JPH0337036B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、空気あるいは他のガスを圧縮する
ため、化学プラントや一般産業で広く使用される
往復動圧縮機に関するものである。往復動圧縮機
には、シリンダ内を往復するピストンの片側のみ
でガスを圧縮する単動式と、両側で圧縮する複動
式とがある。また、大形の往復動圧縮機等では、
ピストンとクランク軸との間にクロスヘツドを置
き、クランク軸から接合棒及びクロスヘツドを介
してピストンを駆動しているが、この発明は、単
動式往復動圧縮機のクロスヘツドと接合棒の連結
構造を改良するものである。

〔従来の技術〕

クロスヘツドと接合棒との連結は、従来、接合
部小端部にクロスヘツドを嵌め込み、クロスヘツ
ドピンの両端をクロスヘツドに軸受することによ
り行われていた。その構造を第４図，第５図によ
つて説明する。

圧縮機のクランクケース１Ａ内にはクランク軸
２Ａが置かれ、そのクランクピンに接合棒３Ａの
大端部が結合されている。接合部の小端部はクロ
スヘツド４Ａと連結され、クロスヘツド４Ａは、
ピストン棒５Ａを介して、図示はしていないが、
シリンダ内で往復するピストンに結合され、これ
と一体となつている。クランク軸２Ａがモータ等
によつて回転させられると、クロスヘツド４Ａは
静止した案内部材に沿つて往復動し、これに連な
るピストンもシリンダ内で往復動してガスを圧縮
する。

断面図から明らかなように、接合棒３Ａとクロ
スヘツド４Ａとはクロスヘツドピン６Ａにより連
結される。つまり、接合棒小端部軸受７Ａを、ま
た、クロスヘツド４Ａにクロスヘツドピン軸受８
Ａをそれぞれ取付け、これらの軸受にクロスヘツ
ドピン６Ａを嵌め込む。シリンダ内のピストンに
作用する圧縮されたガスの圧力は、ピストン棒５
Ａからクロスヘツド４Ａに伝達され、その荷重
は、クロスヘツドピン軸受８Ａ、接合棒小端部軸
受７Ａを介して、さらにクランク軸２Ａに伝達さ
れる。

これらの軸受にかかる面圧を均一にするよう
に、通常、クロスヘツドピン軸受８Ａの合計面積
は接合棒小端部軸受７Ａの面積とほぼ等しくされ
ている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

前述したように、往復動圧縮機には単動式のも
のと複動式のものとがある。単動式圧縮機では、
ピストンの片側のみでガスを圧縮する結果、ガス
の圧力に基づいてピストン棒５Ａに伝達される荷
重の方向は常に一方向である。これに対し、ピス
トンの両側でガスを圧縮する複動式圧縮機では、
その荷重の方向は、ピストンの運動する向きが変
わる毎に、つまり、クランク軸２Ａが180゜回転す
る毎に逆になる。

クロスヘツドピン６Ａと接合棒小端部軸受７Ａ
あるいはクロスヘツドピン軸受８Ａとの微小な隙
間には潤滑油の油膜が存在するが、ピストン棒５
Ａに作用する荷重の向きが周期的に逆になる場合
には、それに対応して油膜交換が行われる。とこ
ろが、ピストン棒５Ａの荷重方向が常に一方向で
ある単動式圧縮機においては、複動式圧縮機に比
べ、軸受、特にクロスヘツドピン軸受８Ａの油膜
交換が行われ難い。その結果、荷重を支えるべく
油膜に発生する圧力が低いので、軸受は焼付きを
越し易く、単動式圧縮機は複動式のものと比較す
ると軸受面圧を制限して使用せざるを得ない。軸
受面圧を制限すれば、ピストン棒５Ａにかかる荷
重も小さくする必要がある。

この発明は、単動式往復動圧縮機のクロスヘツ
ド機構におけるこうした問題点の解決を図つたも
のである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決すべく、この発明で講じた
手段は次の通りである。

単動式往復動圧縮機はピストン棒が固定された
クロスヘツドとクランク軸に連結された接合棒と
を備え、ピストン棒にはシリンダ内を往復動する
ピストンが連結してある。クロスヘツドにはクロ
スヘツドピンが嵌め込まれる軸受が取付けてあ
り、この軸受は、円筒形の形状であるが、中央部
に半円形の切欠き部が形成されている。（第３図
参照）。そして、切欠き部に対向する面は軸受の
全長に亘つてクロスヘツドピンと接触している。
クロスヘツドピンは切欠き部で接合棒に固着され
て、接合棒はクロスヘツドピンと一体となつてお
り、切欠き部の存在によりクランク軸の回転に伴
う揺動運動が可能である。

この構成によつて、単動式圧縮機のガスの圧力
に基づきピストン棒に伝達される荷重を、クロス
ヘツドピンの全長で支持することができる。

クロスヘツドピンや接合棒には、衝撃的な荷重
が繰返し作用するので、ボルトを用いて固着をす
るときはゆるみ止め手段を設けるのが良い。

〔発明の実施例〕

この発明の一実施例を第１図から第３図によつ
て説明する。

クランクケース１内に配置されたクランク軸２
はモータ等で駆動される。そのクランクピンには
接合棒３の大端部が結合してあり、接合棒３の小
端部は静止した案内部材に沿つて摺動するクロス
ヘツド４に連結され、クランク軸２がモータ等で
駆動されて回転するとクロスヘツド４は往復運動
を行う。クロスヘツド４にはピストン棒５が固定
され、その先端にはピストンが結合されるが、圧
縮機は単動式のものであつて、ピストンの前方の
みでガスの圧縮が行われる。

クロスヘツド４と接合棒３との連結部の詳細を
第２図に示す。クロスヘツド４にはクロスヘツド
ピン６を嵌め込む軸受７が取付けてある。軸受７
は、第３図から明らかなように、ほぼ円筒状であ
つて中央に半円形の切欠き部９が形成されてい
る。そして、この軸受はクロスヘツド４に設けた
穴に冷し嵌めによつて取付けられる。クロスヘツ
ドピン６は、切欠き部９の位置で、つまり、軸受
７の中央でボルト１０により接合棒３に固着され
る。そのため、接合棒３の小端部には、先端にク
ロスヘツドピン６に対応する円形の凹所が形成さ
れ、さらに、ボルト１０の取付用の凹所１１が接
合棒３の両面に形成されている。接合棒３は切欠
き部９で軸受７に嵌め込まれているので揺動運動
が可能である。ガスの圧力による荷重は、ピスト
ン棒５の左側から作用するが、クロスヘツドピン
６の前面、すなわち、接合棒３の反対側の面は全
長に亘つて軸受７と接触し、荷重の伝達面とな
る。

クロスヘツドピン６と接合棒３との固着部に
は、ガス圧力等の周期的な力が作用する。したが
つて、ボルト１０にはゆるみが生じ易いので例え
ば、ばね座金などのゆるみ防止手段を設けるのが
望ましい。

〔発明の効果〕

前述したように、クロスヘツドピン６の前面は
その全長に亘つて荷重の伝達面となる。このた
め、従来のクロスヘツド機構と比べ約２倍の軸受
面積を有しており、油膜交換の関係で複動式圧縮
機よりも許容面圧を制限せざるを得ない単動式の
ものであつても、大きなピストン棒荷重を支持す
ることができる。つまり、同一のサイズのクロス
ヘツドであつても、従来よりもはるかに大きなピ
ストン棒荷重の単動式往復動圧縮機に使用可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図から第３図までは、この発明のクロスヘ
ツド機構を示すもので、第１図はクロスヘツド機
構の概要を示す図、第２図はその要部の断面図、
また、第３図はクロスヘツドピンのための軸受の
斜視図である。第４図，第５図は従来のクロスヘ
ツド機構を説明する図で、第４図は第１図に、第
５図は第２図にそれぞれ対応するものである。 図において、１……クランクケース、２……ク
ランク軸、３……接合棒、４……クロスヘツド、
５……ピストン棒、６……クロスヘツドピン、７
……軸受、９……切欠き部、１０……ボルト、１
１……凹所。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダ内を往復動するピストンに連なるピ
   ストン棒が固定されたクロスヘツドと、クランク
   軸に連結された接合棒とを備えた単動式往復動圧
   縮機のクロスヘツド機構であつて、クロスヘツド
   に取付けた軸受にクロスヘツドピンが嵌め込ま
   れ、この軸受は中央部に半円形の切欠き部が形成
   されると共に、切欠き部と対向する面は軸受の全
   長に亘つてクロスヘツドピンと接触しており、ク
   ロスヘツドピンは切欠き部で接合棒と固着されて
   いることを特徴とする単動式往復動圧縮機のクロ
   スヘツド機構。 ２ クロスヘツドピンがゆるみ止め手段を有する
   ボルトによつて接合棒と固着されている特許請求
   の範囲第１項記載の単動式往復動圧縮機のクロス
   ヘツド機構。