JPH0328498B2 - - Google Patents
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- JPH0328498B2 JPH0328498B2 JP61202721A JP20272186A JPH0328498B2 JP H0328498 B2 JPH0328498 B2 JP H0328498B2 JP 61202721 A JP61202721 A JP 61202721A JP 20272186 A JP20272186 A JP 20272186A JP H0328498 B2 JPH0328498 B2 JP H0328498B2
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、耐粒界腐食性、耐応力腐食割れ性及
び熱間加工性に優れるNi基合金に関するもので
あり、特に本発明は、高温水中での耐粒界型応力
腐食割れ性を改善したCrを含有するNi基合金に
関するものである。 (従来の技術) 近年化学工業、エネルギー産業の発展によつて
装置材料の受ける使用環境は多岐にわたり厳しい
条件下で使用される場合が多くなつており、安全
性に対する信頼性要求の高まりと共に安定した耐
食性を有する材料が要求されている。このような
理由から、環境の厳しい条件下ではステンレス鋼
やNi基合金が広く使用されている。なかでも塩
化物環境における粒内応力腐食割れに対しては
Ni基合金の方がオーステナイトステンレス鋼よ
りも優れた抵抗性を有するが、高Ni合金にあつ
てはCの固溶量が少ないため粒界が鋭敏化し易い
欠点があり、高温水中で粒界型応力腐食割れが懸
念される。 従来インコネル600の粒界腐食および粒界応力
腐食割れに対してはTiまたはNbなどの安定化元
素を添加して、固溶Cを予め固定する安定化熱処
理を施す対策がとられているが、溶接熱影響部、
特に高温熱影響部においては上記安定化効果が消
えて溶接時及びその後の歪取り焼鈍などの熱処理
により粒界が鋭敏化されることが少なくなかつ
た。上記粒界の鋭敏化は粒界に炭化クロムが析出
することにより粒界近傍においてCrが減少する、
いわゆるCr欠乏に起因する現象である。従つて
実機を考慮した場合には溶接部をも考慮した耐粒
界応力腐食性並びに耐粒内及び耐粒界応力腐食割
れ性に優れる合金が必要であることが要望されて
いた。 1981年4月に行われた日本金属学会講演会の講
演概要集第268頁によれば、インコネル600合金の
耐粒界腐食性改善のためには、Cを0.01%以下に
するか、あるいはNbを添加することが有効であ
ると記載され、さらにはNを粒界鋭敏化を促進す
るので有害であると記載されている。しかしなが
らこの合金はCおよびNの含有量が低くなると機
械的強度が低くなり、0.2%耐力はインコネル600
の規格である25Kg/mm2を下廻るという欠点があ
る。 また1982年5月に行われた腐食防食協会春期学
術講演大会の講演概要集第160頁には、インコネ
ル600合金の溶着金属の耐粒界腐食性に対してNb
およびTiが有効であることが記載されている。
しかしながら、この溶着金属は耐力を維持するた
めCを0.04%以上にするとNbを多量に添加しな
ければならず、コストアツプおよび熱間加工性、
溶接性劣化などの原因になる。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、従来のインコネル600、ならびに上
記日本金属学会および腐食防食協会の講演会で発
表された前記合金の有する欠点を除去し、さらに
改良した合金を提供することを目的とするもので
あり、特許請求の範囲記載の合金を提供すること
によつて前記目的を達成することができる。すな
わち本発明は、従来のインコネル600合金をベー
スとしてその機械的強度を維持しつつ、溶接熱影
響部をも含めた耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐食
割れ性を改善した合金を提供するものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、インコネル600合金組成をベー
スとしてNbとCの含有量を %Nb100(%C−0.005) にコントロールすることにより溶接部を含めた耐
粒界腐食性及び耐粒界応力腐食割れ性を改善し、
またC、Nを%C+%N≧0.04%にコントロール
することにより、機械的強度を高めた合金を得る
ことに成功した。すなわち、耐粒界腐食性に対し
てはNbを添加すると共に、Nの添加が有効であ
ることを新規に知見し、さらにNは機械的強度に
有効であることをも知見した。 従来、NはCと同様にCrと化合してクロム窒
化物として粒界に析出して粒界が鋭敏化する原因
となるために有害であるとして極めて低くコント
ロールされていたが、本発明者らは、クロム窒化
物の析出挙動はクロム炭化物のそれと著しく異な
り、むしろ耐粒界腐食性に有効であること、また
Nは機械的強度を高めるのに有効であることに着
目して、従来有害であると言われていたNを積極
的に添加し、さらにB、Mgを添加して機械的強
度を損うことなく耐粒界腐食性、耐粒界応力腐食
割れ性および熱間加工性に優れるNi基合金に想
到して本発明を完成した。すなわち本発明合金は
従来のインコネル600に比べて機械的強度は同一
水準であるか又は上回り、かつ耐粒界腐食性及び
耐応力腐食割れ性の点において優れた合金であ
る。 (実施例) 次に本発明を実験データについて説明する。 第1表に成分組成を示す本発明合金1〜4と比
較合金5〜7をそれぞれ大気誘導炉で溶解して6
Kg鋼塊とし、鍛造によつて厚さ10mm、幅70mmにし
素材熱処理として1100℃×1h加熱後水冷し、さ
らに870℃×2h加熱後水冷した。かくして得られ
た鋼片を機械試験に供した。一方耐食性試験用と
して第1図に示すように開先加工して多層肉盛
し、600℃×20h熱処理した後空冷し、さらに500
℃×40h熱処理後空冷した鋼片を作つた。溶接は
TIG溶接で行い溶接フイラーメタルの成分組成は
第2表のものを用いた。試験片はいずれも溶接部
断面を切り出し、最終湿式#800まで研摩した。
第3表に0.2%耐力、粒界腐食試験及び高温水応
力腐食割れ試験のそれぞれの結果を示す。 粒界腐食及び高温水応力腐食割れ試験後試験片
の断面を光学顕微鏡で観察し、粒界腐食の場合は
最大侵食度dを測定し、また高温水応力腐食割れ
の場合は割れの有無を調べた。
び熱間加工性に優れるNi基合金に関するもので
あり、特に本発明は、高温水中での耐粒界型応力
腐食割れ性を改善したCrを含有するNi基合金に
関するものである。 (従来の技術) 近年化学工業、エネルギー産業の発展によつて
装置材料の受ける使用環境は多岐にわたり厳しい
条件下で使用される場合が多くなつており、安全
性に対する信頼性要求の高まりと共に安定した耐
食性を有する材料が要求されている。このような
理由から、環境の厳しい条件下ではステンレス鋼
やNi基合金が広く使用されている。なかでも塩
化物環境における粒内応力腐食割れに対しては
Ni基合金の方がオーステナイトステンレス鋼よ
りも優れた抵抗性を有するが、高Ni合金にあつ
てはCの固溶量が少ないため粒界が鋭敏化し易い
欠点があり、高温水中で粒界型応力腐食割れが懸
念される。 従来インコネル600の粒界腐食および粒界応力
腐食割れに対してはTiまたはNbなどの安定化元
素を添加して、固溶Cを予め固定する安定化熱処
理を施す対策がとられているが、溶接熱影響部、
特に高温熱影響部においては上記安定化効果が消
えて溶接時及びその後の歪取り焼鈍などの熱処理
により粒界が鋭敏化されることが少なくなかつ
た。上記粒界の鋭敏化は粒界に炭化クロムが析出
することにより粒界近傍においてCrが減少する、
いわゆるCr欠乏に起因する現象である。従つて
実機を考慮した場合には溶接部をも考慮した耐粒
界応力腐食性並びに耐粒内及び耐粒界応力腐食割
れ性に優れる合金が必要であることが要望されて
いた。 1981年4月に行われた日本金属学会講演会の講
演概要集第268頁によれば、インコネル600合金の
耐粒界腐食性改善のためには、Cを0.01%以下に
するか、あるいはNbを添加することが有効であ
ると記載され、さらにはNを粒界鋭敏化を促進す
るので有害であると記載されている。しかしなが
らこの合金はCおよびNの含有量が低くなると機
械的強度が低くなり、0.2%耐力はインコネル600
の規格である25Kg/mm2を下廻るという欠点があ
る。 また1982年5月に行われた腐食防食協会春期学
術講演大会の講演概要集第160頁には、インコネ
ル600合金の溶着金属の耐粒界腐食性に対してNb
およびTiが有効であることが記載されている。
しかしながら、この溶着金属は耐力を維持するた
めCを0.04%以上にするとNbを多量に添加しな
ければならず、コストアツプおよび熱間加工性、
溶接性劣化などの原因になる。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、従来のインコネル600、ならびに上
記日本金属学会および腐食防食協会の講演会で発
表された前記合金の有する欠点を除去し、さらに
改良した合金を提供することを目的とするもので
あり、特許請求の範囲記載の合金を提供すること
によつて前記目的を達成することができる。すな
わち本発明は、従来のインコネル600合金をベー
スとしてその機械的強度を維持しつつ、溶接熱影
響部をも含めた耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐食
割れ性を改善した合金を提供するものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、インコネル600合金組成をベー
スとしてNbとCの含有量を %Nb100(%C−0.005) にコントロールすることにより溶接部を含めた耐
粒界腐食性及び耐粒界応力腐食割れ性を改善し、
またC、Nを%C+%N≧0.04%にコントロール
することにより、機械的強度を高めた合金を得る
ことに成功した。すなわち、耐粒界腐食性に対し
てはNbを添加すると共に、Nの添加が有効であ
ることを新規に知見し、さらにNは機械的強度に
有効であることをも知見した。 従来、NはCと同様にCrと化合してクロム窒
化物として粒界に析出して粒界が鋭敏化する原因
となるために有害であるとして極めて低くコント
ロールされていたが、本発明者らは、クロム窒化
物の析出挙動はクロム炭化物のそれと著しく異な
り、むしろ耐粒界腐食性に有効であること、また
Nは機械的強度を高めるのに有効であることに着
目して、従来有害であると言われていたNを積極
的に添加し、さらにB、Mgを添加して機械的強
度を損うことなく耐粒界腐食性、耐粒界応力腐食
割れ性および熱間加工性に優れるNi基合金に想
到して本発明を完成した。すなわち本発明合金は
従来のインコネル600に比べて機械的強度は同一
水準であるか又は上回り、かつ耐粒界腐食性及び
耐応力腐食割れ性の点において優れた合金であ
る。 (実施例) 次に本発明を実験データについて説明する。 第1表に成分組成を示す本発明合金1〜4と比
較合金5〜7をそれぞれ大気誘導炉で溶解して6
Kg鋼塊とし、鍛造によつて厚さ10mm、幅70mmにし
素材熱処理として1100℃×1h加熱後水冷し、さ
らに870℃×2h加熱後水冷した。かくして得られ
た鋼片を機械試験に供した。一方耐食性試験用と
して第1図に示すように開先加工して多層肉盛
し、600℃×20h熱処理した後空冷し、さらに500
℃×40h熱処理後空冷した鋼片を作つた。溶接は
TIG溶接で行い溶接フイラーメタルの成分組成は
第2表のものを用いた。試験片はいずれも溶接部
断面を切り出し、最終湿式#800まで研摩した。
第3表に0.2%耐力、粒界腐食試験及び高温水応
力腐食割れ試験のそれぞれの結果を示す。 粒界腐食及び高温水応力腐食割れ試験後試験片
の断面を光学顕微鏡で観察し、粒界腐食の場合は
最大侵食度dを測定し、また高温水応力腐食割れ
の場合は割れの有無を調べた。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
備考:○割れなし ×割れ発生
第3表によれば、本発明合金1〜4の機械的性
質すなわち0.2%耐力(Kg/mm2)はインコネル600
の0.2%耐力規格である25Kg/mm2よりも何れも大
きく、かつ比較合金5〜7のそれに比べても大き
いことが判る。粒界腐食試験によれば本発明合金
1〜4の最大侵食度dは何れも500μm/day以下
と極めて小さく良好であるが、比較合金5〜7の
それは何れも1500μm/day以上と極めて大きか
つた。また、高温水応力腐食割れ試験(CBBテ
スト)による結果では、本発明合金1〜4は何れ
も割れがなく良好であるが、比較合金5〜7は何
れも割れが発生した。 (作用) 次に、各成分組成の作用について詳細に説明す
る。 第2図はNb量をそれぞれ0%、0.5%、1.5%、
2.3%含有する場合の粒界腐食最大侵食度dに及
ぼす含有C量の影響を示す図であり、最大侵食度
dが500μm/day以下になる限界C量はNb添加
量の増加とともに大きくなる。 第3図は、第2図においてd500μm/dayに
なる限界C量とそのときのNb量の相関関係を示
す図であり、同図中に示す直線はN0.01%以上の
場合の%Nb/(%C−0.005)=100の関係を示
し、前記直線の左側の斜線を施した領域、すなわ
ち%Nb/(%C−0.005)100の領域において
はdは500μm/day以下であり、前記直線の右側
の領域、すなわち%Nb/(%C−0.005)<100の
領域においてはdは500μm/dayより大であるこ
とが判る。同図においてCが0.045%より大きい
ときに、dを500μm/day以下にするにはNb量
を4%より多く含有させる必要があるが、このよ
うに多量のNbを含有させると熱間加工性が劣化
して生産性が低下する。 第4図はインコネル600合金を基本とし、Nを
0.03%を含有させ、数種の他の含有元素とその含
有量を変化させた合金A〜Dについての加熱温度
と絞りとの関係を示す図である。同図中、合金A
はS0.004%とNb2.5%を含有する比較合金、合金
BはS0.004%、Nb3.5%、B0.0020%、Mg0.010%
を含有する本発明合金、合金CはS0.003%、
Nb2.8%、Al0.11%、Zr0.18%を含む比較合金、
合金DはS0.002%、Nb3.5%、Ti0.2%、B0.0018
%、Mg0.012%、Al0.12%、Zr0.15%を含有する
本発明合金である。 同図によれば、本発明合金BはB、Mgを含ま
ない合金A,Cに比べて熱間加工性に優れ、ま
た、B、Mgを含み、Al、Zrを複合で含む本発明
合金は熱間加工性がさらに良い。 第5図は合金のCとNとの和と0.2%耐力σ0.2
との関係を示す図であり、硬さ及び耐力はCとN
との和が大きい程大きくなり、例えばインコネル
600の0.2%耐力の規格である25Kg/mm2以上を満足
するためには、CとNとの和は0.04%以上必要で
あることが同図より判る。 次に本発明の合金において成分組成を限定する
理由を説明する。 Cは、第5図に示すように機械的強度向上の点
で有効であるが、その量が0.045%よりも多いと
溶接部の耐食性の劣化を防止するためのNbの含
有量を多くしなければならず、そうすると熱間加
工性が劣化するので、Cは0.045%以下にする必
要があり、熱間加工性の点では0.030%以下のと
き最も良い結果が得られれる。 Siは、脱酸剤として用いられるものであり、ま
た不可避に混入する元素であるが、その量が1.0
%より多いと耐粒界腐食性が劣化するので、Siは
1.0%以下にする必要がある。 Mnは、Siと同様脱酸剤として用いられるもの
であり、またFeなどの原料から不可避に混入す
る元素であるが、その量が1.0%より多いと耐粒
界腐食性が劣化するので、Mnは1.0%以下にする
必要がある。 Pは少ないほど好ましく、不可避的に混入する
元素であるが0.030%より多いと耐粒界腐食性及
び溶接性が劣化するので、Pは0.030%以下にす
る必要がある。 SはPと同様不可避的に混入する元素であり少
ないほど好ましく、0.030%より多いと熱間加工
性が著しく劣化するので、Sは0.030%以下にす
る必要がある。 Crは耐食性を発揮させるのには不可欠の元素
であり、Crは14%より少ないと耐食性が劣化し、
一方26%より多いと高温強度が高くなり製造性が
低下するので、Crは14〜26%の範囲内にする必
要がある。 Feは、合金元素として安価であり、特性に影
響しない範囲で高価なNiに置き換えて使用する
ことができるが、その量が25%より多いとNi基
合金の特徴である塩化物環境における耐粒内応力
腐食割れ性が劣化するので、Feは25%以下にす
る必要がある。 Nbは耐粒界腐食性に寄与する元素であり、粒
界腐食の原因になる有害Cを固定するには100×
(%C−0.005)%以上の添加が必要である。しか
し、Nbをあまり多量に添加すると熱間加工性が
劣化するので、Nbは4.0%以下にする必要があ
る。 Nは本発明合金においては不可欠の元素であ
り、機械的強度、耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐
食割れ性の向上に有効である。Nは0.01%より少
ないと機械的強度、特に0.2%耐力が劣化し、一
方、0.2%より多いと第6図に示すようにNの固
溶限界量に近づきブローホールが生じやすくなる
ので、Nは0.01〜0.2%の範囲内にする必要があ
る。 CとNの和が0.040%より少ないと第5図に示
したように0.2%耐力が25Kg/mm2に達しないので、
CとNの和は0.040%以上にする必要がある。 Ti、Zr、Alはそれぞれ脱酸剤として熱間加工
性の改善に有効な元素であり、特にBおよびMg
との複合で熱間加工性が一段と改善される。また
なかでもTiはブローホールの発生を抑止する効
果が大きく、かつ溶接高温熱影響部の耐食性を向
上させる元素であるが、Ti、Zr、Alのなかから
選ばれる何れか1種または2種以上が合計で1%
より多いと上記諸効果が期待されないので、1%
以下にする必要がある。 B、Mgはそれぞれ熱間加工性を向上させるこ
とに寄与する元素である。しかし、B、Mgはそ
れぞれ0.005%、0.05%を超えると熱間加工性が
劣化するので、B、Mgはそれぞれ0.005%以下、
0.05%以下にする必要がある。 (発明の効果) 以上本発明のNi基合金は0.2%耐力は25Kg/mm2
以上であり、耐粒界腐食性並びに耐応力腐食割れ
性に優れ、さらに熱間加工性に優れる合金であ
り、化学工業並びにエネルギー産業、なかでも原
子力発電用機器として優れた諸特性を有する合金
である。
第3表によれば、本発明合金1〜4の機械的性
質すなわち0.2%耐力(Kg/mm2)はインコネル600
の0.2%耐力規格である25Kg/mm2よりも何れも大
きく、かつ比較合金5〜7のそれに比べても大き
いことが判る。粒界腐食試験によれば本発明合金
1〜4の最大侵食度dは何れも500μm/day以下
と極めて小さく良好であるが、比較合金5〜7の
それは何れも1500μm/day以上と極めて大きか
つた。また、高温水応力腐食割れ試験(CBBテ
スト)による結果では、本発明合金1〜4は何れ
も割れがなく良好であるが、比較合金5〜7は何
れも割れが発生した。 (作用) 次に、各成分組成の作用について詳細に説明す
る。 第2図はNb量をそれぞれ0%、0.5%、1.5%、
2.3%含有する場合の粒界腐食最大侵食度dに及
ぼす含有C量の影響を示す図であり、最大侵食度
dが500μm/day以下になる限界C量はNb添加
量の増加とともに大きくなる。 第3図は、第2図においてd500μm/dayに
なる限界C量とそのときのNb量の相関関係を示
す図であり、同図中に示す直線はN0.01%以上の
場合の%Nb/(%C−0.005)=100の関係を示
し、前記直線の左側の斜線を施した領域、すなわ
ち%Nb/(%C−0.005)100の領域において
はdは500μm/day以下であり、前記直線の右側
の領域、すなわち%Nb/(%C−0.005)<100の
領域においてはdは500μm/dayより大であるこ
とが判る。同図においてCが0.045%より大きい
ときに、dを500μm/day以下にするにはNb量
を4%より多く含有させる必要があるが、このよ
うに多量のNbを含有させると熱間加工性が劣化
して生産性が低下する。 第4図はインコネル600合金を基本とし、Nを
0.03%を含有させ、数種の他の含有元素とその含
有量を変化させた合金A〜Dについての加熱温度
と絞りとの関係を示す図である。同図中、合金A
はS0.004%とNb2.5%を含有する比較合金、合金
BはS0.004%、Nb3.5%、B0.0020%、Mg0.010%
を含有する本発明合金、合金CはS0.003%、
Nb2.8%、Al0.11%、Zr0.18%を含む比較合金、
合金DはS0.002%、Nb3.5%、Ti0.2%、B0.0018
%、Mg0.012%、Al0.12%、Zr0.15%を含有する
本発明合金である。 同図によれば、本発明合金BはB、Mgを含ま
ない合金A,Cに比べて熱間加工性に優れ、ま
た、B、Mgを含み、Al、Zrを複合で含む本発明
合金は熱間加工性がさらに良い。 第5図は合金のCとNとの和と0.2%耐力σ0.2
との関係を示す図であり、硬さ及び耐力はCとN
との和が大きい程大きくなり、例えばインコネル
600の0.2%耐力の規格である25Kg/mm2以上を満足
するためには、CとNとの和は0.04%以上必要で
あることが同図より判る。 次に本発明の合金において成分組成を限定する
理由を説明する。 Cは、第5図に示すように機械的強度向上の点
で有効であるが、その量が0.045%よりも多いと
溶接部の耐食性の劣化を防止するためのNbの含
有量を多くしなければならず、そうすると熱間加
工性が劣化するので、Cは0.045%以下にする必
要があり、熱間加工性の点では0.030%以下のと
き最も良い結果が得られれる。 Siは、脱酸剤として用いられるものであり、ま
た不可避に混入する元素であるが、その量が1.0
%より多いと耐粒界腐食性が劣化するので、Siは
1.0%以下にする必要がある。 Mnは、Siと同様脱酸剤として用いられるもの
であり、またFeなどの原料から不可避に混入す
る元素であるが、その量が1.0%より多いと耐粒
界腐食性が劣化するので、Mnは1.0%以下にする
必要がある。 Pは少ないほど好ましく、不可避的に混入する
元素であるが0.030%より多いと耐粒界腐食性及
び溶接性が劣化するので、Pは0.030%以下にす
る必要がある。 SはPと同様不可避的に混入する元素であり少
ないほど好ましく、0.030%より多いと熱間加工
性が著しく劣化するので、Sは0.030%以下にす
る必要がある。 Crは耐食性を発揮させるのには不可欠の元素
であり、Crは14%より少ないと耐食性が劣化し、
一方26%より多いと高温強度が高くなり製造性が
低下するので、Crは14〜26%の範囲内にする必
要がある。 Feは、合金元素として安価であり、特性に影
響しない範囲で高価なNiに置き換えて使用する
ことができるが、その量が25%より多いとNi基
合金の特徴である塩化物環境における耐粒内応力
腐食割れ性が劣化するので、Feは25%以下にす
る必要がある。 Nbは耐粒界腐食性に寄与する元素であり、粒
界腐食の原因になる有害Cを固定するには100×
(%C−0.005)%以上の添加が必要である。しか
し、Nbをあまり多量に添加すると熱間加工性が
劣化するので、Nbは4.0%以下にする必要があ
る。 Nは本発明合金においては不可欠の元素であ
り、機械的強度、耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐
食割れ性の向上に有効である。Nは0.01%より少
ないと機械的強度、特に0.2%耐力が劣化し、一
方、0.2%より多いと第6図に示すようにNの固
溶限界量に近づきブローホールが生じやすくなる
ので、Nは0.01〜0.2%の範囲内にする必要があ
る。 CとNの和が0.040%より少ないと第5図に示
したように0.2%耐力が25Kg/mm2に達しないので、
CとNの和は0.040%以上にする必要がある。 Ti、Zr、Alはそれぞれ脱酸剤として熱間加工
性の改善に有効な元素であり、特にBおよびMg
との複合で熱間加工性が一段と改善される。また
なかでもTiはブローホールの発生を抑止する効
果が大きく、かつ溶接高温熱影響部の耐食性を向
上させる元素であるが、Ti、Zr、Alのなかから
選ばれる何れか1種または2種以上が合計で1%
より多いと上記諸効果が期待されないので、1%
以下にする必要がある。 B、Mgはそれぞれ熱間加工性を向上させるこ
とに寄与する元素である。しかし、B、Mgはそ
れぞれ0.005%、0.05%を超えると熱間加工性が
劣化するので、B、Mgはそれぞれ0.005%以下、
0.05%以下にする必要がある。 (発明の効果) 以上本発明のNi基合金は0.2%耐力は25Kg/mm2
以上であり、耐粒界腐食性並びに耐応力腐食割れ
性に優れ、さらに熱間加工性に優れる合金であ
り、化学工業並びにエネルギー産業、なかでも原
子力発電用機器として優れた諸特性を有する合金
である。
第1図は腐食試験に供した溶接試験片の斜視
図、第2図は合金の種々のNb含有量の場合につ
いてC含有量と粒界最大侵食度dとの関係を示す
図、第3図は合金のCとNbの含有量が最大侵食
度dに及ぼす関係を示す図、第4図は合金の加熱
温度と絞りとの関係を示す図、第5図は合金のC
とNの含有量の和と0.2%耐力σ0.2との関係を示
す図、第6図はN固溶量に及ぼすNi、Cr、Fe含
有量依存性を示す図である。
図、第2図は合金の種々のNb含有量の場合につ
いてC含有量と粒界最大侵食度dとの関係を示す
図、第3図は合金のCとNbの含有量が最大侵食
度dに及ぼす関係を示す図、第4図は合金の加熱
温度と絞りとの関係を示す図、第5図は合金のC
とNの含有量の和と0.2%耐力σ0.2との関係を示
す図、第6図はN固溶量に及ぼすNi、Cr、Fe含
有量依存性を示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C0.045%以下、Si1.0%以下、Mn1.0%以下、
Cr14〜26%、Fe25%以下、P0.030%以下、
S0.030%以下、N0.01〜0.2%、CとNとの和
0.040%以上、Nb4%以下でかつ100×(%C−
0.005)%以上、B0.005%以下、Mg0.05%以下を
含み、残部実質的にNiよりなる耐粒界腐食性、
耐応力腐食割れ性および熱間加工性に優れるNi
基合金。 2 C0.045%以下、Si1.0%以下、Mn1.0%以下、
Cr14〜26%、Fe25%以下、P0.030%以下、
S0.030%以下、N0.01〜0.2%、CとNとの和
0.040%以上、Nb4%以下でかつ100×(%C−
0.005)%以上、B0.005%以下、Mg0.05%以下を
含み、Ti、Zr、Alのなかから選ばれる何れか1
種または2種以上合計で1%以下、残部実質的に
Niよりなる耐粒界腐食性、耐応力腐食割れ性及
び熱間加工性に優れるNi基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20272186A JPS6244546A (ja) | 1986-08-30 | 1986-08-30 | 耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性及び熱間加工性に優れるNi基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20272186A JPS6244546A (ja) | 1986-08-30 | 1986-08-30 | 耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性及び熱間加工性に優れるNi基合金 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16683382A Division JPS5956555A (ja) | 1982-09-25 | 1982-09-25 | 耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性及び熱間加工性に優れるNi基合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6244546A JPS6244546A (ja) | 1987-02-26 |
JPH0328498B2 true JPH0328498B2 (ja) | 1991-04-19 |
Family
ID=16462061
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20272186A Granted JPS6244546A (ja) | 1986-08-30 | 1986-08-30 | 耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性及び熱間加工性に優れるNi基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6244546A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4409409B2 (ja) * | 2004-10-25 | 2010-02-03 | 株式会社日立製作所 | Ni−Fe基超合金とその製造法及びガスタービン |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5738662A (en) * | 1980-08-19 | 1982-03-03 | Japan Electronic Control Syst Co Ltd | Two-cycle internal combustion engine |
-
1986
- 1986-08-30 JP JP20272186A patent/JPS6244546A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5738662A (en) * | 1980-08-19 | 1982-03-03 | Japan Electronic Control Syst Co Ltd | Two-cycle internal combustion engine |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6244546A (ja) | 1987-02-26 |
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