JPH0339188Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、多模様縫いミシンの送り装置に関
し、特にその送り調節機構をミシン機枠に組付け
る構造に関する。

〔従来の技術〕

従来のミシンの送り装置においては、送り調節
器と、その送り調節器を駆動するパルスモータと
がミシン機枠にそれれぞれ直接組み付けられてい
た。また、水平送り軸に揺動可能に支持された水
平送り腕上に送り台が取り付けられており、その
水平送り腕と前記送り調節器とが連結部材により
連結されていた。ところが、従来のこの送り装置
は、ミシン機枠に送り調節器が直接組み付けられ
ていたので、送り台の位置の精度を出す為、ミシ
ン機枠を精度良く加工する必要があつた。さら
に、パルスモータをミシン機枠に取付けるのに際
しても機械加工が必要とされ、かつ水平送り腕を
水平送り軸を介してミシン機枠に組み付けるため
にも加工精度が必要とされた。この結果、ミシン
機枠の加工工程が増えることにより製造コストが
上がるという問題があり、また水平送り腕、送り
調節器およびパルスモータの三者間の組付けがむ
ずかしく製造コストが上がるという問題があつ
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、上記の問題点を解決するためになさ
れたものであり、ミシン機枠に格別な機械加工を
施すことなく、パルスモータと送り調節器と水平
送り腕とを精度良く組付けることが可能なミシン
の送り装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

しかして、本考案によれば、ミシンの下方アー
ム内に配設されたミシン機枠の支持受面と当接可
能な当接部を有すると共に水平送り軸に枢支さ
れ、送り調節器及び送り制御アクチユエータが組
付けられた支持体を設け、前記当接部を前記支持
受面に圧着させることにより前記支持体を固定す
ることを特徴とするミシンの送り装置が提供され
る。

〔作用〕

上記の構成によれば、送り調節器と送り制御ア
クチユエータと水平送り腕との三者が、いずれも
水平送り軸を基準にユニツト化されミシン機枠に
対して取付けられるため、ミシン機枠の成形精度
に関係なく三者を精度良く連結することができ
る。

〔実施の態様〕

本考案の実施の態様によれば、前記送り調節器
と水平送り腕とは１つの連結桿により連結されて
いるミシンの送り装置が提供される。そして、こ
の実施の態様によれば、送り調節器と水平送り腕
との連結構造が簡潔になるという利点がある。

〔実施例〕

以下に本考案の一実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図はこの実施例によるミシンの下方アーム
の側断面図、第２図は平面断面図、第３図は背面
断面図である。

第１図から第３図において、特に第１図に示さ
れるように、下方アームをなすミシン機枠４内に
架設された水平送り軸１には、全体がほぼ長方形
をなし第２図の右方に突出部を有した支持体２
が、その突出部において回動可能に取り付けられ
ている。その支持体２の下方には、当接部をなす
円柱状のボス３が支持体２と一体に形成されてい
る。そして、ボス３はアルミダイキヤスト成形に
よるミシン機枠４に配設された支持受面４Ａに当
接されており、そのボス３は前記ミシン機枠４の
一部に形成した突起４Ｂにねじ止めされた止め板
５によつて下方に押圧され、ボス３を支持受面４
Ａに圧着させることにより、支持体２がミシン機
枠４に固定されている。支持体２上には、その一
側面に送り制御アクチユエータをなすパルスモー
タ６が第２図に示すようにねじ止め固定されてお
り、またその支持体２上には、その他側面の折曲
部分に渡つて送り調節器軸７が固定され、その送
り調節器軸７には送り調節器８が回動自在に取り
付けられている。

第１図および第２図に示されるように、水平送
り軸１に水平送り腕９が上方に向けて揺動可能に
取り付けられ支持されており、その水平送り腕９
の上端には、水平送り二叉１０の一端が連結軸１
４により連結されている。水平送り腕９と送り調
節器８とは、水平送り二叉１０によりその上部の
連結桿部分において連結され、その水平送り二叉
１０の他端には送り調節器８の溝に嵌合する角駒
１１が取付けられている。前記水平送り二叉１０
は、第１図に破線で示されるようにその他端から
下方に垂下する二叉部分を有しており、送り駆動
軸１２に取付けられた三角カム１３によつて前記
二叉部分を介して揺動されるようになつている。

なお、支持体２の左側下方には三角窓孔２Ａが
穿設されており、この三角窓孔２Ａに臨むパルス
モータ６のフランジ６Ｂにはドライバー溝６Ａが
設けられていて、組付時に三角窓孔２Ａを通るド
ライバーによりドライバー溝６Ａをこじて送り調
節器８およびパルスモータ６を送り量０の位置に
調節できるようにされている。パルスモータ６は
揺動板１７にねじ１８によつて固着されており、
このねじ１８の先端は支持体２に穿設された長孔
１９に挿入されている。また、支持体２には第２
図の下方に示されるように、正逆の送り量のバラ
ンスをとるための偏心軸１８が挿通されている。
その偏心軸１５の先端には偏心用突起１６が設け
られ、この偏心用突起１６は、第１図の左方に示
されるように揺動板１７の長円孔１７Ａに嵌入さ
れていて、ドライバーで偏心軸１５を回すと、揺
動板１７が回動し送り量のバランス調整ができる
ようにされている。パルスモータ６をそのフラン
ジ６Ｂにおいて揺動板１７に螺着するねじ１８の
先端が長孔１９内を移動できるように、断面略コ
字状の弾性保持金具２０のフランジ６Ｂと支持体
２を挾持している（第２図参照）。

また、送り調節器８は歯付板２１を介してパル
スモータ６により回動可能にされている。

〔作動〕

以上の構成に基き、実施例の作動について説明
する。

送り駆動軸１２が回転されると、三角カム１３
も回転され、その三角カム１３によつて水平送り
二叉１０は揺動される。そして、その水平送り二
叉１０の揺動により、水平送り腕９が揺動され、
その水平送り腕９に作動連結された図示されない
送り台が揺動することにより、周知のごとく送り
歯が送り運動され、縫針の上下運動と調時して加
工布に送り運動が付与される。一方、図示されな
い電子制御手段によつてパルスモータ６が所望の
ごとく回動されると、そのパルスモータ６の回動
は歯付板２１を介して送り調節器８に伝えられる
ため、その送り調節器８の案内体の傾度が調節さ
れ、周知のごとくその案内体の溝に嵌合された角
駒１１の移動方向が調節されることにより、水平
送り腕９に伝達される送り運動の方向および送り
量が調節される。

模様縫いを行なうミシンにおいては、正しく美
しい模様縫いを行なうためには、水平送り腕９と
送り調節器８とパルスモータ６との三者が常に精
度良く連結されていることが必要である。この実
施例の構成によれば、水平送り腕９が水平送り軸
１を中心に揺動すると共に、送り調節器８とパル
スモータ６が、前記水平送り軸１を位置基準とす
る支持体２に取付けられているので、ミシン機枠
４の成形精度に関係なく、上記三者が精度良く連
結され、正しい模様縫いが加工布に形成される。

なお、上記実施例においては、送り制御アクチ
ユエータがパルスモータにより構成されたが、本
考案はこれに限るものではなく、また送り調節器
の構造も実施例に限定されない。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案によれば、送り調節
器と送り制御アクチユエータがいずれも水平送り
軸に枢支された支持体に組付けられており、また
水平送り腕は必ず水平送り軸に支持されるもので
あるから、水平送り腕と送り調節器と送り制御ア
クチユエータの三者を水平送り軸を基準にしてユ
ニツト化したものがミシン機枠に取付けられるた
め、ミシン機枠に機械加工を施こすことなく、三
者を精度良く連結でき、機械加工工程数が減少
し、製造コストを安価にすることができるなどの
優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例によるミシンの下方
アームの側断面図、第２図は平面断面図、第３図
は背面断面図である。 １……水平送り軸、２……支持体、３……ボ
ス、４……ミシン機枠、４Ａ……支持受面、５…
…止め板、６……パルスモータ、８……送り調節
器、９……水平送り腕、１０……水平送り二叉。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 縫針の上下往復運動と調時して加工布に送り
   運動を付与する送り歯と、その送り歯を載置保
   持する送り台に作動連結され、ミシンの下方ア
   ーム内に架設された水平送り軸に揺動可能に支
   持された水平送り腕とその水平送り腕に伝達さ
   れる送り運動の方向及び送り量を調節するため
   に変位可能な送り調節器と、その送り調節器の
   調節位置を制御するために駆動される送り制御
   アクチユエータとを備えたミシンにおいて、 前記下方アーム内に配設されたミシン機枠の
   支持受面と当接可能な当接部を有すると共に前
   記水平送り軸に枢支され、前記送り調節器及び
   送り制御アクチユエータが組付けられた支持体
   を設け、 前記当接部を前記支持受面に圧着させること
   により前記支持体を固定することを特徴とする
   ミシンの送り装置。 (2) 前記送り調節器と水平送り腕とは１つの連結
   桿により連結されていることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のミシンの送り
   装置。