JPH0345389Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、コンピユーターなど電子機器の信号
伝送路に好適に使用される同軸ケーブルに関す
る。

〔従来の技術〕

一般に同軸ケーブルは、絶縁導体に添わせたド
レイン導体を金属箔で巻装し、樹脂ジヤケツトで
被覆して構成している。そのため、ケーブルの曲
げ等の外力によりドレイン導体はケーブル中で容
易に移動していた。そしてドレイン導体の位置が
揃つていない場合、ドレイン導体とコネクタのグ
ランド線接触子の位置関係が合わず、ドレイン線
の位置矯正が必要で接続に手間がかかり、加工コ
ストが高くなるという問題点があつた。また、ケ
ーブル端末の絶縁ジヤケツトを剥離する時、ドレ
イン導体が抜けてしまうという問題点があつた。

これらの問題点の解決手段として、例えば実開
昭59−188629号公報に開示されているものは、絶
縁導体の外周に、一方の面にポリエステルフイル
ムを帖着し、他方の面に導電性接着材層を網目状
に塗布したアルミ箔を導電性接着材層を外側にし
て被覆し、このアルミ箔の外側にドレイン導体を
縦添えしてプラスチツクジヤケツトを被覆してケ
ーブルを構成している。

しかしながらこの方法では、ドレイン導体は導
電性接着材層によりアルミ箔に帖着されてドレイ
ン導体の位置は固定されるが、アルミ箔を外側に
してシールド層を構成するため、ポリエステルフ
イルムがアルミ箔の内側に位置し、同軸ケーブル
の誘電率に悪影響を及ぼす。これは特に誘電体を
多孔質弗素樹脂で構成し比誘電率を極小化して信
号の伝送特性を向上させようとする場合、特性低
下の要因となつていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は従来技術の問題点を解決すべく開発さ
れたもので、同軸線路の伝送特性を低下させるこ
となく、ドレイン導体の位置を固定保持して、ケ
ーブルの端末加工を容易ならしめようとするもの
である。

〔問題点を解決するための手段〕 本考案は、上記従来技術の問題点を解決するた
めになされたもので、中心導体と、この中心導体
の外周に設けた多孔質弗素樹脂誘電体層と、テー
プの縦および横方向に独立した穴を均一に設けた
補強テープに導電性接着材により帖着した金属箔
テープを有し、この金属箔テープが誘電体側とな
るように誘電体層外周に巻装したシールドテープ
層と、このシールドテープ層の少なくとも片側に
縦添えされて前記補強テープの穴に充填された導
電性接着材を介して金属箔テープと電気的に導通
するドレイン導体と、さらにそれらの外周に被覆
された樹脂ジヤケツトとより成る同軸ケーブルを
構成する。

〔作用〕

本考案によれば、多孔質弗素樹脂を誘電体とす
る絶縁導体は、シールドテープを金属箔テープが
誘電体側となるように巻装するので、線路の誘電
率は多孔質弗素樹脂の比誘電率のみによつて定ま
り、優れた伝送特性を実現することが出来る。

シールドテープは、テープの縦および横方向に
独立した穴が均一に設けられた補強テープと、こ
の補強テープに導電性接着材により帖着された金
属箔テープより成り、例えば前記補強テープに設
けられた穴を熱可塑性の導電性接着材で充填して
おけば、このシールドテープの少なくとも片側に
縦添えされたドレイン導体は、熱可塑性の導電性
接着材により補強テープに接着されて位置を固定
されるとともに、導電性接着材、金属箔テープと
導通してドレイン導体を端末で接続することによ
り容易にシールド処理が出来る。

〔実施例〕

第１図は、本考案による同軸ケーブルの横断面
図、第２図は、第１図に示すケーブルを複数本並
列配置し、長手方向の所定間隔毎に隣接同志を融
着させて成る同軸フラツトケーブルの横断面図、
第３図はシールドテープの一例を示す斜視図であ
る。

第１図に基づいて説明すると、銀めつき軟銅線
より成る中心導体２の外周に延伸多孔質四弗化エ
チレン樹脂（以下EPTFEと称す）テープを巻装
して成る多孔質弗素樹脂誘電体層３、シールドテ
ープ層４を順次構成し、このシールドテープ層４
の片側に接して縦添えされたドレイン導体５さら
にそれらの外周に塩化ビニールを押出してジヤケ
ツト６を形成して同軸ケーブル１を得る。

シールドテープ４を第３図を用いて更に詳しく
説明すると、ポリエステルテープの縦および横方
向に約1.5mm間隔で約300〜500μの直径の穴を設け
た厚さ約12μの補強テープ７に金属粉を含有する
導電性接着材８により厚さ約10μのアルミニウム
箔より成る金属箔テープ９を帖着し、補強テープ
７に設けられた穴に金属粉を含有する熱可塑性導
電性接着材１０を充填してシールドテープ４を構
成する。

このシールドテープ４は金属箔テープ９を多孔
質弗素樹脂誘電体層３側にして巻装するので、同
軸ケーブル１はEPTFEのみで誘電体が構成され
るため、比誘電率は約1.3であり良好な伝送特性
を実現出来る。

縦添えされたドレイン導体５はシールドテープ
４のもう一方の側に接して縦添えされているの
で、ドレイン導体５は熱可塑性導電性接着材１０
により補強テープ７に対して位置を固定せられ、
ジヤケツト剥離時にドレイン導体が抜けるような
ことがない。同時に金属箔テープ９は導電性接着
材８、熱可塑性導電性接着材１０を媒介としてド
レイン導体５と導通している。ドレイン導体５は
端末で容易にコネクタと接続せられ、金属箔テー
プ９で発生したノイズ電圧はドレイン導体５を通
じて容易に接地される。

第２図は、第１図の同軸ケーブルを複数本並列
配置し、長手方向の所定間隔毎に隣接同志を融着
させたフラツトケーブルである。

ドレイン導体５はシールドテープ層４に位置を
固定されて各同軸ケーブルはドレイン導体の位置
が揃つているのでドレイン導体とコネクタのグラ
ンド線接触子の位置関係が一致し、ドレイン導体
の位置矯正に手間どることなく、一括圧接により
コネクタと接続出来る。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、多孔質弗
素樹脂を誘電体とする絶縁導体はシールドテープ
を金属箔テープが誘電体側となるように巻装する
ので、線路の誘電率は多孔質弗素樹脂の比誘電率
のみによつて決定され優れた伝送特性を実現する
ことができる。

またシールドテープは補強テープに設けられた
穴に充填された熱可塑性導電性接着材でドレイン
導体の位置を固定すると同時に前記金属箔テープ
は導電性接着材、熱可塑性導電性接着材を介して
ドレイン導体と導通しているため、ドレイン導体
をコネクタと接続することにより、金属箔テープ
で発生したノイズ電圧は、ドレイン導体を通じて
容易に接地される。

さらにこの考案によれば、シールド層の導電性
接着材に金属粉等を含有せしめることができ、電
磁シールド効果を増すことが出来る。

すなわち本考案による同軸ケーブルは、金属箔
を内側にしてシールドテープ層を構成するため、
多孔質弗素樹脂の良好な誘電特性を生かしつつ補
強テープに設けた穴に充填した導電性接着材およ
び導電性接着材層を通じて金属箔テープとドレイ
ン導体とが導通して、ドレイン導体はシールドテ
ープ層に位置を固定されているので、ジヤケツト
剥離時にドレイン導体が抜けるようなことがな
く、フラツトケーブルとした場合に同軸ケーブル
はドレイン導体の位置が揃つているのでドレイン
導体とコネクタのグランド線接触子の位置関係が
一致し、ドレイン導体の位置矯正に手間どること
なく、一括圧接によりコネクタと接続出来る。

なお本考案は上記実施例に限定されるものでは
なく、ドレイン導体の数、ジヤケツトの構成方法
など本考案の技術思想内での変更はもちろん可能
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による同軸ケーブルの横断面
図、第２図は第１図に示す同軸ケーブルを複数本
並列配置し、長手方向の所定間隔毎に隣接同志を
融着させて成る同軸フラツトケーブルの横断面
図、第３図は本考案を構成するシールドテープの
一例を示す斜視図である。 ３：多孔質弗素樹脂誘電体層、４：シールドテ
ープ層、５：ドレイン導体、７：補強テープ、
８：導電性接着材、９：金属箔テープ、１０：熱
可塑性導電性接着材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中心導体と、この中心導体の外周に設けた多
   孔質弗素樹脂誘電体層と、テープの縦および横
   方向に独立した穴を均一に設けた補強テープに
   導電性接着材により帖着した金属箔テープを有
   し、この金属箔テープが誘電体側となるように
   誘電体層外周に巻装したシールドテープ層と、
   このシールドテープ層の少なくとも片側に縦添
   えされて前記補強テープの穴に充填された導電
   性接着材を介して金属箔テープと電気的に導通
   するドレイン導体と、さらにそれらの外周に被
   覆された樹脂ジヤケツトとより成る同軸ケーブ
   ル。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項に記載の同軸
   ケーブルにおいて、シールドテープ層の導電性
   接着材は、金属粉を含むことを特徴とする同軸
   ケーブル。