JPH0349129B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は磁気テープレコーダのような磁気記録
再生装置に用いられる磁気ヘツドに係り、特に生
産性に優れ、小型化が可能で寸法精度のよい安価
な磁気ヘツド及びその製造方法に関する。

従来この種の磁気ヘツドは、第１図の分解斜視
図、第２図ａ，ｂの断面図で示す如く、磁性材か
らなるＩ字状のコア１と、このコア１に巻回した
コイル２と、コイル２の下端に固定した端子３
と、前記コア１と磁気的に結合されコア１の両側
との間にギヤツプ板４を介して２つの磁気ギヤツ
プ５を形成するＣ字状のコア６と、前記磁気ギヤ
ツプ５の上面とともにテープ摺接面７を構成する
非磁性材からなる前面板８と、これらすべての部
材を結合するケース９とからなつている。

そして上記の磁気ヘツドは、まず前記Ｉ字状の
コア１にコイル２、端子３を取り付けたものを磁
気ギヤツプ５にギヤツプ板４を介して組立てて磁
気ヘツド構成体Ａとし、次にこの磁気ヘツド構成
体を合成樹脂のケース９の挿入し、前記コア１，
６と同じ硬度を有する前面板８をケース９の上面
に載置し、いずれも接着剤にてケース９に固着
し、その後テープ摺接面７を所定の形状に研摩し
て成形するものであつた。

また他の製造方法としては、ケース９と前面板
８及び磁気ヘツド構成体との結合を、成形型によ
る一体モールド成形により行い、しかる後に所定
形状に研摩するものが知られていた。

しかし乍ら上記の磁気ヘツドでは、磁気ギヤツ
プ５を形成するギヤツプ板４が接着剤又は他の樹
脂等にて固定されているため、テープ摺接面７の
研摩の際の砥石との接触ストレスにより、コア
１，６の磁気ギヤツプ５形成部に、チツピングと
称する割れが生じ易く、又磁気ヘツド構成体と前
面板８を固着する接着剤又は樹脂がテープ摺接面
７に現われるため、この樹脂、接着剤がテープに
付着し、特性を劣化させるばかりでなく、接着
剤、樹脂の膨張、収縮がコア１，６に悪影響を及
ぼし、磁気特性を劣化させていた。更に前記接着
剤、樹脂は気泡が生じ易く、しかも接着固化に長
時間を要するという欠点もあつた。

本発明は上記の如くの欠点に鑑み、特性に優
れ、生産性のよい磁気ヘツド及びその製造方法の
提供を目的とするもので、磁気テープとの摺接面
を磁性材からなるコアと非磁性材からなる前面板
とで形成した磁気ヘツドの製造方法において、前
記前面板とコアとの熱膨張係数を近似させ、前記
コアと前面板とをガラスにて融着した構成とし、
また、磁気テープとの摺接面を磁性材からなるコ
アと非磁性材からなる前面板とで形成した磁気ヘ
ツドの製造方法において、コアブロツクの前面板
ブロツクをガラスにて融着し、前記コアブロツク
と前面板ブロツクをガラスにて融着した後に磁気
テープとの摺接面にギヤツプ溝加工を施し、この
ギヤツプ溝にガラスを充填し、しかる後所定の寸
法に切断して個々の磁気ヘツド構成体を形成す
る。

以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第３図に示すのは本発明の実施例で、合成樹脂
で一体成形されたケース９には、磁気ギヤツプ５
を有する上部のコア１０と、このコア１０と磁気
的に結合し中央にコイル（図示せず）を有するコ
ア１１と、前記磁気ギヤツプ５と共にテープ摺接
面７を構成する前面板８が固着されており、前記
磁気ギヤツプ５内及びコア１０，１１とケース９
との接着面及び前面板８とケース９との接着面に
はガラス（図示せず）が介在している。そして前
記コア１０，１１とケース９の接合部におけるガ
ラスは高融点をもつガラスであり、前記磁気ギヤ
ツプ５内に介在するガラスは上記高融点のガラス
に比べ低融点のものである。また前記コア１０，
１１と前面板８は膨張係数が近似している材料が
用いられ、例えばコア１０，１１に磁性の焼結フ
エライト、前面板８に非磁性のセラミツク材を用
いた組合せ、あるいはコア１０，１１に磁性の焼
結フエライト、前面板８に非磁性の焼結フエライ
トを用いた組合せ、あるいはコア１０，１１にSi
−Al−Fe合金、前面板８に非磁性の焼結フエラ
イト又はセラミツクを用いた組合せが使用され
る。更に磁気ギヤツプ５を形成するギヤツプ溝５
ａ（第５図参照）の深さは、接合強度を高めるた
めに前面板８まで達するものとしているが、強度
的に充分なものが得られるなら、コア１０にのみ
形成してもよい。

上記の如くの磁気ヘツドの製造は以下のように
してなされる。

まず第４図に示す如く、コア１０の素材となる
板状のコアブロツク１０ａと、前面板８の素材と
なる肉厚の前面板ブロツク８ａを用意し、双方を
所定の形状に成形し、その接合面１０ｂ，８ｂを
研摩し、高融点のガラスを介して接合面０ｂ，８
ｂを融着する。次にこの融着したブロツク体１２
に第５図に示す如く所定の磁気ギヤツプ５を構成
するためのギヤツプ溝５ａを複数並べて加工し、
このギヤツプ溝５ａ内に高融点のガラスより低い
融点をもつガラスを注入し硬化させる。しかる
後、このブロツク体１２を所定の幅Ｌに切断し、
前面板８と磁気ギヤツプ５を複数並設したブロツ
ク１３とする。一方第６図に示すように、予めコ
イルボビン１４にコイル２及び端子３を取り付け
たコイルブロツク１５をくし歯状のコア材１６に
複数個固定しておき、これを前記ブロツク１３に
当接した状態で成形機（図示せず）に入れ、樹脂
をアウトサートすることにより第７図に示す如く
磁気ヘツドブロツク１７を形成する。そして第７
図の２点鎖線で示す如く磁気ヘツドブロツク１７
を切断し、テープ摺接面７を研摩し、第３図に示
す如くの磁気ヘツド構成体Ａを複数個成形する。
尚上記切断は、機械的なワイヤカツトリー，スリ
ツタマシンによつて行つてもよく、又磁気ヘツド
の形状に成形した成形砥石（図示せず）によつて
テープ摺接面７の研摩と切離とを同時に行うよう
にしても良い。

第８図，第９図は本発明の磁気ヘツドの他の実
施例を示すもので、第８図に示す如く、コアブロ
ツク１０ａと前面板ブロツク８ａとの端面を突き
合せて高融点のガラスで接合し、接合したブロツ
ク体１２にはコアブロツク１０ａから一部前面板
ブロツク８ａに達するギヤツプ溝５ａを形成す
る。このギヤツプ溝８ａの開口縁を、コイル２及
びボビン１４が一部侵入して磁気ヘツド全体の高
さを低く抑えるようにテーパ部１８として形成す
るとともに、ギヤツプ溝５ａ内に低融点のガラス
を融着し、このブロツク体１２に、予めコイル
２、ボビン１４、端子３を装着したくし歯状コア
材１６を突当てて周囲には樹脂ケース９をモール
ドしている。

従つて上記実施例はいずれにおいてもギヤツプ
溝５ａにはガラスが充填されているため、研摩時
のストレスによるチツピング割れが防止でき、テ
ープ摺接面７の磁気テープとの接触も良好であ
る。またケース９の成形材に無収縮性不飽和樹脂
を用いれば、樹脂による収縮・膨張によるコア１
０，１１の磁性特性の劣化も少ない。更にコア１
０と前面板８との熱膨張係数を近似させたことに
より、ガラス融着時の熱による変形もなく、寸法
精度を維持できる。

以上説明したように、本発明によれば、ガラス
融着時の熱による変形もなく、寸法精度を維持で
き、磁気ギヤツプにチツピング割れが生じること
なく、また接着剤、樹脂等がテープ摺動面に現れ
てテープに付着したり、気泡によつて特性を悪化
させることがない。

また、本発明によれば、研摩時のストレスによ
るチツピング割れが防止でき、テープ摺接面の磁
気テープとの接触も良好であり、生産時に優れ、
材料の無駄もなく、安価に品質の安定した大量の
磁気ヘツドを製造できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁気ヘツドの製造方法を示す分
解斜視図、第２図ａは従来の磁気ヘツドのコア部
分を示す断面図、第２図ｂは従来の磁気ヘツドの
前面板を示す断面図、第３図は本発明の磁気ヘツ
ドの概観を示す斜視図、第４図，第５図，第６
図，第７図は本発明の磁気ヘツドの製造過程を順
次示し、第４図は第１の工程を示す斜視図、第５
図は第２の工程を示す斜視図、第６図は第３の工
程を示す斜視図、第７図は第４の工程を示す斜視
図である。第８図，第９図は本発明の他の実施例
の製造過程を示す図で、第８図は第１の工程を示
す斜視図、第９図は第２の工程を示す斜視図であ
る。 ５ａ……ギヤツプ溝、７……テープ摺接面、８
……前面板、８ａ……前面板ブロツク、１０……
コア、１０ａ……コアブロツク、１１……コア、
Ａ……磁気ヘツド構成体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 磁気テープとの摺接面を磁性材からなるコア
   と非磁性材からなる前面板とで形成した磁気ヘツ
   ドにおいて、前記前面板とコアとの熱膨張係数を
   近似させ、前記コアと前面板とをガラスにて融着
   したことを特徴とする磁気ヘツド。 ２ 磁気テープとの摺接面を磁性材からなるコア
   と非磁性材からなる前面板とで形成した磁気ヘツ
   ドの製造方法において、コアブロツクと前面板ブ
   ロツクをガラスにて融着し、前記コアブロツクと
   前面板ブロツクをガラスで融着した後に磁気テー
   プとの摺接面にギヤツプ溝加工を施し、このギヤ
   ツプ溝にガラスを充填し、しかる後所定の寸法に
   切断して個々の磁気ヘツド構成体を形成してなる
   磁気ヘツドの製造方法。