JPH0329074Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、高精度な案内及び位置決めを必要
とする精密工作機械、測定器等の送り装置として
利用される静圧空気軸受を備えたスライドテーブ
ル装置に関するものである。

従来の技術 精密工作機械、測定器の如く、サブミクロンの
高精度な案内及び位置決めを必要とするもので
は、その送り装置として、近年、静圧空気軸受を
備えたスライドテーブル装置が利用されている。
このスライドテーブル装置は、第４図及び第５図
に示すように、平板状のベース１上に断面がＴ字
型のテーブルガイド２を固設し、このテーブルガ
イド２のガイド部２ａに、四角筒の下板中央部を
該テーブルガイド２のスタンド部２ｂが嵌挿する
ように切除させて形成した断面が〓型のスライド
テーブル３を摺動自在に抱持させると共に、前記
ガイド部２ａの外周面にスライドテーブル３の内
周面との間に微小な隙間４を設けたもので、外部
のコンプレツサー等で発生させた圧縮空気をスラ
イドテーブル３の内部へ供給し、更にこの圧縮空
気をスライドテーブル３の内部から前記微小隙間
４へ噴出させて該微小隙間４に均一な圧力分布を
形成し、これにより、テーブルガイド２のガイド
部２ａとスライドテーブル３との間に、その上下
左右において静圧空気軸受５ａ，５ｂ，５ｃ，５
ｄを構成してスライドテーブル３に生ずる荷重を
負荷させるようにしてある。そして、この負荷状
態でボールネジ等の適宜の駆動手段にてスライド
テーブル３をテーブルガイド２のガイド部２２ａ
に沿つて移動させるように構成してある。

尚、上記スライドテーブル装置は、スライドテ
ーブル３の下板中央部を切除させてあるから、下
部の静圧空気軸受５ｂの軸受面積が小さくなり、
その軸受剛性が低くなるので、スライドテーブル
３の上板内面に溝６を形成し、この溝６により上
部の静圧空気軸受５ａの軸受面積を小さくしてそ
の軸受剛性を抑えてスライドテーブル３の上下方
向の釣り合いを保つようにしてある。

考案が解決しようとする問題点 ところで、上記スライドテーブル装置は、静圧
空気軸受５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄによつてスライ
ドテーブル３がテーブルガイド２のガイド部２ａ
に対して非接触状態で保持されている。その為、
スライドテーブル３がステツク・スリツプのない
滑らかな動きをする特徴を持つている。しかしな
がら、スライドテーブル３の外部振動に対するダ
ンパー機能を備えておらない為、制御上発振し易
く、しかも、発振するとなかなか減衰されない難
点があり、位置決めを行う場合、振動により位置
決め精度が損なわれる欠点があつた。その為、ス
ライドテーブル３の駆動手段に、その制御機構内
に位相進み回路を入れたり、速度信号をフイード
バツクしたりしてダンパー機能を持たせる必要が
あり、装置全体が複雑化する問題があつた。又、
駆動手段によつては、ヨーイング方向の振動も発
生し、なかなか減衰しなかつた。

問題点を解決するための手段 この考案は上記問題点に鑑み、平板状のベース
上に固設された断面がＴ字型のテーブルガイド
と、四角筒の下板中央部を切除させて断面〓型に
形成され、その上板内面に形成された溝の底面に
多数のポケツトを設けたスライドテーブルと、ス
ライドテーブルのポケツト内に遊嵌される多数の
球体とからなり、テーブルガイドにスライドテー
ブルを摺動自在に抱持させると共に、テーブルガ
イドとスライドテーブルとの間に静圧空気軸受を
構成してスライドテーブルをテーブルガイドに対
して非接触状態で保持し、スライドテーブルの各
ポケツト内に球体を夫々遊嵌し、かつ、この各球
体をテーブルガイド上に転動自在に支受させた構
造のスライドテーブル装置にて上記問題点を解決
するようにしたものである。

作 用 上記スライドテーブル装置は、スライドテーブ
ルの移動時に当接スライドテーブルと球体との間
に生じるすべり抵抗によりスライドテーブルの外
部振動に対するダンパー効果を付与するようにし
たものである。

実施例 第１図乃至第３図はこの考案の一実施例を示す
図面である。同図に於いて、１１は平板状のベー
ス、１２はベース１１上に固設された断面がＴ字
型のテーブルガイド、１３はテーブルガイド１２
のガイド部１２ａに摺動自在に抱持させたスライ
ドテーブルで、四角筒の下板中央部をテーブルガ
イド１２のスタンド部１２ｂが嵌挿するように切
除させて断面〓型に形成されている。このスライ
ドテーブル３の内周面と前記ガイド部１２ａの外
周面との間には、微小な隙間１４が設けてあり、
この微隙間１４に圧縮空気を適宜の方法で噴出し
て均一な圧力分布を形成することにより、スライ
ドテーブル１３とテーブルガイド１２のガイド部
１２ａとの間に、その上下左右において静圧空気
軸受１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１５ｄを構成して
スライドテーブル１３をテーブルガイド１２のガ
イド部１２ａに対して非接触状態で保持させてい
る。１６はスライドテーブル１３の上板内面に、
テーブルガイド１２のガイド部１２ａとスライド
テーブル１３との間の上下に構成される静圧空気
軸受１５ａ，１５ｂの剛性を釣り合せる為に形成
された溝で、その底面に適当数のポケツト１７，
１７…を設け、この各ポケツト１７内にテーブル
ガイド１２のガイド部１２ａの上面に転動自在に
支受された球体１８を夫々遊嵌し、この球体１８
とポケツト１７との間のポケツト隙間１９に粘性
流体、例えばグリース２０を充填している。

以上構造のスライドテーブル装置に於いて、テ
ーブルガイド１２のガイド部１２ａに沿つてスラ
イドテーブル１３を移動させると、球体１８がテ
ーブルガイド１２のガイド部１２ａの上面をスラ
イドテーブル１３のポケツト１７の内壁面１７ａ
と粘性流体を介して接触し、転動する為、球体１
８とポケツト１７の内壁面１７ａとの間に生じる
すべり抵抗によりスライドテーブル１３の外部振
動に対するダンパー効果が得られ、スライドテー
ブル１３に振動が生じても、その振動を直ちに減
衰させることができる。また、球体１８とポケツ
ト１７との間のポケツト隙間１９にグリース２０
を充填している為、スライドテーブル１３が移動
する時、球体１８がスライドテーブル１３のポケ
ツト１７の内壁面１７ａに接触する際に生じる振
動を防止させることができる。

尚、スライドテーブル１３のポケツト１７の深
さＨは、第３図に示すように、球体１８の直径Ｄ
より大きく設定されており、これにより球体１８
の上部とポケツト１７の底面との間に間隙２１が
設けられ、この間隙２１によりテーブルガイド１
２のガイド部１２ａの上面に多小の形状誤差があ
つても、スライドテーブル１３の直進性に影響を
与えることもなく、ダンパー効果だけを付与する
ことができる。

考案の効果 この考案は、静圧空気軸受を用いてスライドテ
ーブルをテーブルガイドに対して非接触状態で移
動させるようにしたスライドテーブル装置におい
て、前記スライドテーブルの上板内面に多数のポ
ケツトを設け、このポケツト内にテーブルガイド
の上面に転動自在に支受された球体を夫々遊嵌さ
せたから、スライドテーブルの移動時に、当該ス
ライドテーブルと球体との間で生じるすべり抵抗
でダンパー効果が得られ、このダンパー効果によ
りスライドテーブルの振動を吸収することができ
る。従つて、この考案のスライドテーブル装置
を、例えば、送り装置として利用した場合、高精
度な案内及び位置決めを行うことができる。

しかも、この考案のスライドテーブル装置は構
成が著しく簡単であり、従来のスライドテーブル
装置に若干の改良を加えるだけで安価に実施でき
る利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のスライドテーブル装置の縦
断面図、第２図はスライドテーブルの上板内面を
示す図面、第３図は要部の拡大図面、第４図は従
来のスライドテーブル装置の斜視図、第５図はそ
の断面図である。 １１……ベース、１２……テーブルガイド、１
２ａ……ガイド部、１２ｂ……スタンド部、１３
……スライドテーブル、１４……微小間隙、１５
ａ，１５ｂ，１５ｃ，１５ｄ……静圧空気軸受、
１６……溝、１７……ポケツト、１８……球体、
１９……ポケツト隙間、２０……グリース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平板状のベース上に固設された断面がＴ字型の
   テーブルガイドと、四角筒の下板中央部を切除さ
   せて断面〓型に形成され、その上板内面に形成さ
   れた溝の底面に多数のポケツトを設けたスライド
   テーブルと、スライドテーブルのポケツト内に遊
   嵌される多数の球体とからなり、テーブルガイド
   にスライドテーブルを摺動自在に抱持させると共
   に、テーブルガイドとスライドテーブルとの間に
   静圧空気軸受を構成してスライドテーブルをテー
   ブルガイドに対して非接触状態で保持し、スライ
   ドテーブルの各ポケツト内に球体を夫々遊嵌し、
   かつ、この各球体をテーブルガイド上に転動自在
   に支受させたことを特徴とするスライドテーブル
   装置。