JPH0335343Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は乳児つまり、新生児、未熟児などごく
小さな吸飲力を含めすべて吸飲力、吸啜力に応じ
て、吸乳量の調節ができる哺乳びん用乳首に関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来から育児用の哺乳びん用乳首についてはよ
く知られているところであるが、一般に哺乳びん
については、ミルクが出にくかつたり、出すぎた
りして乳量の調節が適正に行われにくいのが現状
である。

本出願人はさきに特公昭51−38265「哺乳瓶用乳
首」において、乳首最先端の吸乳口と吸乳口周辺
とを薄膜部と肉厚部とに、肉厚の差を設け、その
薄膜部に十字形のクロスカツトを施し、肉厚部が
支点となつて吸乳口部が弁作用を行うことができ
るようにし、これによつて乳幼児の吸啜力に応じ
て、ミルクから離乳食にいたるまで種々の大きさ
に開弁する乳首を提供したが、乳児の吸啜力の差
については特に述べなかつた。

ところが健康な乳幼児においては月令にともな
つて体力が向上し同時に吸啜力も順次増加するた
め哺乳びんに対する適応能力も問題ないが、新生
児、未熟児又は口唇口蓋裂児などの病弱児につい
ては、非常に吸啜能力も低く、個々の能力差もあ
るので哺乳びん乳首、乳量調節は非常にデリケー
トさを要し問題があつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上述の問題点を解決しようとするもの
で、乳頭先端部を従来の半球状乳首から偏平もし
くは、ほぼ偏平に近い形状とし、その中心線を長
方形の薄膜部とし、この薄膜部に長短のクロスカ
ツト（＋）を施すことによつて、極く小さな吸啜
力に対しても瞬間に開弁し、つまり外圧に対して
非常に敏感に即応し、弁効果を発揮する。さらに
口に含んだ時のクロスカツトの長短の方向によつ
て乳量の調節ができるものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案を説明すれば、前記したように、乳首の
乳頭先端部を偏平又はほぼ偏平に形成し、この偏
平乳首先端の上部中心近傍で、乳首の内面に環状
の肉厚部を設け、この肉厚部の環内中央上方に直
方体形状の薄膜部を設け、該薄膜部の長手方向に
長いマイナスカツトをさらに該薄膜部の短手方向
に長いマイナスカツトとその中心で直交する短い
マイナスカツトを入れてクロスカツトの切り目を
形成したことを特徴とする哺乳びん用乳首に関す
るものである。

〔作用〕

本考案において、乳頭先端部を薄膜の偏平と
し、この中心部に長短のクロスカツト（＋）を施
すことによつて、新生児などのようにただ触れる
だけの極く小さな吸啜力によつて、即座に開弁
し、外圧に対して敏感に開閉弁反応を示すことが
できる。

クロスカツトを有する薄膜の偏平部の周囲に肉
厚部の支点を位置せしめているため、乳児が乳首
をくわえると、乳首の先端からふくらんでいる胴
部へと口に入れ首部をしごくようにして、吸啜し
はじめると同時にクロスカツトが開き、ちようど
肉厚部が支点となつて、薄膜部片が弁効果をあら
わす。

そして、このクロスカツトの口にくわえる方向
によつて、つまり長いマイナスカツトを口唇と平
行にくわえ吸飲すると乳量が多く、反対に短いマ
イナスカツトを口唇と平行にくわえると乳量が少
なくなる。

〔実施例〕

図面に従つて、本考案の実施例を説明する。第
１図は本案の乳首Ａの縦断面図、第２図は本案乳
首Ａの平面図、第３図は第１図乳頭部縦断面図の
拡大断面図であつて、吸飲時の乳孔の開弁状態の
説明図である。

まず第１図において、本案乳首Ａは、乳首先端
の外表面つまり最項部ｂを偏平又はほぼ偏平に成
形し、この最項部ｂ中心近傍の乳首内面に環肉厚
部１を設け、この環状肉厚部１に直方体孔２を穿
つてできた薄膜部３にクロスカツトの切り目４，
５を施した乳頭部ａと、胴部７およびフランジ８
とから構成される。この胴部７下方には、キヤツ
プとの噛み合わせ上方に位置するリブ７′をはり
出せる。またテーパー８′を有するフランジ８の
一部に図示のごとく、空気孔１１を穿ち薄膜を形
成して、マイナスカツトを施してできた空気弁１
０とさらにフランジ８の下方にボトルと乳首とを
固定接続させ、空気弁１１のひずみを保護するた
めの環状底面リブ９を、空気弁１１の長さより少
し長くし、空気弁１１の位置をのぞいて成形す
る。

第２図において、最項部ｂの薄膜部３において
長い切り目５と短い切り目４がその中心において
直交するようにクロスカツトを施す。また第３図
は乳頭部ａの拡大断面をあらわし、薄膜部３は閉
弁した状態を３は吸飲時の開弁状態をあらわす。

〔発明の効果〕

上記考案に係る乳首の使用について、ミルクの
入つたボトルの上に本案乳首ＡのフランジＢを置
く、びん口内に乳首Ａの空気弁１０と底面リブ９
が入り込むと、キヤツプで乳首Ａとボトルとをね
じあわせ連結させ哺乳びんとし、授乳させる。

授乳にあたつて、乳首Ａの最項部ｂのクロスカ
ツトの長い切り目を乳児の唇に対して平行にくわ
えさせて吸飲させると、ミルク流量が多くなり、
反対に短い切り目を唇に対して平行にくわえさせ
ると、ミルク流量が少なくなる。尚、この場合乳
頭部ａが第２図のごとくアールをもつた正方形と
なつてクロスカツトの方向指示の役割をも果たし
ているが、この形状については何ら特定するもの
ではない。

また本案乳首Ａにあつては乳頭部ａの最項部ｂ
が薄膜部３で構成されているため、小さな外圧で
もつてもすぐに乳孔弁が開閉するため極く少ない
吸飲力でもスムーズに吸乳することができる。こ
のため新生児や口唇口蓋裂児、病弱児などの比較
的吸啜力の小さな乳児にも適応できる。むろん正
常児においても問題なく適応できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１面図は本案の乳首Ａの縦断面図、第２図は
本案乳首Ａの平面図、第３図は第１図乳首Ａ縦断
面図の乳頭拡大断面図。 Ａ……本案乳首、ａ……乳頭部、ｂ……最項
部、１……環状肉厚部、２……直方体孔、３，
３′……薄膜部、４……長い切り目、５……短い
切り目、６……中間部、７……胴部、７′……リ
ブ、８……フランジ、８′……テーパー、９……
底面リブ、１０……空気弁、１１……空気孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 乳首先端の外表面を偏平又はほぼ偏平に成形
   し、この偏平乳首先端の上部中心近傍で、乳首の
   内面に環状の肉厚部を設け、この肉厚部の環内中
   央上方に直方体形状の小孔を設け、この小孔の上
   に直方体形状の薄膜部を設け、該薄膜部の長手方
   向に長いマイナスカツトを、さらに該薄膜部の短
   手方向に長いマイナスカツトとその中心で直交す
   る短いマイナスカツトを入れて、クロスカツトの
   切り目を形成したことを特徴とする哺乳びん用乳
   首。