JPH0280861A - 内燃機関用鋼製ピストンリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、外周摺動面に複合分散めっき層を有する耐摩
耗性に優れたビス１〜ンリングに係り、更に詳しくは、
相手材の攻撃性、耐焼付性及び耐折損性が改善された、
且つ、側面の耐摩耗性も改善された内燃機関用鋼製ピス
トンリングに関する。

（従来技術） 近年、内燃機関の高性能化に伴い各機能部品に対し、益
々苛酷な条件が課せられると共に、内燃機関の寿命の延
長が強く要求されている。ピストンリングも従来にもま
して高回転、高温、高面圧等の厳しい環境に曝され、そ
の耐久性の向上が要求されおり、ピストンリングの耐久
性を改善する手段として摺動面に硬質クロムめっき処理
や溶射処理或いは窒化処理等の耐摩耗性表面処理が施さ
れている。

硬質クロムめっきは高鉛燃料使用又は腐食雰囲気に対し
耐摩耗性が劣る。溶射処理皮膜は耐摩耗性を優れている
ものの、運転中に皮膜の剥離や脱落を生じたり、又、相
手材の摩耗が進む等の問題があった。最近は窒化処理が
優れた耐摩耗性を示すことから苛酷な運転条件の下で使
用されるビス１ヘンリングの表面処理として注目され最
近多く使用される傾向である。

しなしながら、従来ピストンリングに採用されている窒
化処理層は、耐摩耗性に優れる反面、耐焼付性が劣りス
カッフィングの発生や母材の疲労強度が低下し、ビス１
〜ンリングが折損するという問題がある。又、ピストン
リンクの側面はディーゼルエンジン等の使用では著しく
摩耗してしまうことから、側面に窒化処理を施すことが
実用化されている。窒化処理ピストンリングは側面には
有効であるが外周摺動面はなお改善が望まれていた。

最近、耐摩耗性や耐焼付性に優れている硬質粒子や固体
潤滑材粒子を分散した複合分散めっきが開発されている
。例えば、ニッケルー燐合金複合分散めっき、ニッケル
ーコバルト−燐合金複合分散めっき、コバルト−燐合金
複合分散めっき、又は、鉄−燐合金複合分散めっきが多
く使われてきている。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、この燐を含む複合分散めっき皮膜は、皮
膜中の燐が時効処理（４００℃）によって燐化合物（例
えばＮ　ｉ　３Ｐ　）が生成する皮膜特性から脆性や母
材の疲労強度が低下するため、使用中にピストンリング
の折損や皮膜の剥離が発生することがある。又、窒化処
理層にめっきする場合、一般的に窒化層の拡散層が母材
とめっき皮膜の結合を弱め密着性を低下させる。又、側
面に窒化層が形成されても、めっき等を処理する場合、
エツチングが起きたりスマットの生成によって皮膜と母
材との密着力も低下し、更に組織に欠陥をもたらす結果
にもなる。側面の窒化層もエツチング等で侵された分だ
け窒化処理層が薄くなり、表面が凹凸状になり平面研磨
等で側面を平坦にする等の必要性からめっきする前の段
階で削除される厚さだけは余計に多く窒化処理層を施さ
なければならない欠点がある。

（課題を解決するための手段） 本発明は上述の燐を含む複合分散めっき皮膜の問題点に
着目してなされたものであり、耐摩耗性に優れていると
同時に耐焼付性にも優れ、相手材への攻撃性や母材の耐
折損性を向上させ、且つ、側面には充分な耐摩耗性を有
する皮膜を形成している内燃機関用ピストンリンクを提
供することを目的としてなされたものである。

本発明は、鋼製ピストンリングの外周摺動面にタングス
テンを１０〜５０重量％、残部が鉄からなる鉄基合金基
地中に、粒径が０．５〜５μｍの硬質粒子を５〜４０容
積％分散させた複合分散めっき層が形成されており、且
つ、該複合分散めっき層の母材境界層及び外周摺動面以
外の表面層に窒化処理層が形成されていることを特徴と
する。

ピストンリングはその基体が鋼材であり、窒化層の良好
な耐摩耗性を示す窒化処理層を得るに適する鋼材を採用
することが望ましく、Ｃ：０．１６重量％、Ｃｒ：１２
〜１９重量％を含有する鋼材或いは該鋼材にＭＯ又はＶ
を少量含有させたクロム鋼が一般に使用されている。

複合分散めっき層を構成するタングステンはめっき基地
の硬度を上げ耐摩耗性の向上に有効に作用するが、１０
重量％未満ではその効果が少なく、５０重量％を超える
と、皮膜は脆くなり、耐衝撃強度及び皮膜密着性も低下
するので、タングステンの含有量の範囲を１０〜５０重
量％とした。

合金基地中に分散される硬質粒子としては、金属の窒化
物例えばＴｉＮ、５ｊ３Ｎ、、Ｃｒ２Ｎ、金属の炭化物
例えばＴｉＣ，ＳｉＣ，Ｃｒ３Ｃ２、金属の酸化物例え
ばＡｌ□０１、ＴｉＣ２、Ｃｒ２Ｏ３等である。

硬質粒子を分散させた場合は耐摩耗性に優れ、特に耐焼
付性に関しては窒化処理層や硬質クロムめっき層に比べ
各段に優れている。

硬質粒子の分散量及び粒径は形成するめつき膜の厚さと
も関係するが、分散量が５容積％未満、粒径が０．５μ
ｍ未満では耐焼付性及び耐摩耗性において効果が充分に
発揮されない、分散量が３０容積％、粒径が５μｍを超
えるとめっき層が脆くなると共に、摺動相手材の摩耗を
増大させるので、分散量の範囲を５〜３０容積％１粒径
の範囲を０゜５〜５μｍとした。

上記のような複合分散めっき後窒化処理を行ないピスト
ンリングの特に側面に窒化層を形成する。

窒化処理は６００℃近辺で行なうため硬度が上昇し、そ
のため、めっき皮膜の電着による内部応力がＦｅ５Ｗの
生成及び結晶化により緩和するために、クラックの発生
もなく疲労強度が向上するため折損し難くなる。

第１図の本発明のピストンリングの断面模式図に示すよ
うに、窒化Ｍ５は複合分散めっき層４以外のピストンリ
ングの表面層に形成され、複合分散めっき層下の母材に
は形成されないので、めっきと母材との密着性が良くな
り窒化層にクラックの発生もなくなり折損が防止できる
。

（実施例） （１）耐焼付性試験 合金鋼５ＵＳ４４０Ｂ　（Ｃ：　０．８０〜０．９５％
、Ｓｉ：１．０％以下、Ｍｎ：１．０％以下、Ｐ：０．
０４５％以下、Ｓ　：　０．０３％以下、Ｃｒ：１７．
０−１８．０％、Ｍｏ　７０．８−１．５％、■０゜０
５〜０．１５％）にタングステン３０重量％含有する鉄
基地中に硬質粒子として平均粒径が１．８μｍの炭化チ
タン（ＴｉＣ）粒子を２５容積％分散した複合分散めっ
き層を形成後、５７０℃×３時間で窒化処理を行ない窒
化層を形成した本発明の試料（Ａ）、タングステン３０
重量％含有する鉄基地中に硬質粒子として平均粒径が１
．８μｍの炭化チタン（ＴｉＣ）粒子を２５容積％分散
した複合分散めっき層を形成後、５７０℃×３時間で窒
化処理を行ない窒化層を形成した本発明の試料（Ｂ）を
作成し、耐焼付性試験を行なった。

比較品として窒化処理後（Ａ）で行なった複合分散めっ
き層を形成し５７０°Ｃ×１時間の時効処理を行なった
試料（Ｃ）、窒化処理後（Ｂ）で行なった複合分散めっ
き層を形成し５７０’Ｃｘ１時間の時効処理を行なった
試料（Ｄ）、硬質クロムめっき層を形成した試料（Ｅ）
、窒化層を形成した試料（Ｆ）を作成し同様に耐焼付性
試験を行なった。

試験装置は第２図に要部を図解的に、第３図に第２図の
Ａ−Ａ矢視断面図を示す。

ステータホルダ１１に取外し可能に取付けられた直径８
０ｍｍＸ厚さ１０ｍｍ研磨仕上げを施した円板１２（相
手材）の中央には裏側から注油孔１３を通して潤滑油が
注油される。ステータホルダ１１には図示しない油圧装
置によって図において左右に向けて所定圧力で押圧力が
作用するようにしである。円板１２に相対向してロータ
１４があり、図示しない鄭動装置によって所定速度で回
転するようにしである。ロータ１４に取外し可能に取付
けられた試験片保持具１５には、５ｍｍ角×高さ１０ｍ
ｍの試験片１０が同心円状に等間隔に４個取外し可能に
、且つ、円板に対して摺動自在に取付けである。

このような装置においてステータホルダ１１に所定圧力
の押圧力Ｐをかけ、所定の面圧で円板１２と試験片１ｏ
とが接触するようにしておいて、注油孔１３から摺動面
に所定給油速度で給油しながらロータ１４を回転させる
。一定時間毎にステータホルダＪ１に作用する圧力を段
階的に増加していき、ロータ１４の回転によって試験片
１０と円板１２との間に摩擦によってステータホルダ１
１に生ずるトルク（摩擦力）Ｆを第３図に示すスピンド
ル１６を介してロードセル１７に作用せしめ、その変化
を動歪計１８で読み取り記録計１９に記録される。トル
クＴが急激に上昇したとき、焼付けが発生したものとし
、この時の接触面圧をもって焼付発生面圧とし、その大
小を以って耐焼付性の良否を判断する。

試験条件は次の通りである。

摩擦速度：　８　ｍｍ／ｓｅｅ 相手材ニジリンダライナ材鋳鉄（Ｆｅ１２）潤滑油：モ
ータオイル＃３０　油温８０℃供給量４００ｃｃ／ｍｉ
ｎ 接触面圧：　４０ｋｇ／ｃｍ２でならした後焼付は発生
まで１０ｋｇ／ｃｍ２ずつ 増圧、各面圧に３分間保持 試験結果を第１表に示す。

第１表から明らかなように、比較品のクロムめっき品（
Ｅ）、窒化処理品（Ｆ）は接触面圧ＩＬＯｋｇ／ｃｍ　
、９０ｋｇ／ｃｍ２で焼き付けが発生したが、本発明の
（Ａ）、（Ｂ）は接触面圧１５０　ｋｇ／Ｃｍ２，１６
０ｋｇ／ｃｍ２で焼き付けが発生しており耐焼付性が大
巾に改善されたことが確認される。

第１表 耐久試験を行ない、ピストンリング摺動面及び鋳鉄（Ｆ
ｅ１２）製シリンダライナの内周面の摩耗量を測定した
。併せて焼付けの状態、折損状況を観察した。試験結果
を第２表に示す。

第２表 （２）実機試験 呼び径ｘ　ｉＪｘ厚さが８６Ｘ２．○Ｘ３．６ｍｍの鋼
製（ＳＵＳ４４０Ｂ）第１圧カリングに前記（１）の耐
焼付性試験に用いた試料（Ａ）〜（Ｆ）と同様な表面処
理を施し、夫々に対応して本試験の試料（Ａ′）〜（Ｆ
’）とした。

試験条件としてボア径８６ｍｍ、４気筒水冷過給機付ガ
ソリンエンジンに組付けて、軽油を燃料として５２００
ｒ、ｐ、ｍの回転数で１０００時間の高速第２表から明
らかなように、比較品は１２０〜２００時間で全て折損
が発生したが、本発明品は（Ａ）、（Ｂ）共折損は発生
せず靭性強度が改善されたことが認められる。摩耗量も
本発明品はのピストンリング特にシリンダライナの摩耗
も少なく良好であった。

（効果） 本発明の外周摺動面に複合分散めっき層が形成され、外
周摺動面以外の表面には窒化処理層が形成されて、苛酷
な使用条件においても耐焼付性、耐摩耗性が優れた摺動
皮膜を有し、該皮膜の密着性が良好で折損もなく、且つ
、側面摩耗を防止し耐久寿命を向上させたピストンリン
グが得られた実用上の効果は大である。

＝１２ １４：ロータ １７：ロードセル １５：試験片保持具 １８：動歪計

【図面の簡単な説明】

第１図　本発明の一実施例を示すピストンリングの断面
模式図 第２図　耐焼付性試験の試験装置の要部を示す一部破砕
図 第３図　第２図のＡ−Ａ矢視断面図 １：ピストンリング　　　２：外周摺動面３：側面 ４：タングステンを含有する分散めっき層５：窒化層　
　　　　１０：試験片

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 外周摺動面にコバルトを１０〜５０重量％、タングステ
   ンを１０〜５０重量％、残部が鉄からなる合金基地中に
   、粒径が０．５〜５μｍの硬質粒子を５〜４０容積％分
   散させた複合分散めっき層が形成されており、且つ、該
   複合分散めっき層の母材境界層および外周摺動面以外の
   表面層に窒化処理層を形成していることを特徴とする内
   燃機関用鋼製ピストンリング。