JPH0343430Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、クライオポンプに関し、特に該クラ
イオポンプからの水を効率的に除去する装置に関
するものである。

従来、真空装置からクライオポンプによつて排
気しているうちに多量の水分がクライオポンプ内
に凝縮し、それが溶けて液体に戻つたとき、その
水がクライオポンプ内に残留し、再生に長時間を
要したり、その水が再生用又は粗引（あらびき）
用のロータリーポンプに入り、性能を低下させた
り故障させたりする。そこでこれらのポンプ内に
溜まつた水を外部へ排出するために、従来は、そ
のまま粗引用のロータリーポンプで排気するか、
或いはポンプケース内に、水を集収するための特
別の構造物を取付けていた。しかし、前者の場合
は前記のようにロータリーポンプの性能を低下さ
せる欠点があり、また後者の場合は構造が複雑に
なる欠点があつた。

本考案の目的は、上記のような欠点を除去する
ことができ、簡単な構造でポンプケース底部に溜
まつた水を除去すると共に再生時間の短縮化を図
るようにしたクライオポンプを提供するにある。

この目的を達成するために、本考案は、内部に
バツフル、クライオパネル等を配置した椀形シー
ルド３の底部に設けられた漏斗状の水抜き孔８
と、同じく上記椀形シールドの底部に設けられ、
孔の周縁を該椀形シールドの底部の残留水位以上
に高くした貫通孔１２と、該貫通孔を下方より貫
通し、ガス噴出口を椀形シールド内に位置させた
ドライガス供給管１１と、上記水抜き孔の真下に
取付けられた水抜き用バルブ付きの排水管１０と
を備えたことを特徴としている。

以下に、本考案の一実施例を図面と共に説明す
る。

図面は、本考案の水除去装置を備えたクライオ
ポンプの断面図で、真空装置１に連結されたクラ
イオポンプのポンプケース２の内部には、該ポン
プケース２と同心状に椀形をしたシールド３が設
けられ、該シールド３内の上部には、バツフル４
が、またその下方には、クライオパネル５がそれ
ぞれ配設される。そして上記シールド３とバツフ
ル４、及びクライオパネル５は、それぞれ冷凍機
７に接続され、シールド３とバツフル４は80°K
前後に、またクライオパネル５は15°K前後にそ
れぞれ冷却されている。

以上の構成は、従来のものとほぼ同じである
が、本考案では、特に椀形シールド３の底部に、
漏斗状をした孔８が１個所設けられ、その真下に
は、水抜き用バルブ９を具えた排水管１０がポン
プケース２に取り付けられている。更に、該シー
ルド３の底部には、上端のガスの噴出口１１ａを
上記椀形シールド３内に位置させたドライガスの
供給管１１が貫通して取付けられており、該貫通
部の孔１２の周りは、該孔部から水が外へ流出し
ないように、椀形シールド３の底部の残溜水位以
上に縁（へり）を高くして形成されている。な
お、上記水抜き孔８は通常１個だけ設けられ、シ
ールド３の底部へ溜まつた水がすべてこの１個の
孔へ導かれるように、底部には適宜勾配が付され
る。

本実施例によれば、従来のものと同様に、クラ
イオポンプの作動により、真空装置１からの排気
ガス中に含まれる水分は、冷凍機７によつて冷却
されているバツフル４、シールド３及びクライオ
パネル５に付着して凝縮する。排気作用が終了し
て冷凍機７が停止すると、上記各冷却された部材
は室温まで昇温するので、凝縮した水分は融解
し、水（液体）に戻つて水滴になり、シールド３
の底部に溜まる。

ところが、シールド３の底部には漏斗状に形成
された孔８が１個所設けられているので、底部に
溜まつた水は、すべてここに集中して該孔８に流
れ込み、水抜き用バルブ９、排水管１０を経て速
やかにポンプの外へ流出し、ポンプ内の水は速や
かに除去される。なお、この際、上記水抜き孔８
以外のドライガス供給管１１の貫通孔１２などの
孔には、その孔の周りに椀形シールド３の底部の
残留水位以上に高い縁が形成されているので、こ
れらの孔から水が外へ流出することはない。

上記のようにポンプ内の水が除去され、ポンプ
内に残留する水分の量が少量となるので、粗引き
用ロータリーポンプの性能を低下させたり、故障
させたりしないで済み、また、ドライガス供給管
１１からドライガスを該ポンプ内へ供給してクラ
イオポンプに吸着したガス分子を排除するいわゆ
る再生作業も短時間で完了できる。しかも、シー
ルド３の底部そのものを水の集収器として利用す
るため、水抜きのための特別の機器又は構造物を
必要としない。また、水抜き孔８の真下に、水抜
き用バルブ９を具えた排水管１０を取付けている
ので、水抜き孔８と排水管１０との間に水受部材
を設ける必要がないので、構造が簡単となる。な
お、水抜き用孔の数は１個所が最も望ましいが、
必ずしもそれに限定する必要はない。

本考案は、前記のように椀形シールドの底部に
漏斗状の水抜き孔を設け、該椀形シールドの底部
を貫通するドライガス供給管の貫通孔の周りの縁
を、該椀形シールドの底部の残留水位以上に高く
形成したことにより、該椀形シールドの底部に溜
つた水を、上記ドライガス供給管の貫通孔から漏
水することなく、総べて該水抜き孔のみから速や
かに除去することができ、また水抜き孔の真下に
排水管を取付けたことにより、これら両者の間に
水受部材等を設ける必要がないので構造が簡単と
なる。このように簡単な構造で、椀形シールドの
底部に設けられたドライガス供給管の貫通孔から
漏水することなく、ポンプ内の水を速やかに除去
することができるので、ロータリーポンプの性能
を低下させることなく、再生も短時間で完了でき
る効果がある。

また、上記のように椀形シールドの底部の残留
水位以上に高くした貫通孔を下方より貫通するド
ライガス供給管のガス噴出口を、該椀形シールド
内に位置させたことにより、該ガス噴出口より噴
出したドライガスが、吸着されたガス分子を排除
するようになるので、クライオポンプの再生時間
を一層短縮することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の水除去装置を備えたクライオ
ポンプの断面図である。 １……真空装置、２……ポンプケース、３……
椀形シールド、４……バツフル、５……クライオ
パネル、７……冷凍機、８……水抜き孔、９……
水抜き用バルブ、１０……排水管、１１……ドラ
イガス供給管、１１ａ……ガス噴出口、１２……
貫通孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内部にバツフル４、クライオパネル５等を配置
   した椀形シールド３をポンプケース２内に収容し
   たクライオポンプにおいて、 上記椀形シールド３の底部に設けられた漏斗状
   の水抜き孔８と、 同じく上記椀形シールド３の底部に設けられ、
   孔の周縁を上記椀形シールド３の底部の残留水位
   以上に高くした貫通孔１２と、 該貫通孔１２を下方より貫通し、ガス噴出口１
   １ａを上記椀形シールド３内に位置させたドライ
   ガス供給管１１と、 上記水抜き孔８の真下に取付けられた、水抜き
   用バルブ付の排水管１０と を備えたことを特徴とするクライオポンプ。