JPH0330934Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は硬貨供給装置の硬貨押さえ込み機構に
関するものである。

「従来の技術」 第５図ないし第７図はホツパー内にばらばらの
状態で収容された硬貨を一枚ずつ取り出して硬貨
選別機等に送り込むための硬貨供給装置の一従来
例を示すものである。

この硬貨供給装置は、ホツパー１の側部に傾斜
状態に設けられた斜円板２の周縁部に突設した突
起３に硬貨Ｃを１枚ずつ保持させて上方へ搬送
し、この斜円板２の上部で硬貨通路４に送り込む
とともに、エンドレスチエイン５の側部に突設さ
れたピン６によつて硬貨通路４上を搬送するよう
にした構成となつている。そして、斜円板２によ
つて持ち上げられた硬貨Ｃは、第５図における12
時の位置より左側まで搬送されると、斜円板２の
中央部に軸方向に突出させて設けられた段部２ａ
に沿つて転がりながら移動して行き、硬貨通路４
と同一のレベルに配設されたガイド板７に当接さ
れて落下が阻止され、斜円板２との縁が切れると
ともに、ピン６に押圧されて硬貨通路４の上を移
送されるようになつている。また、斜円板２の突
起３は、ガイド板７に設けられた凹溝７ａを介し
て下方へ移動し、ホツパー１の底部から再度硬貨
Ｃをかき上げて上方へ搬送する。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、ホツパー１から硬貨通路４に至る搬
送過程において、第５図の12時の位置より手前
（右側）では、硬貨Ｃが斜円板２の表面と突起３
とに保持され、斜円板２の段部２ａまたはホツパ
ー１の内面に沿つて安定して搬送されているが、
12時の位置を越えると（左側の位置に来ると）、
硬貨Ｃが段部２ａに沿つて転がりながら落下し得
る状態となり、この落下に伴う回転によつて起立
状態となつて、斜円板２の表面から離れてしまう
ことがある。

そこで本出願人が先に提案した実願昭59−
103918号の「硬貨受け渡し機構」に記載されたよ
うに、第５図鎖線で示す如く、斜円板２との間に
硬貨Ｃが通過し得る程度の間隔をおいて硬貨押さ
え板８を設け、この硬貨押さえ板８によつて硬貨
Ｃを回転円板２側へ徐々に押圧して転倒させるよ
うにしているが、例えば、一円硬貨のような軽い
硬貨にガム等の粘着物が付着していると、突起３
上に硬貨が張り付いた状態（硬貨が、斜円板から
突起の突出高さの分だけ浮き上がつた状態）とな
つて、この硬貨Ｃが前記硬貨押さえ板８と斜円板
２との間に挾まれて斜円板２がロツクされてしま
うということがある。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、斜
円板から落下しようとする硬貨の落下、および噛
み込みを防止することを目的とするものである。

「問題点を解決するための手段」 上記目的を達成するため、本考案は、ホツパー
内に傾斜状態に設けられた斜円板の周縁部に前記
斜円板の回転中心軸の軸線と平行な方向へ向けて
突設された突起によりホツパー内の硬貨を１枚ず
つすくい上げてチエーン搬送部へ受け渡す硬貨供
給装置において、斜円板の頂上部より下方でかつ
硬貨移送方向前方に離間した位置に、硬貨１枚が
通過可能な間隔をおいて前記斜円板と対向して、
斜円板の硬貨送り出し方向へ向けて第１の硬貨押
さえ板を設けるとともに、斜円板の表面とほぼ平
行な軸を中心として揺動可能に支持されて斜円板
に接近する方向および離間する方向に移動する第
２の硬貨押さえ板を設け、該第２の硬貨押さえ板
を前記斜円板に向けて付勢したものである。

「作用」 上記構成によれば、硬貨押さえ板が斜円板と広
い範囲で対向して斜円板からの硬貨の離脱を防止
することができるとともに、突起上に張り付いた
硬貨に押された場合に、該硬貨の移動によつて斜
円板から離れる方向へ変位し、硬貨の通過後、元
の位置に復帰して硬貨の離脱を防止することがで
きる。

「実施例」 以下本考案の一実施例を第１図ないし第４図を
参照して説明する。

すなわち、この受け渡し機構は、従来例と同様
に、ホツパー１内の硬貨Ｃを斜円板２の突起３に
係止させて上方へ持ち上げるとともに、硬貨通路
４に渡し、この硬貨通路４上をチエイン５のピン
６によつて移送する機構に加えて、頂上部分から
硬貨搬送方向に離間した位置に、第１・第２の硬
貨押さえ板９，１０を斜円板２と対向する如く設
けるようにした基本構成となつている。

前記第１の硬貨押さえ板９は、この基端部をボ
ルト１１を介して支持フレーム１２に支持させて
取り付けられるもので、第４図に示すように、斜
円板２との間に、一枚の硬貨（例えば厚さ最大の
500円硬貨）が通過し得る程度の間隔ｔをおいて
取り付けられている。また、前記第１の硬貨押さ
え板９は、第１図に示すように湾曲させられてお
り、斜円板２の頂上部から落下しようとする硬貨
に接触してこれを斜円板２に向けて倒す機能を持
つている。

また、第１の硬貨押さえ板９の先端部近傍に
は、軸１３を中心として回動自在に第２の硬貨押
さえ板１０が設けられている。該第２の硬貨押さ
え板１０は、前記第１の硬貨押さえ板９との間に
設けられた引つ張りコイルばね１４により、斜円
板２に接近する方向（第２図反時計方向）に付勢
されており、該第２の硬貨押さえ板１０の前記方
向への回転は、該第２の押さえ板１０に螺合する
ボルト１５を前記第１の硬貨押さえ板９の上縁部
（第２図鎖線で示す）に当接させることによつて
一定位置に規制されるようになつている。そし
て、前記ボルト１４を進退させることにより、第
２の硬貨押さえ板１０と斜円板２との間の間隔が
適正値（硬貨一枚が通過し得る程度の値）に調整
されるようになつている。

また、前記支持フレーム１２には、第１・第２
の硬貨ガイド板１６，１７が設けられている。上
記ガイド板１６，１７は、いずれもボルト１８を
介して支持フレーム１２に水平に取り付けられて
おり、これらのガイド板１６，１７は、その先端
部の位置を水平方向に互いにずらして設けられ、
さらに、これらの先端部には、それぞれテーパー
面１９，２０が形成されている。そして、テーパ
ー面１９は、斜円板２の回転方向に沿つて（下方
に向つて）斜円板２から徐々に離れる如く設けら
れて、突起３上に張り着いた硬貨Ｃを突起３から
剥がし、また、テーパー面２０は、第１図水平左
方向および左下方に向つて斜円板２から徐々に離
れる如く設けられて突起３から硬貨Ｃを剥がし、
斜円板２を囲むホツパー１内に落下させている。
なお、前記第１のガイド板１６の内面（斜円板２
と対向する面）には、前記従来例のガイド板と同
様に、第１図破線で示す如く、突起３を通過させ
るための凹溝２１が設けられている。

このように構成された硬貨供給装置において
は、斜円板２を回転させることによつて、ホツパ
ー１にばらばらの状態で収容した硬貨Ｃが突起３
に引つ掛けられて上方に持ち上げられ、第１図に
おける12時の位置を過ぎた後、段部２ａに沿つて
転がりながら下方へ移動して行く。このとき、転
がりながら斜円板２から離れようとした硬貨Ｃ
は、硬貨押さえ板９，１０によつて押さえられ
て、斜円板２からの離脱が防止されている。

そして、硬貨押さえ板９，１０によつて押さえ
られながら頂上から下方に移動した硬貨Ｃは、従
来と同様エンドレスチエイン５のピン６によつて
第１図左方へ押されて、硬貨通路４の上面に沿つ
て第１図左方向に水平移動して行く。

また、一円硬貨等の軽量の硬貨が突起３に張り
付いている場合、この硬貨は、第４図に示すよう
に、突起３に張り付いたまま、第２の硬貨押さえ
板１０をばね１４の付勢に抗して押し上げながら
さらに下方まで移動して行き、ガイド板１６のテ
ーパー面１９（あるいはガイド１７のテーパー面
２０）により突起３（あるいは斜円板２０そのも
の）から剥がされてホツパー１内に落下する。

なお、第１・第２の硬貨押さえ板の具体的形状
は上記一実施例に限定されるものではなく、斜円
板との間に硬貨一枚分程度の対向間隔を有し、か
つ該対向間隔の変更が可能な他の形状としても良
いのはもちろんである。

「考案の効果」 以上の説明で明らかなように、本考案は、斜円
板の頂上部から硬貨搬送方向に離間した位置に、
斜円板との間に硬貨が通過し得る程度の間隔をお
いて硬貨押さえ板を設け、この硬貨押さえ板によ
つて硬貨の斜円板からの離脱および転倒を防止す
るとともに、硬貨押さえ板を斜円板から離れる方
向に移動自在な構造とし、さらに、斜円板に接近
する方向に付勢するようにしたから、硬貨が斜円
板から離れる方向へ移動することを防止するとと
もに、万一、硬貨が斜円板の突起に固着している
場合に硬貨押さえ板を斜円板から離れる方向に逃
がして、斜円板がロツクされる現象を防止するこ
とができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案の一実施例を示す
もので、第１図は正面図、第２図は第２硬貨押さ
え板の平面図、第３図は第２図の−線に沿う
矢視図、第４図は第１図の−線に沿う矢視
図、第５図ないし第７図は硬貨供給装置の一従来
例を示すもので、第５図は正面図、第６図は縦断
面図、第７図は第５図の−線に沿う矢視図で
ある。 １……ホツパー、２……斜円板、３……突起、
４……硬貨通路、８……ガイド板、９……（第１
の）硬貨押さえ板、１０……（第２の）硬貨押さ
え板、１６，１７……ガイド板、１９，２０……
テーパー面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ホツパー内に傾斜状態に設けられた斜円板の周
   縁部に前記斜円板の回転中心軸の軸線と平行な方
   向へ向けて突設された突起によりホツパー内の硬
   貨を１枚ずつすくい上げてチエーン搬送部へ受け
   渡す硬貨供給装置において、斜円板の頂上部より
   下方でかつ硬貨移送方向前方に離間した位置に、
   硬貨１枚が通過可能な間隔をおいて前記斜円板と
   対向して、斜円板からの硬貨の送り出し方向に沿
   つて第１の硬貨押さえ板を設けるとともに、斜円
   板の表面とほぼ平行な軸を中心として揺動可能に
   支持されて斜円板に接近する方向および離間する
   方向に移動する第２の硬貨押さえ板を設け、該第
   ２の硬貨押さえ板を前記斜円板に向けて付勢した
   ことを特徴とする硬貨供給装置における硬貨押さ
   え込み機構。