JPH034206B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 （技術分野） 本発明は皮膚表面または深部の温度等を測定す
るプローブを皮膚上に固定するための固定用具に
関するものである。

（従来技術およびその問題点） 皮膚表面の温度等のデータを得るために一般に
プローブが皮膚表面に何等かの手段により固定し
て使用される。従来、各種プローブの皮膚表面へ
の固定は粘着テープ等をプローブ上から皮膚表面
にかけて十字状等のように装着して行つているの
が普通である。このような方法による場合には、
(1)粘着テープによるプローブの皮膚表面への装着
に手間がかかる、(2)粘着テープの粘着剤がプロー
ブに付着して不潔になる、(3)大型プローブの場合
皮膚表面の凹凸のある面でははずれ易い、(4)長期
間にわたる装着による、かゆみ・かぶれを伴う炎
症の発生、等多くの問題が指摘されている。他
方、深部体温計のプローブのように温度補償を行
つているもの、経皮酸素電極のように反応温度を
一定とするために恒温用ヒータを有するプローブ
では、熱の逸散等の外部からの温度的影響を防ぐ
ためにガーゼ等の弾性保温材でプローブを覆う必
要があつた。以上述べたような諸問題点が指摘さ
れつつもそのまま諸プローブが使用されているの
が現状である。

発明の目的 従つて、本発明の目的はプローブの皮膚表面へ
の固定が容易かつ確実で、プローブを汚染するこ
ともない上、保温効果をも有し、また安価で製造
が容易であり、使い捨て式ともすることができ、
さらに皮膚の炎症を予防あるいは治療することが
できるプローブ固定用具を提供しようとするにあ
る。

発明の具体的構成 本発明は、皮膚表面プローブの厚さと同じかま
たは僅かに浅くプローブの形状にほぼ適合するよ
う形成されたキヤビテイを有する発泡弾性材料製
の支持体と、この支持体の皮膚接触面に被着され
た抗炎症剤を含有する粘着剤とで構成された皮膚
表面プローブ固定用具を提供するものである。ま
た、前記抗炎症剤は、ステロイド系の抗炎症剤で
あるのがよい。そして、前記粘着剤は、酢酸ビニ
ル−アクリル酸エステル系共重合体で構成された
ものであるのがよい。

以下、本発明による皮膚表面プローブ固定用具
を添付図面に示す好適実施例につき詳細に説明す
る。

従来は、第１図に示すように、皮膚表面１上に
プローブ２を粘着テープ３により、あるいは、プ
ローブ２と粘着テープ３との間にガーゼ等を介挿
して固定していたのであるが、このような固定方
式で種々の問題が生じていたのは前述の通りであ
る。

本発明者は、このため第２図の断面図に示すよ
うに、深部体温計等の各種温度計プローブ、経皮
酸素電極などの種々のプローブ２を収納できるキ
ヤビテイ４をプローブの皮膚接触面と支持体の皮
膚接触面とが略平行となるよう形成した発泡弾性
材料製の支持体５の皮膚表面１との接触に粘着剤
６を被着したプローブ固定用具１０を開発した。
プローブ２には測定用コード７が付随しているか
ら、支持体５にはこれを通す溝または開口８を形
成しておくのが良い。

支持体５はプローブ２を汚染または損傷しない
よう収納することができる材料であれば何でも良
く、特に好ましくはポリウレタン、ポリエチレン
等の熱可塑性エラストマーを用いたスポンジ状の
発泡弾性材料を挙げることができる。支持体に形
成するキヤビテイ４の深さは使用されるプローブ
２の厚さとほぼ同じか、僅かに浅目にするのが良
い。これによりプローブ２は支持体５により安定
的に確実に皮膚表面１上に固定される。また、キ
ヤビテイ４の形状は使用するプローブ２の形状に
応じて、例えば、円形のプローブであれば円形
に、他の形状の場合にはこれに適合するように形
成するのが良い。

プローブ２のコード７を通す開口８は外部から
入れ易いよう開放溝とするのが良く、熱の逸散が
ない程度の大きさにしておく。また、支持体５の
皮膚接触面に全体的にまたは部分的に被着する粘
着剤６は使用に便宜を図る上では剥離紙を付けた
両面粘着テープを用いるものが好適である。

本発明で使用される粘着剤には特に制限はな
く、医療用として従来公知のものが使用される、
即ち、ゴム系粘着剤またはポリビニールエーテ
ル、ポリビニールブチラール、ポリアクリルエス
テルのような合成樹脂系粘着剤が使用され、酢酸
ビニル−アクリル酸エステル系共重合体が特に好
適に使用される。酢酸ビニル−アクリル酸エステ
ル系共重合体において、アクリル酸エステル成分
は、１種でもよく、また２種以上のエステルであ
つてもよい。特にエステル成分の１つとして水酸
基を有するエステルを含有するものがよく、アク
リル酸−２−エチルヘキシルおよびアクリル酸−
２−ヒドロキシプロピルからなるアクリル酸エス
テル成分をポリイソシアネートを架橋反応剤とし
て酢酸ビニルと重合させて得られる酢酸ビニル−
アクリル酸エステル系共重合体が粘着剤として特
に優れた性質を有している。

本発明で粘着剤に含有せしめる抗炎症剤として
は、従来公知のものを限定なく使用することがで
きる。例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、
プレドニゾロン、トリアムシノロンのようなステ
ロイド系抗炎症剤、サリチル酸、アスピリン、フ
エニルブタゾン、メフエナム酸、フルフエナム
酸、インドメタジン、イプフエナツク等非ステロ
イド系抗炎症剤が使用される。好適にはステロイ
ド系抗炎症剤、特にプレドニゾロンが使用され
る。抗炎症剤の使用量は、その種類によつて異な
るが皮膚接触面積１cm²当り１乃至100μｇであり、
プレドニゾロンの場合は５乃至50μｇが望まし
い。抗炎症剤は常法に従つて、例えばエタノール
等適当な溶媒に溶解して粘着剤に含有せしめる。

かくして本発明のプローブ固定用具は、粘着剤
による皮膚の炎症を防止し、長期にわたる生体電
気信号の計測を可能ならしめる。

また既に炎症を起している皮膚への装着が可能
であり、さらにはプローブ装着部位の炎症を治療
する効果をもつ。

さらに長期間プローブを装着する場合は、装着
部位が不潔になり易く、炎症から化膿を惹起する
ことが多いが、本発明の固定用具で炎症を予防乃
至治療することによりかかる二次感染を防止する
ことができる。

発明の具体的作用効果 本発明のプローブ固定用具１０の使用に際して
は、まず所要プローブ２を支持体５のキヤビテイ
４内に、コード７を開口８に収めつつ収納し、所
要皮膚表面１上に粘着剤６により支持体５を押圧
しながら固定する。このような固定具を使用する
ことにより以下に述べるような多くの利点がもた
らされる。

(1) プローブの装着が極めて簡便で、皮膚への接
着部が弾性を有する支持体の全周で行うことが
できるので凹凸面があつても固定が確実に行わ
れる。

(2) 粘着剤とプローブが接触しないので従来のよ
うにプローブが粘着剤で汚されることがなく清
潔である。

(3) 発熱素子を用いるプローブでは、本発明の発
泡材料を用いた固定具を用いることにより保温
効果が得られるから、測定の安定性、電力の省
力化、プローブの小型化を図ることができる。

(4) 製造が簡単で安価であるから使い捨て式とす
ることができる。

(5) 粘着剤が抗炎症剤を含有しているので、皮膚
の炎症を予防あるいは治療することができる。
よつて、長期にわたるプローブの装着、測定
や、既に炎症を起こしている皮膚への装着が可
能となり、また二次感染を防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のプローブ固定状態を示す側面
図、第２図は本発明の固定具によるプローブ固定
状態を示す断面図である。 符号の説明、１……皮膚表面、２……プロー
ブ、３……粘着テープ、４……キヤビテイ、５…
…支持体、６……粘着剤、７……コード、８……
開口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 皮膚表面プローブの厚さと同じかまたは僅か
   に浅くプローブの形状にほぼ適合するよう形成さ
   れたキヤビテイを有する発泡弾性材料製の支持体
   と、この支持体の皮膚接触面に被着された抗炎症
   剤を含有する粘着剤とで構成されたことを特徴と
   する皮膚表面プローブ固定用具。 ２ 前記抗炎症剤は、ステロイド系の抗炎症剤で
   ある特許請求の範囲第１項に記載の皮膚表面プロ
   ーブ固定用具。 ３ 前記粘着剤は、酢酸ビニル−アクリル酸エス
   テル系共重合体で構成される特許請求の範囲第１
   項または第２項に記載の皮膚表面プローブ固定用
   具。