JPH033507B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は腕部材の可動範囲を大きくすることが
できる人形用肩関節構造に関する。

（従来技術とその問題点） 従来、この種の人形用肩関節構造において、腕
部材はその基部に一体に形成された略球形状の嵌
合部に突設した支軸を胴部材の肩部に形成した取
着孔の案内溝に回動自在に嵌合していた。ところ
が、腕部材は軟質合成樹脂によつて形成されてい
るので、この腕部材の基部に一体に形成された嵌
合部も必然的に柔軟性を有する。したがつて、腕
部材を強く回動させたり、拡開した場合、上記嵌
合部に突設した支軸が胴部材の取着孔から離嵌す
る等の難点があり、この点の解決が望まれてい
た。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は上記の観点に鑑みてなされたものであ
つて、特に、腕部材を確実に取着することができ
るとともに、その動作が回動運動に止まらず、開
閉運動も行なうこととができる可動範囲の大きい
人形用肩関節構造を提案することを目的する。

（課題を解決するための技術的手段） 上記課題を解決するための技術的手段として、
本発明に係る人形用肩関節構造は下記要件を備え
ることを特徴とする。

(イ) 人形用胴部材の肩部近傍に腕部材取着孔が形
成されるとともに、この腕部材取着孔の内周に
は案内溝が周設されていること。

(ロ) 軟質合成樹脂製の腕部材の基部には嵌合溝が
周設されるとともに、この嵌合溝に直交するよ
うに上記嵌合溝から腕部材端部に向けて係止溝
が一体に形成されていること。

(ハ) 上記腕部材の嵌合溝には、側方に突出する係
止片と直径方向に突出する支軸とを一体に備え
る硬質の環状部材が嵌合されるとともに、上記
係止片は上記係止溝に係止されていること。

(ニ) 上記環状部材の外周部は上記胴部材と案内溝
に嵌合され、上記支軸は上記案内溝に係合いて
いること。

（発明の作用、効果） 上記構成のように、本発明に係る人形用肩関節
構造は、人形胴部材の肩部近傍に設けた腕部材取
着孔に腕部材を取着する場合、この腕部材とは別
個に形成した硬質の環状部材を腕部材の基部に周
設した嵌合溝に嵌合させるとともに、この環状部
材に突設した支軸を上記腕部材取着孔に設けた案
内溝に係合している。したがつて、従来の腕部材
のように、その基部に一体に支軸を突設したもの
に比べ、腕部材の取着状態が確実になり、抜脱が
防止できる。また、上記環状部材は一体に設けら
れた係止片が上記嵌合溝に設けられた係止溝に係
合されているので腕部材を回動させたときに一緒
に回動し、この環状部材に突設した支軸は上記腕
部材取着孔の案内溝内を摺動することができるた
め、腕部材は胴部材に対し回動を正確にできると
ともに、この支軸を支点に開閉させることができ
る。

このように、腕部材は人形の胴部材に対し回動
運動のほか開閉運動も行なうことができるので、
人形の動作の可動範囲を大きくすることができる
ので、衣服も着脱も容易に行なうことができ、さ
らにリアル性も向上する。

（実施例） 以下、図面によつて本発明の実施態様の一例に
ついて説明する。

図において、符号１は合成樹脂製人形の胴部材
を示す。この胴部材１の肩部１ａの近傍には円形
状を有する腕部材取着孔２が形成されるととも
に、この腕部材取着孔２の内周には案内溝３が周
設されている。そして、この取着孔２には腕部材
４が取着されている。この腕部材４は軟質合成樹
脂によつて形成された中空状を有し、その基部に
は嵌合溝５が周設されるとともに、脇の下に相当
する部分には嵌合溝５に直交するように係止溝６
が一体に設けられている。７は上記腕部材４の基
部に周設された嵌合溝５に嵌合される環状部材を
示し、この環状部材７は硬質ゴム、硬質合成樹
脂、金属等から構成され、その一側面には上記係
止溝６に係合される係止片７ａが一体に形成され
るとともに、外側面の上下部の対応する位置に上
記案内溝３に係合する支軸８，８が突設されてい
る。

次に、胴部材１の肩部１ａの近傍に設けた腕部
材取着孔２に腕部材４を取着するにあたつては、
まず、この腕部材４の基部に設けた嵌合溝５に環
状部材７を嵌合させるとともに、この環状部材７
の一側面に一体に形成した係止孔７ａを上記嵌合
溝５に連設された係止溝６に係合させる。これに
よつて、環状部材７は腕部材４の基部に確実に取
着される。そして、この環状部材７の外側面に突
設した支軸８，８を上記胴部材１の腕部材取着孔
２内に周設した案内溝３に嵌合させる。

なお、この場合、胴部材１は前後に分割可能は
二部材によつて形成することにより、腕部材４の
取着を容易に行なうことができる。

上述のように人形用肩関節構造によれば、軟質
の腕部材４の基部嵌合溝５に嵌合され硬質の環状
部材７の外側面に突設した支軸８，８が、上記胴
部材１の腕部材取着孔２の内周に周設した案内溝
３に係合されている。したがつて、腕部材４が胴
部材１に対し確実に取着されるとともに、この腕
部材４は案内溝３に沿つて摺動して回動させるこ
とができるほか、上記支軸８，８を支点に開閉運
動させることもできる。したがつて、人形の動作
の可能範囲を大きくすることができるとともに、
衣服の着脱も容易に行うことができる。

なお、上記実施例において肩関節構造について
詳説したが、これに限定させず、例えば頚、脚部
等の関節にも適用することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る人形用肩関節構造の実施
態様の一例を示す分解斜視図、第２図は第１図の
取着壮態を示す説明図、第３図は胴部材に腕部材
を取着した状態の正面図である。 符号１……胴部材、２……腕部材取着孔、３…
…案内溝、４……腕部材、５……嵌合溝、６……
係止溝、７……環状部材、８，８……支軸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記要件を備えることを特徴とする人形用肩
   関節。 (イ) 人形用胴部材の肩部近傍に腕部材取着孔が形
   成されるとともに、この腕部材取着孔の内周に
   は案内溝が周設されていること。 (ロ) 軟質合成樹脂製の腕部材の基部には嵌合溝が
   周設されるとともに、この嵌合溝に直交するよ
   うに上記嵌合溝から腕部材端部に向けて係止溝
   が一体に形成されていること。 (ハ) 上記腕部材の嵌合溝には、側方に突出する係
   止片と直径方向に突出する支軸とを一体に備え
   る硬質の環状部材が嵌合されるとともに、上記
   係止片は上記係止溝に係止されていること。 (ニ) 上記環状部材の外周部は上記胴部材の案内溝
   に嵌合され、上記支軸は上記案内溝に係合して
   いること。