JPH0342277Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、溶接機等に用いられるエアシリン
ダ用ピストンに関するものである。

（従来の技術） エアシリンダにおいては、ピストンの摩耗を防
止するためピストンの外周に無給油パツキンを嵌
挿すると共にグリースを充填するグリース溝を設
けるのを一般とするが、最近のように衛生上の見
地から水分或はオイルミストのない乾燥したエア
を使用するようになつて来ると、グリース溝から
のグリースの消費が著しく多くなり、このためピ
ストンの摩耗を早める不都合を有していた。

そこで、ゴム等の弾性体からなるパツクリング
の外周側または内周側に環状溝を設けてその環状
溝内に潤滑油を充填し、パツクリングの外周側ま
たは内周側に１個または複数個の環状の凹溝を形
成し、その凹溝の底面にパツクリングの環状溝と
連通する通孔を適宜間隔で穿つた摺動リングを嵌
着したパツキン、 が考案された（例えば、実公昭55−2291号公報参
照）。

（考案が解決しようとする課題） ところで、前記公知のパツキンにおいては、そ
れが、「パツクリング」「環状溝」「摺動リング」
「凹溝」「通孔」等からなるため、その構成が非常
に複雑であると共に潤滑油が前記通孔を介して凹
溝に供給されることから、該通孔が塞がつて潤滑
油の供給が充分に行われないような事故の心配が
ある。

この考案は、従来の技術の有するこのような問
題点を解決し、簡単な構成によつてグリースが適
量ずつ確実に供給され前記のような事故のないエ
アシリンダ用ピストンを提供することを目的とす
るものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、この考案では、ピ
ストン２の外周に無給油パツキン４を嵌挿すると
共にグリースを充填するグリース溝５を設けたエ
アシリンダ用ピストンにおいて、前記グリース溝
５の口縁に、該グリース溝５の溝幅よりも幅広の
堰止めリング嵌挿溝７を形成し、該堰止めリング
嵌挿溝７に環状の堰止めリング６を遊嵌し、堰止
めリング６の外周に、該堰止めリング６の幅方向
に横断し且つ該ピストン２の移動方向に対して傾
斜した溝形のもれ通路８を形成した。

（作用） グリース溝５に充填されたグリースは、堰止め
リング嵌挿溝７とこれに遊嵌された堰止めリング
６との隙間を介して該堰止めリング６の表側へ滲
み出し、その一部はそこから更に該リング６の外
周に形成したもれ通路８内へと供給される。従つ
て、シリンダとピストン２の間へは、該リング６
の両側からだけでなくその中間部からもグリース
を供給することが出来、適量ずつ確実に供給する
ことが可能で、該もれ通路８はピストン２の移動
方向に対して傾斜して設けられているので、該ピ
ストン２の移動時に、該リング６は該嵌挿溝７内
でピストン２に対して回転する力を受け、該もれ
通路８からのグリースでピストン２の外周へ均一
に給油できる。

（実施例） 第１図はこの考案に係わるエアシリンダ用ピス
トンの一実施例であり、図において、１はシリン
ダ、２はピストン、３はピストンロツドであり、
そのピストン２の外周には無給油パツキン４を嵌
挿すると共にグリースを充填するグリース溝５を
設けている。こうした構成は従来のものと異なら
ないが、本考案によれば、前記グリース溝５の口
縁にその溝幅よりも幅広の堰止めリング嵌挿溝７
を形成し、そこに環状の堰止めリング６を回転可
能に遊嵌したもので、該堰止めリング６の外周
に、該リング６を幅方向に横断すると共にピスト
ン２の移動方向に対して傾斜したもれ通路８を形
成した。該堰止めリング６は、耐摩耗性の合成樹
脂で形成することが好ましい。尚、該堰止めリン
グ６の両側縁にカツト面を形成し、その面上にグ
リースが流通するようにしたが、該カツト面は、
堰止めリング６とリング嵌挿溝７との間のすきま
が大きいときは不要である。

この例では、該グリース溝５内のグリースは、
堰止めリング嵌挿溝７とこれに遊嵌した堰止めリ
ング６との隙間から、該堰止めリング６の表側へ
滲み出し、その一部はもれ通路８に供給され、該
リング６の両側のみならずその上面にも供給され
ることになるので、ピストン２の外周には、リン
グ６と嵌挿溝７のすきまからとリング６の上面の
もれ通路８とから適量ずつ確実にグリースの給油
を受けることになり、しかも該もれ通路８は前記
のように傾斜しているので、ピストン２の往復移
動で堰止めリング６は回転力を受け、その結果、
ピストン２の周方向へまんべんなくもれ通路８か
らグリースを供給することができる。

（考案の効果） この考案におけるエアシリンダ用ピストンは、
給油機構が、傾斜したもれ通路を有する堰止めリ
ングをグリース溝に形成した堰止めリング嵌挿溝
に遊嵌して構成されているので、その構成が非常
に簡略化され、しかも給油は遊嵌した堰止めリン
グの周縁ともれ通路から適量ずつ確実に行われる
ので、従来例のような通孔が塞がつて給油が停止
するような事故を起こすことがなく、また、該も
れ通路はピストンの移動方向に対して傾斜して形
成されているので、ピストンの作動中に堰止めリ
ングそのものがピストンに対して回転するような
力を受けることになり、その結果もれ通路からの
給油はピストン外周に均一に行われる。したがつ
てピストンの摩耗を長期に亘つて防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係わるエアシリンダ用ピ
ストンの一実施例の縦断面図、第２図は堰止めリ
ングの一部を截除した側面図を示す。 ２……ピストン、４……無給油パツキン、５…
…グリース溝、６……堰止めリング、７……堰止
めリング嵌挿溝、８……もれ通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン２の外周に無給油パツキン４を嵌挿す
   ると共にグリースを充填するグリース溝５を設け
   たエアシリンダ用ピストンにおいて、前記グリー
   ス溝５の口縁に、該グリース溝５の溝幅よりも幅
   広の堰止めリング嵌挿溝７を形成し、該堰止めリ
   ング嵌挿溝７に環状の堰止めリング６を遊嵌し、
   該堰止めリング６の外周に、該堰止めリング６の
   幅方向に横断し且つ該ピストン２の移動方向に対
   して傾斜した溝形のもれ通路８を形成したことを
   特徴とするエアシリンダ用ピストン。