JPH0344152B2

JPH0344152B2 -

Info

Publication number: JPH0344152B2
Application number: JP60040928A
Authority: JP
Inventors: Takaaki Ito; Takashi Tanaka; Shigeru Ito; Hachiro Kageyama; Yasuo Yamanaka
Original assignee: Toyota Motor Corp
Current assignee: Toyota Motor Corp
Priority date: 1985-03-01
Filing date: 1985-03-01
Publication date: 1991-07-05
Also published as: JPS61201789A

Description

【発明の詳細な説明】

〈産業上の利用分野〉開示技術は、金属製品を梱包するために用いる
木箱内側、及び、枠組木材に木材処理剤を含浸
し、木材から発散する酸性成分を中和し、金属製
品の発錆を防ぐ梱包用木材の表面処理防錆方法、
及び、防錆剤の技術分野に属する。而して、この出願の発明は自動車部品の金属部
品等を梱包する箱体を構成する木材に防錆液を含
浸させて梱包後の収納金属製品の発錆を防止する
梱包用木材表面処理防錆方法、及び、防錆剤に関
する発明であり、特に、少くとも、箱体の内面を
構成する木材の表面に予めジエタノールアミンと
ジシクロヘキシルアミンを含む水分散液よりなる
木材処理剤を塗布して木材組織中に浸透させ、木
材中の誘錆物質を中和するようにした梱包用木材
表面処理防錆方法及び防錆剤に係る発明である。〈従来の技術〉周知の如く、一般に、金属製品等を輸送する場
合には種々の利点から木箱で梱包する態様が用い
られており、例えば、自動車のノツクダウン用部
品を海外に輸出する場合にも木箱梱包が広く採用
されている。しかしながら、木箱で梱包された金属製品は、
例えば、約２週間の海外への海上輸送期間と現地
に到着した後の２〜３カ月等の長期の在庫期間等
を必要とするため、その間に発錆する場合がある
という好ましくない問題があつた。かかる被梱包金属製品が発錆する原因について
調査を行なつた結果、木箱の木材から発散する酸
性の発錆成分によるものであることが判明してい
る。特に、近年、梱包に使用される木箱の材料に
は、低価格、入手し易さの等の点からラワン材、
ベニヤ等の所謂外材が使用される場合が多く、か
かる外材に含まれる酢酸、酪酸、吉草酸等の有機
酸のうち揮発性の大きい酢酸が発錆の主な原因に
なつているものと考えられるようになつてきてい
る。これに対処するに、従来より木箱の内側にボリ
エチレンシートを被覆し、更には、金属製品をも
シートで包装して木箱と金属製品を遮断したり、
防錆油や特公昭58−6540号公報に開示されている
ような塗料を塗布して発錆物質の発散を封じ、完
全に遮断する方法が採用されている。又、例えば、特公昭51−546号公報、特開昭54
−9444号公報、特開昭57−108270号公報発明に示
されているような界面活性剤を含有したアルカリ
性水溶液を防錆液として用いることも考えられる
が、試験によるデータでも確実な防錆効果は得ら
れていない。尚、特開昭54−94446号公報に記載されている
防錆潤滑処理剤はワツクスであつて水分散液では
ない。〈発明が解決しようとする課題〉而して、上述従来技術基づく防錆方法にあつて
は、例えば、輸送期間が海上で約２週間、現地で
の屋外保管が２〜３カ月間にも及び、高温高湿の
環境に遭遇するような場合には、輸送中の金属製
品によるシートの欠損が生じたり、高温高湿下に
おける発錆物質の発散を完全には封ずることが出
来ず、金属製品の発錆阻止出来ない問題があつ
た。この出願の発明の目的は上述従来技術に基づく
木箱梱包による収納金属製品防錆の問題点を解決
すべき技術的課題とし、収納金属製品の発錆を手
軽に確実に防止するようにして金属品製造産業に
おける輸送技術利用分野に益する優れた梱包用木
材表面処理防錆方法及び防錆剤を提供せんとする
ものである。〈課題を解決するための手段〉上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とす
るこの出願の発明の構成は前述課題を解決するた
めに、箱体を構成する木材に防錆液を含浸させ梱
包後の収納金属製品の錆発生を防止する梱包用木
材表面処理防錆方法において、少なくとも箱体の
内面を構成する木材の表面に予めジエタノールア
ミンとジシクロヘキシルアミンを含む水分散液よ
りなる木材処理剤を塗布し木材組織中に浸透させ
て木材中の誘錆物質を中和する梱包用木材表面処
理防錆方法と箱体を構成する木材に対し含浸させ
て梱包後の収納金属製品の錆発生を防止する梱包
用木材表面処理防錆剤において、ジエタノールア
ミンとジシクロヘキシルアミンを含む水分散液よ
りなる梱包用木材表面処理防錆剤である。〈作用〉而して、少なくとも箱体の内面を構成する木材
の表面に予め、ジエタノールアミンとジシクロヘ
キシルアミンを含む水分散液よりなる木材処理剤
に塗布し、木材組織中に浸透させて木材表面のみ
ならず、内部の誘錆物質も中和し、揮発性の酸性
物質を不揮発性のアルカリ塩に変え、安定化させ
るようにした技術的手段を講じたものである。〈実施例〉次に、この出願の発明実施例を第１、２図を参
照して説明すれば以下の通りである。先ず、アルカリ物質と浸透剤について検討し
た結果、次のことが明らかにされた。 (イ) アルカリ物質として有機アミン、無機アミ
ン、無機アルカリの各種、及び、その水溶液
を検討した結果、ある種の有機アミンの設定
比率の混合物が効果的である事が判明した。 (ロ) 浸透剤としてアニオン界面活性剤の各種、
及び、その水溶液について検討した結果、あ
る種のアニオン界面活性剤が効果的である事
が判明した。又、そして、その効果は有機アミンとアニオン
界面活性剤の混合水溶液中にある組合せの油溶性
物質が共存する場合に著しく、発錆防止作用が高
まり、高温高湿の条件下でも発錆を防止し得る事
が判明した。更に、油溶性物質の水溶液中に於ける分散状態
がコロイド状、乃至、可溶化状で肉眼で見て半透
明、乃至、透明な状態に微細に分散している場合
にその効果があり、これより粗大な分散状態で
は、このような効果が得られないことも判明し
た。 (イ) このような研究過程を経て到達したこの
出願の発明においては金属製品を梱包する木
箱の木材に塗付して金属製品の発錆を防ぐ木
材処理剤としては、例えば、Ａ C₈〜C₂₀高級脂肪酸アルカリ塩 31〜47（質量％）Ｂジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミ
ン質量比１：１混合物 10〜15（質量％）Ｃ油溶性界面活性剤 20〜40（質量％）Ｄ鉱油４〜８（質量％）Ｅ水 15〜10（質量％）を含有するものである。そして、室温で透明乃至、半透明の高級脂肪酸
アルカリ塩としては、カプリル酸、カプリン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、アラキン酸、オレイン酸、牛脂脂肪
酸、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸等のナトリウ
ム塩、カリウム塩、水溶性アミン塩等がある。尚、この出願の発明において使用する水溶性ア
ミン塩の水溶性アミンとしては、例えば、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジ
イソプロパノールアミン、トリイソプロパノール
アミン、１，３−ジアミノ−２−プロパノール、
３−アミノ−１，２−プロパンジオール、Ｎ−エ
チルモルホリン、Ｎ，Ｎ−ジメチルエタノールア
ミン、Ｎ，Ｎ−ジエチルエタノールアミン、Ｎ，
Ｎ−ジブチルエタノールアミン、Ｎ−（β−アミ
ノエチル）エタノールアミン、Ｎ−メチルエタノ
ールアミン、Ｎ−メチルジエタノールアミン、シ
クロヘキシルアミン、ヘキシルアミン、トリエチ
レンテトラミン等がある。そして、二塩基酸、アルキルアリルカルボン酸
においても、C₈以上であれば同様の効果が認め
られる。而して、上記各成分について、Ａ成分は浸透剤
であり、木材の表面に塗布された本組成物を木材
組織中に浸透せしめる作用を有するものである。そして、Ｂ成分はアルカリ物質であり、自ら浸
透し酸性成分を中和する作用を有する。又、Ｃ成分の界面活性剤は油溶性物質であつ
て、浸透性はないが、木材表面を被覆する作用が
あり、木材組織中の酸性成分とアルカリ成分によ
つて生ずるアルカリ塩が表面より発散するのを防
止する作用を有する。次に、Ｄ成分もＣ成分と同様に油溶性物質であ
り、この鉱油は、Ｃ成分の流動性を強化する作用
と共に木材組織中の精油を吸収して不揮発化する
作用を有する。最後にＥ成分の水は、組成物全体の分散基剤で
あるが、又、流動性、浸透性を有せしめる基剤で
もある。以上の各成分の内でもＢ成分のアルカリ物質で
あるジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミ
ンのアミン混合物が重要であつて、実験の結果で
は、Ｂ成分による防錆効果は極めて良かつた。その理由は、各種のアミンの内、沸点が比較的
高く、浸透性が良く、アルカリ性も強いことによ
る浸透、中和効果が大きいためであると思われ
る。この事は本組成物が木材組織中に浸透して酸成
分を中和し不揮発化するに当り、アルカリ成分自
体としての浸透性が強く、且つ、揮発性が少な
く、更に中和作用の強いものが効果的である事を
示すものと考えられる。勿論、刺激性の少い事、入手し易い事、価格の
安い事も実施に当つて有利な条件になる。 (ロ) 前記Ａ〜Ｄの各成分をＥ成分の水に溶解、及
び、分散させて得られた分散液であつて室温で
透明または半透明の外観を示すよう均一に微細
に分散されている事を必要とする。蓋し、分散粒子の大きさがコロイド粒子の範囲
の１〜100ｍμ、乃至、それ以下に分散している
ものであつて、この大きさでは木材の表面の毛管
孔の大きさ、通常１〜100ｍμ程度といわれてい
る微細孔にも浸透し得るからである。前記Ａ〜Ｅの各成分を前述の割合（質量％）に
配合した組成物は上述した微細な分散状態とな
る。油溶性成分をHLBの異なる成分の混合物とし
た点も油溶性と水溶性のバランスを保ち、かよう
な分散状態を得るのに役立つ。そして、上述した成分を有する木材処理剤を
調整するには、例えば、鉱油に油溶性界面活性
剤と高級脂肪酸アルカリ塩とを加え60〜80℃に
加熱し均一な組成物とする処理が適当である。又、梱包に使用される木材の表面に木材処理
剤を塗布する手段には、ハケ、ローラ、スプレ
ー、浸漬等の態様がすべて適用可能であつて、
梱包の前後を問わないものである。尚、この木材処理剤をそのまま稀釈せずに用
いるのが成分間のバランスがとれて最も好まし
く、基本的な使用方法ではあるが、50：50質量
比以上の濃度ならば、水で稀釈して使用する事
も出来る。次に、上述実施例に則した各実験例について説
明する。第１表に示す様な組成比率を有する試料No.１〜
14の木材処理剤を使用し、それぞれの試料につき
次の方法により(A)〜(C)のような試験を行つた。

【表】 (A) 小木箱での湿潤サイクル試験イ）箱体としての木箱の製造方法第１図に示す様に木材としての角状のラワン材
２とベニヤ３（5.5mm厚）を使用し、図示しない
釘で打ちつけて外形寸法がａ（100）×ｂ（110）×ｃ（150）mm の箱体としての木箱１を造る。ロ）木箱１内面への木材処理剤塗布方法枠木用のラワン材２の表面全面と、ベニヤ木材
３の片面（組立てた際の木箱１の内面にあたる
側）に対し予め前記木材処理剤を１箱に対し18ｇ
を塗布した後室内にて10〜12時間乾燥させる。尚、塗布には塗料用ハケを使用した。ハ）試験方法木材処理剤塗布乾燥後組立てた木箱１に鋼材
（材質s45c寸法40φ×８mm）を入れ、ふたを釘で
打ちつけ温度50℃湿度95％の条件で８時間放置し
た後室内に取出し16時間放置する。このサイクル試験を10日間行ない錆評価をし
た。 (B) フルスケール試験イ）箱体としての木箱１′の製造方法第２図に示す様に、内材としての45mm角のラワ
ン材２′を枠組みし、外側になる面に厚さ5.5mmの
ベニヤ３′を釘で打ちつける。組立てる際も角面の接合部を釘で打ちつけて固
定し外形寸法が a′（1500）×b′（1800）×c′（1500）の木箱を造る。ロ）木材表面への木材処理剤塗布方法木箱１′を送る際に用いる内材の表面全面、又、
ベニヤ３′は木箱１′を組立てた時に箱の内側にな
る面に各々予め木材処理剤を塗布する。塗布方法は吹付け方式で行ない塗布量は１m²当
り約0.13であつた。木材処理剤塗布後は室内にて半日程放置して乾
燥させる。尚、浸漬による方式、塗料用エアーポンプとス
プレーガンによる吹付け方式、又は、塗料用のハ
ケ、ローラーを使つての塗布方式のいずれでもよ
い。ハ）試験方法木材、ベニヤの表面に木材処理剤を塗布し乾燥
させた後木箱１′を組立て、その中へ下記に示す
自動車用のノツクダウン用部品を梱包し、これを
恒温恒湿槽の中に入れ、温度50℃、湿度95％の条
件で、８時間放置した後室温に戻し、16時間放置
するサイクル試験を10日間行ない錆評価をした。表２梱包ノツクダウン用部品エンジンAssy １台リヤーアクスルAssy ２台プレス品６枚サスペンシヨンアーム５台ドラムAssy ４台デフキヤリヤー１台ミツシヨンAssy １台トランスフアー１台デフキヤリヤー４コＣ）海外試行試験上述Ｂの試験方法に従つて木材、及び、ベニヤ
に木材処理剤を塗布し、乾燥後組立てた木箱の中
に前記ノツクダウン部品を収納して海外に（タ
イ、南アフリカ、ニユージーランド、インドネシ
アの４カ国）に輸送し現地に到達後直ぐに木箱を
開梱し、ノツクダウン部品の錆発生状況を調査し
た。又、木箱到着後現地で１ケ月間在庫した後に開
梱し、ノツクダウン部品の錆発生状況を調査し
た。以上、この試験結果から次の表３に示す様に、
前記Ａ〜Ｅ成分を所定の割合に配合して得た木材
処理剤によつて梱包木材、ベニヤを処理する事に
より木箱に梱包された金属部品には海外への輸送
期間、及び、現地在庫期間も含めて全く錆発生が
認められないものがあることが明らかになつた。特に、試料No.４〜８のジエタノールアミンとジ
シクロヘキシルアミンを併用的に含む水分散液よ
りなる木材処理剤を用いた態様ではNo.１〜３の単
独含有の態様に比し極めて効果的な防錆作用が認
られた。

【表】錆評価 ○印は錆発生なし、×印は錆発生あり、
−印は未実施
〈他の実施例〉尚、この出願の発明の実施態様は上述実施例に
限られるものでないことは勿論であり、例えば、
木材処理剤の量や成分については自由に最適条件
のものを選択し得る等種々の態様が採用可能であ
る。〈発明の効果〉以上、この出願の発明によれば、基本的に箱体
を構成する木材からの誘錆成分の発散を確実に防
止出来、金属製の梱包製品を長期間錆発生から確
実に保護し得るという優れた効果が奏される。又、少なくとも、箱体の内面を構成する木材の
表面に予めジエタノールアミンとジシクロヘキシ
ルアミンを含む水分散液よりなる木材処理剤を塗
布して木材組織中に浸透させ木材中の誘錆物質を
中和することにより、塗料等の塗布による誘錆物
質の発散を阻止する方法に比し、浸透性が良好で
誘錆物質との中和作用を利用して木材の組織中で
確実に錆発生につながる成分の揮発を防止出来、
信頼性が極めて高いという優れた効果が奏され
る。加えて、梱包作業はシート等を使用しなくても
良く、梱包の作業性も向上する副次的メリツトも
ある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの出願の発明の実施例を示し、第１、
２図は各々箱体の分解図である。１，１′…箱体、２，２′，３，３′…木材。

Claims

【特許請求の範囲】１箱体を構成する木材に防錆液を含浸させ梱包
後の収納金属製品の錆発生を防止する梱包用木材
表面処理防錆方法において、少なくとも箱体の内
面を構成する木材の表面に予めジエタノールアミ
ンとジシクロヘキシルアミンを含む水分散液より
なる木材処理剤を塗布し木材組織中に浸透させて
木材中の誘錆物質を中和することを特徴する梱包
用木材表面処理防錆方法。２箱体を構成する木材に対し含浸させて梱包後
の収納金属製品の錆発生を防止する梱包用木材表
面処理防錆剤において、ジエタノールアミンとジ
シクロヘキシルアミンを含む水分散液であること
を特徴とする梱包用木材表面処理防錆剤。