JPH0348198Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は鉄鋼の捧管等を連続的に熱処理する為
のローラーハース式連続熱処理炉に関し、特に炉
の出側開口部からの外気の侵入を完全に防止する
炉に関する。

（従来の技術と問題点） 一般にローラーハース式連続熱処理炉は長さが
50〜150ｍ程度あり、ガス又は石油バーナーによ
り加熱される。燃焼室は被熱処理材料の通路を除
き、仕切壁によつて複数のゾーンに区分され、各
ゾーン毎に温度が設定されていて、材料が通過す
る間にそれらの温度変化を受けて、熱処理され
る。ゾーン数は一般に短い炉で５つ長いものでは
20以上になる。材料の搬送は、耐熱ローラーによ
つている。

このような連続熱処理炉、特に長い炉において
は、最終ゾーンは所謂“捨てゾーン”として考え
られることも多い。即ち、一般に炉の出側開口部
はオープンになつていて、多くの場合、開口部の
外側に庇の如くに廃ガス吸引フードがついている
だけであつて、開口部からの外気の侵入により、
最終ゾーンの温度が下つても影響がないような設
定になつているものが多いが、しかし熱処理の生
産性（炉内材料スピード）を上げ、熱効率を向上
させるには“捨てゾーン”は改善されるべきであ
る。

また、特に被処理材が小径の場合は、炉の出口
開口部（庇）と材料との間に大きな隙間ができ
て、こゝから大量のガスが流出し、一方敷居側か
らはその分冷い空気が流入して最終ゾーンを予期
以上に温度降下させ、思わぬ熱処理不良を招来す
ることがある。また材料のロツトとロツトの切れ
目では完全にオープンになる。これを防ぐ為、材
料の大きさに応じて開口高さを調節する上下動扉
を設けることも従来行われているがこれは、常に
材料径に応じて間違いなく上げ下げしないと、扉
に材料が当つて事故をひき起こすので、あまり適
切な手段ではない。そこで各種のシールカーテン
を開口部に吊り下げることも従来行われている。
これは比較的有効であるが、それでも尚下方から
冷風の流入はあり、それによつて最終ゾーンの特
に下部が冷却し、材料が小径の場合やパイプの場
合は炉内雰囲気温度の変化に速応し易いこともあ
つて往々にして、熱処理不良やバラツキをひき起
こす。

そこで、下方からの外気の侵入を防ぐ為に、ロ
ーラー間に鉄板を張つたり、ローラーを含め鉄板
構造の囲いでカバーすることも実施されたが、い
ずれも効果的でなかつたり、高熱により早期に破
壊し、実用に耐えるものはなかつた。

（問題点の解決手段） 本考案は上記問題を解決する為になされたもの
で、その要旨はローラーハース式連続熱処理炉に
おいて出側開口部を塞ぐように設けた可撓性耐熱
シールカーテンと、出側開口部に接して設けた側
面カバーつき排ガスフードと少くとも排ガスフー
ドでカバーされる炉床部分を、ハースローラーの
一部又は大部分をその中に埋め込んだキヤスタブ
ルボツクスでカバーしたことを特徴とするローラ
ーハース式連続熱処理炉である。

即ち、従来から炉の開口部からの空気の侵入を
防ぐ為に開口部にシールカーテンを吊るすこと、
また側面カバーつきの排ガスフードを設けること
は一般に行われているが、炉床部分にもローラー
を埋め込んだ形のキヤスタブルボツクスでカバー
し、合わせて一種の炉長延長を計る考えは従来な
かつたものである。

（作用） 本考案になるローラーハース式連続熱処理炉は
上記構成を有することにより、炉の出側開口部か
らの外気の侵入を完全に防ぎ、炉の最終ゾーンを
従来の捨てゾーン的なものでなく、完全な温度コ
ントロールを行える有効ゾーンに変え、細物、パ
イプなどの熱処理不良やバラツキの発生をなく
し、生産性と熱効率を向上させることができた。
また本考案で下部カバーの為に用いた、ローラを
埋め込んだ形のキヤスタブルボツクスはシール効
果が完全で耐久性があり、本考案の目的に最も適
した不可欠要件である。

（実施例） 第１図に本考案の実施の１例の側面断面概要説
明図を示す。図において１は炉本体、２は出口側
開口部、３は排ガスフード、４は排ガスフードの
側面カバー、５はシールカーテン、６はカーテン
ロツドのガイド、７はキヤスタブルボツクス、８
はローラー、Ｗは被処理材である。本例は長さ約
130ｍ、ゾーン区分23、開口部の幅約3.4ｍ、高さ
0.45ｍの鋼材の球状化熱処理用の炉に適用したも
の。シールカーテン５は、耐熱ワイヤ入り石綿布
を縫いつけたカーテンロツドを排ガスフードのサ
イド枠に差し渡したカーテンロツドガイド６に通
すことでとりつけた。こうすることで簡単に着脱
でき、石綿布などが傷んだ場合簡単にとり替えら
れる。また、キヤスタブルボツクスは鋼板製箱形
枠体を、中にローラーを含むように炉床にとりつ
け、ローラの周囲に予めセラミツクフアイバー、
ブランケツト等を配しておいて、その上からキヤ
スタブルを流し込んで固める方法によつた。こう
することで、ローラーの回転を可能にし、またロ
ーラーのまわりにスケールが入り込むのを防ぐこ
とができる。

（効果） 従来の既設のローラーハース式連続熱処理炉に
おいては、特に細物あるいはパイプの熱処理の場
合に、最終ゾーンへ冷風が侵入し、温度降下を紹
き、往々にして熱処理不良や熱処理のバラツキを
生じ、あるいはその為に送り速度を上げられなか
つたが、これを本考案の炉に改善したことによ
り、炉本体への冷風侵入は全くなくなり、従つ
て、これが原因の熱処理不良やバラツキもなくな
ると共に、これらの材料の送り速度を従来よりも
５％早くでき、且つ最終ゾーンの熱効率を約30％
向上することができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の炉の本考案部分の側面概要
説明図である。 １：炉本体、２：出口側開口部、３：排ガスフ
ード、４：側面カバー、５：シールカーテン、
６：カーテンロツドガイド、７：キヤスタブルボ
ツクス、８：ローラー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ローラーハース式連続熱処理炉において、出側
   開口部を塞ぐように設けた可撓性耐熱シールカー
   テンと、出側開口部に接して設けた側面カバーつ
   き排ガスフードと、少くとも排ガスフードでカバ
   ーされる炉床部分を、ハースローラーの一部又は
   大部分をその中に埋め込んだキヤスタブルボツク
   スによりカバーしたことを特徴とするローラーハ
   ース式連続熱処理炉。