４及び第３の歯車２６も矢印Ｂで示す一方向に
回転する。第３の歯車２６と第４の歯車３８との
間の摩擦力によつて、揺動部材３６は第１図にお
いて時計回り方向に回転し、第４の歯車３８を第
１の歯車２２と歯合させる。この時の揺動部材３
６の位置を、揺動部材３６の第１の位置とする。
揺動部材３６が第１の位置に配置されている時、
第４の歯車３８は、第２の歯車４６から離間して
いる。第３の歯車２６が矢印Ｂの方向に回転する
ことにより、第４の歯車３８は第１図に矢印Ｃで
示す方向に回転し、また第１のリール軸１０の第
１の歯車２２は第１図に矢印Ｄで示す如く、時計
回り方向に回転する。

この実施例では、両方向性電動機３４が矢印Ａ
で示す如き一方向に回転する時、図示しないピン
チローラが磁気記録テープ３０に当接され、キヤ
プスタン２４と協働して磁気記録テープ３０を挟
持する。また第２のリール軸１２は、図示しない
基板に対して回転自在である。従つて、磁気記録
テープ３０は、キヤプスタン２４と図示しないピ
ンチローラとの作用によつて第２のリールハブ１
８から引き出された後、第１のリールハブ１４に
巻き取られる。なおこの実施例では、第２のリー
ル軸１２は、図示しない基板に対しての回転摩擦
力を増大させる為の摩擦手段、例えば第２のリー
ル軸１２に固定され図示しない基板と摺接する摺
接部材、を有している。摩擦部材の作用によつて
第２のリールハブ１８とキヤプスタン２４との間
で磁気記録テープ３０にバツクテンシヨンが作用
するので、キヤプスタン２４と第２のリールハブ
１８との間で磁気記録テープ３０が弛むことはな
い。

揺動部材３６には、矢印Ｂの方向に回転してい
る第３の歯車２６と第４の歯車３８との間の摩擦
力により、第１の位置に付勢する力が作用してい
る。従つて両方向性電動機３４が矢印Ａの方向に
回転している間、即ちキヤプスタン２４が矢印Ｂ
の方向に回転している間、第４の歯車３８と第１
の歯車２２との歯合が解除されることはない。揺
動部材３６を第１の位置に付勢する力は、前述し
た如き第４の歯車３８の揺動部材３６に対する回
転摩擦力の増大によつて、増大されている。

次に、両方向性電動機３４が、第１図に矢印Ａ
で示す方向と反対の方向である他方向に回転した
とする。するとキヤプスタン３４及び第３の歯車
２６が矢印Ｂで示す方向と反対の方向である他方
向に回転する。第３の歯車２６と第４の歯車３８
との間の摩擦力により、揺動部材３６は第１図に
おいて反時計回り方向に回転し、第３図に示す如
く第４の歯車３８を第２の歯車４６と歯合させる
とともに第１の歯車２２から離間させる。この時
の揺動部材３６の位置を、揺動部材３６の第２の
位置とする。第３の歯車２６が矢印Ｂで示す方向
と反対の方向に回転することにより、第４の歯車
３８は、第３図に矢印Ｅで示す方向に回転し、ま
た第２の歯車４６が矢印Ｆの方向して第２のリー
ル軸１２を矢印Ｇで示す如く、反時計回り方向に
回転する。

この実施例では、両方向性電動機３４が矢印Ａ
で示す方向とは逆の方向である他方向に回転した
時、図示しないピンチローラが磁気記録テープ３
２から離間する。また今回は、第１のリール軸１
０が、図示しない基板に対して回転自在である。
従つて、磁気記録テープ３０は、第２のリール軸
１２の回転力によつて第１のリールハブ１４から
引き出された後第２のリールハブ１８に巻き取ら
れる。なおこの実施例では、第１のリール軸１０
は、図示しない基板に対しての回転摩擦力を増大
させる為の摩擦手段、例えば第１のリール軸１０
に固定され図示しない基板と摺接する摺接部材、
を有している。摩擦部材の作用によつて第２のリ
ールハブ１８と第１のリールハブ１４との間で磁
気記録テープ３０にバツクテンシヨンが作用する
ので、第２のリールハブ１８と第１のリールハブ
１４との間の磁気記録テープ３０及び第２のリー
ルハブ１８に巻装されている状態の磁気記録テー
プ３０に弛みが生じることはない。

揺動部材３６には、矢印Ｂで示す方向とは逆の
方向に回転している第３の歯車２６と第４の歯車
３８との間の摩擦力により、第２の位置に付勢す
る力が作用している。従つて両方向性電動機３４
が矢印Ａで示す方向と逆の方向に回転している
間、即ちキヤプスタン２２が矢印Ｂと逆の方向に
回転している間、第４の歯車３８と第２の歯車４
６との歯合が解除されることはない。揺動部材３
６を第２の位置に付勢する力は、前述した如き第
４の歯車３８の揺動部材３６に対する付勢手段４
６による回転摩擦力の増大によつて、増大されて
いる。

この考案の磁気記録テープ走行装置のリール軸
駆動変更装置は、 第１のリール軸と第２のリール軸との略中間位
置以外に設けられたキヤプスタンを有し１つの電
動機で第１のリール軸、第２のリール軸及びキヤ
プスタンが回転される磁気記録テープ走行装置に
使用されるものにおいて、 第１のリール軸に設けられ第１のリール軸とと
もに回転する第１の歯車と； 第２のリール軸から離間して設けられ第２のリ
ール軸と連結手段により連結され第２のリール軸
とともに回転する第２の歯車と； キヤプスタンに設けられキヤプスタンとともに
回転する第３の歯車と； 一端に回転自在に取り付けられ第３の歯車と歯
合する第４の歯車を有し、他端がキヤプスタンに
揺動自在に取り付けられ、キヤプスタンの一方向
あるいは他方向への回転に対応して第３の歯車と
第４の歯車との間の摩擦力により第４の歯車が第
１の歯車と歯合した第１の位置と第４の歯車が第
２の歯車と歯合した第２の位置との間で揺動する
揺動部材と； を備えたことを特徴としている。

このような構成であれば、ボール又はコロの摩
擦力を利用することがないので、磁気記録テープ
の第１のリール軸による駆動と第２のリール軸に
よる駆動との間の変更を油や埃りの侵入によつて
阻害されることなく確実に行うことができる。さ
らに、従来と比べて簡易な構成とすることがで
き、これによつて製造及び組立てに要する費用を
低減化できる。

上述した実施例はこの考案を説明する為のもの
であり、この考案を何んら限定するものでなく、
この考案の技術範囲内で変形、改造等の施された
ものも全てこの考案に包含されることはいうまで
もない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の揺動部材が第１の
位置に配置されている状態を概略的に示す平面
図、第２図は第１図の線−に沿つて示す断面
図、第３図は第１図の揺動部材が第２の位置に配
置されている状態を概略的に示す平面図である。 １０……第１のリール軸、１２……第２のリー
ル軸、１４……第１のリールハブ、１６……第１
のリールハブ装着部、１８……第２のリールハ
ブ、２０……第２のリールハブ装着部、２２……
第１の歯車、２４……キヤプスタン、２６……第
３の歯車、２８……フライホイル、３０……磁気
記録テープ、３２……駆動ベルト、３４……両方
向性電動機、３６……揺動部材、３８……第４の
歯車、４０……ピン、４２……頭部、４４……本
体、４６……第２の歯車、４８……プーリ、５０
……駆動ベルト、５２……プーリ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 第１のリール軸と第２のリール軸との略中間位
   置以外に設けられたキヤプスタンを有し１つの電
   動機で第１のリール軸、第２のリール軸及びキヤ
   プスタンが回転される磁気記録テープ走行装置に
   使用されるものにおいて、 第１のリール軸に設けられ第１のリール軸とと
   もに回転する第１の歯車と； 第２のリール軸から離間して設けられ第２のリ
   ール軸と連結手段により連結され第２のリール軸
   とともに回転する第２の歯車と； キヤプスタンに設けられキヤプスタンとともに
   回転する第３の歯車と； 一端に回転自在に取り付けられ第３の歯車と歯
   合する第４の歯車を有し、他端がキヤプスタンに
   揺動自在に取り付けられ、キヤプスタンの一方向
   あるいは他方向への回転に対応して第３の歯車と
   第４の歯車との間の摩擦力により第４の歯車が第
   １の歯車と歯合した第１の位置と第４の歯車が第
   ２の歯車と歯合した第２の位置との間で揺動する
   揺動部材と； を備えたことを特徴とする磁気記録テープ走行装
   置のリール軸駆動変更装置。