JPH0335456B2 - - Google Patents
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- JPH0335456B2 JPH0335456B2 JP60282465A JP28246585A JPH0335456B2 JP H0335456 B2 JPH0335456 B2 JP H0335456B2 JP 60282465 A JP60282465 A JP 60282465A JP 28246585 A JP28246585 A JP 28246585A JP H0335456 B2 JPH0335456 B2 JP H0335456B2
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Landscapes
- Dowels (AREA)
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Description
「産業上の利用分野」
本発明は、特に溶接止めの不可能なコンクリー
ト構造物などに各種部材を接続ないし取り付ける
際に多用されるインサート器具に関するものであ
る。 「従来の技術」 この種のインサート器具は、一般に、雌型部材
として用いるインサート本体と、雄型部材として
用いるボルトとからなり、前記インサート本体を
予めコンクリート構造物に埋設しておき、このイ
ンサート本体のねじ穴にボルトのねじ部をねじ込
んで結合する構成のものが一般に広く知られてい
る。 そして、このようなインサート器具において
は、インサート本体の抜け止めのため、すなわち
コンクリート構造物に対する錨着力向上を図る目
的から、前記インサート本体の外周に環状のリブ
や拡大頭部などが設けられている。 また、インサート本体に前記のような拡大頭部
を設けた場合には、この拡大頭部の部分は、コン
クリート内により深く埋設される方がより大きな
錨着力が得られるため、ねじ穴を設けている筒部
の部分が比較的長目に構成されている。 ところで、このようなインサート器具を種々の
目的に使用する場合(例えば電気、ガス、水道、
空調などの配管等を吊る場合)には、その使い易
さの点に対しての配慮が要求されるため、従来、
鋼製のインサート器具にあつては、その先端露出
部に色付きのプラスチツクカラー(プラスチツク
キヤツプ)などを設けている。 「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、このような従来のインサート器
具にあつては、インサート本体が鉄などの金属製
であるために、コンクリート構造物内で短期間の
うちに腐食し、インサート自体はもちろん、コン
クリートまでも劣化させてしまうといつた問題点
がある。 また、設備毎に使い分けるために設けてある前
記プラスチツクカラーが耐火の点で問題があり、
コスト面でも不経済なものとなつている。この点
は、インサート器具が周知の如く多量に使用され
ることからも特に重要な問題であつた。 一方、前記インサート本体は、このように金属
製である関係上、環状のリブや拡大頭部の加工が
難しく、コスト高になり易いといつた不満があ
り、また、これら環状のリブや拡大頭部など錨着
力を得るための部分の形状が、金属の加工上の点
等から限定されている。 しかも、拡大頭部を含む大部分は充実になつて
いる関係上、大きさの割に重量も大であり、か
つ、材料の面からも不経済なものであつた。 この点の解決手段として、インサート本体全体
を例えば樹脂製とすることも考えられるが、樹脂
製とした場合には、耐火上の問題および強度上の
問題があり、特に筒部や該筒部と拡大大頭部の境
にあたるいわゆるネツク部などに応力が集中する
ことから、この部分にクラツクが生じたりあるい
は分断されてしまうといつた恐れがある。 そこで、本出願人等は、このような問題点を解
決すべく鋭意研究した結果、インサート自身を、
セラミツクスにより形成したインサート器具を提
案し、一応の解決をなしている。すなわち、この
ものによれば、インサート本体自身の腐食をなく
して、コンクリート構造物の劣化を防止すること
ができ、また耐火性を向上することができるとと
もに、所望の形状および色調にインサート本体を
成形することができるものである。 ところで、セラミツクス製インサート本体は、
前記のような利点を有する反面、引張力に対して
脆いという問題点があり、セラミツクス製インサ
ート器具を実用化する上において、引張力として
の荷重に対するインサート本体の耐力の向上を図
ることが必要とされている。 しかしながら、現在のところでは、インサート
本体をセラミツクス製とした技術の提案に止どま
り、実用化を図る上での具体的な解決手段が提供
されていないのが実状であり、その開発が要求さ
れている。 本発明は、このような背景に鑑みて提案された
もので、実用化に対する適用性を向上させたセラ
ミツクス製インサート器具を提供することを目的
としている。 「問題点を解決するための手段」 かかる目的を達成するために、本発明では、コ
ンクリート構造物内に埋設され全体がセラミツク
スもしくは着色されたセラミツクスにより形成さ
れたインサート本体と、このインサート本体に設
けられる挿入孔に一端部が挿入されてねじ結合さ
れるボルトとを備えるインサート器具であつて、
前記インサート本体は、前記コンクリート構造物
内に埋設された状態における手前側に所定長さ形
成された径が略同一な同径部分と、この同径部分
に連続し奥側に向かうにしたがつて漸次大径とな
るテーパ状の大径部分とから構成し、この大径部
分のテーパ面の角度は、挿入孔の軸方向に対して
1〜45°の範囲に設定し、一方、前記インサート
本体の挿入孔を、インサート本体の長さ方向に沿
つて同軸的に貫通した状態で設け、かつ、該挿入
孔の奥側の内周面に、前記ボルトのおねじに螺合
されるめねじが形成し、このめねじのねじ山数
は、6山〜25山の範囲に設定することを特徴とし
ている。 また、前記において、インサート本体を、内周
面にめねじが形成されかつ外周面がデーパ面とな
つた大径部分を構成する本体部と、この本体部の
手前側の先端部に同軸的に設けられボルトの挿入
孔を形成するための筒部とから構成し、これら本
体部と筒部とを、着脱自在に構成したことを特徴
としている。 「作用」 セラミツクスによつて形成されたインサート本
体のめねじは、挿入孔の奥側の内周面であつて錨
着力を得るための拡大頭部として機能する大径部
分に位置して設けられているため、通常の使用状
態における荷重、すなわち、ボルトに引張力とし
ての荷重が作用すると、めねじを有するインサー
ト本体外周のテーパ面はくさび効果を発揮し、イ
ンサート本体全体には引張力が圧縮力に変換した
荷重が作用することとなる。したがつて、インサ
ート本体にクラツクや分断などを発生させる原因
である引張力はほとんど生じることがない。つま
り、前記ボルトからの荷重は、大径部分のテーパ
面によつて一様に荷重が受けられ、インサート本
体の錨着力(定着力)が強まり、特に、このテー
パ面の角度が1〜45°の範囲にあるため、大径部
分の上端で引張応力による応力の集中を防止し得
て、該テーパ面に圧縮力としての荷重を受ける作
用を発揮させることができるものである。したが
つて、インサート本体全体に圧縮力を作用させる
ことを達成し得て、インサート本体とボルトとの
結合部の耐力が良好なものとなる。また、大径部
分の手前側に、径が略同一な所定長さの同径部分
が存するから、大径部分によつて荷重を受けるコ
ンクリートは同径部分の周囲のコンクリートに伝
わり、このため、コンクリートに対する応力が広
く分散してコンクリートにクラツク等の損傷が生
ずるおそれがない。また、ボルトとのねじ山のは
め合い数を6山〜25山としたことと相まつて、イ
ンサート本体の製造、特にラバープレス等の製造
技術に対する適用製を向上することができる。 また、インサート本体を形成するセラミツクス
をコンクリート構造物を形成するコンクリートと
比較すると、そのヤング係数は20倍程度であるか
ら、ボルトに生じる引張り荷重によつてインサー
ト本体がコンクリート構造物から抜け出たり、あ
るいはインサート本体が実方向に伸びる現象が起
こらない。また、その熱膨張係数はコンクリート
と同等であるから、温度変化によつてインサート
本体とコンクリート構造物との間に〓間が生じる
ことがなく、このため、コンクリート構造物に対
する付着力は安定し、また、前記〓間へ侵入した
水の氷結によるクリートの破壊のおそれがない。 さらに、インサート本体をセラミツクスによつ
て形成することにより、このインサート本体全体
を、作用する荷重に対して最も適合した形状に形
成することができるとともに、耐熱性に対する適
用性を向上することができる。 「実施例」 以下、本発明の第1実施例を第1図ないし第3
図を参照して説明する。これらの図において、符
号1は雌型部材として用いるインサート本体であ
り、このインサート本体1は、セラミツクスによ
つて全体が所望の横断面形状(図示例では円環状
であるが、他の形状であつても良い)に形成さ
れ、その内周に雄型部材として用いるボルトの挿
入孔2がインサート本体1の長さ方向(軸方向)
に同軸的に貫通した状態に設けられており、ま
た、この挿入孔2の奥側の内周面には、ボルトの
おねじに螺合されるめねじ2aが形成され、かつ
このめねじ2aのねじ山の数は6山〜25山の範囲
に設定されている。 このめねじ2aのねじ山の数を6〜25山とした
のは、最小はめ合い山数と、ボルトの嵌め合い長
が大きくなり過ぎ、ラバープレス等での成形が困
難になることからであり、この範囲(すなわちね
じ山数6〜25山の範囲)内において、耐力は十分
であり、極めて寸法精度の良いインサート本体1
を得ることができるためである。 一方、前記インサート本体1のめねじ2aが形
成された部分(大径部分)1aの外径D1は、所
定長さを有する他の部分(インサート本体1の下
半部分:同径部分)1bの外径D2よりも大きく
設定されており、しかも、このインサート1の大
径部分1aは、インサート本体1の手前側の先端
部(第1図下部)に向つて外径が小径となるテー
パ面3に形成され、このテーパ面3の角度θは、
挿入孔2の軸方向(第3図X−Y方向)に対して
1〜45°の範囲に設定されている。 ここで、テーパ面3の角度θを1〜45°の範囲
としたのは、1°よりも小さいと、錨着力を得るた
めの拡大頭部としての機能を期待することご出来
なくなるからである。また、45°以上とすると、
大径部分1aの上部、ボルトによる引張力がその
まま引張り力として作用するおそれがあり、か
つ、ラバープレス等の製造時において、セラミツ
クス粒子を密に詰めることができなくなるおそれ
があるからで、この範囲内において、最も良好な
耐力を得ることができるためである。また、テー
パ面3の角度θを15〜30°の範囲に収める如くす
ると、上部での耐力の低下を一層防止することが
できるので、好ましい。 また、ねじ山の高さT1とインサート本体1の
大径部分1aの厚さT2との関係について説明を
補足しておくと、これらの関係は、インサート本
体1の耐力を得る点において、次式(1)が満たされ
ることが望ましい。 T2=B×T1 ……(1) ここで、Bは比例定数で、4〜5の範囲に設定
されるものである。 すなわち、前記(1)式から明らかなように、イン
サート本体1の厚さT2は、ねじ山の高さT1の4
〜5倍あることが望ましく、これらの関係と大径
部分の長さL1および直径D1との関連において、
前記テーパ面3の角度が細かく設定されるもので
ある。 また、前記大径部分1aの下端に連続する他の
部分1bは、均一な肉厚の円筒状に形成され、こ
の部分の長さL2は、インサート本体1に要求さ
れる耐力に対応して設定されるものである。 なお、前記インサート本体1を構成するセラミ
ツクスを、その製造段階において所望の色に着色
して製造すると、インサート器具を使い分ける場
合にプラスチツクカラーなどを必要とすることが
なくなるので、コストの面などから好ましい。 また、図において、符号5はインサート本体1
の挿入孔2を覆うプラスチツク製のキヤツプを示
しており、実施例では大径部分1aの上面に嵌め
込まれている。 また、前記実施例では、インサート本体1を円
筒状に形成した例を示したが、本発明では、この
ものに限定されるものではなく、例えば回り止め
機能を持たせるために、インサート本体1の大径
部分1aを六角ナツト等の多角形、あるいは楕円
形状等に形成しても良い。 次いで、このように構成されたインサート器具
の製造方法や使用方法等について説明する。 第1図などに示すように、インサート本体1を
成形するには、例えばラバープレス等の技術を応
用して、予め成形すべきインサート本体1のゴム
製モールド内に、おねじ付き心材(ボルト)をモ
ールドの軸線に沿つて固定するとともに、セラミ
ツクス原料の粉体を適当な大きさ(例えば平均粒
径20〜30ミクロンの範囲)の顆粒にし、これを前
記モールドと心材との間の間〓に充填する。そし
て、前記モールド内を脱気した後、このモールド
に外周から1000〜3000t/cm2の範囲内で液圧を加
え、脱型後の成形体から、心材を回して取り出
す。そして、この成形体を1700℃内外の範囲で焼
結すると、第1図などに示したインサート本体1
が形成される。 このインサート本体1の製造は、モールド内に
ボルトを挿入した状態で粉体を充填し、これらを
密閉容器に入れ、このモールドの外周から液圧を
加えるという単純作業であり、またインサート本
体1の各部は、テーパ面3が1〜45°の範囲の角
度に設定され、めねじ2aのねじ山の数が、6山
〜25山の範囲に設定されているので、セラミツク
ス粒子が部分的に密に詰まらないような部分が生
じるおそれがなく、極めて寸法精度の良い成型体
を製造することが可能になる。なお、インサート
本体1の設計段階において、大径部分1a等の形
状、テーパ面3の角度等の相互関係を配慮するこ
と勿論である。 しかして、このように製造されたインサート本
体1は、その挿入孔2の開口端部分がコンクリー
ト構造物の表面に開口する程度に埋設されて使用
される。この埋設作業に際しては、まず、インサ
ート本体1の挿入孔2内に緊密に嵌合する固定栓
などを型枠に固定しておいてからインサート本体
を固定し、コンクリートの打設後に型枠を脱型す
れば、コンクリート構造物内にインサート本体1
が埋設されるものである。 なお、このインサート本体1を予め所望の色に
着色した場合には、電気、ガス、水道、空調別に
それぞれ色ぎめをしておくと、設備をつける場合
に、色をみてボルトを単にねじ込み、使い分けら
れるので、取付け間違いがなく大変便利である。 本実施例によるインサート器具においては、イ
ンサート本体1の大径部分1aをねじ穴付きの逆
円錐台状としてこの部分にボルトを結合する構成
とされているので、ボルトが例えば吊りボルトと
して使用されている場合に、そのボルトに常に引
張力としての荷重が作用しても、大径部分1aの
外周面(テーパ面)3により一様に荷重が受けら
れ、いわゆるクサビ効果が発揮され、全体的に圧
縮力としての荷重が作用することになる。また、
この状態において、テーパ面3には、その角度θ
が1〜45°に設定されているので、上部での耐力
の低下を防止し得て、テーパ面3の途中でクラツ
クなどが生じるのが防止される。 一方、前記状態においては、前記テーパ面3の
作用により、ボルトが抜き出し方向に強く引かれ
るほど、インサート本体1の錨着力が強くなる。
また、前記圧縮力に対しては、セラミツク製であ
るインサート本体1は充分な耐力を発揮し、イン
サート本体1の耐力を増大し得て、ボルトの引張
力の増大に対する適用性を向上することができ
る。 また、インサート本体1はセラミツクスにより
形成されており、このセラミツクスは、コンクリ
ートと比較すると、そのヤング係数は20倍程度で
あるから、ボルトに生じる引張り荷重によつてイ
ンサート本体1がコンクリート構造物から抜け出
たり、あるいはインサート本体1が軸方向に伸び
るといつた不具合な現象が起こらない。また、そ
の熱膨張係数はコンクリートと同等であるから、
温度変化によつてインサート本体1とコンクリー
ト構造物との間に〓間が生じることがない。この
ため、コンクリート構造物に対する付着力は安定
するとともに、たとえば、前記〓間へ水が侵入し
こ水が氷結することによつてコンクリートが破壊
するといつたおそれも回避できる。 なお、インサート本体1は鉄などの金属に比べ
て相当に軽量であり、さらにインサート本体1の
内部が中空の筒状となつているので全体としては
極めて軽量化を図ることができる。 さらに、前記テーパ面3が形成された大径部分
1aの手前側に、径が略同一な所定長さの他の部
分1bが存することにより、大径部分1aによつ
て荷重を受けるコンクリート構造物のコンクリー
ト部分は、他の部分1bの周囲のコンクリートに
伝わり、したがつて、インサート本体1によつて
発生するコンクリートに対する応力が広く分散
し、この結果、コンクリートにクラツク等の損傷
が生ずるおそれがない。 また、第4図は本発明の第2実施例を示すもの
で、このインサート本体10は、外周面全面を、
めねじ2aが形成された上部の大径部分10aか
ら下部10bまでを、下端に向かうに従つて小径
となる連続したテーパ面11としたものであり、
テーパー付きならいかなる形状にすることも可能
であり、本形状に限定されるものではない。 なお、該実施例にあつても、テーパ面11の角
度θおよびめねじ2aのねじ山数等の必須構成要
素については、先の第1実施例を同一であるの
で、その説明については、省略する。しかして、
このように構成したインサート本体10にあつて
は、テーパ面10を長く形成した分、一層錨着力
を高めることができる等の効果がある。 第5図は本発明の第3実施例を示すもので、該
インサート本体15は、内周面にめねじ2aが形
成されかつ外周面に下端に向かうに従つて小径と
なるテーパ面16が形成された本体部17と、こ
の本体部17に同軸的に設けられボルトの挿入孔
2を形成する筒部18とから構成した基本構成と
なつている。 そして、前記本体部17は、第1図などに示し
た大径部分を構成するもので、その下端には嵌合
い筒部19が一体に垂設されている。また、前記
筒部18は、合成樹脂(材質は限定しない)など
によつて、前記本体部17の外周に嵌まり合う大
きさの円筒状に形成され、本体部17に対して着
脱自在に構成されている。 なお、このようにインサート本体15を2つに
構成した場合には、筒部18を代えることによつ
て、コンクリート構造物内の埋設深さを適宜変更
することができるといつた利点がある。 また、第6図は本発明の第4実施例を示すもの
で、このインサート本体20も、基本的には、内
周面にめねじ2aが形成されかつ外周面に下端に
向かうに従つて小径となるテーパ面21が形成さ
れた本体部22と、この本体部22に同軸的に設
けられボルトの挿入孔2を形成する筒部23とか
ら構成されている。 しかし、本実施例では、前記本体部22の下端
内周面に嵌合溝24が形成され、この嵌合溝24
に筒部23が嵌め込まれている。この筒部23
は、合成樹脂(材質は限定しない)により、円筒
状に形成され、その外周面に本体部22の下端に
接するフランジ部25が突設されている。なお、
本実施例にあつても、第5図などに示した実施例
と同様の作用効果を持つものである。 以下、第1表を参照して、インサート本体1の
耐力について、実験を行つた結果について説明す
る。 実験は、第7図に示す装置を使用して行つた。
この装置は、コンクリート構造物Cに埋設された
インサート本体1に螺合されたおねじ付きのテー
ンシヨンバー30を、ラムチエア33上のジヤツ
キ31により引つ張るもので、ジヤツキ31には
ロードセル32が連動して取り付けられている。 なお、インサート本体1の耐力計算は、次式(2)
により算出し、また設計荷重は、(3)式によつて求
めた。 Pmax=√σck・π・l・(l+D) ……(2) σck=264Kg/cm2 ここで、Pmaxは破壊荷重、lはインサート本
体の長さ、Dは大径部の直径、σckはコンクリー
トの圧縮強度の実験値である。 P=2/3・σsy・A≒930Kg ……(3) ここで、Pは鋼材の降伏耐力、σsy=2400Kg/
cm2、A=0.58cm2(ボルト断面積)として計算し
た。
ト構造物などに各種部材を接続ないし取り付ける
際に多用されるインサート器具に関するものであ
る。 「従来の技術」 この種のインサート器具は、一般に、雌型部材
として用いるインサート本体と、雄型部材として
用いるボルトとからなり、前記インサート本体を
予めコンクリート構造物に埋設しておき、このイ
ンサート本体のねじ穴にボルトのねじ部をねじ込
んで結合する構成のものが一般に広く知られてい
る。 そして、このようなインサート器具において
は、インサート本体の抜け止めのため、すなわち
コンクリート構造物に対する錨着力向上を図る目
的から、前記インサート本体の外周に環状のリブ
や拡大頭部などが設けられている。 また、インサート本体に前記のような拡大頭部
を設けた場合には、この拡大頭部の部分は、コン
クリート内により深く埋設される方がより大きな
錨着力が得られるため、ねじ穴を設けている筒部
の部分が比較的長目に構成されている。 ところで、このようなインサート器具を種々の
目的に使用する場合(例えば電気、ガス、水道、
空調などの配管等を吊る場合)には、その使い易
さの点に対しての配慮が要求されるため、従来、
鋼製のインサート器具にあつては、その先端露出
部に色付きのプラスチツクカラー(プラスチツク
キヤツプ)などを設けている。 「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、このような従来のインサート器
具にあつては、インサート本体が鉄などの金属製
であるために、コンクリート構造物内で短期間の
うちに腐食し、インサート自体はもちろん、コン
クリートまでも劣化させてしまうといつた問題点
がある。 また、設備毎に使い分けるために設けてある前
記プラスチツクカラーが耐火の点で問題があり、
コスト面でも不経済なものとなつている。この点
は、インサート器具が周知の如く多量に使用され
ることからも特に重要な問題であつた。 一方、前記インサート本体は、このように金属
製である関係上、環状のリブや拡大頭部の加工が
難しく、コスト高になり易いといつた不満があ
り、また、これら環状のリブや拡大頭部など錨着
力を得るための部分の形状が、金属の加工上の点
等から限定されている。 しかも、拡大頭部を含む大部分は充実になつて
いる関係上、大きさの割に重量も大であり、か
つ、材料の面からも不経済なものであつた。 この点の解決手段として、インサート本体全体
を例えば樹脂製とすることも考えられるが、樹脂
製とした場合には、耐火上の問題および強度上の
問題があり、特に筒部や該筒部と拡大大頭部の境
にあたるいわゆるネツク部などに応力が集中する
ことから、この部分にクラツクが生じたりあるい
は分断されてしまうといつた恐れがある。 そこで、本出願人等は、このような問題点を解
決すべく鋭意研究した結果、インサート自身を、
セラミツクスにより形成したインサート器具を提
案し、一応の解決をなしている。すなわち、この
ものによれば、インサート本体自身の腐食をなく
して、コンクリート構造物の劣化を防止すること
ができ、また耐火性を向上することができるとと
もに、所望の形状および色調にインサート本体を
成形することができるものである。 ところで、セラミツクス製インサート本体は、
前記のような利点を有する反面、引張力に対して
脆いという問題点があり、セラミツクス製インサ
ート器具を実用化する上において、引張力として
の荷重に対するインサート本体の耐力の向上を図
ることが必要とされている。 しかしながら、現在のところでは、インサート
本体をセラミツクス製とした技術の提案に止どま
り、実用化を図る上での具体的な解決手段が提供
されていないのが実状であり、その開発が要求さ
れている。 本発明は、このような背景に鑑みて提案された
もので、実用化に対する適用性を向上させたセラ
ミツクス製インサート器具を提供することを目的
としている。 「問題点を解決するための手段」 かかる目的を達成するために、本発明では、コ
ンクリート構造物内に埋設され全体がセラミツク
スもしくは着色されたセラミツクスにより形成さ
れたインサート本体と、このインサート本体に設
けられる挿入孔に一端部が挿入されてねじ結合さ
れるボルトとを備えるインサート器具であつて、
前記インサート本体は、前記コンクリート構造物
内に埋設された状態における手前側に所定長さ形
成された径が略同一な同径部分と、この同径部分
に連続し奥側に向かうにしたがつて漸次大径とな
るテーパ状の大径部分とから構成し、この大径部
分のテーパ面の角度は、挿入孔の軸方向に対して
1〜45°の範囲に設定し、一方、前記インサート
本体の挿入孔を、インサート本体の長さ方向に沿
つて同軸的に貫通した状態で設け、かつ、該挿入
孔の奥側の内周面に、前記ボルトのおねじに螺合
されるめねじが形成し、このめねじのねじ山数
は、6山〜25山の範囲に設定することを特徴とし
ている。 また、前記において、インサート本体を、内周
面にめねじが形成されかつ外周面がデーパ面とな
つた大径部分を構成する本体部と、この本体部の
手前側の先端部に同軸的に設けられボルトの挿入
孔を形成するための筒部とから構成し、これら本
体部と筒部とを、着脱自在に構成したことを特徴
としている。 「作用」 セラミツクスによつて形成されたインサート本
体のめねじは、挿入孔の奥側の内周面であつて錨
着力を得るための拡大頭部として機能する大径部
分に位置して設けられているため、通常の使用状
態における荷重、すなわち、ボルトに引張力とし
ての荷重が作用すると、めねじを有するインサー
ト本体外周のテーパ面はくさび効果を発揮し、イ
ンサート本体全体には引張力が圧縮力に変換した
荷重が作用することとなる。したがつて、インサ
ート本体にクラツクや分断などを発生させる原因
である引張力はほとんど生じることがない。つま
り、前記ボルトからの荷重は、大径部分のテーパ
面によつて一様に荷重が受けられ、インサート本
体の錨着力(定着力)が強まり、特に、このテー
パ面の角度が1〜45°の範囲にあるため、大径部
分の上端で引張応力による応力の集中を防止し得
て、該テーパ面に圧縮力としての荷重を受ける作
用を発揮させることができるものである。したが
つて、インサート本体全体に圧縮力を作用させる
ことを達成し得て、インサート本体とボルトとの
結合部の耐力が良好なものとなる。また、大径部
分の手前側に、径が略同一な所定長さの同径部分
が存するから、大径部分によつて荷重を受けるコ
ンクリートは同径部分の周囲のコンクリートに伝
わり、このため、コンクリートに対する応力が広
く分散してコンクリートにクラツク等の損傷が生
ずるおそれがない。また、ボルトとのねじ山のは
め合い数を6山〜25山としたことと相まつて、イ
ンサート本体の製造、特にラバープレス等の製造
技術に対する適用製を向上することができる。 また、インサート本体を形成するセラミツクス
をコンクリート構造物を形成するコンクリートと
比較すると、そのヤング係数は20倍程度であるか
ら、ボルトに生じる引張り荷重によつてインサー
ト本体がコンクリート構造物から抜け出たり、あ
るいはインサート本体が実方向に伸びる現象が起
こらない。また、その熱膨張係数はコンクリート
と同等であるから、温度変化によつてインサート
本体とコンクリート構造物との間に〓間が生じる
ことがなく、このため、コンクリート構造物に対
する付着力は安定し、また、前記〓間へ侵入した
水の氷結によるクリートの破壊のおそれがない。 さらに、インサート本体をセラミツクスによつ
て形成することにより、このインサート本体全体
を、作用する荷重に対して最も適合した形状に形
成することができるとともに、耐熱性に対する適
用性を向上することができる。 「実施例」 以下、本発明の第1実施例を第1図ないし第3
図を参照して説明する。これらの図において、符
号1は雌型部材として用いるインサート本体であ
り、このインサート本体1は、セラミツクスによ
つて全体が所望の横断面形状(図示例では円環状
であるが、他の形状であつても良い)に形成さ
れ、その内周に雄型部材として用いるボルトの挿
入孔2がインサート本体1の長さ方向(軸方向)
に同軸的に貫通した状態に設けられており、ま
た、この挿入孔2の奥側の内周面には、ボルトの
おねじに螺合されるめねじ2aが形成され、かつ
このめねじ2aのねじ山の数は6山〜25山の範囲
に設定されている。 このめねじ2aのねじ山の数を6〜25山とした
のは、最小はめ合い山数と、ボルトの嵌め合い長
が大きくなり過ぎ、ラバープレス等での成形が困
難になることからであり、この範囲(すなわちね
じ山数6〜25山の範囲)内において、耐力は十分
であり、極めて寸法精度の良いインサート本体1
を得ることができるためである。 一方、前記インサート本体1のめねじ2aが形
成された部分(大径部分)1aの外径D1は、所
定長さを有する他の部分(インサート本体1の下
半部分:同径部分)1bの外径D2よりも大きく
設定されており、しかも、このインサート1の大
径部分1aは、インサート本体1の手前側の先端
部(第1図下部)に向つて外径が小径となるテー
パ面3に形成され、このテーパ面3の角度θは、
挿入孔2の軸方向(第3図X−Y方向)に対して
1〜45°の範囲に設定されている。 ここで、テーパ面3の角度θを1〜45°の範囲
としたのは、1°よりも小さいと、錨着力を得るた
めの拡大頭部としての機能を期待することご出来
なくなるからである。また、45°以上とすると、
大径部分1aの上部、ボルトによる引張力がその
まま引張り力として作用するおそれがあり、か
つ、ラバープレス等の製造時において、セラミツ
クス粒子を密に詰めることができなくなるおそれ
があるからで、この範囲内において、最も良好な
耐力を得ることができるためである。また、テー
パ面3の角度θを15〜30°の範囲に収める如くす
ると、上部での耐力の低下を一層防止することが
できるので、好ましい。 また、ねじ山の高さT1とインサート本体1の
大径部分1aの厚さT2との関係について説明を
補足しておくと、これらの関係は、インサート本
体1の耐力を得る点において、次式(1)が満たされ
ることが望ましい。 T2=B×T1 ……(1) ここで、Bは比例定数で、4〜5の範囲に設定
されるものである。 すなわち、前記(1)式から明らかなように、イン
サート本体1の厚さT2は、ねじ山の高さT1の4
〜5倍あることが望ましく、これらの関係と大径
部分の長さL1および直径D1との関連において、
前記テーパ面3の角度が細かく設定されるもので
ある。 また、前記大径部分1aの下端に連続する他の
部分1bは、均一な肉厚の円筒状に形成され、こ
の部分の長さL2は、インサート本体1に要求さ
れる耐力に対応して設定されるものである。 なお、前記インサート本体1を構成するセラミ
ツクスを、その製造段階において所望の色に着色
して製造すると、インサート器具を使い分ける場
合にプラスチツクカラーなどを必要とすることが
なくなるので、コストの面などから好ましい。 また、図において、符号5はインサート本体1
の挿入孔2を覆うプラスチツク製のキヤツプを示
しており、実施例では大径部分1aの上面に嵌め
込まれている。 また、前記実施例では、インサート本体1を円
筒状に形成した例を示したが、本発明では、この
ものに限定されるものではなく、例えば回り止め
機能を持たせるために、インサート本体1の大径
部分1aを六角ナツト等の多角形、あるいは楕円
形状等に形成しても良い。 次いで、このように構成されたインサート器具
の製造方法や使用方法等について説明する。 第1図などに示すように、インサート本体1を
成形するには、例えばラバープレス等の技術を応
用して、予め成形すべきインサート本体1のゴム
製モールド内に、おねじ付き心材(ボルト)をモ
ールドの軸線に沿つて固定するとともに、セラミ
ツクス原料の粉体を適当な大きさ(例えば平均粒
径20〜30ミクロンの範囲)の顆粒にし、これを前
記モールドと心材との間の間〓に充填する。そし
て、前記モールド内を脱気した後、このモールド
に外周から1000〜3000t/cm2の範囲内で液圧を加
え、脱型後の成形体から、心材を回して取り出
す。そして、この成形体を1700℃内外の範囲で焼
結すると、第1図などに示したインサート本体1
が形成される。 このインサート本体1の製造は、モールド内に
ボルトを挿入した状態で粉体を充填し、これらを
密閉容器に入れ、このモールドの外周から液圧を
加えるという単純作業であり、またインサート本
体1の各部は、テーパ面3が1〜45°の範囲の角
度に設定され、めねじ2aのねじ山の数が、6山
〜25山の範囲に設定されているので、セラミツク
ス粒子が部分的に密に詰まらないような部分が生
じるおそれがなく、極めて寸法精度の良い成型体
を製造することが可能になる。なお、インサート
本体1の設計段階において、大径部分1a等の形
状、テーパ面3の角度等の相互関係を配慮するこ
と勿論である。 しかして、このように製造されたインサート本
体1は、その挿入孔2の開口端部分がコンクリー
ト構造物の表面に開口する程度に埋設されて使用
される。この埋設作業に際しては、まず、インサ
ート本体1の挿入孔2内に緊密に嵌合する固定栓
などを型枠に固定しておいてからインサート本体
を固定し、コンクリートの打設後に型枠を脱型す
れば、コンクリート構造物内にインサート本体1
が埋設されるものである。 なお、このインサート本体1を予め所望の色に
着色した場合には、電気、ガス、水道、空調別に
それぞれ色ぎめをしておくと、設備をつける場合
に、色をみてボルトを単にねじ込み、使い分けら
れるので、取付け間違いがなく大変便利である。 本実施例によるインサート器具においては、イ
ンサート本体1の大径部分1aをねじ穴付きの逆
円錐台状としてこの部分にボルトを結合する構成
とされているので、ボルトが例えば吊りボルトと
して使用されている場合に、そのボルトに常に引
張力としての荷重が作用しても、大径部分1aの
外周面(テーパ面)3により一様に荷重が受けら
れ、いわゆるクサビ効果が発揮され、全体的に圧
縮力としての荷重が作用することになる。また、
この状態において、テーパ面3には、その角度θ
が1〜45°に設定されているので、上部での耐力
の低下を防止し得て、テーパ面3の途中でクラツ
クなどが生じるのが防止される。 一方、前記状態においては、前記テーパ面3の
作用により、ボルトが抜き出し方向に強く引かれ
るほど、インサート本体1の錨着力が強くなる。
また、前記圧縮力に対しては、セラミツク製であ
るインサート本体1は充分な耐力を発揮し、イン
サート本体1の耐力を増大し得て、ボルトの引張
力の増大に対する適用性を向上することができ
る。 また、インサート本体1はセラミツクスにより
形成されており、このセラミツクスは、コンクリ
ートと比較すると、そのヤング係数は20倍程度で
あるから、ボルトに生じる引張り荷重によつてイ
ンサート本体1がコンクリート構造物から抜け出
たり、あるいはインサート本体1が軸方向に伸び
るといつた不具合な現象が起こらない。また、そ
の熱膨張係数はコンクリートと同等であるから、
温度変化によつてインサート本体1とコンクリー
ト構造物との間に〓間が生じることがない。この
ため、コンクリート構造物に対する付着力は安定
するとともに、たとえば、前記〓間へ水が侵入し
こ水が氷結することによつてコンクリートが破壊
するといつたおそれも回避できる。 なお、インサート本体1は鉄などの金属に比べ
て相当に軽量であり、さらにインサート本体1の
内部が中空の筒状となつているので全体としては
極めて軽量化を図ることができる。 さらに、前記テーパ面3が形成された大径部分
1aの手前側に、径が略同一な所定長さの他の部
分1bが存することにより、大径部分1aによつ
て荷重を受けるコンクリート構造物のコンクリー
ト部分は、他の部分1bの周囲のコンクリートに
伝わり、したがつて、インサート本体1によつて
発生するコンクリートに対する応力が広く分散
し、この結果、コンクリートにクラツク等の損傷
が生ずるおそれがない。 また、第4図は本発明の第2実施例を示すもの
で、このインサート本体10は、外周面全面を、
めねじ2aが形成された上部の大径部分10aか
ら下部10bまでを、下端に向かうに従つて小径
となる連続したテーパ面11としたものであり、
テーパー付きならいかなる形状にすることも可能
であり、本形状に限定されるものではない。 なお、該実施例にあつても、テーパ面11の角
度θおよびめねじ2aのねじ山数等の必須構成要
素については、先の第1実施例を同一であるの
で、その説明については、省略する。しかして、
このように構成したインサート本体10にあつて
は、テーパ面10を長く形成した分、一層錨着力
を高めることができる等の効果がある。 第5図は本発明の第3実施例を示すもので、該
インサート本体15は、内周面にめねじ2aが形
成されかつ外周面に下端に向かうに従つて小径と
なるテーパ面16が形成された本体部17と、こ
の本体部17に同軸的に設けられボルトの挿入孔
2を形成する筒部18とから構成した基本構成と
なつている。 そして、前記本体部17は、第1図などに示し
た大径部分を構成するもので、その下端には嵌合
い筒部19が一体に垂設されている。また、前記
筒部18は、合成樹脂(材質は限定しない)など
によつて、前記本体部17の外周に嵌まり合う大
きさの円筒状に形成され、本体部17に対して着
脱自在に構成されている。 なお、このようにインサート本体15を2つに
構成した場合には、筒部18を代えることによつ
て、コンクリート構造物内の埋設深さを適宜変更
することができるといつた利点がある。 また、第6図は本発明の第4実施例を示すもの
で、このインサート本体20も、基本的には、内
周面にめねじ2aが形成されかつ外周面に下端に
向かうに従つて小径となるテーパ面21が形成さ
れた本体部22と、この本体部22に同軸的に設
けられボルトの挿入孔2を形成する筒部23とか
ら構成されている。 しかし、本実施例では、前記本体部22の下端
内周面に嵌合溝24が形成され、この嵌合溝24
に筒部23が嵌め込まれている。この筒部23
は、合成樹脂(材質は限定しない)により、円筒
状に形成され、その外周面に本体部22の下端に
接するフランジ部25が突設されている。なお、
本実施例にあつても、第5図などに示した実施例
と同様の作用効果を持つものである。 以下、第1表を参照して、インサート本体1の
耐力について、実験を行つた結果について説明す
る。 実験は、第7図に示す装置を使用して行つた。
この装置は、コンクリート構造物Cに埋設された
インサート本体1に螺合されたおねじ付きのテー
ンシヨンバー30を、ラムチエア33上のジヤツ
キ31により引つ張るもので、ジヤツキ31には
ロードセル32が連動して取り付けられている。 なお、インサート本体1の耐力計算は、次式(2)
により算出し、また設計荷重は、(3)式によつて求
めた。 Pmax=√σck・π・l・(l+D) ……(2) σck=264Kg/cm2 ここで、Pmaxは破壊荷重、lはインサート本
体の長さ、Dは大径部の直径、σckはコンクリー
トの圧縮強度の実験値である。 P=2/3・σsy・A≒930Kg ……(3) ここで、Pは鋼材の降伏耐力、σsy=2400Kg/
cm2、A=0.58cm2(ボルト断面積)として計算し
た。
【表】
第1表において、NO1は前記第1実施例に示
したインサート本体1の結果を、またNO2は第
2実施例で示したインサート本体10の実験結果
を示す。 この第1表から明らかなように、設計荷重に対
して破壊荷重が非常に大きいことが知見され、優
れた耐力を有することが判明した。 また、第8図は第1図の実施例に示すインサー
ト本体1を実験した結果を示すもので、インサー
ト本体1の基端部(上端部)からコンクリート構
造物Cが破壊されたことが判明し、インサート本
体1には主として圧縮力が作用しているのが知見
された。 「発明の効果」 インサート本体を、コンクリート構造物内に埋
設された状態における手前側に所定長さ形成され
た径が略同一な同径部分と、この同径部分に連続
し奥側に向かうにしたがつて漸次大径となるテー
パ状の大径部分とから構成し、この大径部分のテ
ーバ面の角度を、挿入孔の軸方向に対して1〜
45°の範囲に設定し、一方、前記インサート本体
の挿入孔は、インサート本体の長さ方向に沿つて
同軸的に貫通した状態で設け、かつ、該挿入孔の
奥側の内周面に、前記ボルトのおねじに螺合され
るめねじが形成、このめねじのねじ山数は、6山
〜25山の範囲に設定したので、次のような種々の
優れた効果を奏することができる。 (a) セラミツク製インサート器具の実用化に対す
る適用性を向上し得て、その耐力の向上を図る
ことができる。また、着色されたセラミツクス
を使用することにより設備面な使い分けが可能
となる。 (b) インサート本体に作用する荷重を大径部のテ
ーパ面によつて圧縮力として一様に受けること
を達成し得、かつテーパ面によつて、錨着力を
得る構成としているから、ボルトが抜け出し方
向に強く引かれるほど、錨着力が強まるととも
に、大径部分の手前側に同径部分が存するか
ら、大径部分によつて荷重を受けるコンクリー
トは同径部分の周囲のコンクリートに伝わり、
このため、コンクリート構造物のコンクリート
に対する応力が広く分散してコンクリートにク
ラツク等の損傷が生ずるおそれがない。 (c) ラバープレス等の製造方法に対する適用性を
向上することができ、その製造を容易にするこ
とができる。 (d) インサート本体はセラミツクスによつて形成
されており、このセラミツクスは、コンクリー
トと比較すると、そのヤング係数は20倍程度で
あるから、ボルトに生じる引張り荷重によつて
インサート本体がコンクリート構造物から抜け
出たり、あるいはインサート本体が軸方向に伸
びるといつた不具合な現象が起こらない。ま
た、その熱膨張係数はコンクリートと同等であ
るから、温度変化によつてインサート本体とコ
ンクリート構造物との間に〓間が生じることが
なく、このため、コンクリート構造物に対する
付着力は安定し、また、前記〓間へ侵入した水
の氷結によるコンクリートの破壊のおそれがな
い。 さらに、インサート本体をセラミツクスによ
つて形成することにより、このインサート本体
全体を、作用する荷重に対して最も適合した形
状に形成することができるとともに、耐熱性に
対する適用性を向上することができる。 (e) インサート本体を、その大径部分を構成する
本体部と、この本体部に着脱自在に設けられる
筒部とから構成した場合には、圧縮力が作用す
る本体部の埋設深さを、筒部を代えることによ
つて、適宜に変更することを可能とすることが
でき、種々の厚さのコンクリート構造物への適
用性を向上することができる。 (f) インサート本体のほぼ全体に圧縮力が作用す
るから強度的に有利で、このインサート本体の
変形や損傷が防がれる。
したインサート本体1の結果を、またNO2は第
2実施例で示したインサート本体10の実験結果
を示す。 この第1表から明らかなように、設計荷重に対
して破壊荷重が非常に大きいことが知見され、優
れた耐力を有することが判明した。 また、第8図は第1図の実施例に示すインサー
ト本体1を実験した結果を示すもので、インサー
ト本体1の基端部(上端部)からコンクリート構
造物Cが破壊されたことが判明し、インサート本
体1には主として圧縮力が作用しているのが知見
された。 「発明の効果」 インサート本体を、コンクリート構造物内に埋
設された状態における手前側に所定長さ形成され
た径が略同一な同径部分と、この同径部分に連続
し奥側に向かうにしたがつて漸次大径となるテー
パ状の大径部分とから構成し、この大径部分のテ
ーバ面の角度を、挿入孔の軸方向に対して1〜
45°の範囲に設定し、一方、前記インサート本体
の挿入孔は、インサート本体の長さ方向に沿つて
同軸的に貫通した状態で設け、かつ、該挿入孔の
奥側の内周面に、前記ボルトのおねじに螺合され
るめねじが形成、このめねじのねじ山数は、6山
〜25山の範囲に設定したので、次のような種々の
優れた効果を奏することができる。 (a) セラミツク製インサート器具の実用化に対す
る適用性を向上し得て、その耐力の向上を図る
ことができる。また、着色されたセラミツクス
を使用することにより設備面な使い分けが可能
となる。 (b) インサート本体に作用する荷重を大径部のテ
ーパ面によつて圧縮力として一様に受けること
を達成し得、かつテーパ面によつて、錨着力を
得る構成としているから、ボルトが抜け出し方
向に強く引かれるほど、錨着力が強まるととも
に、大径部分の手前側に同径部分が存するか
ら、大径部分によつて荷重を受けるコンクリー
トは同径部分の周囲のコンクリートに伝わり、
このため、コンクリート構造物のコンクリート
に対する応力が広く分散してコンクリートにク
ラツク等の損傷が生ずるおそれがない。 (c) ラバープレス等の製造方法に対する適用性を
向上することができ、その製造を容易にするこ
とができる。 (d) インサート本体はセラミツクスによつて形成
されており、このセラミツクスは、コンクリー
トと比較すると、そのヤング係数は20倍程度で
あるから、ボルトに生じる引張り荷重によつて
インサート本体がコンクリート構造物から抜け
出たり、あるいはインサート本体が軸方向に伸
びるといつた不具合な現象が起こらない。ま
た、その熱膨張係数はコンクリートと同等であ
るから、温度変化によつてインサート本体とコ
ンクリート構造物との間に〓間が生じることが
なく、このため、コンクリート構造物に対する
付着力は安定し、また、前記〓間へ侵入した水
の氷結によるコンクリートの破壊のおそれがな
い。 さらに、インサート本体をセラミツクスによ
つて形成することにより、このインサート本体
全体を、作用する荷重に対して最も適合した形
状に形成することができるとともに、耐熱性に
対する適用性を向上することができる。 (e) インサート本体を、その大径部分を構成する
本体部と、この本体部に着脱自在に設けられる
筒部とから構成した場合には、圧縮力が作用す
る本体部の埋設深さを、筒部を代えることによ
つて、適宜に変更することを可能とすることが
でき、種々の厚さのコンクリート構造物への適
用性を向上することができる。 (f) インサート本体のほぼ全体に圧縮力が作用す
るから強度的に有利で、このインサート本体の
変形や損傷が防がれる。
第1図ないし第3図は本発明の第1実施例を示
すもので、第1図はインサート器具の半断面図、
第2図はその平面図、第3図は第1図鎖線円部
の拡大断面図、第4図は本発明の第2実施例を示
す半断面図、第5図は本発明の第3実施例を示す
半断面図、第6図は本発明の第4実施例を示す半
断面図、第7図は実験装置を説明するために示し
た装置の正面図、第8図は作用説明図である。 1,10,15,20……インサート本体、1
a……大径部分、1b……他の部分(同径部分)、
2……挿入孔、2a……めねじ、3,11,1
6,21……テーパ面、5……キヤツプ、P……
ピツチ、D1……大径部分の外径、D2……他の部
分の外径、θ……テーパ面の角度、T1……ねじ
山の高さ、T2……厚み、17,22……本体部、
18,23……筒部、33……ラムチエア、C…
…構造物。
すもので、第1図はインサート器具の半断面図、
第2図はその平面図、第3図は第1図鎖線円部
の拡大断面図、第4図は本発明の第2実施例を示
す半断面図、第5図は本発明の第3実施例を示す
半断面図、第6図は本発明の第4実施例を示す半
断面図、第7図は実験装置を説明するために示し
た装置の正面図、第8図は作用説明図である。 1,10,15,20……インサート本体、1
a……大径部分、1b……他の部分(同径部分)、
2……挿入孔、2a……めねじ、3,11,1
6,21……テーパ面、5……キヤツプ、P……
ピツチ、D1……大径部分の外径、D2……他の部
分の外径、θ……テーパ面の角度、T1……ねじ
山の高さ、T2……厚み、17,22……本体部、
18,23……筒部、33……ラムチエア、C…
…構造物。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 コンクリート構造物内に埋設され全体がセラ
ミツクスもしくは着色されたセラミツクスにより
形成されたインサート本体と、このインサート本
体に設けられる挿入孔に一端部が挿入されてねじ
結合されるボルトとを備えるインサート器具であ
つて、前記インサート本体は、前記コンクリート
構造物内に埋設された状態における手前側に所定
長さ形成された径が略同一な同径部分と、この同
径部分に連続し奥側に向かうにしたがつて漸次大
径となるテーパ状の大径部分とから構成され、こ
の大径部分のテーパ面の角度は、挿入孔の軸方向
に対して1〜45°の範囲に設定されており、一方、
前記インサート本体の挿入孔は、インサート本体
の長さ方向に沿つて同軸的に貫通した状態で設け
られ、かつ、該挿入孔の奥側の内周面には、前記
ボルトのおねじに螺合されるめねじが形成され、
このめねじのねじ山数は、6山〜25山の範囲に設
定されていることを特徴とするインサート器具。 2 前記インサート本体は、内周面にめねじが形
成されかつ外周面がデーパ面となつた大径部分を
構成する本体部と、この本体部の手前側の先端部
に同軸的に設けられボルトの挿入孔を形成するた
めの筒部とからなり、これら本体部と筒部とは、
着脱自在に構成されていることを特徴とする特許
請求の範囲第1項記載のインサート器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28246585A JPS62141236A (ja) | 1985-12-16 | 1985-12-16 | インサ−ト器具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28246585A JPS62141236A (ja) | 1985-12-16 | 1985-12-16 | インサ−ト器具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62141236A JPS62141236A (ja) | 1987-06-24 |
JPH0335456B2 true JPH0335456B2 (ja) | 1991-05-28 |
Family
ID=17652780
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28246585A Granted JPS62141236A (ja) | 1985-12-16 | 1985-12-16 | インサ−ト器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62141236A (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5120364U (ja) * | 1974-07-31 | 1976-02-14 | ||
JPS5732167U (ja) * | 1980-07-30 | 1982-02-19 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5116573Y2 (ja) * | 1971-03-05 | 1976-05-04 | ||
JPS58177499U (ja) * | 1982-05-21 | 1983-11-28 | 名伸電機株式会社 | コンクリ−ト電柱の足場ボルト用埋込みナツト |
-
1985
- 1985-12-16 JP JP28246585A patent/JPS62141236A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5120364U (ja) * | 1974-07-31 | 1976-02-14 | ||
JPS5732167U (ja) * | 1980-07-30 | 1982-02-19 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62141236A (ja) | 1987-06-24 |
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