JPH0337477A - 摺動部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 イ、産業上の利用分野 本発明は、摺動部材、例えばピストンリングに関する。

口、従来技術 近年、内燃機関は、軽量化が図られると共に、高出力化
のために高圧縮比、高速回転が図られ、これに伴って例
えばピストンリングのような摺動部品に要求される品質
が高度になってきている。

従来から、内燃機関用ピストンリングにあっては、耐久
性を改善する手段として、特に外周摺動面に硬質クロム
めっき層や溶射表面層或いは窒化層を形成させる方法が
採用されている。これらの表面層のうち、特に窒化層は
、優れた耐摩耗性を示すことから、苛酷な運転条件下で
使用されるピストンリングの表面層として注目されるよ
うになってきている。然しなから、窒化層は、耐摩耗性
に優れてはいるが、初期馴染み性が良好ではなく、新品
のピストンリングにあっては、苛酷な運転条件下では運
転初期での耐焼付き性が満足し得る程良好ではなく、そ
の結果、異常摩耗を起こすことがあるという問題が残さ
れている。

ハ９発明の目的 本発明は、初期馴染み性が良好で焼付きが起こり難くか
つ耐摩耗性に優れていて、優れた耐久性を示す摺動部材
を提供することを目的としている。

二０発明の構戒 本発明は、鉄基合金からなる母材上に、窒化層と厚さ１
〜２０μｍのめっき層とがこの順に前記母材の側から形
威されてこれらの層が摺動表面層を構成し、罰記めっき
層が、コバル）１０〜５０重量％及び燐２〜１０重量％
を含有するニッケル合金基地中に、クロム化合物からな
りかつ粒径５μｍ以下の硬質粒子が５〜３０容積％分散
した組織のめっき層である摺動部材に係る。

上記母相としては、優れた耐摩耗性を示す窒化層が表面
に形成されるような材料を使用するのが望ましく、例え
ば、０．１６〜１．３０重量％炭素、１２〜１９重量％
クロムを含有する鋼材や、更に上記合金元素に加えてモ
リブデン及び／又はバナジウムを少量含有させた鋼材が
好適である。

ホ０発明の作用効果 本発明にあっては、窒化層の前述した問題点を解消する
ため、初期馴染み性の良好なめっき層を窒化層の上に形
威させる。

本発明に基づく摺動部材では、耐摩耗性に優れる窒化層
の上に初期馴染み性の良好な例いめっき層が形威されて
いて、このめっき層の良好な初期馴染み性によって運転
初期に発生し易い焼付きが効果的に防止される。めっき
層の厚さが１μｍ未満では、初期馴染み状態が達成され
る前にめっき層が摩耗によって消失し、上記の効果が期
待できなくなる。他方、めっき層が２０μｍを越えて厚
くなると、めっき処理コストが上昇するばかりではなく
、運転中にめっき層に剥離が発生し易く、また、下地の
窒化層による耐摩耗性が発褌できる状態に至る迄に摩耗
が多くなり、特にピストンリングにあっては合い目障間
が大きくなってピストンリングの気密性が劣化するよう
になる。従って、めっき層の厚さは１〜２０μｍの範囲
内とし、特に１〜１０μｍとするのが好ましい。

めっき層は、コバル１へ及び燐を含有するニッケル合金
基地中にクロム炭化物からなる硬質粒子が分散した所謂
複合分散めっき層とする。以下、めっき層の基地及びこ
の基地中に分散させる分散粒子について説明する。

ニッケルは、後述するように、燐と共にＮｉ３Ｐを生威
し、耐摩耗性、耐焼付き性改善に寄与する。

コバルトはニッケル中に固溶して基地の硬度を上げ、耐
摩耗性、耐焼付き性を改善すると共に表面層の圧壊強度
及び疲労強度を向上させる。基地中のコバルト含有量が
１０重量％以上で上記の効果が顕著になる。また上記コ
バルト含有量が５０重量％を越えると、コスト高になる
と共に、相対的にニッケル含有量が少なくなって、後述
するＮｉ、Ｐの生成量が少なく、表面層の機械的強度が
十分には改善されず、その結果、耐摩耗性、耐焼付き性
改善の効果が不十分になる。従って、基地中のコバルト
含有量は１０〜５０重量％とする。

燐は、熱処理によって基地の硬度を上げて耐摩耗性、耐
焼付き性改善に寄与する。即ち、ニッケルと燐とが反応
して基地中にＮ１５Ｐの相が生威し、時効硬化に於ける
析出相による機械的強度改善に類似したメカニズムによ
って基地の硬度を上げ、これによって耐摩耗性改善に寄
与する。かくして基地の硬度は６５０〜８００　ＨＭＶ
に上昇して耐摩耗性が更に改善される。熱処理は４００
°Ｃに加熱の熱処理で良い。

基地中の燐含有量が２重量％未満では上記の効果が顕著
ではなく、これが１０重量％を越えると基地が脆くなっ
て表面層の衝撃強度や母材への被着性が悪くなり、その
結果、耐摩耗性、耐焼付き性も劣化する。

クロム化合物の硬質粒子は基地中に分散してハードスポ
ットを形威し、耐摩耗性、耐焼付き性改善に寄与する。

然し、炭化珪素のような鋭い端面を持たず、相手摺動面
を摩耗させる作用は少ない。

その粒径が５μｍを越えて大きくなるとこの粒子がアブ
レイシブ材として作用し、却って互いに摺動相手材の摩
耗が進行するようになる。また粒子の分散量は、５容積
％未満では耐摩耗性、耐焼付き性改善の効果が顕著では
なく、これが３０容積％を越えるとめっき層の機械的強
度が低下して却って耐摩耗性が劣化するようになると共
に、相手摺動部材を摩耗させるようになる。従って、基
地中に粒径５μｍ以下、好ましくは０．３〜５μｍのク
ロム化合物の硬質粒子を５〜３０容積％分散させる。

クロム化合物の硬質粒子には、炭化クロム（Ｃｒ３の粒
子が好適であるが、他の硬質クロム化合物の粒子であっ
ても良く、これらの粒子を合計で５〜３０容積％分散さ
せても良い。

摺動表面層を上述のような層構成としているので、運転
初期には、表面の初期馴染み性の良好なめっき層によっ
て焼付き等のトラブルを起こすことがない。また、この
めっき層は窒化層に近い優れた耐摩耗性を有しており、
板金定常状態の運転後に表面のめっき層が摩耗によって
消失したとしても、この消失によって表面に露呈する窒
化層（耐摩耗性に優れる層）により、苛酷な運転条件下
でも優れた耐久性を示すようになる。

へ、実施例 以下、本発明の詳細な説明する。

マルテンサイト系ステンレス鋼ＳＵ、３４４０Ｂ（０，
７５〜０．９５％Ｃ１≦１．０％Ｓｉ、≦１．０％Ｍｎ
。

≦０．０４０％Ｐ１≦０．０３０％Ｓ１≦０．６０％Ｎ
ｉ。

２ 窒化法によって窒化層を形成させ、その上に下記の条件
でニッケル合金複合分散めっき層を形成させ、４００°
Ｃに１時間加熱の熱処理を施して試験片とした。窒化層
の厚さは１００　μｍ、めっき層の厚さは１０μｍであ
る。

めっき浴としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸
コバルト、次亜燐酸ソーダ及び硼酸からなる水溶液（め
っき液）にＣｒ３Ｃ２粉末（一部は更にＣｒ２Ｏ，粉末
）を懸濁させためっき浴を使用し、これらの配合量及び
Ｃｒ３Ｃ，粉末の粒径を変化させてめっき層の組成及び
組織を変化させた。

めっき浴の温度は５０〜５３°Ｃ１電流密度は８Ａ／ｄ
ｎ（、めっき時間は２．５時間、めっき浴のｐＨは浴組
成に応じて２．０〜３．０の間の所定の値とした。

ある。

第 表 第 表 これら試験片と相対的に摺動させる相手材としでは、 シリンダライナ用鋳鉄ＦＣ２５を使用し、次 のような試験を行った。

茨力〕ｉｋ狡 試験装置は第８図及び第８図のＩＸ−ＩＸ線矢視側面図
である第９図に概要を図解的に示すものであって、ステ
ータホルダ１に取外し可能に取付けられた相手円板試験
片２の中央には裏側から注油孔３を通じて潤滑油が注油
される。ステータホルダ１には図示しない油圧装置によ
って図に於いて右方へ向けて所定圧力で押圧力Ｐが作用
するようにしである。円板試験片２に相対向してロータ
４があり、図示しない駆動装置によって所定速度で回転
するようにしである。ロータ４の円板試験片２に対する
端面に取付けられた試験片保持具４ａには正方形端面を
摺動面として角柱試験片５が同心円上に等間隔に４個取
外し可能に、かつ円板試験片２に対して摺動自在に取付
けである。

このような装置において、ステータ１に所定の押圧力Ｐ
をかけ、所定の面圧で円板試験片２と角柱試験片５の表
面層５ａとが接触するようにしておいて、注油孔３から
摺動面に所定給油速度で給油しながら、ロータ４を回転
させる。一定時間毎にステータ１に作用する圧力を段階
的に増加してゆき、ロータ４の回転によって角柱試験片
５と円板試験片２との摩擦によってステータ１に生ずる
トルク（摩擦力によって生ずるトルク）Ｔｑをスピンド
ル６を介してロードセル７に作用せしめ、その変化を動
歪計８で読み取り、記録計９に記録させる。トルクＴｑ
が急激に上昇するときに焼付きが生じたものとし、その
大小を以て耐焼付き性の良否を判断する。

試験条件は次に示す通りである。

摩擦速度：８ｍ／ｓｅｃ 潤滑油　：モータオイル＃３０（温度８０°Ｃ）を４０
０ｍ１／ｍｉｎ給油 接触圧カニ試験開始時４０ｋｇ／ｃ＋ｆｌ、その後３分
間経過毎に１０ｋｇ／ｃボずつ上昇 摩耗拭駄 第８図、第９図の試験装置を使用し、次のような試験条
件で摩耗試験を行った。

摩擦速度は５ｍ／ｓｅｃ、接触圧力は１００ｋｇ／ｃＭ
に一定、潤滑油はモータオイル＃３０にダスト（ＪＩＳ
２種）を０．２ｇ／忍添加したもの、その他の試験条件
は前記焼付き試験に於けると同しである。

摩耗量は次のようにして測定した。角柱試験片について
は、試験後に試験片を取外し、摩耗による高さ寸法の減
少を測定した。円板試験片については、摩耗によって生
じた円環状の摩耗痕の深さを測定した。

試験結果は、第２図〜第５図に示す通りであった。第２
図〜第５図から、表面層５ａの基地は、２〜１０重景％
燐、１０〜５０重量％コバルトのニッケル合金とし、こ
れらの基地中に分散させるＣｒ３Ｃ２粒子は、平均粒径
を５μｍ以下（特に０．３〜５μｍ）、分散量を５〜３
０容積％とするのが、良い結果が得られることが理解で
きる。これらの図において、摩耗試験の試験時間は５０
分間である。

上記の角柱試験片のうち、めっき層の基地組成を３０重
量％コバルト、５重量％燐、残部ニッケルとし、この基
地中に０．３〜３μｍのＣｒ＋Ｃｚ粒子を１０容積％分
散させた表面層の顕微鏡写真（倍率４００倍）を第１図
に示す。めっき層には、ニッケル合金の基地中に、灰色
を呈するＣｒ３Ｃ２粒子が均一に分散しているのが観察
される。なお、熱処理によって基地中に析出したＮ１ａ
Ｐ相は、極めて微細であって写真には顕れていないが、
この相の存在はＸ線回折試験によって確認されている。

比較のために、同し母材上に、厚さ１００μｍの硬質ク
ロムめっき層を形成した角柱試験片（比較例１）、厚さ
１００μｍの窒化層を形成した角柱試験片（比較例２）
及び前記のニッケル合金めっき層基地中に粒径０．３〜
５μｍの窒化珪素（Ｓｉ３Ｎ４粒子をｌＯ容積％分散さ
せた角柱試験片（比較例３）について同様の試験を行っ
た。これら比較例の試験結果を、第１図の角柱試験片（
実施例１）及びＣｒ３Ｃ２粒子に替えて同様のＣｒ＋Ｃ
ｚ粒子と酸化クロム（ＣｒｚＯ：＋）粒子とを同量とし
て合計で１０容積％を同様のめっき層基地中に分散させ
た試験片（実施例２）と対比して、第６図及び第７図に
示す。なお、第６図中、焼付き発生面圧が１０ｋｇ／ｃ
Ｉ１１間隔の目盛の間に位置しているのは、接触面圧上
昇中に焼付きが発生したことを示している。

摩耗量は、比較例１を除いては大差がないが、実施例１
．２共に各比較例に対して耐焼付き性が格段に改善され
ている。比較例３ではニッケル合金複合分散めっき層に
よって比較例１．２よりも耐焼付き性が改善されている
が、実施例はいずれも比較例３よりも更に耐焼付き性が
改善されている。これは、炭素クロム、酸化クロムは共
に窒化珪素よりも硬度が高く、粒子の形状が丸みを帯び
が１０μｍを越えると曲線の勾配が小さくなっているが
、これは、厚さ１０μｍのめっき層が消失して更に耐摩
耗性の良好な窒化層が摺動面に露呈したことによるもの
である。

夫敷跋駿 次に、ピストンリングの外周摺動面に前記と同様の摺動
表面層（前記実施例１におけると同様の摺動表面層）を
形威し、このピストンリングをエンジンに組付けて実機
試験（ベンチテスト）を行った例について説明する。

第１１図はピストンリングの自由状態での平面図、第１
２図は同しく右側面図、第１０図は第１１図のＸ−Ｘ線
拡大断面図である。第１１図及び第１２図には、使用状
態での真円形状のピストンリングが仮想線で示しである
。

このピストンリングは、呼び径りが８６ｍｍ、幅Ｂが１
．５ｍｍ、厚さＴが３．３ｍｍ、合い目障間Ｃが０．２
５ｍｍ、自由合い目障間りが１０ｍｍのバレルフェース
形圧力リングであり、外周摺動面には、前記と同じマル
テンサイト系ステンレス鋼の母材５上に厚さ１００μｍ
の窒化層５ｂ及び厚さ１０μｍのニッケル合金複合分散
めっき層５Ｃからなる摺動表面層５ａを形威しである。

このピストンリングを第−圧力リングとして、ボア径８
６ｍｍ、４サイクル、６気筒のガソリンエンジンに組付
け、回転数５６０Ｏｒｐｍ　、全負荷で２００時間の実
機試験を行った。その結果、運転初期から試験終了に至
るまで、焼付きはもとより出力の低下は殆ど認められず
、極めて優れた耐久性を示した。この良好な試験結果は
、先に第７図で説明したように、ニッケル合金複合分散
めっき層５ｃの良好な初期馴染み性と窒化層５ｂの優れ
た耐摩耗性とにより、焼付きが防止され、外周面の摩耗
が少なくて合い目障間Ｃの増大が極めて僅かであること
によって得られたものである。

これに対し、前記比較例１．２の摺動表面層を外周面に
設けたピストンリングでは、運転初１す１のうちに焼付
きが起こり、試験続行が不可能になった。

以上、本発明の詳細な説明したが、ピストンリング以外
のシリンダライチその他の摺動部品や、・苛酷な摺動条
件下で使用される内燃機関以外の摺動部品に本発明を適
用して、同様に良好な耐摩耗性、耐焼付き性を示すこと
が期待できる。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本発明の実施例を示すものであって、 第１図は角柱試験片の金属Ｍｉ織を示す顕微鏡写真、 第２図、第３図、第４図及び第５図はめっき層の組成と
耐摩耗性又は耐焼付き性との関係を示すグラフ、 第６図は焼付き試験の結果を比較例と対比して示すグラ
フ、 第７図は摩耗試験の結果を比較例と対比して示すグラフ
、 第８図は焼付き試験、摩耗試験の装置の要部を示す一部
破砕正面図、 第９図は第８図のＩＸ−ＩＸ線矢視側面図、第１０図は
ピストンリングの拡大断面図（第１図のＸ−Ｘ線矢視拡
大断面図）、 第１１図はピストンリングの平面図、 第１２図は同しく右側面図 である。 なお、図面に示された符号において、 ２・・・・・・・・・円板試験片（相手摺動試験片）５
・・・・・・・・・角柱試験片 ５ａ・・・・・・・・・摺動表面層 ５ｂ・・・・・・・・・窒化層 ５ｃ・・・・・・・・・めっき層 である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １、鉄基合金からなる母材上に、窒化層と厚さ１〜２０
   μｍのめっき層とがこの順に前記母材の側から形成され
   てこれらの層が摺動表面層を構成し、前記めっき層が、
   コバルト１０〜５０重量％及び燐２〜１０重量％を含有
   するニッケル合金基地中に、クロム化合物からなりかつ
   粒径５μｍ以下の硬質粒子が５〜３０容積％分散した組
   織のめっき層である摺動部材。