JPH0326912B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は粉末成型体からなるセルペレツトおよ
び発熱剤を用いた熱電池の製造法の改良に関する
ものである。 熱電池は常温においては電解質が固体で非電動
体であるが、使用時、内蔵した発熱剤を燃焼させ
て高温に加熱し、電解質を溶融させることによつ
て、極めて高い電導性を示し、大電流の放電が可
能となる電池である。また、この熱電池は自己放
電がほとんどなく、10年以上の保存が可能であ
り、薄いセルペレツトと発熱剤を多数枚積層する
ことによつて、小型で高電圧が出せる電池が得ら
れ、ロケツトを始めとして各種飛翔体の電源ある
いは各種非常用・緊急用電源として実用化されて
いる。 従来の技術 従来の熱電池には二層一体ペレツトか、三層一
体ペレツトが用いられている。（例えば、特公昭
59−42422号および特開昭59−169074号参照） 二層一体ペレツトはクロム酸カルシウム−カル
シウム系の熱電池において一般的であり、クロム
酸カルシウムの正極層と、塩化リチウム−塩化カ
リウムと吸着剤との混合物からなる電解質層との
二層を粉末成型でペレツトにし、負極のカルシウ
ムは板状で用いている。 また、三層一体ペレツトは硫化鉄−リチウム合
金系の熱電池で用いられており、硫化鉄粉末から
なる正極層と、塩化リチウム−塩化カリウムと吸
着剤との混合物からなる電解質層と、リチウム−
アルミニウム合金あるいはリチウム−ケイ素合金
などのリチウム合金粉末からなる負極層との三層
を粉末成型で一体化し、この三層一体のセルペレ
ツトと、クロム酸バリウムとジルコニウムとの発
熱混合物あるいは過塩素カリウムと鉄粉末との発
熱混合物からなる発熱ペレツトとを交互に積層し
て熱電池を製作していた。 発明が解決しようとする問題点 従来の硫化鉄−リチウム合金系の熱電池に用い
る三層一体のセルペレツトは各層が粉末であり、
厚みの比率もほぼ同程度で、強度の中心となる層
がないため、厚みを１mm以下にすると強度が小さ
く、極めて破損し易くなつた。このため１mm以下
の薄形ペレツトを用いて、内部抵抗が小さく、大
電流放電が可能な熱電池を製造することは困難で
あつた。 問題点を解決するための手段 鉄粉末と過塩素酸カリウムとの混合物よりなる
発熱剤粉末と、負極層粉末と、電解質粉末と、正
極層粉末とを加圧成型して、発熱層、負極層、電
解質層、正極層の四層が一体に成型されたセル・
発熱ペレツトを得ることを特徴とする。 作 用 本発明は、単独では機械的強度が低い正極層と
電解質層と負極層および発熱層とを、四層一体に
加圧成型したペレツトとすることにより全体の強
度を高め、取扱を容易にしたものである。すなわ
ち、正極層、電解質層、増極層、発熱層の四層を
一体化することによつて、セル部を構成する正極
層、電解質層、増極層の三層を合計厚さが１mm以
下であるペレツトを可能にするものである。発熱
層は鉄粉末と過塩素酸カリウム粉末の混合物から
なり、加圧成型によつて鉄粉末同士が結着した強
度の大きい成型体となる。本発明においてセル部
と機械的強度が比較的大きい発熱層とを一体に加
圧成型することによつて、セル部が薄くても発熱
層が補強支持体としての役割をはたして、全体と
して強度が大きく、製造歩留まりが良く、取扱い
が容易で、破損不良が少ないセル・発熱剤一体ペ
レツトを大量に製造することができる。 実施例 第１図において、１は本発明により四層を一体
に加圧成型したセル・発熱ペレツトで、直径50
mm、厚み1.6mmである。２は発熱層で、鉄粉末85
％と過塩素酸カリウム粉末15％との混合物からな
り、厚みは0.8mmである。３は負極層で、リチウ
ム−アルミニウム合金粉末（100メツシユ以下）
からなり、厚みは0.2mmである。４は電解質層で、
塩化リチウム−塩化カリウム共晶塩と酸化マグネ
シウムとの混合物からなり、厚みは0.3mmである。
５は正極層で、硫化鉄（FeS2）粉末を主成分と
する正極混合物からなり、厚みは0.3mmである。 セル・発熱ペレツト１は金型に発熱層粉末２、
負極層粉末３、電解質層粉末４および正極層粉末
５を順次充填し、均一に均し、上均型をのせて
2t／cm²の圧力で加圧成型したものである。 第２図は上記セル・発熱体ペレツト１を10枚積
層して構成した熱電池を示したもので、この積層
体の下部に負極集電体６を、上部に正極集電体７
を配置する。８はクロム酸バリウムとジルコニウ
ムとの混合物を成型した着火剤である。９は点火
玉、１０は点火用端子、１１は正極端子、１２は
負極端子、１３は正極リード線、１４は負極リー
ド線、１５は断熱材、１６は金属製電池ケース、
７は各端子をガラスで絶縁して貫通させた金属製
カバーである。 この電池の点火用端子１０に電圧を印加する
と、点火玉９が発火し、着火剤８が燃焼し、この
火炎によりセル・発熱ペレツト１の発熱層２が発
火し、発熱層で発生した熱が隣接する負極層３お
よび正極層５を通して電解質層４に伝わり、電解
質層中の塩化リチウム−塩化カリウム共晶塩（共
晶点352℃）が溶融し、セルは発電状態になる。 鉄粉末85％と過塩素酸カリウム15％からなる発
熱層は発熱後も鉄が残り、電気導電性があり、隣
接セルを直列に電気的に接続する役割を果してい
る。 第３図はセル・発熱体ペレツトの他の実施例を
示すものである。第１図の実施例では発熱層２と
負極層３とが接触しているが、第３図では発熱層
２と正極層５とが接触している。積層電池におい
ては複数のセル層と発熱層とが順次交互に繰り返
されるために、正極層、電解質層、負極層、発熱
層の積層時の各位置関係が同じになれば、加圧成
型時の金型への粉末原料の充填順序は変更が可能
である。但し、積層体の端の構成については正常
なセル構成になるように調整が必要である。 尚、本発明において四層一体のペレツトを複数
個積層するに際し、各セル・発熱ペレツトの間に
熱緩衝用として薄い金属板を挿入してもよい。 本発明になる電池と従来の三層一体のペレツト
を用いた電池との電池特性の比較を第１表に示
す。本発明によるペレツトは従来品より機械的が
高いために取扱中の破損が少なく、またセルと発
熱層とが一体に成型されているために、層間の接
触性がよく、電池活性化時の電圧立ち上がりが速
くなり、電池の内部抵抗も小さくなつた。 発明の効果 本発明は正極粉末と電解質粉末と負極粉末と発
熱剤粉末とを四層一体に加圧成型することによつ
て、薄型のセル・発熱ペレツトを得ることができ
る。本発明によるペレツトを用いれば、熱電池製
造時のペレツトの破損が少なく、活性化時の電圧
立ち上がりが速くなり、内部抵抗も小さくなる。
また、セルと発熱剤とを同時に成型するために製
造工程が少なくなるという利点もある。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるセル・発熱ペレツトの一
実施例を示す断面図、第２図は本発明方法により
製造した熱電池の断面図であり、第３図は他の実
施例に用いるセル・発熱ペレツトの断面図であ
る。 １……セル・発熱ペレツト、２……発熱層、３
……負極層、４……電解質層、５……正極層。