JPH03268877A - 耐硫化物応力割れ性油井用溶接鋼管の製造法 - Google Patents

耐硫化物応力割れ性油井用溶接鋼管の製造法

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JPH03268877A
JPH03268877A JP6576490A JP6576490A JPH03268877A JP H03268877 A JPH03268877 A JP H03268877A JP 6576490 A JP6576490 A JP 6576490A JP 6576490 A JP6576490 A JP 6576490A JP H03268877 A JPH03268877 A JP H03268877A
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ceq
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steel pipe
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JP6576490A
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Takahiro Kushida
隆弘 櫛田
Takeo Kudo
赳夫 工藤
Hirotsugu Inaba
稲葉 洋次
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、硫化水素を含んだ原油や天然ガスを掘削す
る油井管用として好適な“耐硫化物応力割れ性に優れた
高強度溶接鋼管”の製造方法に関するものである。
〈従来技術とその課題〉 従来、油井掘削の分野では継目無し鋼管を使用するのが
一般的であった。
なぜなら、油井掘削用鋼管は、通常、自重により降伏応
力に近い値の応力が負荷された状態で使用されるもので
あり、その使用環境も硫化水素を含んだ腐食性の強い環
境である場合が多いため、硫化物応力割れ(以降、SS
Cと略称する)に対して十分な抵抗性が要求される。ま
た、土圧によるコラプス(潰れ)に対しても高い抵抗性
を有していることが必要である。従って、これらの点を
考慮した場合の信頼性は、従来、溶接鋼管よりも継目無
し鋼管の方が一段優れていたからである。
もっとも、“油井管用として満足できる耐SSC性に優
れた鋼材”を実現するための諸要因は従来の検討により
ほぼ判明しているので(例えば特開昭61−12455
0号公報参照)、溶接鋼管であってもその母材部の信頼
性は十分に確保することができた。しかし、溶接部の信
頼性が今一つ十分とは言えなかった。
つまり、溶接部にはどうしても溶接欠陥が存在しがちで
あるが、これが?!A潤H2S環境に曝されると“鋼表
面の腐食により発生し鋼中に浸入した水素”が該溶接欠
陥部にトラップされることとなる。このため、その部位
がSSCの起点となり耐SSC性を劣化させるのである
上述した理由から、油井掘削の用途にはこれまで一般に
継目無し鋼管が適用されてきたが、それでも、継目無し
鋼管にはコスト、生産性、真円度並びに直伸度の点で溶
接鋼管に及ばないと言う問題点も指摘されており、最近
ではこれらの問題を克服すべく “信頼性の高い溶接鋼
管”が望まれている。
ところで、これに類した溶接鋼管を製造する際のシーム
溶接には、通常、サブマージアーク熔接法(以降、SA
Wと略称する)又は電縫溶接法(以降、ERWと略称す
る)が適用されている。
このうちのSAWは、溶接欠陥が発生しにくく、例え欠
陥を発生したとしても非破壊検査で発見して補修するこ
とが可能と言う利点があるものの、油井用網管の如き高
炭素高強度鋼材の溶接では溶接割れの問題があって適用
が困難である。勿論、溶接入熱を低減すればこのような
材料であってもSAWは可能であるが、この場合には必
然的に溶接速度が遅くなり、生産性が著しく損なわれる
と言う別の問題が生じる。
一方、ERWでは溶接速度を速くした高能率な作業が可
能であり、低グレードの油井用鋼管には既にERWM管
の適用も試みられ始めてはいるが、それでもSAWに比
して更に信頼性が不安定であると言う大きな問題が存在
する。それは、大気中での作業においてスケール等の欠
陥誘起物質が接合部に混入し溶接欠陥を多発するからで
ある。不活性ガスシールド中であっても、そのシールド
が不完全であって酸素分圧が高くなった場合にも同様で
ある。また、高周波投入電力が低いと、熔融不足による
溶銅の不安定現象が生して冷接欠陥が発生し易くなると
言った問題もある。
なお、最近、ERW!I’g管接合部の信転接合部手段
が種々検討されており、例えばERW鋼管の接合部及び
その近傍の熱影響部に存在する酸化物系介在物の大きさ
及び個数を限定して耐水素誘起割れ性(耐HIC性)を
改善しようとの提案(特開昭60−213366号)も
なされた。しかしながら、耐SSC性を改善するために
電縫溶接部及び熱影響部の酸化物寸法を限定するのは実
用的な手段とは言えない。即ち、十〜数十ミクロン程度
の酸化物であってもその形状等によってはSSCの起点
となり得るが、このように小さい欠陥を目視或いは非破
壊検査で判別することは実際上不可能に近く、また光学
顕微鏡によるミクロ検査をERWm管のような連続大量
生産するもの全てに実施することも困難だからである。
このようなことから、本発明が目的としたのは、溶接部
においても優れた耐SSC性を示し、API規格(アメ
リカ石油協会規格)によるL80級以上の高強度油井管
としても十分に適用可能な高級溶接鋼管の製造手段を確
立することであった。
く課題を解決するための手段〉 そこで、本発明者等は上記目的を達成すべく鋭意研究を
重ねた結果、次のような知見を得ることができた。即ち
、 +a+  耐SSC性に優れた油井用溶接鋼管を得るた
めには、当然のことながら優れた耐SSC性を備えた素
材綱板を用いる必要があると共に、製管後に管全体の焼
入れ焼戻し処理を施し、鋼板製造時の履歴に関係なく耐
SSCに優れた母材性能を得られるようにすることが欠
かせない。
(b)SSCの原因は、大きく分けて介在物と硬化組織
である。このうち、溶接欠陥は酸化物系介在物が主役を
演じていて溶接衝合面におけるSSCの原因となる。し
かし、このような欠陥誘起物質の混入、ベネトレーター
状欠陥や冷接欠陥の発生を防くことは、既に本出願人に
よって提案されている溶接方法(特開昭63−2209
77号公報参照)によって可能である。ところが、応力
が付加された状態では極めて微小な欠陥であってもSS
Cの起点となり、従来確立されていた技術による耐SS
C性銅板(介在物処理を施すと共に適正な成分組成に調
整された鋼板)を素材としてこれに上記溶接方法を単に
施したとしても、所望性能を有した油井用鋼管は得られ
ない。
なお、本出願人によって提案(特開昭63−22097
7号)された上記溶接方法は、SAW鋼管のシーム溶接
で逆極性消耗電極ワイヤーを使用し、その際の母材に衝
突するイオンのクリーニング現象を利用してオープンパ
イプ両エツジ近傍の表面酸化物除去を図ると共に、アプ
セット量を所定値以上にして欠陥誘導物質を押し出し、
これによって溶接欠陥自身をほぼOに減少させようとし
たものである。しかし、上述したようにこの手段のみで
は耐SSC性の要求される溶接鋼管の製造には不満足だ
ったのである。
(C)シかしながら、上記手段に加えて、溶接鋼管の溶
接部の硬さが母材部と同等かそれ以上となるように図れ
ば、鋼管に応力が付加された際にも溶接部に歪が集中す
ることがなくなり、このため溶接部における微小な欠陥
の影響は殆んどなくなって優れた耐SSC性を示すよう
になる。
(d)  このように、母材に対する溶接部の硬さを適
正な範囲〔具体的にはO≦(溶接部のHν)−(母材部
のHν)≦40である〕に調整するための有効な手段と
しては、母材に比べてCeq(炭素当量)の高い溶接ワ
イヤーを使用する方法が実際的である。
fe)  また、硬化組織におけるSSCはH2S分圧
によってその躍界硬さは異なるものの、一般には 25
0 Hv以下がSSC防止に望ましいと言われているが
、シーム溶接の後に最終的な溶接鋼管全体の焼入れ焼戻
し処理を施せば、上記硬化組織に起因したSSCの発生
は見られない。
本発明は上記知見事項等に基づいてなされたものであり
、 rc:o、20〜0.50%(以降、成分割合を表わす
%は重量%とする) Si : 0.10〜0.80%、  Mn : 0.
10〜0.80%P : 0.025%以下、   、
Mn:0.002%以下so1. Al : 0.01
〜0.10%を含有すると共に、 Ca : 0.0005〜0.0050%希土類元素:
 0.0005〜0.01%のうちの1種以上、或いは
更に Cu : 0.05〜0.50%、  Ni : 0.
05〜0.50%。
Cr : 0.05〜0.50%、  Mo : 0.
05〜0.80%。
Nb : 0.01〜1.20%、   Mo:0.0
1〜1.20%。
Ti : 0.01〜1.20%、   Zr : 0
.01〜1.20%。
B  : 0.0005〜0.0050%のうちの1種
以上をも含み、残部がFe及び不可避不純物から成る熱
延鋼板を素材として成形したオープンパイプの両エツジ
部を、まず高周波電流により800℃以上溶融温度未満
に加熱し、続いて前記両エツジ部が形成する間隙部に重
量割合でC:0.20〜0.50%、  Si : 0
.10〜0.80%。
Mn : 0.10〜0.50%、   P : 0.
025%以下S : 0.01%以下、   sat、
妊: 0.01〜0.10%を含有するか、或いは更に Cu : 0.05〜0.50%、  Ni : 0.
05〜0.50%。
Cr : 0.05〜0.50%、  Mo : 0.
05〜0.80%。
Nb : 0.01〜1.20%、   V : 0.
01〜1.20%Ti : 0.01〜1.20%、 
 Zr : 0.01〜1.20%。
B : 0.0005〜0.0050%のうちの1種以
上をも含むと共に残部がFe及び不可避不純物から成り
、かつ Cr(χ)   Mo(χ)   V(χ)5    
5    5 で算出されるCeq値を用いた式 0.02≦(ワイヤーのCeq)−(母材のCeq)≦
0.10を満足する成分組成の逆極性消耗電極ワイヤー
の先端を供給しつつ、不活性ガスシールド雰囲気下で埋
もれアークを点弧して前記両エツジ部の端面表層部を溶
融すると同時に、該両エツジ部に鋼板厚さの175以上
のアプセット量を加えてこれを接合し、次に得られた鋼
管全体を850〜1100℃に加熱して水冷した後、更
に5゛00〜750℃で焼戻すことにより、耐硫化物応
力割れ性に優れる油井用溶接鋼管を工業的に安定して量
産し得るようにした点」 に特徴を有するものである。
以下、本発明において素材鋼板及び消耗電極ワイヤーの
成分組成、シーム溶接条件並びに熱処理条件を前記の如
くに限定した理由を、その作用と共に詳述する。
〈作用〉 (A)素材鋼板の成分組成 a) C C含有量が0.20%未満では鋼管に所望強度を確保す
ることができず、一方、0.50%を超えてCを含有さ
せると靭性及び溶接性の劣化を招くことから、C含有量
は0.20〜0.50%と定めた。
b) Si 所望の脱酸効果を確保するためには0.10%以上のS
i含有量とする必要があり、一方、0.80%を超えて
Siを含有させると靭性劣化や焼戻し脆化を招くように
なることから、Si含有量は0.10〜0.80%と定
めた。
c) Mn Mn含有量が0.10%未満では鋼管に所望強度を確保
することができず、一方、0.80%を超えてMnを含
有させると耐SSC性の劣化を招くことから、Mn含有
量は0.10〜0.80%と定めた。
d)  P P含有量が0.025%を超えると、母材偏析部の合金
元素濃度が高くなって母材の耐SSC性が低下する他、
焼戻し脆化を招く虞れが出てくる。従って、P含有量は
0.025%以下と定めた。なお、Pは不可避的に混入
する不純物元素であり、その含有量は低いほど好ましい
e)  S S含有量が0.002%を超えると、Ca或いは希土類
元素(以降、REMと略称する)による硫化物系介在物
の形態制御が不可能な?lnSが住成し、耐SSC性が
低下する。従って、S含有量は0.002%以下と定め
た。なお、Sも不可避的に混入する不純物元素であり、
やはりその含有量は低いほど好ましい。
f)   sol   八β 所望の脱酸効果を確保するためには0.01%以上のs
ol、IU含有量が必要であるが、0.10%を超えて
含有させると鋼材の清浄度が悪化することから、sol
、AI含有量は0.01〜0.10%以下と定めた。
g) Ca、及びREM これらの元素は、何れも硫化物系介在物の形態制御によ
り耐SSC性を向上させる作用を有しているので1種又
は2種以上含有せしめられるが、何れもその含有量が0
.0005%未満であると上記作用による所望の効果が
得られず、一方、Ca含有量が0.0050%を超えた
場合にはCa系介在物の増加によって耐SSC性が劣化
し、またREM含有量が0.01%を超えると酸化物系
介在物の増加によって耐HIC性が劣化することから、
Caについてはその含有量を0.0005〜0.005
0%と、REM含有量については0.0005〜0.0
1%とそれぞれ限定した。
h) CIJ、 Nil Cr+ Mo、 Nb+  
V+ Tll Zr及びBこれらの元素は鋼材の強度及
び靭性を向上させる作用を有しており、そのため必要に
応じて1種又は2種以上の添加がなされるが、その含有
量範囲は次の理由に基づいて限定した。
Cu、 Ni 何れもその含有量が0.05%未満であると所望の強度
及び靭性の改善効果が得られず、一方、何れも0.50
%を超えて含有させると溶接性の低下を招く。
Cr その含有量が0.05%未満であると所望の強度及び靭
性の改善効果が得られず、一方、0.50%を超えて含
有させると靭性や耐SSC低下を来たす。
n。
その含有量が0.05%未満であると所望の強度及び靭
性の改善効果が得られず、一方、0.80%を超えて含
有させると靭性低下を招(。
Nb、  V、Ti、及びZr 何れもその含有量が0.01%未満であると所望の強度
及び靭性の改善効果が得られず、一方、何れも1.20
%を超えて含有させると靭性の低下を来たす。
その含有量が0.0005%未満であると所望の強度及
び靭性の改善効果が得られず、一方、0.0050%を
超えて含有させると靭性低下を招く。
(B)溶接ワイヤーの成分組成 a) C C含有量が0.20%未満では銅管に所望強度を確保す
ることができず、一方、0.50%を超えてCを含有さ
せると靭性の低下を招くことから、C含有量は0.20
〜0.50%と定めた。
b) Si 所望の脱酸効果を確保するためには0.10%以上のS
i含有量とする必要があり、一方、0.80%を超えて
Siを含有させると靭性劣化や焼戻し脆化を招くように
なることから、Si含有量は0.10〜0.80%と定
めた。
c) Mn Mn含有量が0.10%未満では鋼管に所望強度を確保
することができず、一方、0.50%を超えてMnを含
有させると溶接部の耐SSC性が低下することから、M
n含有量は0,10〜0.50%と定めた。
d)  P P含有量が0.025%を超えると、溶接部の耐SSC
性が低下する他、焼戻し脆化を招く虞れが出てくる。従
って、P含有量は0.025%以下と定めた。
なお、Pは不可避的に混入する不純物元素でありその含
有量は低いほど好ましい。
f)sol、Af 所望の脱酸効果を確保するためには0.01%以上のs
ol、AI含有量が必要であるが、0.10%を超えて
含有させると鋼材の清浄度が悪化することから、sol
、A1含有量は0.01〜0.10%以下と定めた。
h) Cu、 Ni、 Cr、 Mo、 Nb、  V
、 Ti、 Zr及びBこれらの元素は綱材の強度及び
靭性を向上させる作用を有しており、そのため必要に応
じて1種又は2種以上の添加がなされるが、その含有量
範囲は次の理由に基づいて限定した。
Cu、 Ni 何れもその含有量が0.05%未満であると所望の強度
及び靭性の改善効果が得られず、一方、何れも0.50
%を超えて含有させると溶接性の低下を招く。
Cr その含有量が0゜05%未満であると所望の強度及び靭
性の改善効果が得られず、一方、0.50%を超えて含
有させると靭性や耐SSC低下を来たす。
O その含有量が0.05%未満であると所望の強度及び靭
性の改善効果が得られず、一方、0.80%を超えて含
有させると靭性低下を招く。
Nb  V  Ti、   びZr 何れもその含有量が0.01%未満であると所望の強度
及び靭性の改善効果が得られず、一方、何れも1.20
%を超えて含有させると靭性の低下を来たす。
その含有量が0.0005%未満であると所望の強度及
び靭性の改善効果が得られず、一方、0.0050%を
超えて含有させると靭性低下を招く。
(C)溶接ワイヤーと母材とのCeq差応力が付加状況
下において溶接部に歪が集中するのを防止し、溶接部に
おける微小な欠陥がSSCの起点となるのを防止するに
は、母材に対する溶接部の硬さを適正な範囲〔0≦(溶
接部のHv)(母材部のHい≦40〕に調整する必要が
ある。
しかるに、溶接部ではC,Mn等の膜成分現象が起きる
ので、母材に比べてCeq(炭素当量)の高い溶接ワイ
ヤーを使用しなければ鋼管の焼入れ焼戻し後に溶接部の
硬さを母材部と同等かそれよりも高くすることができな
い。このように、最終焼入れ焼戻し処理後の溶接部硬さ
を母材部と同等かそれよりも高くするためには、〔(ワ
イヤーのCeq)(母材のCeq))の値を0.02以
上とする必要がある。一方、上記値が0.10を超える
と溶接部が母材部に比べて硬くなり過ぎるので、溶接部
と母材部の境界領域で“柔らかい母材部”に歪が集中す
ることとなり、耐SSC性が低下する。
なお、Ceq(炭素当量)は式 %式% で算出されるものとする。
(D)オーブンパイプ両エツジ部の加熱温度溶融金属に
対する濡れ特性を向上するためには800℃以上に加熱
する必要があり、一方、高周波の強い電磁力が作用する
環境において後述するアーク点弧で形成される溶融池を
安定状態に維持し、ベネトレーター欠陥を発生させない
ようにするためには、加熱温度は溶融温度未満に止める
必要がある。
(E)逆極性消耗電極ワイヤーの使用 溶接用電極として逆極性の消耗電極ワイヤーを使用する
のは、オープンパイプ両エツジ近傍部の表面酸化物を効
果的に除去するためである。電極ワイヤーが逆極性の場
合にのみ上記効果が発揮される(ワイヤーがプラスであ
るのでイオンが母材に衝突する)が、一般にこれを逆極
性のクリーニング作用と呼んでいる。
(F)アブセント量 鋼板の板厚Tに相当する厚みの突合わせ接合部に接する
内外周側の押出部である溶接ビードの部分に、アンダー
カットを形成させないようにすると共に、融合不良をも
たらす欠陥誘起物質を押し出しするためである。175
未満では突合わせ接合部にアンダーカット並びに融合不
良の溶接欠陥が残留する。
(G)焼入れ加熱温度 加熱時にオーステナイト単相として細粒組織を実現する
ためには850℃以上に加熱することが必要であり、加
熱温度が850℃未満であると混粒となって十分に優れ
た耐SSC性を確保できない。一方、1100℃を超え
る温度域に加熱すると粗粒組織となって耐SSC性が低
下する。従って、焼入れ加熱温度は850〜1100℃
と定めた。
(H)焼戻し温度 焼戻し温度が500℃未満では軟化せず、高硬度のため
耐SSC性が悪い結果となる。一方、焼戻し温度が75
0℃を超えた場合には軟化しすぎて所定の強度が確保で
きない上、残留オーステナイトや焼戻されないマルテン
サイト相が生じ、やはり耐SSC性が低下する。従って
、焼戻し温度は500〜750℃と定めた。
続いて、本発明の効果を実施例によって更に具体的に説
明する。
〈実施例〉 まず、第1表に示す成分組成の各熱延鋼板を連続的に製
管成形すると共に、得られたオープンバイブの両エツジ
を逆極とした第2表に示す成分組成の溶接ワイヤーにて
シーム溶接し、その後鋼管全体に焼入れ・焼戻し処理を
施して溶接鋼管を製造した。
この際の溶接鋼管製造条件の詳細を第3表に示す。
次に、上記の如くに製造された溶接鋼管の溶接部と母材
部の硬度(ヴイッカース硬さ)差を測定すると共に、該
鋼管の耐SSC性の調査を行い、その結果を第3表に併
せて示した。
なお、耐SSC性の調査は、第1図に略示したように溶
接網管から溶接衝合面を中央に含む部材を採取し、その
後これを偏平化してから図示の位置より第2図に示す寸
法の試験片を切り出して実施した。そして、切り出した
試験片は、第3図に示す如<NACE液(0,5%酢酸
、5%食塩の25℃の水溶液に1気圧でH,Sを飽和さ
せたもの)中にてSMYS(最小規格化応力)の80%
の引張力を付加して保持し、その際のSSCによる破断
の有無によって耐SSC性を評価した。調査は各々3本
の試験片を使用して行ったが、評価結果については「○
・・・SSCによる破断なし」、「×・・・SSCによ
る破断あり」として第3表に表示した。
第3表に示した結果からも明らかなように、本発明で規
定した条件通りに製造された溶接鋼管は優れた耐SSC
性を示すことが確認できる。
これに対して、比較例たる試験番号4ではエツジ予熱温
度が800 ’Cを下回り、試験番号5ではエツジが溶
融した結果、耐SSC性が芳しくない。
また、比較例たる試験番号7では焼戻し温度が500℃
を下回り、試験番号8では750℃を上回った結果、耐
SSC性が芳しくない。
比較例たる試験番号13は焼入れ温度が1100℃を上
回ったものであり、試験番号14は850“Cを下回っ
たものであるが、そのため耐SSC性が芳しくない。
比較例たる試験番号15はアプセットが足りないため、
耐SSC性が芳しくない。
試験番号16〜18は、シーム溶接を従来のERW法と
した場合の例であるが、耐SSC性試験の結果にバラツ
キが大きい。
ところで、試験番号19〜38は、母材と溶接ワイヤー
の組合わせを変えて“母材と溶接部との硬度差”が溶接
鋼管の耐SSC性に及ぼす影響を検討した結果である。
母材Aに対するワイヤーal+母材Bに対するワイヤー
b、は基本的には共材であり、この組合わせで本発明法
に基づいて製管溶接すると、溶接ワイヤーからC,Mn
等の膜成分が起こり、母材に比べて溶接部が軟化する。
従って、比較例たる試験番号19.20.29及び30
は微小な欠陥を起点にSSCが発生している虞れがある
。それは、試験本数3本の時に1本SSCによる破断を
生じるか否かの程度であり、本発明例の場合に比べると
耐SSC性が劣るが、従来のERW法に比べれば耐SS
C性は良好である。
比較例たる試験番号23〜26及び33〜36は、溶接
ワイヤーのCeqが母材に比べて高すぎるので、溶接部
が母材部に比べて硬くなり過ぎた結果、耐SSC性が芳
しくない。
試験番号39〜60はその他の各成分系を網羅した本発
明例と従来例(ERW法)とを比較したものである。こ
の本発明例では、何れも溶接ワイヤーの組成は「そのC
eqが本発明の規定範囲内で母材のCeqより高くなる
ようにC及びMnで調整したもの」であるが、どの例も
耐SSC性は極めて良好となっている。
比較例たる試験番号61はオープンパイプ両エツジ部の
予熱温度が低かった場合、試験番号62は逆に予熱温度
が高かった場合、試験番号63は焼戻し温度が低かった
場合、試験番号64は逆に焼戻し温度が高かった場合、
試験番号65は焼入れ加熱温度が高かった場合、試験番
号66は逆に焼入れ加熱温度が低かった場合、そして試
験番号67はアプセ・ノド量が小さかった場合の例であ
るが、何れも耐SSC性は芳しくないことが分かる。
た耐SSC性を備え、油井掘削用銅管に適用しても十分
に満足できる性能を発揮する溶接鋼管を安定して量産す
ることが可能となるなど、産業上極めて有用な効果がも
たらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、溶接鋼管からの耐SSC性試験片の採取位置
を説明した概念図である。 第2図は、耐SSC性試験片の形状寸法を示した説明図
である。 第3図は、耐SSC性試験の手法を示した概念図である

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 重量割合にて C:0.20〜0.50%、Si:0.10〜0.80
    %、Mn:0.10〜1.00%、P:0.025%以
    下、S:0.002%以下、sol.Al:0.01〜
    0.10%を含有すると共に、 Ca:0.0005〜0.0050%、 希土類元素:0.0005〜0.01% のうちの1種以上、或いは更に Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.5
    0%、Cr:0.05〜1.20%、Mo:0.05〜
    1.00%、Nb:0.01〜0.15%、V:0.0
    1〜0.15%、Ti:0.01〜0.15%、Zr:
    0.01〜0.15%、B:0.0005〜0.005
    0% のうちの1種以上をも含み、残部がFe及び不可避不純
    物から成る熱延鋼板を素材として成形したオープンパイ
    プの両エッジ部を、まず高周波電流により800℃以上
    溶融温度未満に加熱し、続いて前記両エッジ部が形成す
    る間隙部に重量割合でC:0.20〜0.50%、Si
    :0.10〜1.00%。 Mn:0.10〜1.20%、P:0.025%以下、
    S:0.01%以下、sol.Al:0.01〜0.1
    0%を含有するか、或いは更に Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.5
    0%、Cr:0.05〜1.20%、Mo:0.05〜
    1.00%、Nb:0.01〜0.15%、V:0.0
    1〜0.15%、Ti:0.01〜0.15%、Zr:
    0.01〜0.15%、B:0.0005〜0.005
    0% のうちの1種以上をも含むと共に残部がFe及び不可避
    不純物から成り、かつ式 0.02≦(ワイヤーのCeq)−(母材のCeq)≦
    0.10〔但し、Ceqは下記式で算出される値である
    〕を満足する成分組成の逆極性消耗電極ワイヤーの先端
    を供給しつつ、不活性ガスシールド雰囲気下で埋もれア
    ークを点弧して前記両エッジ部の端面表層部を溶融する
    と同時に、該両エッジ部に鋼板厚さの1/5以上のアプ
    セット量を加えてこれを接合し、次に得られた鋼管全体
    を850〜1100℃に加熱して水冷した後、更に50
    0〜750℃で焼戻すことを特徴とする、耐硫化物応力
    割れ性に優れる油井用溶接鋼管の製造方法。 Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Cu(%)/15
    +Ni(%)/15+Cr(%)/5+Mo(%)/5
    +V(%)/5。
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