JPH0341963Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、車両のワイパブレードを視界から
かくして収納する遮蔽式ワイパ装置におけるワイ
パボツクスの進退駆動装置に関する。

（従来の技術とその問題点） 近年の自動車においては、視界の改善、デザイ
ンの向上およびワイパブレードの保護等を目的と
して、ウインドシールドガラス部に遮蔽式ワイパ
装置を装備したものが数多く見られるようになつ
ていた。ところが、これらの遮蔽式ワイパ装置
は、ワイパブレードが単に運転席や車両前方に対
して隠蔽されるだけで、車両上方に対しては露出
した構造となつたいた。遮蔽式ワイパ装置の目的
である車両デザインの向上、ワイパブレードの保
護をより一層図るためには、ワイパブレードを外
部に対して完全の隠蔽して収納する構造とするの
が望ましく、この種の遮蔽式ワイパ装置の出現が
強く望まれていた。

このような要望を満たすために、本願出願人は
先に、以下の構成のものを提案した。

この遮蔽式ワイパ装置は、フロントシールドガ
ラス面周辺のボデイ位置にワイパ出入用開口を形
成し、このワイパ出入用開口を閉成する蓋部とこ
の蓋部に対向させて配置したワイパブレード押圧
用プレートとを有し蓋部とワイパブレード押圧用
プレートとの間にワイパブレードを収納したワイ
パボツクスを進退駆動装置で進退させ、ワイパブ
レード押圧用プレートがワイパ出入用開口面上に
位置する進出位置でワイパ駆動源からの回転をワ
イパブレードの回転基軸に伝えてワイパブレード
を駆動し、ワイパボツクスが後退位置にあるとき
蓋部でワイパ出入用開口を閉成するように構成し
たものである。

この提案例の装置では、ワイパボツクスが後退
した状態で、ワイパブレードは外部から完全に遮
蔽されるので前記した要望を満たすことができる
が、ワイパボツクスの進退駆動が今一つ円滑でな
く、その進退駆動装置の改善が課題となつてい
た。

（考案の目的） この考案は、上記提案例の課題を解決すべく創
案されたもので、ワイパボツクスの進退駆動を円
滑かつ確実に行うことのできるワイパボツクスの
進退駆動装置を提案することを目的とする。

（目的を達成するための手段） この考案のワイパボツクスの進退駆動装置は、
フロントシールドガラス面周辺のボデイ位置にワ
イパ出入用開口を形成し、このワイパ出入用開口
を閉成するための蓋部とこの蓋部に対向させて配
置したワイパブレード押圧用プレートとを有し上
記蓋部とワイパブレード押圧用プレートとの間に
ワイパブレードを収納したワイパボツクスを、上
記ワイパブレード押圧用プレートがワイパ出入用
開口面上に位置する進出位置と、上記蓋部がワイ
パ出入用開口を閉成する後退位置との間で進退駆
動するものであつて、前記ワイパボツクスの左右
位置に一対のネジ部を設ける一方、前記ネジ部に
螺合して軸回りに回転することにより前記ワイパ
ボツクスを進退駆動する一対の回転軸をワイパボ
ツクスの後方の左右位置に設け、回転駆動機構に
より前記一対の回転軸を同期回転させるように構
成している。

（実施例） 第１図ａは、遮蔽式ワイパ装置にこの考案の一
実施例であるワイパボツクスの進退駆動装置が適
用されたキヤブオーバ型カーのフロント部の外観
斜視図を示し、第１図ｂはそのフロント部を内側
より見た斜視図を示す。

この遮蔽式ワイパ装置では、フロントパネル１
のウインドシールドガラス２下部に沿う部分にワ
イパ出入用開口３を形成し、このワイパ出入用開
口３の内奥側には第５図ａ，ｂに示すようにカバ
ー４で囲んだボデイ収容室５を形成している。

上記ボツクス収容室５内には上下部の開放され
たワイパボツクス６を進退自在に設け、その進退
動作によりワイパボツクス６が上記ワイパ出入用
開口３より出没しうるように構成する。ワイパボ
デイ６は、第２図、第５図ａ，ｂに示すように、
その前部にワイパ出入用開口３を閉成するための
蓋部６ａを有すると共に、後部に上記蓋部６ａと
対向するワイパブレード押圧用プレート６ｂを有
し、これら蓋部６ａ、ワイパブレード押圧用プレ
ート６ｂと側板６ｃで囲んだワイパ収納部７を形
成している。ワイパ収納部７内には、ワイパブレ
ード８を上記ワイパブレード押圧用プレート６ｂ
に圧接させた状態で収納し、そのワイパブレード
８の回転基軸９は第７図に示すようにワイパブレ
ード押圧用プレート６ｂに軸受１０を介して回転
自在に支承している。上記ワイパボツクス６に収
容するワイパブレード８は一対あり、その一方の
回転基軸９はワイパブレード押圧用プレート６ｂ
の左端側で、また他方の回転基軸９は中間部で支
承している。

また、前記ボツクス収容室５を形成するパネル
４の上記ワイパブレード押圧用プレート６ｂに対
向する後面部４ａの左右位置には、第４図に示す
ように雄ネジ１１ａの形成された一対の回転軸１
１，１１を前後方向すなわちワイパボツクス６の
進退方向に向けて支承する。一方、これら回転軸
１１，１１と対向するワイパブレード押圧用プレ
ート６ｂの左右位置には、ブラケツト１２，１２
を介してナツト１３，１３をそれぞれ固定し、こ
れらナツト１３，１３に対し上記回転軸１１，１
１をそれぞれ螺合させ、回転軸１１，１１の正逆
回転によりワイパボツクス６が進退動作するよう
に構成する。そして、上記一対の回転軸１１，１
１は、第３図および第７図に示す進退駆動機構１
４によつて同期回転するように構成する。この進
退駆動機構１４は、ボツクス駆動用モータ１５と
回転伝達軸１６とを有し、モータ１５側の笠歯車
１５ａと回転伝達軸１６の中間部の笠歯車１６ａ
の噛合によりモータ１５の回転を回転伝達軸１６
に伝える一方、回転伝達軸１６の左右両端に設け
た各笠歯車１６ｂ，１６ｂと上記回転軸１１，１
１の後端に設けた笠歯車１１ｂ，１１ｂの噛合に
より、回転伝達軸１６の回転を各回転軸１１，１
１に同期して伝えるように構成する。

前記カバー４の後面部４ａの左右および中央の
各位置には、第２図、第３図に示すように上記回
転軸１１と平行して３本のスライドロツド１７，
１７，１７を突設する一方、これらスライドロツ
ド１７，１７，１７に対向するワイパブレード押
圧用プレート６ｂの左右および中央の各位置にブ
ラケツト１８，１８，１８を介して第８図に示す
ようにガイドローラ１９，２０，２１を枢支し、
これらガイドローラ１９，２０，２１を上記スラ
イドロツド１７に沿つて転動させることによりワ
イパボツクス６を円滑に進退動作させるように構
成する。ワイパブレード押圧用プレート６ｂ側に
は、ワイパボツクス６の後退動作時における上記
スライトロツド１７との干渉を避けるためのロツ
ド挿通穴６ｄを形成している。

さらに、上記カバー４の後面部４ａには、前記
各ワイパブレード８，８の回転基軸９，９と対向
する位置に、第３図および第７図に示すように周
知のフルコンワイパリンクモーシヨン機構（図示
省略）に連結されてワイパ駆動源（図示省略）の
回転を伝える一対の回転駆動軸２２，２２を、内
部が中空のパイプ状に形成された前記各回転基軸
９，９に対しそれぞれ進退自在に嵌挿させてい
る。上記回転駆動軸２２の前端部周面には第６図
に示すように一対の係合突部２２ａ，２２ａを形
成する一方、上記回転基軸９にはその後端より軸
方向に延びる一対の切欠部９ａ，９ａを形成し、
この切欠部９ａに対し上記係合突部２２ａを係合
させることにより、回転駆動軸２２に対する回転
基軸９の進退動作を許容し、しかも回転駆動軸２
２の回転が回転基軸９に伝わるように構成する。

次に、この遮蔽式ワイパ装置の動作を説明す
る。まず、ワイパ停止時においては、第２図およ
び第３図の実線で示すようにワイパ収納部７内に
ワイパブレード８を収納した状態でワイパボツク
ス６がボツクス収容室５内に収容されており、ワ
イパ出入用開口３はワイパボツクス６の蓋部６ａ
により完全に閉成されている。

この状態で、車内の操作スイツチ（図示省略）
により、ワイパ駆動操作を行うと、まず、進退駆
動機構１４のボツクス駆動用モータ１５（第３
図、第７図）が正転作動して、その回転出力は笠
歯車１５ａ，１６ａを介して回転伝達軸１６に伝
えられ、回転伝達軸１６の回転は笠歯車１６ｂ，
１１ｂを介して左右の回転駆動軸１１，１１に同
期的に伝えられる。この左右の回転駆動軸１１，
１１の同期回転により、各回転駆動軸１１，１１
に螺合しているナツト１３，１３と一体のワイパ
ボツクス６が左右均等の変位量で進出動作して、
ワイパ出入用開口３よりボデイ外部に突出する。
この進出動作において、第８図に示すガイドロー
ラ１９，２０，２１はスライドロツド１７に沿つ
て転動するので、その進出動作が一層円滑に行わ
れる。上記進出状態で、ワイパボツクス６のワイ
パブレード押圧用プレート６ｂはウインドシール
ドガラス２の前面と同一面上に揃えられる。つい
でフルコンワイパ駆動モータ（図示省略）が作動
し、ワイパリンクモーシヨン機構（図示省略）を
介して回転駆動軸２２が正逆交互に回転駆動す
る。その回転は回転駆動軸２２側の係合突部２２
ａと回転基軸９側の切欠部９ａとの係合により回
転基軸９に伝えられ、ワイパブレード８はワイパ
ブレード押圧用プレート６ｂからウインドシール
ドガラス２の前面にはみ出し、そのガラス面に圧
接した状態で正逆交互に揺動駆動される。

つぎに、車内の操作スイツチによりワイパ駆動
を停止させると、ワイパブレード８はウインドシ
ールドガラス２を越えてワイパボツクス６のワイ
パブレード押圧用プレート６ｂの位置まで戻り、
ワイパ収納部７内に収納される。このあと、ボツ
クス駆動用モータ１５が先のワイパボツクス進出
動作時と逆回転の方向に作動して、ワイパボツク
ス６が後退動作しボツクス収容室５内に収容され
る。そして、この後退位置でワイパボツクス６の
蓋部６ａがワイパ出入用開口３を閉成する。

この遮蔽式ワイパ装置では、ワイパボツクス６
の後方のカバー４の後面部４ａの左右位置に支承
した一対の回転駆動軸１１，１１をワイパボツク
ス６側の左右一対のナツト１３，１３にそれぞれ
螺合させ、上記一対の回転駆動軸１１，１１を進
退駆動機構１４により同期回転させて、ワイパボ
ツクス６を左右均等な変位量で進退駆動する構成
であるので、ワイパボツクス６の進退動作が円滑
かつ安定して行なわれる。また、上記カバー４の
後面部４ａの左右および中央の各位置に別に突設
したスライドロツド１７，１７，１７に沿つてワ
イパボツクス６側のガイドローラ１９，２０，２
１が転動する構成も、上記ワイパボツクス６の進
退動作を円滑に行うのに有効である。

（考案の効果） 以上のように、この考案のワイパボツクスの進
退駆動装置によれば、ワイパボツクス側のねじ部
に螺合する左右一対の回転軸を、進退駆動機構に
より同期回転させる構成であるから、ワイパボツ
クスを左右均等の変位量により安定よくかつ円滑
に進退動作させることができるという効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは遮蔽式ワイパ装置にこの考案の
一実施例であるワイパボツクスの進退駆動装置を
適用したキヤブオーバ型カーのフロント部を示す
斜視図、第２図はワイパ装置のワイパボツクスの
後退状態を示す斜視図、第３図はワイパ装置の平
面図、第４図はナツト、回転軸、回転伝達軸の連
係部を示す側面図、第５図ａ，ｂはそれぞれワイ
パボツクスの進出状態および後退状態を示す断面
図、第６図は回転基軸と回転駆動軸の連結状態を
示す分解斜視図、第７図はワイパ装置の要部を示
す斜視図、第８図はガイドローラとスライドロツ
ドの結合状態を示す側面図である。 １……フロントパネル、２……ウインドシール
ドガラス、３……ワイパ出入用開口、６……ワイ
パボツクス、６ａ……蓋部、６ｂ……ワイパブレ
ード押圧用プレート、８……ワイパブレード、１
１……回転軸、１１ａ……雄ネジ、１１ｂ……笠
歯車、１３……ナツト（ネジ部）、１４……進退
駆動機構、１５……ボツクス駆動用モータ、１５
ａ……笠歯車、１６……回転伝達軸、１６ａ，１
６ｂ……笠歯車。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フロントシールドガラス面周辺のボデイ位置に
   ワイパ出入用開口を形成し、このワイパ出入用開
   口を閉成する蓋部とこの蓋部に対向させて配置し
   たワイパブレード押圧用プレートとの間にワイパ
   ブレードを収納したワイパボツクスを、ワイパブ
   レード押圧用プレートがワイパ出入用開口面上に
   位置する進出位置と、蓋部がワイパ出入用開口を
   閉成する後退位置との間で進退駆動するワイパボ
   ツクスの進退駆動装置であつて、 前記ワイパボツクスの左右位置に設けられた一
   対のネジ部と、 前記ワイパボツクスの後方の左右位置に前後方
   向に向けて設けられ、前記ネジ部に螺合して軸回
   りに回転することにより前記ワイパボツクスを進
   退駆動する一対の回転軸と、 前記一対の回転軸を同期回転させる回転駆動機
   構とを備えたワイパボツクスの進退駆動装置。