JPH0341038B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エンジン等で駆動される発電機の自
動電圧調整器に関する。

発電機の出力電圧の変動を抑制するための手段
として、従来から第１図に示すような、発電機の
励磁巻線１の出力電流をトランジスタ等で構成さ
れる制御回路２を介して界磁巻線３へ供給する自
動電圧調整器が知られている。

この自動電圧調整器においては、発電機の出力
電圧を検出巻線４、全波整流器５、コンデンサ
６、および抵抗７，８で構成される検出回路９に
より脈流電圧として検出し、この脈流電圧を抵抗
７，８で分圧して得られる電圧Vcと、ツエナー
ダイオード１０による設定電圧Vzとを比較し、
Vc＜Vzである場合に制御回路２のトランジスタ
Q₁をOFFさせてこれにダーリントン接続されて
いるトランジスタQ₂をONさせることにより、励
磁巻線１の出力電流を界磁電流i_fとして界磁巻線
３へ供給するように構成されている。

すなわち、発電機の出力電圧の変動に応じて上
下移動する検出回路９の脈流電圧を分圧して得ら
れる電圧Vcと設定電圧Vzとを比較して界磁電流
i_fを制御するものであつて、発電機に接続される
負荷が軽負荷である場合には、第２図ａに示すよ
うにVc＜Vzの区間が狭く界磁巻線３へ供給され
る界磁電流i_fが小さいために発電機の被駆動トル
クも小さいが、負荷が増加して回転数が低下する
につれて第２図ｂに示すようにVcレベルが低下
してVc＜Vzの区間が広がるために、界磁巻線３
へ供給される界磁電流i_fが増大して発電機の被駆
動トルクが大きくなる。

しかして、この制御方式においては、発電機の
出力電圧の電圧変動率を小さくするために、Vc
の変動幅e₀に対する界磁電流i_fの通電比t₂／t₁を大
きくして回復力を高める必要がある。

しかしながら第１図のように構成すると、発電
機が過負荷状態となつたり、始動時のような比較
的低速回転状態にある場合は、発電機が通常の運
転範囲の回転数に到達（または回復）するまで界
磁巻線３へ大きな界磁電流i_fが供給され続けるた
めに発電機の駆動トルクが非常に大きな値にな
り、したがつてこのトルク負荷値に十分耐え得る
出力を有する駆動力源、例えばエンジン発電機に
おいては大出力のエンジンが必要になる。

また逆に、駆動力源のエンジンの小出力化のた
めには、電圧Vcの変動幅e₀に対する界磁電流i_fの
通電比t₂／t₁を小さくして電圧変動率を増大させ
ざるを得ない。

本発明は以上の点を考慮してなされたもので、
定格運転のような通常の運転範囲の回転数におけ
る電圧変動率は小さく、かつ過負荷運転時のよう
な低回転数における被駆動トルクはあまり増大せ
ぬように抑制する発電機の自動電圧調整器を提供
することを目的としている。

以下に本発明を図面に示した一実施例に基いて
説明する。なお、図中の同一部分には同一記号を
付している。

第３図において、１は発電機の励磁巻線であ
り、１１，１２は励磁巻線１の出力電圧を整流、
平滑する全波整流器および平滑コンデンサであ
り、整流、平滑された界磁電流i_fを制御回路２を
介して界磁巻線３へ供給するように構成されてい
る。１３は界磁巻線３と並列に接続されたフライ
ホイールダイオードである。

４は発電機の出力電圧を検出する検出巻線、５
は検出巻線４の出力電圧を全波整流する全波整流
器、ｌコンデンサC₁で形成される第１のコンデ
ンサ回路、ｍはコンデンサC₂と抵抗R₃との直列
回路で構成される第２のコンデンサ回路であり、
それぞれのコンデンサ回路ｌ，ｍは並列に接続さ
れて平滑機能を発揮するように構成されている。

さらに、コンデンサ回路ｌ，ｍと並列に抵抗
R₁，R₂で構成される分圧回路ｎが接続されてお
り、全波整流器５、コンデンサ回路ｌ，ｍおよび
分圧回路ｎで検出巻線４の出力電圧を整流、平滑
して脈流波形による出力電圧Vcを形成する検出
回路９を構成している。

１０は制御回路の動作レベルを設定するツエナ
ーダイオードであり、検出回路９の出力電圧Vc
が設定電圧Vzを越えたときにトランジスタQ₁を
ON動作させるように構成されている。

トランジスタQ₂はトランジスタQ₁にダーリン
トン接続されており、トランジスタQ₁がOFF状
態のときにトランジスタQ₂がON動作して界磁巻
線３へ界磁電流i_fを供給するように構成されてい
る。

検出回路９から出力されてツエナーダイオード
１０に印加される電圧Vcは、コンデンサ回路ｌ
による放電波形とコンデンサ回路ｍによる放電波
形との各脈流分が重畳されて、第４図ａ，ｂに示
すような折曲点を有する脈流電圧波形となる。

この折曲点は、コンデンサ回路ｌ，ｍの放電開
始電圧で設定され、また折曲点を境とする区間d₁
とd₂との波形形状はコンデンサ回路ｌ，ｍの時定
数で設定される。

それぞれのコンデンサ回路ｌ，ｍの放電開始電
圧Vl，Vmは Vl→抵抗R₁とR₂の分圧比， Vm→抵抗（R₁＋R₃）とR₂の分圧比， で決定され、Vl＞Vmであることから、区間d₁で
変動幅が大きく、区間d₂で変動幅が小さく傾斜の
緩やかな折曲特性を示す脈流電圧を形成すること
ができる。またこのとき、コンデンサ回路ｌの放
電時定数をコンデンサ回路ｍの放電時定数より小
さく設定することにより、区間d₁，d₂の折曲角度
の大きな折曲特性を得ることができる。

そして、このように脈流電圧を形成することに
より、発電機が定格運転のような通常の運転範囲
の回転数であるときには電圧Vcの区間d₂，低速
回転数であるときには区間d₁でトランジスタQ₂
をON，OFF動作させて界磁巻線３への界磁電流
i_fの供給を制御することができる。

以上の構成によれば、第４図ａに示すように発
電機の負荷状態が通常の運転範囲内である場合に
は、電圧Vcの区間d₂内で電圧変動率の少ない電
圧制御を行ない得るとともに、定格を大きく越え
る負荷が加担されて回転数が低下し、電圧Vcの
レベルが大きく低下する場合であつても第４図ｂ
に示すように、Vcの変動幅e₁に対する界磁電流i_f
の通電比t₄／t₃を小さく設定しているために、発
電機の被駆動トルクの増加量を従来に比べて大幅
に抑制することができる。

したがつて、通常の使用範囲内での電圧変動率
を増大させることなく低速回転時での被駆動トル
クの増加を小さく抑制することが可能となるた
め、駆動力源のエンジン等を小型化することがで
きるようになる。

また、本発明は以上記載の実施例のみに限定さ
れるものではなく、その思想を逸脱せぬ限り適宜
実施できるものであり、例えば、他励式の発電機
をも含めたいかなる形式の励磁式発電機にも適用
することができる。

また、本実施例においては電圧Vc＜Vzのとき
に界磁巻線３へ界磁電流i_fを供給するように構成
しているが、検出回路９内での信号処理を反転さ
せることにより、電圧Vc＞Vzのときに界磁電流
i_fを供給するように構成することもできる。

以上説明の通り本発明によれば、通常の運転範
囲の回転数での電圧変動率が小さく使用勝手が良
好であり、かつ駆動力源のエンジン等を小型化す
ることができる発電機の自動電圧調整器が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の発電機の自動電圧調整器を示す
電気的結線図、第２図ａ，ｂはその負荷状態に応
じた制御動作をそれぞれ示す発電機出力電圧およ
び界磁電流の各特性図、第３図は本発明による発
電機の自動電圧調整器の一実施例を示す電気的結
線図、第４図ａ，ｂはその負荷状態に応じた制御
動作をそれぞれ示す発電機出力電圧および界磁電
流の各特性図である。 １……励磁巻線、２……制御回路、３……界磁
巻線、４……検出巻線、５……全波整流器、９…
…検出回路、１０……ツエナーダイオード、ｌ，
ｍ……コンデンサ回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 励磁巻線１の出力電圧を整流することによつ
   て得られる界磁電流を界磁巻線３に供給するよう
   にした発電機の出力電圧を検出する検出巻線４
   と、その検出巻線４の出力電圧を整流する整流器
   ５と、その整流器５の出力側にそれぞれ並列に接
   続された第１のコンデンサ回路ｌおよび抵抗R₃
   を介して充放電動作させることにより、前記第１
   のコンデンサ回路ｌよりも放電時定数が大きくか
   つ放電開始電圧が低く設定された第２のコンデン
   サ回路ｍとを有する平滑回路と、前記コンデンサ
   回路ｌ，ｍで平滑することによつて異なる脈流分
   が重畳されて形成される平滑回路の脈流波形によ
   る出力電圧Vcと設定電圧Vzとを比較し、前記出
   力電圧Vcが前記設定電圧Vzを越えている区間で
   あるか否かに応じて前記界磁電流のしや断、通電
   の区間をスイツチング制御する制御回路２とをそ
   なえることを特徴とする発電機の自動電圧調整
   器。