JPH0336302Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は椅子の脚杆を被覆するカバー装置に
関する。

従来の技術及び問題点 一般に、椅子の支柱下端に連結される複数個の
脚杆には、椅子の種類によつては、外観体裁を良
くするために、あるいは脚杆表面を保護するため
に、カバーが取付けられることがある。かかるカ
バーは従来、支柱貫挿孔を有する基部と、基部の
周縁に設けられた個々の脚杆を被覆するカバー単
位とが合成樹脂などにより一体成形されたもので
あつたため、かさばつて組立て時等の取扱いが煩
雑であつた。また脚杆への取付けに際しては、座
部を支柱から外した状態で、支柱が基部の貫挿孔
に貫通状態となるようにカバーを支柱に嵌込まな
ければならないため、組立て自体も面倒であり、
また損傷等による交換の際にも不便であつた。

このため、各脚杆を被覆するカバー単位を分離
独立のものに構成し、脚杆それぞれにカバーを取
付ける構成となされたものも提供されているが、
カバーの取付けがねじやばねなどの取付け部材を
必要とするものであるため、取付けに手間がかか
り部品コストが高くつくものであつた。また一部
では取り付け部材を要しない取り付け方法も考え
られているが、いずれもカバーと脚杆との密着性
に劣りガタつくというような欠点を派生するもの
であつた。

この考案は上記欠点を解消するためになされた
ものであつて、カバーを脚杆それぞれを独立で被
覆できるものに構成するとともに、ねじやばねな
どの取付け部材を必要とすることなくカバーを脚
杆に固定でき、しかもカバーと脚杆との密着性に
優れガタつきを生じることのないカバー装置を提
供しようとするものである。

問題点を解決するための手段 上記目的において、この考案は、複数個の脚杆
３が、脚杆を挾んで両側に切欠部７，７を形成さ
れた連結板６ａを介して支柱２の下端に連結され
る一方、各脚杆３を被覆するカバー４が、下面及
び基部を開口されるとともに、基部両側４１ｂ，
４１ｂを基部開口部４１ｃに向けて先すぼみ状と
なされ、かつ該両側片４１ｂ，４１ｂの開口側縁
に前記切欠部に係合できる係合部８，８が切欠形
成された弾性カバー本体４１内に、前記脚杆３の
周面に密着できる凹部９を有する複数の支持片４
２が、カバー本体の長さ方向に間隔的に設けられ
てなるものに構成されており、かつ該カバーの前
記支持片４２が、カバー本体４２の基部開口部４
１ｃから各支持片４２の凹部９を貫通した脚杆３
に密着状態で支持されるとともに、前記カバー本
体４１が、係合部８，８を連結板６ａの切欠部
７，７に係合されて拡開状となされた基部両側片
４１ｂ，４１ｂに弾性挾着力によつて、連結板６
ａに弾力的に固定されてあることを特徴とする椅
子の脚杆カバー装置を要旨とするものである。

実施例 次にこの考案の構成を図示実施例に基づいて説
明する。

第２図において、１は座部、２は座部１を支持
する管状の支柱、３は支柱２下端から等間隔に放
射状に延びる方形管状の脚杆でこの実施例では５
本設けられている。４は各脚杆３を被覆するカバ
ー、５は各脚杆の先端に取着されたキヤスターで
ある。

前記支柱２の下端には、第３図に示すように、
上下２枚の円形連結板６ａ，６ｂが隔設されてお
り、前記脚杆３はその基端部を連結板６ａ，６ｂ
の間に挿入されて、各連結板との隣接部を溶接固
着されている。さらに上側の連結板６ａには、連
結板６ａの直径方向を深さ方向とする切欠部７が
各脚杆３の間の中央に位置する配置で等間隔に形
成されている。この切欠部７の幅はカバー４の開
口部側片を２枚挿入しうる程度に設定されてい
る。

前記カバー４は、第４図に示すように、弾性を
有する合成樹脂製のカバー本体４１と、このカバ
ー本体内に、カバー本体の長さ方向に沿つて等間
隔で一体成形された複数個の支持片４２とにより
構成されている。カバー本体４１は脚杆３を被覆
しうる長さ及び幅を有し、下面及び基部が開口さ
れて断面状に形成されている。かつカバー本体
４１の基部には周面に沿つて膨出部４１ａが形成
されるとともに、基部の両側片４１ｂ，４１ｂ
は、脚杆３に取り付けられた状態においてその先
端が連結板６ａの中心を向くように、基部開口部
４１ｃに向かつて先すぼみ状となされている。そ
して両側片４１ｂ，４１ｂの基部開口部における
の対向距離は、前記連結板６ａの隣接切欠部７，
７間に挾まれた凸部６a′の長さよりも短いものに
設定されている。さらに、基部両側片４１ｂ，４
１ｂの開口側縁には、高さ方向のほぼ中間部から
下端にかけて切欠かれることにより、係合部８が
形成されている。この係合部８は、脚杆３への取
付け状態において連結板６ａの切欠部７に係合さ
れるものである。またカバー本体４１の基部上縁
は、支柱２の外周に対応する円弧状に形成されて
いる。

前記支持片４２は、カバー本体４１を長さ方向
に仕切る態様で、厚さ方向をカバー本体４１の長
さ方向と同一にして設けられている。そして各支
持片４２は、カバー本体４１の内周に沿つて形成
された周辺部４２ａと周辺部の両下端に形成され
た抜止め用の係止爪４２ｂとにより、その中央部
に脚杆３の底面中間部を除く周面に密着できる凹
部９を有している。なお、係止爪４２ｂ，４２ｂ
相互間の空隙を部材で埋めることにより、脚杆３
の外周全部に密着できるように構成しても良い。
なお、第４図中１０はカバー本体４１の長さ方向
に形成された補強リブである。

而して、上記構成のカバー４は、第１図及び第
５図〜第７図に示すように、カバー本体４１の基
開口部４１ｃを介して各支持片４２の凹部９を貫
通した脚杆３に、支持片４２が密着状に支持され
た状態で、かつカバー本体４１が基部両側片４１
ｂ，４１ｂを連結板６ａの凸部６a′両側で拡開状
となされて、係合部８を連結板６ａの切欠部７に
係合された状態で取着されている。しかも隣接す
るカバー４，４どうしは互いに一方の側片４１ｂ
を連結板６ａの切欠部７に接触状態で係合されて
おり、またカバー本体４１の基部端面は支柱２の
周面に当接した状態となつている。このようなカ
バーの取り付けは次のようにして行われる。即
ち、脚杆３がカバー本体４１の基部開口部４１ｃ
から入つて各支持片４２の凹部９を順次貫通する
こととなるように、カバー基部を脚杆３の先端に
被せ、そのまま脚杆３の先端に向けて移動させて
嵌め合せる。カバー本体４１の基部開口部４１ｃ
が連結板６ａの凸部６a′に対峙するまでカバー４
を差込んだのち、第１図矢印Ａで示すように、カ
バー本体４１の基部を連結板６ａ方向に強く付勢
する。カバー本体４１は弾性合成樹脂により形成
されているから、カバー本体４１の基部両側片に
は、該付勢力によつて凸部６a′周面を第１図矢印
Ｂで示すように摺動して拡開状となり、ついには
切欠部７に嵌つて係合部８が切欠部７に係合され
た状態、すなわち係合部８の上縁が切欠部７を超
えて連結板６ａの上面に当接し、係合部８の側縁
が切欠部７の深さ方向の端面に当接する状態とな
る。従つて、かかる取付け状態においては、カバ
ー本体４１の両側片４１ｂ，４１ｂは連結板６ａ
の凸部６a′両側端面に圧接して連結板６ａの凸部
を弾力的に挾着し、この挾着力によつてカバー本
体４１は凸部両端にしつかりと固定される。しか
もカバー本体４１の基部両側片４１ｂ，４１ｂは
基部開口部４１ｃに向けて先すぼみ状となされて
いるから、両側片の挾着力が凸部６a′の側端面に
集中し、より強固な連結状態が保証される。また
係合部８と切欠部７との係合によつて、カバー本
体４１の位置がずれる虞れもない。一方支持片４
２においては、脚杆３が支持片４２の凹部９に密
着状態で嵌込まれているから、カバー４が前後左
右上下いずれにもガタつく虞れはない。また、隣
接するカバー４，４の一方の側片４１ｂどうしが
一つの切欠部７に接触状態で係合されていること
から、各カバー４の基部４１ａが連続した一体成
形品としての外観を呈し、デザイン的にも優れた
ものとなる。

なお前記キヤスター５は、第６図に示すよう
に、脚杆３の先端内部に設けられたＵ字状支持部
材３ａの周面の膨出凸条３ｂに、軸棒５ａの凹部
５ｂ周面が脚杆３と直角方向の２カ所におい接
触、かつ軸棒５ａの先端テーパ部５ｃが脚杆３上
面の孔３ｃの周縁に支持された状態で取着され、
座部１への荷重の付加あるいはその解除に対して
ガタつかないような構成となされている。

なお、上記実施例においては連結板６ａの切欠
部７に隣接カバーの一方の基部側片４１ｂを係合
した構成となされているが、脚杆３の両側に各カ
バー専用の切欠部を設けても良い。さらにはまた
連結板６ａは必ずしも円形のものである必要はな
く脚杆３の数に応じて五角形その他の多角形状と
しても良い。

考案の効果 以上説明したように、この考案に係るカバー装
置は、カバーの支持片がその凹部を貫通した脚杆
によつて支持されるとともに、カバー本体が係合
部を連結板の切欠部に係合されて拡開状となされ
た基部両側片の弾性挾着力によつて、連結板に弾
力的に固定されてなるものであるから、その取り
付けに際してはねじやばね等の取り付け部材を何
ら介在させることなく、しかも極めて簡単に取着
することができる。かつまた、カバー本体の基部
両側片が基部開口部に向けて先ぼそり状に形成さ
れているから、両側片の弾性挾着力を有効に作用
せしめることができき、カバーの固定状態をより
強固なものとすることができる。さらには、カバ
ーの取付け状態においては、係合部が連結板の切
欠き部に係合され、支持片は脚杆に密着状態で支
持されているから、カバーと脚杆及び連結板とが
緊密状に一体化され、カバーのガタつきを生じる
ことはない。もとより、この考案に係るカバー
は、個々の脚杆に独立して取着されるものである
から、カバー全部が一体成形により製作された従
来品に較べて、椅子の組み立ての際にも取り扱い
が楽であり、また製造上も金型が小さくて済むと
いうような利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は脚杆と支柱との連結部周辺を示す平断面図、
第２図はこの考案を適用した椅子をカバーの一部
を切欠いて示す斜視図、第３図は、支柱と脚杆と
の連結状態を示す部分斜視図、第４図はカバーの
一部切欠き斜視図、第５図は第１図における−
線断面図、第６図はカバーを取付けた状態の脚
杆部分の縦断面図、第７図は第６図における−
線断面図である。 ２……支柱、３……脚杆、４……カバー、４１
……カバー本体、４１ａ……基部、４１ｂ……側
片、４１Ｃ……基部開口部、６ａ……連結板、７
……切欠部、８……係合部、９……凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数個の脚杆３が、脚杆を挾んで両側に切欠部
   ７，７を形成された連結板６ａを介して支柱２の
   下端に連結される一方、各脚杆３を被覆するカバ
   ー４が、下面及び基部を開口されるとともに、基
   部両側片４１ｂ，４１ｂを基部開口部４１ｃに向
   けて先すぼみ状となされ、かつ該両側片４１ｂ，
   ４１ｂの開口側縁に前記切欠部に係合できる係合
   部８，８が切欠形成された弾性カバー本体４１内
   に、前記脚杆３の周面に密着できる凹部９を有す
   る複数の支持片４２が、カバー本体の長さ方向に
   間隔的に設けられてなるものに構成されており、
   かつ該カバーの前記支持片４２が、カバー本体４
   １の基部開口部４１ｃから各支持片４２の凹部９
   を貫通した脚杆３に密着状態で支持されるととも
   に、前記カバー本体４１が、係合部８，８を連結
   板６ａの切欠部７，７に係合されて拡開状となさ
   れた基部両側片４１ｂ，４１ｂの弾性挾着力によ
   つて、連結板６ａに弾力的に固定されてなること
   を特徴とする椅子の脚杆カバー装置。