JPH0339160B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、センターシヤフト型シールド掘進機
において、注入材を切羽に注入する装置に関する
ものである。詳しくは、注入路の詰まりを防ぐよ
うに構成された注入装置に関するものである。

〔従来の技術〕

まず、センターシヤフト型シールド掘進機につ
いて第７図を参照して説明する。

図中１はシールド本体である。このシールド本
体１の前部に隔壁１ａが一体に設けられている。
この隔壁１ａの後面（機内側の面）に駆動機２が
配置されており、かつこの隔壁１ａの中央にカツ
ターホイル３が回転可能に取付けられている。こ
のカツターホイル３は、隔壁１ａに回転可能に軸
支されたセンターシヤフト３ｃと、そのセンター
シヤフト３ｃの前端（隔壁１ａより前方に突出し
た側の端）に一体に取付けられたカツターボス３
ａと、そのカツターボス３ａの前端に一体に取付
けられたカツターヘツド３ｂと、カツターボス３
ａの外側面に一体に取付けられたカツターウイン
グ３ｄとから構成されている。このカツターホイ
ル３と駆動機２とは減速機等により連係されてお
り、カツターホイル３は駆動機２により回転させ
られる。上述のカツターホイル３のカツターウイ
ング３ｄと隔壁１ａとの間にチヤンバ４が形成さ
れている。このカツターホイル３のセンターシヤ
フト３ｃの後端（隔壁１ａより機内側の端）の取
合い部Ｂにロータリージヨイント５が取付けられ
ている。このロータリージヨイント５の接続口Ａ
に図示していない注入材供給装置からの注入ホー
スなどが接続されている。上述の隔壁１ａの後面
の下部にスクリユーコンベア６が取付けられてい
る。

次に、上述のセンターシヤフト型シールド掘進
機の操作について説明する。まず、駆動機２を駆
動させてカツターホイル３を回転させ、切羽ｅを
切削する。それと同時に、後述するカツターヘツ
ド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄から粘性付与材
等の注入口を切羽ｅに注入する。切羽を切削した
土砂と注入材とをチヤンバ４内に取り込み、この
チヤンバ４内において切削土砂と注入材とを十分
に練り混ぜて塑性流動化する。その上でこの塑性
流動性のある土砂をスクリユーコンベア６により
後方（発進立坑）へ排出しながらシールド本体１
を推進させる。

かかるセンターシヤフト型シールド掘進機にお
いては、掘削土砂を塑性流動性のある土砂に変換
させる必要があるため、掘削土砂に対する注入材
が大きな役割を果しており、注入量の制御が重視
される。

以下、上述のセンターシヤフト型シールド掘進
機における従来の注入装置について第８図および
第９図を参照して説明する。

カツターホイル３のカツターヘツド３ｂの先端
に複数個の注入口A₁，A₂，A₃，A₄がセンターシ
ヤフト３ｃの軸方向に対して放射方向に設けられ
ている。このカツターヘツド３ｂ，カツターボス
３ａおよびセンターシヤフト３ｃに断面円形状の
注入路A₀が注入口A₁，A₂，A₃，A₄とロータリー
ジヨイント５とに連通するように、センターシヤ
フト３ｃの軸方向に設けられている。上述の注入
口A₁，A₂，A₃，A₄の外周にパツキング７が取付
けられている。

注入材供給装置から注入材をロータリージヨイ
ント５を介して注入路A₀に供給する。そして、
注入圧P₀が切羽圧Ｐおよびパツキング７の弾性
力より大きくなると、その注入圧P₀によりパツ
キング７が外側に押し開かれるので、注入口A₁，
A₂，A₃，A₄から注入材が矢印P₁，P₂，P₃，P₄に
示すように放射方向に流出する。

一方、注入材の注入時における注入圧P₀、も
しくは注入材の注入停止時における注入路A₀側
の圧力が切羽圧Ｐおよびパツキング７の弾性力よ
り小さくなると、パツキング７がその弾性復帰力
により注入口A₁，A₂，A₃，A₄を外側から閉塞す
る。その結果、土砂が注入口A₁，A₂，A₃，A₄か
ら注入路A₀内に侵入するのを防ぐことができる。

しかしながら、上述の従来の注入装置は、注入
口A₁，A₂，A₃，A₄の外周にパツキング７を取付
けたものであるから、パツキング７は常に土砂に
もまれ破損し易い状態にある。パツキング７が破
損すると、注入圧P₀が常時加えられていて切羽
圧Ｐに対抗している場合には問題ないが、シール
ド掘進機停止時等で注入材の注入を止め、切羽圧
Ｐの方が注入路A₀側の圧より大きくなつた場合
には、土砂が切羽圧Ｐにより注入口A₁，A₂，
A₃，A₄から注入路A₀中に侵入する。この侵入し
た土砂は注入路A₀中例えばＳ部近傍で固結する
ことがあり、この固結が発生すると、カツターヘ
ツド３ｂの注入路A₀が詰まつて注入不能となる。

土砂が注入路A₀中で固結した場合、従来はロ
ータリジヨイント５の接続口Ａから高圧水を供給
して固結土砂を注入路A₀から排除する。それで
も固結土砂が排除できないときには、センターシ
ヤフト３ｃとロータリージヨイント５との取合い
部Ｂからロータリージヨイント５を取外し、注入
路A₀中の固結土砂を鉄筋棒等により押し出しな
がら清掃する必要がある。

このように、従来の注入装置においては、土砂
が注入路A₀中で固結すると、固結土砂を排除す
る必要があるため、作業能率が低下すると言う問
題がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は、注入路の詰まりを未然に防ぎ、固結
土砂の排除作業が不要となり、作業能率を向上さ
せることができるセンターシヤフト型シールド掘
進機における注入装置を提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の注入装置は、シールド本体の前部に隔
壁を一体に設け、その隔壁に駆動機により回転さ
せられるカツターホイルのセンターシヤフトを回
転可能に軸支し、そのセンターシヤフトの切羽側
端にカツターヘツドを設け、このカツターヘツド
に注入口を放射方向に設け、そのカツターヘツド
およびセンターシヤフトに注入材供給装置から前
記注入口に連通するように注入路を設け、その注
入材供給装置から供給された注入材が注入路を経
て注入口から切羽に注入されるセンターシヤフト
型シールド掘進機において、弁体駆動装置に連係
しており、この弁体駆動装置の作動によつて前記
注入口を開閉する弁体を前記カツターヘツドの注
入路中に設けたことを特徴とする。

〔作用〕

本発明の注入装置は、弁体駆動装置を操作して
弁体を作動させ、注入口を開いて注入材を注入
し、注入口を閉じて土砂の注入路中への侵入を防
ぐ。

〔実施例〕

以下、本発明のセンターシヤフト型シールド掘
進機における注入装置の実施例の内の２例を第１
図乃至第６図を参照して説明する。

第１図乃至第４図は本発明の注入装置の第１の
実施例を示し、第１図は注入口が閉状態の一部断
面図、第２図は第１図における−線断面図、
第３図は注入口が開状態の一部断面図、第４図は
第３図における−線断面図である。なお、図
中第７図乃至第１０図と同符号は同一のものを示
す。

図において９は弁体で、カツターヘツド３ｂの
注入路A₀中に軸方向に摺動可能に、かつ回転不
能に嵌合されている。この弁体９は、切羽側前端
が閉塞され、後端が開放されている中空円筒形状
をなしている。弁体９の閉塞側端部に複数個の開
口部A′₁，A′₂，A′₃，A′₄が中空部A′₀と連通する
ように、前述の注入口A₁，A₂，A₃，A₄と同方向
に設けられている。８は弁体駆動装置であり、こ
の実施例ではシリンダーチユーブ８ｂと、そのシ
リンダーチユーブ８ｂ中に軸方向に摺動可能に嵌
合したピストン８ｃとから構成される。この弁体
駆動装置８は、カツターヘツド３ｂの注入路A₀
のカツターボス３ａ側に設けた中ぐり部３′ｂ中
に収納されていると共に、シリンダチユーブ８ｂ
に一体に固定したフランジ８ａを介してカツター
ヘツド３ｂに取付けられている。上述の弁体９は
前述の弁体駆動装置８のシリンダーチユーブ８ｂ
を貫通し、その弁体９の後端開口部A′₅は常時カ
ツターボス３ａ内に臨んでいる。この弁体９に弁
体駆動装置８のピストン８ｃが固定されている。
この結果、シリンダーチユーブ８内はピストン８
ｃを挾んでイ室とロ室とに区画される。このシリ
ンダーチユーブ８ｂの両端に２本の配管１１ａお
よび１１ｂがシリンダーチユーブ８ｂ内のイ室お
よびロ室にそれぞれ連通するように接続されてい
る。この２本の配管１１ａおよび１１ｂはカツタ
ーボス３ａおよびセンターシヤフト内を通つてロ
ータリージヨイントに接続されており、このロー
タリージヨイントを介してシールド掘進機の後方
に配設された油圧源（図示せず）に接続されてい
る。上述のシリンダーチユーブ８ｂの両端の内周
面と弁体９の外周面との間にシリンダーチユーブ
８ｂからの油漏れを防ぐオイルシール１０ａが介
装されている。シリンダーチユーブ８ｂの内周面
とピストン８ｃの外周面との間にシリンダーチユ
ーブ８ｂ内のイ室とロ室間の油漏れを防ぐオイル
シール１０ｂが介装されている。カツターヘツド
３ｂの内周面と弁体９の外周面にカツターボス３
ａ内に止水を行うパツキング１２が介装されてい
る。

この実施例における本発明の注入装置は、以上
の如き構成よりなり、以下その操作について説明
する。

まず、注入材を注入する場合は、油圧源を操作
し配管１１ｂから弁体駆動装置８のシリンダーチ
ユーブ８ｂのロ室に圧油を供給し、一方イ室中の
油を配管１１ａを経て戻す。この操作により第３
図に示すように、ピストン８ｃが矢印ロ方向に移
動するので、弁体９が矢印ロ方向に摺動する。そ
の結果、第３図および第４図に示すように、弁体
９の開口部A′₁，A′₂，A′₃，A′₄がカツターヘツド
３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄と一致する。この
状態で注入材供給装置を操作し、注入材を注入圧
P₀でロータリージヨイントを介してセンターシ
ヤフトおよびカツターボス３ａ内に供給すると、
注入材はカツターボス３ａ内に常時臨んでいる弁
体９の後端開口部A′₅から弁体９の中空部A′₀を経
て、弁体９の開口部A′₁，A′₂，A′₃，A′₄およびカ
ツターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄から
切羽に向けて矢印P₁，P₂，P₃，P₄に示すように
放射方向に注入される。

なお、弁体９の摺動ストロークを調整し、カツ
ターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄と弁体
９の開口部A′₁，A′₂，A′₃，A′₄との開口面積を調
整すれば、注入材の注入量を調整することができ
る。

次に、注入材の注入を停止する場合は、まず注
入材供給装置を操作して注入材の供給を停止さ
せ、続いて油圧源を操作し、配管１１ａから弁体
駆動装置８のシリンダーチユーブ８ｂのイ室に圧
油を供給し、一方ロ室中の油を配管１１ｂを経て
戻す。この操作により第１図に示すように、ピス
トン８ｃが矢印イ方向に移動するので、弁体９が
矢印イ方向に摺動する。この結果、切羽およびカ
ツターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄と弁
体９の開口部A′₁，A′₂，A′₃，A′₄との位置がず
れ、カツターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，
A₄が弁体９により閉塞される。従つて、切羽圧
Ｐが注入路A₀側の圧より大きくても、土砂がカ
ツターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄から
弁体９の中空部A′₀中に侵入するのを防ぐことが
できる。

第５図および第６図ａ，ｂは本発明の注入装置
の第２の実施例を示し、第５図は注入口が開状態
の一部断面図、第６図ａは注入口が開状態の第５
図における−線断面図、第６図ｂは注入口が
閉状態の第５図における−線断面図である。
なお、図中第１図乃至第４図および第７図乃至第
１０図と同符号は同一のものを示す。

図において９′は弁体で、上述の第１の実施例
における弁体９と同一構成をなす。この弁体９′
は、カツターヘツド３ｂのカツターボス３ａ側に
固定した取付板１３とカツターヘツド３ｂの注入
路A₀とに軸受１４により回転可能に、かつ軸方
向に摺動不能に取付けられている。８′は弁体駆
動装置であり、この実施例では中ぐり部３′ｂに
固定したパルスモータ８′ｂと、そのパルスモー
タ８′ｂの回転軸に取付けたギヤ８′ａと、弁体
９′の中央部の外周面に固定し、上述のギヤ８′ａ
と噛合する噛合歯８′ｃとから構成されている。
上述のパルスモータ８′ｂに電線１１が接続され
ている。この電線１１は取付板１３からブツシユ
１５を介してカツターボス３３ａ内に導かれ、カ
ツターボス３ａおよびセンターシヤフト内を通つ
て回転式接続器（図示せず）に接続され、この回
転式接続器を介してシールド掘進機の後方に配設
された電源（図示せず）に接続されている。

次に、その操作について説明する。まず、注入
材を注入する場合は、電源を操作し、パルスモー
タ８′ｂを駆動させて弁体９′を45゜回転させる。
この操作により第５図および第６図ａに示すよう
に、弁体９′の開口部A′₁，A′₂，A′₃，A′₄がカツ
ターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄と一致
する。この状態で注入材を供給することにより、
注入材は弁体９′の開口部A′₁，A′₂，A′₃，A′₄お
よびカツターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，
A₄から切羽に向けて矢印P₁，P₂，P₃，P₄に示す
ように放射方向に注入される。

なお、弁体９′の回転角度を調整すれば、注入
材の注入量を調整することができる。

次に、注入材の注入を停止させる場合は、注入
材の供給を停止させ、続いて電源を操作し、パル
スモータ８′ｂを駆動させて弁体９′を45゜回転さ
せる。この操作により第６図ｂに示すように、カ
ツターヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄が弁
体９′により閉塞される。従つて、土砂がカツタ
ーヘツド３ｂの注入口A₁，A₂，A₃，A₄からカツ
ターヘツド３ｂの注入路A₀，弁体９′の開口部
A′₁，A′₂，A′₃，A′₄および中空部A′₀中に侵入す
るのを防ぐことができる。

〔発明の効果〕

以上の実施例から明らかなように、本発明のセ
ンターシヤフト型シールド掘進機における注入装
置は、カツターヘツドの注入路中に弁体を設け、
その弁体に弁体作動手段を連係したものであるか
ら、弁体作動手段を操作して弁体を作動させるこ
とにより、カツターヘツドの注入口を開いて注入
材を注入することができると共に、注入口を閉じ
て土砂がカツターヘツドの注入路中に侵入するの
を防ぐことができる。従つて、カツターヘツドの
注入路中で固結した土砂を排除する作業が不要と
なり、作業能率が向上される。また、弁体はカツ
ターヘツドの注入路中に設けられているので、土
砂との接触による摩耗，損傷から保護されてい
る。従つて、耐久性が向上されるなどの効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本発明の注入装置の第１の
実施例を示し、第１図は注入口が閉状態の一部断
面図、第２図は第１図における−線断面図、
第３図は注入口が開状態の一部断面図、第４図は
第３図における−線断面図である。第５図お
よび第６図ａ，ｂは本発明の注入装置の第２の実
施例を示し、第５図は注入口が開状態の一部断面
図、第６図ａは注入口が開状態の第５図における
−線断面図、第６図ｂは注入口が閉状態の第
５図における−線断面図である。第７図は従
来の注入装置を装備したセンターシヤフト型シー
ルド掘進機の断面図、第８図は第７図における
部拡大断面図、第９図は第８図における−線
断面図、第１０図は土砂がカツターヘツドの注入
路中で固結した状態を示した一部断面図である。 ３ｂ…カツターヘツド、３ｃ…センターシヤフ
ト、８，８′…弁体駆動装置、９，９′…弁体、
A₀…注入路、A₁，A₂，A₃，A₄…注入口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シールド本体の前部に隔壁を一体に設け、そ
   の隔壁に駆動機により回転させられるカツターホ
   イルのセンターシヤフトを回転可能に軸支し、そ
   のセンターシヤフトの切羽側端にカツターヘツド
   を設け、このカツターヘツドに注入口を放射方向
   に設け、そのカツターヘツドおよびセンターシヤ
   フトに注入材供給装置から前記注入口に連通する
   ように注入路を設け、その注入材供給装置から供
   給された注入材が注入路を経て注入口から切羽に
   注入されるセンターシヤフト型シールド掘進機に
   おいて、弁体駆動装置に連係しており、この弁体
   駆動装置の作動によつて前記注入口を開閉する弁
   体を前記カツターヘツドの注入路中に設けたこと
   を特徴とするセンターシヤフト型シールド掘進機
   における注入装置。