JPH0341062Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本考案はセラミツクス製タービンホイールを具
備したターボチヤージヤを有する内燃機関に関す
る。 〔従来の技術〕 近年、セラミツクス（特に窒化硅素・炭化硅
素）の耐熱性と軽量な点に着目して、金属製（イ
ンコネル等）タービンホイールをセラミツク化し
たセラミツクタービンホイールの開発が盛んに進
められている。しかしながらセラミツク材料は周
知の如く脆性材料であるため、例えば異物がこの
セラミツクタービンホイールに衝突すると欠け易
いという問題がある。事実、通常の長距離走行を
模した耐久試験において排気系の酸化スケール
（錆）の飛び込みによるタービン翼との衝突に起
因するセラミツクタービンホイールの欠け（チツ
ピング）が発生し、その破片による２次衝突、バ
ランス不良によるセラミツクタービンホイールの
全損例が多く見られた。その為排気系を錆の発生
しにくい鋳鋼製にするとか、タービン翼の肉厚の
増大あるいは材料の高靱性化の検討が進められて
いるが、各々コストアツプ、ターボ効率の低下、
セラミツク技術開発の未熟の問題があり、いずれ
も実用化に至つていない。 尚、従来の金属製タービンホイールでは酸化ス
ケールが衝突してもタービンホイールが塑性変形
するだけであり上記の如き問題は生じない。 即ち、上記の問題はセラミツクタービンホイー
ルに固有の問題と言へる。 〔考案が解決しようとする問題点〕 本考案が解決すべき課題は種々の利点を有する
セラミツクタービンホイールを有するターボチヤ
ージヤにおいて異物の飛び込みによるセラミツク
タービンホイールの欠けや破損を如何にして防止
するかということである。 即ち、本考案の目的は、排気系の錆、あるいは
エキゾーストマニホルド鋳砂残りあるいはまたデ
イーゼルエンジンの排気パーテイキユレート等排
気系からの異物のセラミツクタービンホイールへ
の飛び込みの防止を、大幅なコストアツプや性能
低下を招くことなく実現することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するために本考案によれば、
セラミツク製タービンホイールの上流側排気通路
中に通気性の異物補足手段が設けられ、かつ該異
物補足手段の直上流部とタービンホイールの下流
側排気通路とは遮断弁付バイパス通路により連結
される。 〔実施例〕 以下、本考案の好ましい実施例につき詳細に説
明する。第４図にターボチヤージヤの典型的な構
造を示す。図中ターボチヤージヤ全体は１で示さ
れ、２はタービンホイール、３はコンプレツサ
ー、４はタービンハウジング、５はコンプレツサ
ハウジング、６はセンターハウジング、７はター
ボシヤフト、８は排気エルボを夫々示し、排気ガ
スは矢印Ａで示す様にエキゾーストマニホールド
（図示せず）からターボチヤージヤ１に流入し、
タービンホイール２を駆動し矢印Ｂの様に排気管
（図示せず）へ排出される。本考案の前提として
タービンホイール２はセラミツク材料により形成
されている。第１図は本考案によるセラミツクタ
ービンホイール２への排気系異物の衝突を回避す
る排気システムの基本構造を模式的に示す。尚、
第２図において９はエキゾーストマニホールド、
１０はウエイストゲートバルブ、１１は吸気管、
１３に形成した過給圧検出口、１２はウエイスト
ゲートバルブ駆動用アクチユエータを夫々示す。 第１アクチユエータ１２はパイプ１４により過
給圧検出口１１に連結され、検出過給圧に応じて
リンク機構２２を介してウエイストゲートバルブ
１０を開閉する。ウエイストゲートバルブ１０の
開放時には排気ガスはバイパス１５を通つてター
ビンホイール２を迂回して排気管に流入する。
尚、図中、白ぬき矢印は吸気の流れを示す。 以上の構成は従来と同様である。 本考案によればタービンホイール２の上流側排
気通路内には、好ましくはウエイストゲートバル
ブ１０よりも上流に例えば耐熱性の金網１７から
形成される異物補足手段が設けられる。金網１７
の直上流側排気通路とタービンホイール下流側の
排気通路とは第２のバイパス１９により連結され
る。第２バイパス１９は図示の実施例では第１の
バイパス１５と合流し共通の出口ポート２１に開
口しているが第１バイパス１５と第２バイパス１
９とは別々にタービンホイール下流の排気通路に
連結することも可能である。金網１７は好ましく
は図示の如く排気流れを第２バイパス１９の入口
ポート２３に導くように湾曲して取り付けられ
る。入口ポート２３には遮断弁２５が設けられ
る。遮断弁２５は第２のアクチユエータ２７によ
りリンク機構２８を介して開閉作動せしめられ
る。第２アクチユエータ２７は例えば第１アクチ
ユエータと同様の圧力作動式アクチユエータ
（例、ダイヤフラム装置）でよく、過給圧検出口
１１からの過給圧に応じて作動せしめられる。 金網１７は第２図に示す如く同一メツシユある
いは異なるメツシユ（例、＃20〜＃35）の複数個
の金網１７ａ，１７ｂを排気流れに沿つて所定間
隔ｌで配列することも可能である。また、金網１
７の代わりに第３図に示す如きハニカム状の通気
孔１８を有する耐熱性金属製担当あるいはコージ
エライト製モノリス担体２０（幅ｔ）を用いるこ
とも可能である。 以上の如く構成することによりエキゾーストマ
ニホールド９からターボチヤージヤ１へ流入した
例えば酸化スケールはタービンホイール２より上
流に設けた金網１７に捕集され、セラミツクター
ビンホイール２との衝突が防止される。捕集され
た酸化スケールは遮断弁２５の開放の時に第２バ
イパス１９を介し、セラミツクタービンホイール
２より下流の出口ポート２１から排出される。遮
断弁２５は例えば高過給を防止するウエイストゲ
ートバルブ１０と同様な作動を行なう。つまり過
給圧を過給圧検出口１１を介して、アクチユエー
タ２７及び１２に伝え、規定圧力以上になるとア
クチユエータ１２，２７のダイヤフラムが作動
し、バルブ１０及び遮断弁２５を開き、排気ガス
をバイパスさせる。尚、アイドル時に遮断弁１７
を開く様にしてもよいがその場合には例えば第２
アクチユエータ２７の作動圧力源を吸気管負圧と
し、アクチユエータ１８のダイヤフラム設定圧
（ばね圧）を適宜選択すれば良い。 表１にターボチヤージヤ付ガソリンエンジン
（2.0）のエキゾーストマニホールドから強制的
に鋳砂を加圧空気により送り込んで行つたセラミ
ツクタービンホイールの（曲げ強度σ36≒65〜70
Kg／mm²の窒化硅素）翼欠け試験結果と捕集手段の
違いによる排圧上昇を示す。翼欠け試験のエンジ
ン運転条件は5000Dr.p.m.スロツトル弁全開時の
排気温850℃ターボ回転数12万r.p.m.であつた。
これに分級した鋳砂300mgを数分間隔で計４回送
り込んだ。翼欠けは翼に一ケ所でも欠けがあれば
欠け有りと判定した。また排圧上昇は最高出力点
での捕集手段無しの場合零として上昇分を記載し

〔考案の効果〕

以上に記載した如く本考案によれば排気径の酸
化スケールに代表される異物との衝突によるセラ
ミツクタービンホイールの翼欠けあるいは破損を
簡便な捕集手段により防止することができる。ま
た従来の、例えば他のセラミツク・ホイール翼欠
け対策に比べ以下の点が有利と考える排気系を錆
の少ない鋳鋼製にするという設計変更やあるいは
タービンホイールの翼厚増大によるものに比し、
製造コストのアツプが小さく、また錆以外の異物
にも対応できあるいはまたターボ性能の低下や応
答性の低下を招くこともない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施によるターボチヤージ
ヤ付内燃機関の要部の模式図、第２図は本考案に
よる捕集金網を２個用いた場合の配置を示す部分
破断斜視図、第３図は金網以外の捕集手段として
のコージエライト・モノリス担体の構造を示す斜
視図、第４図はターボチヤージヤの典型的な構造
の一例を示す、破断斜視図。 ２……タービンホイール、１７……金網、１９
……バイパス、２５……遮断弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. セラミツクス製タービンホイールを有するター
   ボチヤージヤを具えた内燃機関において、該ター
   ビンホイールの上流側排気通路中に通気性の異物
   補足手段を設けると共に、該異物補足手段の直上
   流部とタービンホイールの下流側排気通路とを遮
   断弁付バイパス通路により連結したことを特徴と
   するターボチヤージヤ付内燃機関。