JPH0337840Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は安全増し構造の液圧式の折曲機械に
関する。

［従来技術の説明］ 従来より、折曲機械には、非常停止スイツチの
ごとき安全装置が備えられている。

しかしながら、非常停止スイツチのごとき操作
を強要する手段にあつては、瞬時的に生ずる危険
に対し間に合わないという問題点がある。

例えば、上金型を下金型に向けてサーボ駆動す
る折曲機械において、上金型を降下中、途中停止
したい場合を考えると、操作者はこの停止位置で
フツトペタル装置を作動させ下降停止指令を与え
ることになる。ところが、ここで、サーボ装置に
突然異常が生じた場合、上金型はなお下降し続け
ることになる。しかし、操作者は、ここで上記の
ごとき非常停止スイツチを操作したとしても、操
作に要する時間よりも下降してしまう時間の方が
短いので、最早間に合わないことになるのであ
る。

［考案の目的］ そこでこの考案は上記問題点を改善し、例えサ
ーボ装置に異常が生じても、金型を接近させる指
令が出されていない限り金型を接近させることが
ない折曲機械を提供することを目的とする。

［考案の概要］ 上記目的を達成するために、本考案は、被加工
材の折曲げ加工を行なう一方の金型を備えたラム
を、他方の金型を備えたテーブルに対して上下動
自在に設けると共に、上記ラムを上下動するシリ
ンダを備えてなる折曲機械にして、上記シリンダ
の一方の室に接続した油路を、ポンプと接続した
サーボ弁に接続して設け、前記シリンダの他方の
室と上記サーボ弁とを接続した油路に、ソレノイ
ド弁の作動に基いて前記シリンダからの排油を前
記サーボ弁に返すことが可能なパイロツトチエツ
ク弁を設けてなり、かつ前記サーボ弁を制御する
位置決め制御モジユールを設けると共に前記ソレ
ノイド弁のオン、オフを制御するシーケンサを設
けてなるものである。

［実施例］ 以下、添付図面を用いてこの考案の実施例を説
明する。

まず、図面について簡単に説明すると、第１図
はこの考案の一実施例に係る折曲機械の側面図、
第２図は油圧回路の説明図、第３図は安全回路の
ブロツク図、第４図は上記安全回路の作動状態を
示す説明図である。

第１図に示すように、折曲機械は、紙面表裏方
向（折曲機械の左右方向）に一対の側面フレーム
１を有し、このフレームの下方前方には下部テー
ブル３が固定され、上方にはシリンダ５が紙面表
裏方向に一対備えられている。

前記下部テーブル３の上方には下金型７が取付
けられ、前記シリンダ５には下金型方向に昇降駆
動されるラム９が取付けられ、該ラム９の下方に
は前記下金型と対向配置される上金型１１が取付
けられている。

又、前記側面フレーム１には補強板１３が装着
され、この補強板１３には、前記ラム９の昇降動
作を検出する位置検出器１５が備えられている。

前記側面フレーム１のうち紙面において裏面側
のフレームには電気制御盤１７が装着され、この
制御盤１７には、折曲機械の前面位置で各種操作
信号を入力することができる操作ペンダント１９
が吊架されている。

又、折曲機械の前面側の操作位置にはフツトペ
タル装置２１が配設され、操作者はこの装置２１
内部のフツトペタルを足踏操作することにより、
前記ラム９に昇降指令を行うことができるように
なつている。

上記構成の折曲機械にあつては、下金型７及び
上金型１１との間に被加工板材（図示せず）を挿
入し、フツトペタル装置２１を足踏操作すること
により、ラム９を下降させ、所定の折曲作業を行
うことができる。

第２図に示すように、前記一対のシリンダ５を
駆動する油圧回路は、各シリンダ５に対応して対
称的な構造となつている。

前記シリンダ５に圧油を供給するサーボ弁SV
は４ポート１段直動式のものが採用されている。

前記サーボ弁SVに供給する圧油は、モータＭ
で駆動されるポンプＰによつて生成され、該ポン
プＰによつて生成された圧油はラインフイルタ
ILFを介して供給されるようになつている。又、
生成された圧油は前記サーボ弁SVと前記ライン
フイルタILFとの間に配置される電磁比例弁
SOLEにより所定圧に制御されるようになつてい
る。

サーボ弁SVは、前記シリンダ５に対し、油路
OL１及びOL２を介して接続されている。油路
OL１はシリンダ上室に接続され、油路OL２は各
種制御弁を介してシリンダ下室に接続されてい
る。

油路OL２には、シリンダ５からの排油を油路
OL２を介して前記サーボ弁SVに返すとき所定の
背圧を与えることができるカウンタバランス弁
CBVが設けられている。

又、油路OL２には、ソレノイド弁SOL１の作
動に基いてパイロツト部の圧油が排出されたとき
のみシリンダ５からの排油を前記サーボ弁SVに
返すことが可能となるパイロツトチエツク弁LV
１が設けられている。ここに、該ソレノイド弁
SOL１は、下降禁止用ソレノイドとして作用す
るものである。

更に、油路OL２には、前記カウンタバランス
弁CBVと並列に、ソレノイド弁SOL２の作動に
基いてパイロツト部の圧油が排出されたときのみ
シリンダ５からの排油を前記サーボ弁に直接返す
ことが可能なパイロツトチエツク弁LV２が設け
られている。

なお、油圧回路にはこの他、圧力検出器PS１，
PS２、チエツク弁PCV，LV３等が適宜に設けら
れている。

以上の構成の油圧回路においては、ラム９を上
昇させたいときは、シリンダ５の下室に油路OL
２を介して所定流量の油を供給すれば良い。又、
ラム９を下降させたいときは、ソレノイド弁
SOL１，SOL２を作動させパイロツトチエツク
弁LV１，LV２を開放させた上で、シリンダ５の
下室からの排油を油路OL２からサーボ弁SVに返
せば良い。

第３図に示すように、前記サーボ弁SVは、前
記電気制御盤１７内に位置する位置決め制御モジ
ユール２３と接続されている。一方、前記下降禁
止用のソレノイド弁SOL１はシーケンサ（プロ
グラマブルコントローラ）２５と接続されてい
る。

位置決め制御モジユール２３及びシーケンサ２
５は共にNC装置２７と接続されている。

NC装置２７は折曲機械全体を総括制御するも
のである。

位置決め制御モジユール２３は、NC装置２７
からのラム９の位置決め指令を入力し、前記サー
ボ弁SVの弁開度を所定のものに制御することに
より、ラム９を上昇又は下降させるものである。
一方、シーケンサ２５は、前記ソレノイド弁
SOL１の他多数のアクチユエータと接続され、
これらアクチユエータを所定シーケンスで制御す
るものである。

今、折曲作業が開始され、第１図に示したフツ
トペタル装置２１から下降指令が出力されたとす
る。

すると、第４図に示すように、位置決め制御モ
ジユール２３は、ラム９を下降させるべくサーボ
弁SVに下降指令信号Ｓ１を出力する。具体的に
は、この信号は弁開度調節指令である。

一方、シーケンサ２５は、フツトペタル装置が
下降指令側に操作されたことに鑑みて、下降禁止
用のソレノイド弁SOL１（SOL２も）を作動さ
せ、パイロツトチエツク弁LV１を開けるのであ
る。

ところで、ここで、何らかの都合により、操作
者が、時刻T₁で例えばフツトペタルから足を離
すなどしてラム９に途中停止を指令したとする。

これにより、位置決め制御モジユール２３は、
信号Ｓ１をゼロ（０）とする一方、シーケンサ２
５は、これより△Ｔだけ時間を遅られせてソレノ
イド弁SOL１をオフとするよう出力信号Ｓ２を
オフとする。

以上の安全回路により、例えサーボ弁SVが壊
れ、又は、位置決め制御モジユール２３に異常が
生じても操作者側で下降指令を出力しない限り、
ラム９は下降することがなく、操作者の安全が保
たれることになる。

ソレノイド弁SOL１のオフ動作に遅れ△T₂を
持たせたのは、動作時刻をサーボ弁の絞り開始時
刻T₁よりは遅くして、油圧回路の急激な遮断に
伴うラム９による機械的振動を低減し、機械に歪
が生じて折曲精度を悪くしたりすることがないよ
うにするための配慮である。

以上の実施例に係る折曲機械によれば、油圧回
路の下降禁止用ソレノイドをシーケンサからの指
令で作動させるので、操作者が下降指令を出力し
ない限りラム９が下降することはない。

しかも、ラム９の下降時における途中停止にお
いては前記ソレノイドの作動時刻を停止指令信号
の立上り時刻より僅かに遅らせるようにしている
ので、途中停止時に折曲機械に衝撃を発生させる
ことがない。

以上示した実施例では、固定の下金型に対し、
上金型を降下させる折曲機械の例を示したがこの
考案は、これとは逆に上金型を固定し、下金型を
上昇させるタイプの折曲機械にも適用できるもの
である。この場合、油圧回路にNC装置の上昇指
令信号を検出して上昇指令時のみ回路を開くソレ
ノイド弁のごときものを設ければ良いのである。

この考案は上記実施例のみに限定されるもので
はなく、適宜の設計的変更を行うことにより、他
の態様でも実施し得るものである。

［考案の効果］ 以上のごとき実施例の説明より理解されるよう
に、要するに本考案は、被加工材の折曲げ加工を
行なう一方の金型１１を備えたラム９を、他方の
金型７を備えたテーブル３に対して上下動自在に
設けると共に、上記ラム９を上下動するシリンダ
５を備えてなる折曲機械にして、上記シリンダ５
の一方の室に接続した油路OL１を、ポンプＰと
接続したサーボ弁SVに接続して設け、前記シリ
ンダ５の他方の室と上記サーボ弁SVとを接続し
た油路OL２に、ソレノイド弁SOL１の作動に基
いて前記シリンダ５からの排油を前記サーボ弁
SVに返すことが可能なパイロツトチエツク弁LV
１を設けてなり、かつ前記サーボ弁SVを制御す
る位置決め制御モジユール２３を設けると共に前
記ソレノイド弁SOL１のオン、オフを制御する
シーケンサ２５を設けてなるものである。

上記構成より明らかなように、本考案において
は、折曲機械のラム９を上下動するとき、シリン
ダ５の一方の室へ油圧を供給し、他方の室から圧
油をサーボ弁SVへ排出しているものであり、上
記他方の室からの圧油の排出はソレノイド弁
SOL１のオン、オフによりパイロツトチエツク
弁LV１の開閉を制御することによつて行なわれ
るものである。そして、上記サーボ弁SVの制御
は位置決め制御モジユール２３によつて行なわ
れ、ソレノイド弁SOL１の制御は、シーケンサ
２５によつて行なわれているものである。

したがつて、例えばサーボ弁SVあるいは位置
決め制御モジユール２３に異常が生じたような場
合であつても、ソレノイド弁SOL１に動作指令
を出力しない限りラム９の作動を停止できるもの
であり、安全が保持されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係る折曲機械の
側面図、第２図は油圧回路の説明図、第３図は安
全回路のブロツク図、第４図は上記安全回路の作
動状態を示す説明図である。 ２３……位置決め制御モジユール、２５……シ
ーケンサ、SV……サーボ弁、SOL１……下降禁
止用のソレノイド弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被加工材の折曲げ加工を行なう一方の金型１１
   を備えたラム９を、他方の金型７を備えたテーブ
   ル３に対して上下動自在に設けると共に、上記ラ
   ム９を上下動するシリンダ５を備えてなる折曲機
   械にして、上記シリンダ５の一方の室に接続した
   油路OL１を、ポンプＰと接続したサーボ弁SVに
   接続して設け、前記シリンダ５の他方の室と上記
   サーボ弁SVとを接続した油路OL２に、ソレノイ
   ド弁SOL１の作動に基いて前記シリンダ５から
   の排油を前記サーボ弁SVに返すことが可能なパ
   イロツトチエツク弁LV１を設けてなり、かつ前
   記サーボ弁SVを制御する位置決め制御モジユー
   ル２３を設けると共に前記ソレノイド弁SOL１
   のオン、オフを制御するシーケンサ２５を設けて
   なることを特徴とする折曲機械。