JPH0343265Y2 - - Google Patents

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JPH0343265Y2
JPH0343265Y2 JP1985086904U JP8690485U JPH0343265Y2 JP H0343265 Y2 JPH0343265 Y2 JP H0343265Y2 JP 1985086904 U JP1985086904 U JP 1985086904U JP 8690485 U JP8690485 U JP 8690485U JP H0343265 Y2 JPH0343265 Y2 JP H0343265Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〈考案の技術分野〉 本考案は、高強力、高弾性ポリビニルアルコー
ル(以下PVAと略す)系繊維からなる産業用編
織資材に関する。
〈従来技術〉 従来、産業用編織資材としては、ホースやベル
トが代表的なものであるが、これらの編織素材と
しては、ポリエステルや、ポリアミド、ビニロン
等からなる繊維が使用されていた。
〈考案が解決しようとする問題点〉 しかし、これらの繊維は、強力、弾性率、伸度
のいずれの点においても満足できるものではな
く、耐摩耗性、形態安定性に欠け、耐久性の悪い
長期間の実用に耐えられない問題があつた。
〈考案が解決しようとする問題点〉 本考案の目的はかかる従来技術の欠点を解決す
ることにあり、特に特定のPVA系繊維を用いる
ことにより、高強力、高弾性率はもとより耐圧
性、耐摩耗性、形態安定性、耐久性等の性質にす
ぐれ、産業用編織資材としての性質を満足するも
のを提供するものである。
〈問題点を解決するための手段〉 本考案に係わる産業用編織資材は、重合度が
1500以上のポリビニルアルコール系重合体からな
り、引張強度が15g/d以上、初期弾性率が250
以上で、マルチフイラメントの構成単糸繊度が
5d以下であり、X線小角散乱測定において長周
期像が観測されず、かつ実質的に単糸間膠着がな
いPVA系繊維が、筒状または偏平ベルト状に製
編織されてなる構成を有する。
本考案に係わる産業用編織資材の特徴はその構
成素材として従来知られていない高強度、高初期
弾性率を有する特定のPVA系繊維であることに
ある。
本考案で用いるPVA系繊維は引張強度が15g/
d以上、好ましくは17.5g/d以上、初期弾性率
が250g/d以上、好ましくは300g/d以上、更
に好ましくは350g/d以上のものであり、これ
を構成するPVA重合体としては、その重合度が
1500以上、好ましくは2500以上であり、繊維形成
性があれば特に限定されるものではなく、例えば
部分ケン化PVA、完全ケン化PVA、およびビニ
ルアルコールと共重合可能なビニル系モノマーを
少量重合したPVA共重合体などを挙げることが
できる。
かかるPVA重合体を糸条化する方法としては、
該重合体の溶液を乾湿式紡糸法あるいはゲル紡糸
法により、ノズルから紡糸し、凝固あるいは冷却
固化する方法がある。
乾湿式紡糸法とは、該重合体を含有する溶液を
一旦空気等の不活性雰囲気に吐出し、ついでこの
吐出糸条を凝固浴中または冷却液体中で糸条を形
成させる紡糸法である。
ここで、吐出糸条が不活性雰囲気中を走行する
距離(口金面から凝固浴面までの距離)は、特に
制限されないが、3mmから50mmが適当である。
乾湿式紡糸法におけるPVA系重合体の溶剤と
して、ジメチルスルホシキド(DMSO)、グリセ
リン、エチレングリコール、ジエチレントリアミ
ン、エチレンジアミン、およびフエノールなどの
有機溶媒、水や塩化亜鉛、ロダンソーダ、塩化カ
ルシウム、塩化アルミニウムなどの無機塩の水溶
液、またはこれらの混合溶媒などを挙げることが
できるが、好ましくは、特にDMSO、ジエチレ
ントリアミン、エチレンジアミンがよく、さらに
好ましくはDMSOがよい。
紡糸ドープの粘度は紡糸性の点から、200〜
5000ポイズ、好ましくは500〜2000ポイズが選択
される。
このような紡糸ドープは、凝固浴面上に設置さ
れた紡糸口金を通して吐出され、吐出糸条は空気
中あるいは不活性雰囲気中を走行した後、凝固浴
中に導かれる。凝固浴は通常の浴組成のものでさ
しつかえないが、特にメタノール、エタノール、
アセトンが好ましい。
ここで凝固した糸条は脱溶媒、乾燥、延伸工程
を経て高い強度、高い初期弾性率を有する糸とな
るが、凝固出の未延伸糸条の少なくとも20倍以
上、好ましくは25倍以上延伸を行う。
最終の延伸は乾熱延伸が好ましく、延伸温度は
200〜250℃がよい。特に、重合度3100以上の
PVA系重合体を用いた場合は、全延伸倍率を30
倍以上にすることも可能であり、場合によつては
強度が18g/d、初期弾性率400g/dとアラミド
繊維に近いものが得られる。
本考案で用いる上記したPVA系繊維は、さら
にアラミド繊維に比較して、耐光性にすぐれる上
に、安価であるという特徴を有し、さらに耐摩耗
性、耐疲労性にもすぐれ、しかも表面平滑性が良
好である。
本考案は、かかるPVA系繊維を製編織して、
筒状または偏平ベルト状物を形成するものであ
る。
たとえば、ホースの例では、ジヤケツトの縦糸
に該PVA系繊維の紡績糸を使用し、緯糸にその
フイラメントを用いて形成するのが通常の構造で
あるが、縦、緯糸共にフイラメントを使用しても
よい。
かかるジヤケツトの少なくとも表面(内側)に
ゴムまたは塩化ビニル等の合成樹脂をライニング
する。
ベルトの場合は合成樹脂を含浸して織製物全体
を一体化するのが通常である。
かかる合成樹脂としては可撓性を有するものが
選択され、特にエラストマーがよい。
なお、本考案の産業用編織資材としては、薄い
ものでも、高強力、高弾性率であることから充分
満足する性能を有するが、ある程度の厚さを有す
る方がより高い性能を発揮するものであり、たと
えば200g/m2以上の目付、好ましくは500g/m2
以上の目付を有するものが性能的に高くて安定な
ものが提供できる。
〈考案の効果〉 本考案の産業用編織資材は、たとえばホースに
おいてはジヤケツトが高強力PVA系繊維で形成
されているので、高強力で耐圧性に優れ、また耐
摩耗性に富み、製織、製編工程での糸切れや風綿
の発生が少なく、かつ製品の耐外傷性も向上させ
ることができる。また、PVA系繊維は接着性に
も優れているので、ライニング層との接着を良好
に保持することができる。
本発明の産業用資材の具体例としては、工業用
駆動ベルト、シートベルト等のベルトや、消防用
ホース、土木用ホース、更には補強ゴムホース等
のホースその他がある。
〈実施例〉 引張強度、初期弾性率、X線小角散乱、開繊度
は、次の測定法に従つた。
a 引張強度、初期弾性率 マルチフイラメントヤーンを試料として、JIS
−L−1017に規定されている試験法に準じて測定
した。すなわち、マルチフイラメントヤーンをカ
セ状態に巻取り、20℃,65%RHに調整された雰
囲気に24時間放置したのち、このカセから試料を
採取し、“テンシロン”UTM−4L型引張試験機
(東洋ボールドウイン社製)を用いて、試料長25
cm,引張速度30cm/分で測定した。ここで得られ
た荷重−伸度曲線からJIS−L−1017の定義に従
つて初期弾性率を測定した。
b X線小角散乱 Kiessig Cameraを使用する公知の方法に準じ
て測定した。測定条件として次の条件を設定し
た。
理学電気(株)製RU−200型X線発生装置使用。
CuKα線(Niフイルター使用)、出力;50Kv−
150mA、0.3mmφコリメータ使用、透過法、カメ
ラ半径;400mm、露出時間;90分、フイルム;コ
ダツク・ノー・スクリーンタイプ。
c 開繊度 マルチフイラメントヤーンを50mmにカツトし、
フイラメントを分繊するに際し、切断やフイブリ
ル割れなどの損傷を受けることなく分繊できる単
繊維の比率で、次の規準でに従つて判定した。実
質的に単糸間の膠着がないマルチフイラメントヤ
ーンとは次の規準で90%以上のものを意味する。
○:90%以上 △:70〜89% ×:70%未満 実施例 1 重合度2100の完全ケン化型PVAをグリセリン
を溶媒として加熱溶解し、PVA濃度が18重量%
の紡糸原液を作成した。該紡糸原液を孔径0.08
mm,孔数50の紡糸口金から空気中に押出し、該口
金面から10mm下の10℃のデカリンからなる液体浴
に通し、冷却した。
冷却して得られたゲル化糸条を120℃の乾熱チ
ユーブを通し、一旦4倍に延伸した後、水で溶媒
を抽出し、次いで糸条を乱流空気により振動させ
ながら、乾燥ロールへ供給し、乾燥させた。
次いで得られた乾燥糸を、235℃に設定された
乾燥チユーブで4.8倍に熱延伸した結果、単糸繊
度2.15d、強度18.2g/d、弾性率402g/dの高強
度・高弾性率を有し、かつ単糸間膠着のない、
PVAマルチフイラメントヤーンが得られた。
得られた単糸繊度2.15dで、フイラメント数50
本の総デニール107.5dの高強度、高弾性PVA系
繊維であつた。
此の繊維からなるフイラメントと紡績糸を用い
て、第1図、第2図のジヤケツトを形成した。
第1図はジヤケツト1の縦糸2に紡績糸、緯糸
3にフイラメントを用い、内側にゴムのライニン
グ層4を設けたホースである。
第2図は縦糸2も緯糸3もフイラメントを用い
たもので、ジヤケツト1がゴムライニング層4に
埋設させたホースである。
いずれのホースも耐摩耗性、耐圧性にすぐれ、
10000回の消防放水テストでも、何らの変化もみ
られなかつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の第1実施例を示す断面図、第
2図は第2実施例を示す断面図である。 1……ジヤケツト、2……縦糸、3……横糸、
4……ライニング層。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 重合度が1500以上のポリビニルアルコール系
    重合体からなり、引張強度が15g/d以上、初
    期弾性率が250g/d以上で、X線小角散乱測
    定において長周期像が観測されず、実質的に単
    糸間膠着がなく、構成単糸の繊度が5d以下で
    あるポリビニルアルコール系繊維が、筒状また
    は偏平ベルト状に製編織されてなる産業用編織
    資材。 (2) 製編織物が、少なくとも表面に樹脂を含有し
    ている実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の産
    業用編織資材。 (3) 製編織物の目付が、200g/m2以上である実
    用新案登録請求の範囲第(1)項記載の産業用編織
    資材。
JP1985086904U 1985-06-11 1985-06-11 Expired JPH0343265Y2 (ja)

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