JPH0344791Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、チエーンブロツク、小型クレーン
等に用いられるメカニカルブレーキ付のウインチ
装置に関する。

（従来の技術） 吊荷の降下速度がウインチドラム駆動用の油圧
モータの駆動速度を上回り吊荷が自走するという
事態を防止するためにメカニカルブレーキ付のウ
インチ装置が今日広く普及している。しかしなが
らこのようにメカニカルブレーキが付いている
と、ウインチドラムに作用するロープ張力により
ウインチドラムを自由に回転させることが出来な
い。このため例えば、クレーン作業において吊荷
のない状態でフツクのみをフツクの自重を利用し
て急降下させたい場合にメカニカルブレーキの機
能を不作動にするためにはこのメカニカルブレー
キの爪車と歯合する爪を爪車から離脱させる必要
があり、この爪を外す従来技術としては、例えば
実開昭59−46992号公報に記載の技術が知られて
いる。

本考案は、前記爪の離脱によらずにメカニカル
ブレーキの機能を不作動にするようにした新規な
メカニカルブレーキ付のウインチ装置を得ること
を目的とする。

（問題点を解決するための手段） この目的を達成するために、本考案は、 ウインチドラムの中心軸と平行配置されると共
にその一端部に前記ウインチドラム駆動用の第１
ギヤを配設し、その他端部にスプラインを設けこ
のスプラインに左右方向へ摺動自在に制御される
クラツチギヤを備えた第１軸、当該第１軸の中間
部にあつて当該第１軸を囲繞する中空軸、この中
空軸の外側にあつて左右方向へ移動する第２ギヤ
と爪車と爪と摩擦円板を備えてなるメカニカルブ
レーキ、油圧モータによつて駆動されると共に前
記第２ギヤと歯合し前記中空軸を回転させる第３
ギヤ、前記中空軸に固定支持され前記クラツチギ
ヤと歯合する第４ギヤより構成したものである。

（作用） このように構成したので、クラツチギヤを摺動
させて、当該クラツチギヤを第４ギヤから離して
おくときには、ウインチドラムが回転してもこの
ウインチドラムの回転が第４ギヤに伝達されない
ものであるので、メカニカルブレーキの爪を爪車
から離脱させずともウインチドラムは当該ウイン
チドラムに作用する回転モーメントによつて駆動
状態を得ることが出来る。

（実施例） 次に本考案の具体的１実施例を第１図に基づい
て詳細に説明する。

第１図において、１はロープの巻かれたウイン
チドラムであり、２は、クレーン本体にその両端
部が支持されると共にその中間部に前記ウインチ
ドラム１を回転自在に枢着する中心軸である。３
は前記ウインチドラム１の一方のフランジ部外周
に配設した大径ギヤである。４は前記中心軸２と
平行配置された第１軸である。この第１軸４はそ
の一端部に前記大径ギヤ３と常時歯合する第１ギ
ヤ５を配設し、その他端部にスプライン６を設け
ている。この第１軸４は軸受を介してケース７に
支持されている。８はこのスプライン６に油圧シ
リンダ（図示せず）によつて左右方向に摺動自在
に制御されるクラツチギヤである。

９は、前記第１軸４の中間部にあつて当該第１
軸４を囲繞する中空軸である。１０は、この中空
軸９の外側にあつて当該中空軸９に刻設したネジ
部９′に螺合した第２ギヤである。当該第２ギヤ
１０は後述する油圧モータ１６をウインチドラム
１のロープを巻取りする方向に駆動する時に第１
図において右方向へ移動し、前記油圧モータ１６
をウインチドラム１のロープを繰り出しする方向
に駆動する時に第１図において左方向へ移動す
る。１１は、前記第２ギヤ１０が右方向へ移動し
てきた時に当該第２ギヤ１０によつて圧接される
フエーシングであり、１２は、このフエーシング
１１によつて前後を挾まれた爪車であり１３はこ
の爪車１２の歯と係合する爪である。１４は中空
軸９の外周に一体連結された摩擦円板である。そ
して前記フエーシング１１、爪車１２、爪１３、
摩擦円板１４でもつてメカニカルブレーキＡを形
成している。１５は前記第２ギヤ１０と歯合する
第３ギヤであり、当該第３ギヤ１５はケース７に
支持されると共に、前記ケース７に支持された油
圧モータ１６によつて回転駆動される。１７は前
記中空軸９に支持され前記クラツチギヤ８と歯合
する第４ギヤである。

次にこのものの作用を説明する。

ウインチドラムをロープの巻取り方向へ駆動す
る場合について この場合には油圧モータ１６によつて第３ギヤ
１５を駆動し、当該第３ギヤ１５と歯合する第２
ギヤ１０を駆動する。すると第２ギヤ１０は中空
軸９のネジ部９′上を右方向へ移動し、フエーシ
ング１１、爪車１２、フエーシング１１を右方向
へ押圧してフエーシング１１が摩擦円板１４に圧
着される。すると摩擦円板１４は第２ギヤ１０と
共に回転して摩擦円板１４と一対連結された中空
軸９が回転する。この中空軸９が回転するとこの
中空軸９に固定支持された第４ギヤ１７が回転す
る。この第４ギヤ１７に対してクラツチギヤ８を
左方向へ摺動させて第４ギヤ１７とクラツチギヤ
８を歯合させると第４ギヤ１７の回転は、クラツ
チギヤ８から第１軸４に伝達され第１ギヤ５を回
転させる。するとこの第１ギヤ５はこの第１ギヤ
５と歯合する大径ギヤ３を駆動してウインチドラ
ム１はロープの巻取り駆動側へ回転駆動される。

ロープに吊荷の負荷をかけウインチドラムをロ
ープの繰り出し方向へ駆動する場合について この場合には、クラツチギヤ８と第４ギヤ１７
を歯合させた状態にして油圧モータ１６を巻き下
げ方向に駆動する。その結果前記第２ギヤ１０は
前記したロープの巻取り方向へ駆動する場合とは
反対にネジ部９′上を左方向へ移動して第２ギヤ
１０の回転は摩擦円板１４には伝達されない。一
方ウインチドラム１は荷の自重モーメントにより
回転駆動され、この回転駆動にともない大径ギヤ
３が第１ギヤ５を駆動し、第１軸４、クラツチギ
ヤ８、第４ギヤ１７と順次その回転が伝達されて
第４ギヤ１７と一体連結された中空軸９が回転駆
動される。そしてこの中空軸９の回転速度が、前
記第２ギヤ１０の回転速度を上回ると第２ギヤ１
０は、中空軸９のネジ部９′上を右方向へ移動し、
フエーシング１１を介して爪車１２を回転不能に
摩擦円板１４に圧着する。このため爪１３が爪車
１２の歯に係合し、摩擦円板１４の回転を止める
ためにウインチドラム１に急ブレーキがかかる。
しかしながらこの急ブレーキがかゝると第２ギヤ
１０は、再びネジ部９’上を左方向へ移動するの
で荷の降下が再びはじまる。

以上のようにして荷の自走が防止されながらロ
ープの繰り出しがなされる。

ウインチドラムの自由回転について この場合には、クラツチギヤ８を右方向へ移動
させて第４ギヤ１７とクラツチギヤ８との歯合状
態を解除する。すると、ウインチドラム１は当該
ウインチドラム１に作用するロープ張力による回
転モーメントによつて駆動されこのウインチドラ
ム１の回転は、大径ギヤ３、第１ギヤ５を介して
第１軸４、クラツチギヤ８にまで伝達されるが、
第４ギヤ１７には伝達されず、ウインチドラム１
の自由回転が得られる。

（考案の効果） この考案では、メカニカルブレーキ付のウイン
チ装置でありながらウインチドラムに作用するロ
ープ張力によりウインチドラムを自由に回転させ
ることが出来るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示すメカニカルブ
レーキ付のウインチ装置の縦断正面図である。 １；ウインチドラム、２；中心軸、５；第１ギ
ヤ、６；スプライン、８；クラツチギヤ、４；第
１軸、９；中空軸、１０；第２ギヤ、Ａ；メカニ
カルブレーキ、１６；油圧モータ、１５；第３ギ
ヤ、８；クラツチギヤ、１７；第４ギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ウインチドラムの中心軸と平行配置されると共
   にその一端部に前記ウインチドラム駆動用の第１
   ギヤを配設し、その他端部にスプラインを設けこ
   のスプラインに左右方向へ摺動自在に制御される
   クラツチギヤを備えた第１軸、当該第１軸の中間
   部にあつて当該第１軸を囲繞する中空軸、この中
   空軸の外側にあつて左右方向へ移動する第２ギヤ
   と爪車と爪と摩擦円板を備えてなるメカニカルブ
   レーキ、油圧モータによつて駆動されると共に前
   記第２ギヤと歯合し前記中空軸を回転させる第３
   ギヤ、前記中空軸に固定支持され前記クラツチギ
   ヤと歯合する第４ギヤよりなることを特徴とする
   メカニカルブレーキ付のウインチ装置。