JPH08120346A - 耐硫化物応力割れ性に優れる油井用溶接鋼管の製造方法 - Google Patents

耐硫化物応力割れ性に優れる油井用溶接鋼管の製造方法

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JPH08120346A
JPH08120346A JP6259971A JP25997194A JPH08120346A JP H08120346 A JPH08120346 A JP H08120346A JP 6259971 A JP6259971 A JP 6259971A JP 25997194 A JP25997194 A JP 25997194A JP H08120346 A JPH08120346 A JP H08120346A
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steel
welded
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JP6259971A
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Takahiro Kushida
隆弘 櫛田
Hirotsugu Inaba
洋次 稲葉
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys

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Abstract

(57)【要約】 【目的】ERW法と同等溶接速度でのレーザー溶接が可
能な、溶接部の耐SSC性に優れるL80キロ級以上の
油井用溶接鋼管の製法を提供すること。 【構成】所定の成分組成鋼からなる帯鋼を、成形ロール
群に通して連続的にオープンパイプ状に成形し、このオ
ープンパイプをスクイズロールで加圧して両エッジを突
合せ、その突合せ部にレーザービームを照射して衝合溶
接して溶接鋼管となすに当たり、下記の(1)および
(2)式を満たす条件でレーザービームを照射して溶接
した後、溶接シーム部または鋼管全体をAC3点以上に加
熱してから焼入し、次いで600℃〜AC1点以下で焼き
戻す処理する。V≧2・・・・・・(1)P≧0.4Vt/e
a(T-T0) ・・・・・・(2) ただし、a=0.0006 P :レーザ出力(kW) V :溶接速度(m/min) t :帯鋼肉厚(mm) T :帯鋼両エッジ部の予熱温度(℃) T0 :室温(℃)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫化水素を含む原油井
や天然ガス井を掘削するのに用いる油井管、より詳しく
はAPI規格(アメリカ石油協会規格)に規定されるL
80級以上の高強度油井管に使用して好適な溶接部の耐
硫化物応力割れ性に優れた油井用溶接鋼管の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油井掘削用鋼管としては、主とし
て継目無鋼管が用いられている。これは、油井掘削用鋼
管には自重量によって材料の降伏応力に近い応力が付加
され、この状態で厳しい腐食環境下に曝されるため、十
分な硫化物応力割れ(以下、単にSSCという)に対す
る抵抗性および土圧によるコラプスに対する抵抗性を有
することが要求されるが、これらの性能についての信頼
性が継目無鋼管の方が溶接鋼管に比べて優れていること
による。
【0003】しかし、継目無鋼管は溶接鋼管に比べると
生産性が低くコスト高で高価につく他、真円度および真
直度の点でも劣っており、流体流れの円滑化による採油
効率の向上あるいは多重装入管の相互接触によるガルバ
ニック腐食発生機会の低減等を図る観点から、安価でか
つ真円度および真直度に優れた信頼性の高い溶接鋼管が
強く望まれている。
【0004】近年に至り、油井管用として用いて十分な
耐硫化物応力割れ性(以下、耐SSC性という)を有す
る鋼材が研究開発されて溶接鋼管の製造に供されてお
り、その溶接鋼管は母材部に限る限りにおいて何等問題
ないものの、溶接部の信頼性に欠けるという問題が残さ
れている。すなわち、今までの溶接鋼管には溶接部に溶
接欠陥が不可避的に存在し、これが湿潤H2 S環境に曝
されると、鋼表面の腐食によって発生した水素が鋼中に
侵入して溶接欠陥部にトラップされ、これがSSCの起
点となって溶接部の耐SSC性を著しく劣化させるとい
う欠点があった。
【0005】溶接鋼管の製造に際して用いられる代表的
な溶接法には、サブマージアーク溶接法(以下、SAW
法という)、電縫溶接法(以下、ERW法という)およ
びレーザービーム溶接法(以下、レーザー溶接という)
等がある。
【0006】上記各溶接法のうち、SAW法は、溶接欠
陥が比較的発生しにくく、たとえ欠陥が発生したとして
も非破壊検査で発見して補修することが可能であるとい
う利点を有するが、L80級以上のような高強度高C材
料の溶接においては溶接割れの問題があって適用するこ
とが困難である。ただし、溶接入熱を低減することによ
って高強度高C材料であってもSAW法を適用すること
は可能であるが、この場合には必然的に溶接速度を遅く
する必要あるため生産性が著しく損なわれ、コスト高に
なる。
【0007】一方、ERW法は、溶接速度が速く高能率
な製造が可能であるが、信頼性の点で問題がある。すな
わち、ERW法では大気中あるいは不活性ガスシールド
中で溶接するのが一般的であり、不活性ガスシールド中
での溶接であってもシールドが不完全で酸素分圧が高い
と酸化スケール等の欠陥誘起物質が溶接接合部間に混入
して溶接欠陥が多発する。また、高周波投入電力が低い
と溶融不足による冷接欠陥が発生し、逆に高周波投入電
力が高いと強い電磁力による溶鋼の不安定現象が生じて
ペネトレーター欠陥が発生する。従って、その製品は溶
接部性能の信頼性に欠ける。
【0008】また、レーザー溶接は、上記ERW法とは
本質的に異なる溶融溶接であり、溶接欠陥を減少させる
のに極めて有効であるが、レーザー溶接単独ではその溶
接速度がERW法の1/5〜1/10程度と極めて遅
く、レーザー発振機やその他の付帯設備の費用を考慮す
ると、経済性の点で優位な方法ではない。
【0009】ところで、上記SSCの発生原因は、大き
く分けて介在物と硬化組織である。
【0010】一方、溶接鋼管の溶接欠陥は酸化物系の介
在物が主体であり、この介在物が溶接接合面におけるS
SCの発生原因となる。従って、溶接鋼管の溶接部の耐
SSC性を改善するためには上記酸化物系介在物のよう
な欠陥誘起物質の溶接接合面への混入、ペネトレーター
状欠陥や冷接欠陥の発生を防ぐことが必要である。
【0011】このため、ペネトレータ欠陥等の溶接欠陥
を減少させて製品の信頼性を向上させるために種々の方
法およびその製品が提案されており、例えば、特開昭6
0−213366号公報には、溶接接合部およびその近
傍の熱影響部に存在する酸化物系介在物の大きさと個数
を制限して溶接部の耐食性、特に耐水素誘起割れ性(以
下、耐HIC性という)を改善した溶接鋼管が、また特
開平3−268877号公報には、逆極性消耗電極ワイ
ヤーを用いて母材表面にイオンを衝突させ、両エッジ近
傍の表面酸化物を除去クリーニングするとともに、アプ
セット量をオープンパイプ肉厚の1/5以上にして溶接
接合面間から欠陥誘起物質を押し出し溶接することで、
溶接欠陥をほぼゼロに減少させて耐SSC性を改善した
油井用溶接鋼管の製造方法が提案されている。しかし、
前者の溶接鋼管は、十〜数十ミクロン程度の酸化物であ
ってもその形状等によってはSSCの発生起点となり
得、このような小さな欠陥を目視あるいは非破壊検査で
判別すること自体事実上不可能に近く、また光学顕微鏡
等によるミクロ検査を大量生産される全ての鋼管に実施
することも事実上不可能に近いので、実用的な手段では
ないという欠点を有している。また、後者の方法は、溶
接欠陥をほぼゼロに減少できるが、アプセットによって
溶接部にメタルフローと称される加工組織が形成され、
このメタルフローに沿ってSSCが発生し易いという欠
点を有している。
【0012】さらに、最近では、溶接速度のより一層の
高速化とともにSAW法と同等の溶接部性能を有する溶
接鋼管を得ることを目的として、上記したように溶接速
度がERW法の1/5〜1/10である炭酸ガスレーザ
ービーム溶接法を溶接熱源に併用使用することが検討さ
れており、例えば特開平2−70379号公報には、E
RW法による帯鋼両エッジ部の高周波加熱に引き続いて
レーザービームによるレーザー溶接を行う製管溶接方法
が提案されている。しかし、この方法は、ERW法とは
本質的に異なる溶融溶接であるレーザー溶接を併用する
ため、溶接部欠陥の発生を防止することはできるもの
の、その溶接速度はレーザー単独溶接製管法の高々2倍
程度でしかないという欠点を有している。
【0013】また、特開平6−116645号公報に
は、図1に示すように、帯鋼1の両エッジの溶接直前の
突き合わせ横断面形状をオープンパイプの外面側に所定
寸法の幅a、深さbを有するV溝2を形成したY形状と
し、前記V溝2の底部に焦点を合わせてレーザービーム
を照射することによって、耐SSC性に優れるERW法
での製造サイズ(外径:約19〜610mm、肉厚:約
1〜19mm)の油井用溶接鋼管を、レーザー溶接法単
独でERW法にほぼ匹敵する溶接速度で製造する方法が
提案されている。しかし、この方法では、6〜8mm程
度までの薄肉管に適用できるに留まり、より一層の高速
化または8〜13mmを超える厚肉管に適用するには前
記のV溝2の深さbを深くする必要があるが、この場合
にはV溝2が溶融金属で埋められるよりも速く溶接が進
行するため、図2に示すように、アンダーカット6やそ
の表面が母材帯鋼表面より窪んだアンダービードなどの
ビード形状不良の欠陥が多発する。このビード形状不良
の発生を避けるために溶接速度を遅くすると、溶融金属
部の溶接後の冷却速度が低下して溶接部の溶け込み形状
が、図3に示すように、ワインカップ状となる結果、溶
接部の結晶粒が粗大化して肉厚方向の柱状晶組織とな
り、耐SSC性を評価するCリング試験時に割れが多発
して耐SSC性が劣るという欠点を有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の実状に鑑みなされたもので、上記ERW法での製造サ
イズで、且つ8〜13mmを超える厚肉管であってもE
RW法にほぼ匹敵する能率で、しかも上記特開平6−1
16645号公報に開示のV溝を設ける単独レーザー溶
接法以上の溶接速度での溶接が可能であり、溶接部の耐
SSC性に優れるレーザー溶接法を使用した油井用溶接
鋼管の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の耐
硫化物応力割れ性に優れる油井用溶接鋼管の製造方法に
ある。
【0016】重量%で、C:0.20%超え、0.60
%以下、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.10
〜1.00%、P:0.025%以下、S:0.002
%以下、sol−Al:0.01〜0.10%を含み、
さらにCu:0〜0.50%、Ni:0〜0.50%、
Cr:0〜1.20%、Mo:0〜1.00%、Nb:
0〜0.15%、V:0〜0.15%、Ti:0〜0.
15%、Zr:0〜0.15%およびB:0〜0.00
50%のうちの1種または2種以上、並びにCa:0〜
0.0050%およびREM:0〜0.01%の1種ま
たは2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物からな
る帯鋼を、成形ロール群に通して連続的にオープンパイ
プ状に成形し、このオープンパイプをスクイズロールで
加圧して帯鋼両エッジを突合せ、その突合せ部にレーザ
ービームを照射して衝合溶接して溶接鋼管となすに際
し、下記の(1)および(2)式を満たす条件でレーザ
ービームを照射して溶接した後、溶接シーム部または鋼
管全体をAC3点以上に加熱してから焼入し、次いで60
0℃〜AC1点以下で焼き戻すことを特徴とする耐硫化物
応力割れ性に優れる油井用溶接鋼管の製造方法。
【0017】V≧2 ・・・・・・(1) P≧0.4Vt/ea(T-T0) ・・・・・・(2) ただし、a=0.0006 P :レーザ出力(kW) V :溶接速度(m/min) t :帯鋼肉厚(mm) T :帯鋼両エッジ部の予熱温度(℃) T0 :室温(℃) 上記の本発明方法において、素材帯鋼のCu、Ni、C
r、Mo、Nb、V、Ti、ZrおよびB、並びにCa
およびREMは無添加でもよい。これらを積極的に添加
する場合、Cu、Ni、CrおよびMoについては0.
05%以上、Nb、V、TiおよびZrについては0.
01%以上、B、CaおよびREMについては0.00
05%以上を含有させるのが望ましい。
【0018】本発明者らは、種々実験研究の結果、次の
〜の知見を得、この知見に基づいて本発明をなし
た。
【0019】 レーザー溶接法を用いる場合、溶接速
度を2m/min以上、すなわち上記(1)式を満足さ
せると、上記特開平6−116645号公報に開示され
る方法が採用するV溝の有無、レーザー出力および帯鋼
肉厚等とは無関係に、溶接部の溶け込み形状がワインカ
ップ状になって溶接部の結晶粒が粗大化して肉厚方向の
柱状晶組織となるのを防止できること。
【0020】 レーザー単独溶接において、特開平6
−116645号公報に開示の如くにV溝を設けるの
は、低出力のレーザービームでも肉厚方向への貫通ビー
ドを形成し得て高速溶接を可能とするためである。従っ
て、V溝を設けないと低出力のレーザービームでは貫通
ビードを得ることが不可能であり、この場合には高周波
加熱手段等によって帯鋼両エッジ部を予め予熱して後レ
ーザービームを照射して溶接することが有効となるが、
その予熱効果はレーザービームに比べてエネルギー密度
が低いという理由からほぼ上限温度である1250℃に
予熱したとしても、予熱しない場合に比べてレーザ出力
比換算で高々2倍の効果、すなわち、上記(2)式の右
項中の分母の効果しかなく、予熱を併用するとしてもそ
れだけでは効果が不十分であり、大出力のレーザー発振
機、例えば従来5kWが一般的であったものを25kW
というような大出力のレーザー発振機を用いる必要のあ
ること。
【0021】 また、単に大出力のレーザーを用いる
のみでは不十分で、レーザー出力をP(Kw)、帯鋼肉
厚をt(mm)、溶接速度をV(m/min)および帯
鋼両エッジ部の予熱温度をT(℃)とした時、帯鋼肉厚
tに応じて上記(2)式の関係を満足させて溶接する
と、酸化物等が存在しない無欠陥溶接部が得られるこ
と。
【0022】
【作用】以下、本発明の方法を上記のように限定した理
由について詳細に説明する。
【0023】耐SSC性に優れる油井用溶接鋼管を得る
ためには、当然のことながら優れた耐SSC性を備えた
素材帯鋼(熱延鋼板)を用いる必要があるとともに、製
管後に少なくとも溶接シーム部、望ましくは管全体の焼
入れ−焼戻し処理を施して、素材帯鋼製造時の履歴に関
係なく耐SSC性に優れた母材性能が得られるようにす
ることが欠かせない。このため、素材として用いる帯鋼
(熱延鋼板)の成分組成を指定したが、各成分の含有量
は次の理由によって特定範囲に限定した。
【0024】C:0.20%超え、0.60%以下 Cは鋼管に所定の強度(L80級以上の強度)を付与す
る作用があるが、その含有量が0.20%以下であると
上記強度の保証が困難となり、一方、その含有量が0.
60%を超えると靭性劣化を招く上、焼き割れにより製
管が困難となることから、C含有量は0.20%超え、
0.60%以下と定めた。望ましくは、0.25〜0.
50%に調整するのがよい。
【0025】Si:0.10〜0.80% Siは鋼の脱酸のために0.10%以上の含有量を確保
する必要があり、一方、その含有量が0.80%を超え
ると靭性劣化を招く上、焼き戻し脆化防止のためにもこ
の値以下に抑える必要があることから、Si含有量は
0.10〜0.80%と定めた。好ましくは、0.10
〜0.30%である。
【0026】Mn:0.10〜1.00% Mnは鋼管に所定の強度を確保する作用があるが、その
含有量が0.10%未満では所望とする強度の確保がで
きず、一方、1.00%を超えて含有させると耐SSC
性の低下を招くことから、Mn含有量は0.10〜1.
00%と定めた。好ましくは、0.20〜0.60%で
ある。
【0027】P:0.025%以下 Pは不可避不純物であり、その含有量は低い方が望まし
い。特に、0.025%を超えてPが含有されると母材
偏析部の合金元素濃度が高くなり、母材の耐SSC性低
下が顕著となる上、焼き戻し脆化の点でも悪影響が現れ
ることから、P含有量は0.025%以下と定めた。好
ましくは0.015%以下である。
【0028】S:0.002%以下 Sは不可避不純物であり、その含有量は低い方が望まし
い。特に、0.002%を超えてSが含有されると硫化
物系介在物(MnS)が生成し、耐SSC性の低下が著
しくなることから、S含有量は0.002%以下と定め
た。好ましくは、0.001%以下である。
【0029】sol−Al:0.01〜0.10% Alは鋼の脱酸のために0.01%以上のsol−Al
含有量を確保する必要があるが、その含有量が0.10
%を超えると鋼の清浄度確保が困難となることから、s
ol−Al含有量は0.01〜0.10%と定めた。好
ましくは、0.02〜0.05%である。
【0030】本発明の素材帯鋼は、上記成分に加えて、
次のCaおよびREM(希土類元素)の1種または2
種、並びにCu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、
ZrおよびBのうちの1種または2種以上を含有する鋼
からなるものであってもよい。
【0031】CaおよびREM(希土類元素):上限
は、それぞれ0.0050%、0.01% これらの成分は、硫化物系介在物の形態制御を通じて耐
SSC性の向上作用を発揮するので、これらの効果を得
たい場合には、必要に応じてCaおよびREMのうちの
1種または2種を含有させることができるが、いずれの
元素もその含有量が0.0005%未満では前記作用に
よる所望の効果が充分に得られず、一方、Caの場合に
は0.005%を超えて含有されるとCa系介在物の増
加により耐HIC性および耐SSC性の劣化を招き、ま
た、REMの場合には0.01%を超えて含有されると
酸化物系介在物の増加により耐HIC性および耐SSC
性の劣化を招くことから、含有させる場合のCa含有量
は0.0005〜0.0050%、REM含有量は0.
0005〜0.01%とそれぞれ定めた。
【0032】Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、T
i、ZrおよびB これらの成分は、いずれも鋼管の強度および靭性を改善
する作用があるので、これらの効果を得たい場合には、
必要に応じてCu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、T
i、ZrおよびBのうちから1種または2種以上を選ん
で含有させることができるが、各成分は次の理由から含
有させる場合の含有量を次のように定めた。
【0033】Cu、Ni:上限は、いずれも0.50% いずれの元素も、その含有量が0.05%未満であると
強度及び靭性の改善効果が不十分であり、一方、0.5
0%を超えて含有させると熱間加工性が低下して素材と
なる熱延コイルの製造が困難となるので、含有させる場
合の含有量は、いずれの元素も0.05〜0.50%と
定めた。
【0034】Cr:上限は、1.20% Cr含有量が0.05%未満であると強度及び靭性の改
善効果が不十分であり、一方、1.20%を超えて含有
させると靭性の低下、耐SSC性の低下を招くので、含
有させる場合の含有量は0.05〜1.20%と定め
た。
【0035】Mo:上限は、1.00% Mo含有量が0.05%未満であると強度及び靭性の改
善効果が不十分であり、一方、1.00%を超えて含有
させると、靭性の低下、耐SSC性の低下を招くので、
含有させる場合の含有量は0.05〜1.00%と定め
た。
【0036】Nb、V、TiおよびZr:上限は、いず
れも0.15% いずれの元素も、その含有量が0.01%未満であると
強度及び靭性の改善効果が不十分であり、一方、0.1
5%を超えて含有させると靭性の低下を招くので、含有
させる場合の含有量は、いずれの元素も0.01〜0.
15%と定めた。
【0037】B:上限は、0.0050%、 B含有量が0.0005%未満であると強度及び靭性の
改善効果が不十分であり、一方、0.0050%を超え
て含有されると靭性の低下を招くので、含有させる場合
の含有量は0.0005〜0.0050%と定めた。
【0038】本発明においては、先ず上記成分組成の素
材帯鋼を常法通りに成形ロール群に通して連続的にロー
ル成形してオープンパイプ状となし、成形ロール群の末
尾に設けられた左右一対のスクイズロールの作用によっ
てオープンパイプを突き合わせ、その突き合わせ部、す
なわち帯鋼両エッジ端面相互が当接する接合点にレーザ
ービームを上方から垂直に照射して衝合溶接を行うが、
この際、そのレーザー出力P(kW)、溶接速度V(m
/min)、帯鋼肉厚t(mm)、帯鋼両エッジ部の予
熱温度T(℃)、室温T0 (℃)とした時、下記の
(1)および(2)式を満足する条件で衝合溶接を行
う。
【0039】V≧2 ・・・・・・(1) P≧0.4Vt/ea(T-T0) ・・・・・・(2) ただし、a=0.0006 すなわち、上記(1)および(2)式は、本発明者らが
種々実験研究の結果見い出した関係式であり、前述した
ように、(1)式は、オープンパイプの突き合わせ部に
おけるV溝形成の有無、レーザー出力Pおよび帯鋼肉厚
t等とは無関係に、溶接速度Vが2m/min未満で
は、溶融金属部の溶接後の冷却速度の低下に起因して溶
接部のとけ込み形状がワインカップ状となって溶接部の
結晶粒が粗大化して肉厚方向の柱状晶組織となって耐S
SC性が低下するが、溶接速度Vを2m/min以上に
設定して溶接すると、溶接部のとけ込み形状がワインカ
ップ状とならず、溶接部の組織が結晶粒の粗大化した肉
厚方向への柱状晶組織になるのを防止でき、これによっ
て溶接部の結晶粒の粗大柱状晶組織化に起因する耐SS
C性の低下を防止できる。このことは、後述の実施例の
結果からも明かである。
【0040】また、上記(2)式は、溶接部に酸化物等
が存在しない無欠陥溶接を行うための条件を示してお
り、帯鋼肉厚tに応じて、溶接速度Vおよび帯鋼両エッ
ジ部の予熱温度Tを調整設定することによってレーザー
出力Pが(2)式の右辺で求められる値以上となるよう
に設定して溶接することによって、溶接部の酸化物等の
異物内在起因による耐SSC性の低下を防止できる。す
なわち、(2)式の右辺で求められる値未満のレーザー
出力Pでは、溶接速度が2m/min以上であって溶接
部の組織が結晶粒の粗大化した肉厚方向への柱状晶組織
でなくても、溶接部に酸化物等の異物内在の溶接欠陥が
生じて耐SSC性が低下することを意味している。
【0041】図4は、帯鋼肉厚t、溶接速度V、帯鋼両
エッジ部の予熱温度Tおよびレーザー出力PがSSC発
生に及ぼす影響を示した図であり、横軸に上記(2)式
中の右辺「0.4Vt/ea(T-T0) 」で求められる値と
レーザー出力Pとの差を、縦軸にSSC発生率を採って
示した図である。
【0042】図4から明らかなように、レーザー出力P
が「0.4Vt/ea(T-T0) 」で求められる値未満の場
合にはSSCが発生し、レーザー出力Pが「0.4Vt
/ea(T-T0) 」で求められる値以上の場合にはSSCが
発生しておらず、このことから上記(2)式を満足させ
る必要のあることがわかる。
【0043】なお、上記(1)および(2)式を同時に
満足させるためには、前述したように、従来一般的に用
いられている5kW程度の低出力のレーザー発振機では
不十分で、例えば25kWあるいはこれ以上の高出力の
レーザー発振機を用いる必要がある。
【0044】また、大出力レーザーによる本発明の方法
においては、前記特開平6−116645号公報に記載
されると同様の図1に示すV溝2をオープンパイプの突
き合わせ部に形成させて溶接することもでき、この場合
にはより一層の高速化溶接が可能となる。すなわち、帯
鋼肉厚をt、集光前のレーザービーム径をD、集光光学
系の焦点距離をf、溶接速度をV、レーザー出力をPと
した時、幅aと深さbとが下記(3)〜(6)式を満足
するV溝を形成して溶接するのが望ましい。
【0045】a/b>D/f ・・・・・・・ (3) a×b≦2×(P/V) ・・・・・・・ (4) t−b≦4×(P/V) ・・・・・・・ (5) a≦2×(P/V) ・・・・・・・ (6) なお、上記(3)〜(6)式の意味するところは、以下
の通りである。
【0046】(3)式:溶け込み深さを減少させないよ
うにするための条件。すなわち、集光前のビーム径がD
のレーザービーム3の光軸心を素材帯鋼1の両エッジ端
の突き合わせ部に一致させるとともに、その焦点位置を
V溝2の底部5に合わせた場合、a/b値がD/f未満
の時には、図5(a)に示すように、レーザービーム3
がV溝2の肩部4に当たり、肩部4で金属プラズマが発
生してこの金属プラズマにレーザービーム3が吸収され
てレーザーエネルギーが低下し、溶け込み深さが減少す
るが、a/b値がD/f値を超えると時には、図5
(b)に示すように、レーザビーム3が前記肩部4に当
たることがないので、エネルギー低下のないレーザービ
ーム3をV溝2の底部5に集中照射できて深い溶け込み
深さを効率良く得ることができる。
【0047】(4)式:溶接部の外面側にアンダービー
ドを発生させないようにするための条件。すなわち、図
2に示したようなアンダービード6を発生させないため
にはV溝が溶融金属で十分に埋められることが必要であ
り、これに必要な溶融金属量はV溝の断面積と供給され
る溶融金属量とで決定される。そして、V溝の断面積は
1/2(a×b)で表され、一方、溶融金属量は、レー
ザー出力P、溶接速度Vの時、その入熱量(P/V)に
比例するから、アンダービード6の防止条件は[a×b
≦k×(P/V)]になる。なお、kは比例定数であ
り、多数の実験結果から「2」とするのが適切であるこ
とがわかった。
【0048】(5)式:V溝の底部に連続して存在する
帯鋼両エッジ端が完全に突き合わされた部分の肉厚(t
−b)を貫通溶融させるための条件。すなわち、突き合
わせ部にV溝を形成してレーザーで溶かし込む必要のあ
る肉厚を減少させて溶接速度の高速化を図るためには、
前記V溝の底部に存在する肉厚(t−b)部分を完全に
溶かし込むに足りるレーザーエネルギーを供給する必要
があるが、レーザーの溶け込み深さはその入熱(P/
V)と比例関係にあることから、前記肉厚(t−b)部
分を完全に溶かし込む条件は[(t−b)≦p×(P/
V)]となる。なお、pは比例定数であり、多数の実験
結果から「4」とするのが適切であることがわかった。
【0049】(6)式:溶接部にアンダーカット6を発
生させないための条件。すなわち、図2に示したよう
に、V溝の幅aがビード幅Baより過剰に大きい場合に
はアンダーカット6が発生する。従って、溶接部にアン
ダーカット6を発生させないためには、V溝の幅aをビ
ード幅Baより小さくなるようにする必要がある。今、
溶接速度Vを一定とするとビード幅Baはレーザーによ
る入熱量に比例するから、[a≦q×(P/V)]の関
係が成立する。なお、qは比例定数であり、多数の実験
結果から「2」とするのが適切であることがわかった。
【0050】このようにしてオープンパイプの突合せ部
を溶接した後は、少なくとも溶接シーム部に、また素材
帯鋼の耐SSC性が充分でない場合には鋼管全体に熱処
理(焼入れ−焼戻し)を施すが、その熱処理条件は次の
理由によって規定された。
【0051】[焼入れ温度]焼入に先だって少なくとも
溶接シーム部をAC3変態点以上の温度域へ加熱するの
は、加熱時にオーステナイト単相として細粒鋼を得るた
めに必要な処理であり、加熱温度がこの温度未満である
と混粒となって耐SSC性が劣化する。なお、加熱温度
は望ましくは1100℃以下とするのがよく、これを越
えると粗粒となって耐SSC性が低下する傾向を見せる
ので注意を要する。
【0052】[焼戻し温度]焼戻し温度が600℃未満
であると材料が軟化せず、高硬度のために耐SSC性が
劣化する。一方、AC1変態点を越えると一部オーステナ
イト変態が生じて所定の強度が得られないばかりか、残
留オーステナイトや焼戻されないマルテンサイト相が生
じて耐SSC性が低下する。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に
説明する。
【0054】製管用母材として、焼入れ−焼戻し処理に
よって優れた耐SSC性と高強度が得られる、表1に示
す化学成分を有する13種類の素材帯鋼を準備した。な
お、表1には熱処理後の母材の強度(耐力=Y.Sと抗
張力=T.S)および耐SSC性(L方向=管軸長方
向)を調査した結果も併記した。
【0055】
【表1】
【0056】上記素材帯鋼(熱延鋼板)を常法に基づき
成形ロール群に通してオープンパイプに成形し、スクイ
ズロールでその両エッジ部相互を突き合わせ、この突き
合わせ部分に上方よりシールドガスとしてプラズマ除去
効果の高いヘリウムガスを用いてレーザービームを垂直
に照射して衝合溶接を行うに当たり、表2および表3に
示す各条件で溶接を行った。なお、レーザー源として
は、出力が5kWと25kWの2種類の炭酸ガスレーザ
ー発振機を使用した。また、出力25kWのレーザービ
ームの集光前のビーム径Dは51mm、ミラー(放物面
鏡)の焦点距離fは381mmであり、出力5kWのレ
ーザービームの集光前のビーム径Dは30mm、ミラー
(放物面鏡)の焦点距離fは150mmであり、焦点は
いずれも突合せ部のオープンパイプ外表面に設定した
が、突き合わせ部にV溝を形成した一部のものについて
はV溝底部に焦点を合わせた。また、比較のため同様素
材帯鋼を用いた従来のERW法によって溶接した溶接鋼
管も用意した。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】得られた溶接鋼管に、表2および表3に示
す条件の熱処理を施した後、母材および溶接部の耐SS
C性を評価した。
【0060】SCC試験片は、図6に示したように、母
材部については溶接シーム部と180°位相する位置の
L方向(管軸長方向)から図7に示す形状、寸法の試験
片を切り出し、溶接部についてはNACE(米国腐食協
会規格)−TM0177−90のMETHOD−Cに規
定される図8に示す形状、寸法のCリング試験片を溶接
シーム部が円弧方向の中央に位置するようにT方向(円
周方向)から切り出した。
【0061】これら試験片のうち、母材部の試験片は、
図9に示すSCC試験装置を用い、NACE浴(0.5
%酢酸、5%食塩水、25℃、1気圧H2 S飽和)中
で、SMYS(規格最小降伏応力)の80%、85%、
90%および95%の4条件の単軸の引張応力を付与し
て720時間の試験期間中での破断の有無を調査し、破
断しなかったときの付加最大応力(σth)で評価し
た。
【0062】溶接部のCリング試験片は、NACE−T
M0177−90のMETHOD−Cの規定に則り、N
ACE浴(0.5%酢酸、5%食塩水、25℃、1気圧
2S飽和)中で、SMYSの100%の引張応力を付
与し、200時間の試験期間中における破断の有無を調
査して評価した。なお、引張応力は、ストック寸法Hを
下記(7)式に基づいて求め、貫通孔7にボルトを挿通
して締め付けることによって付与した。
【0063】 H=πd(d−t)s/4tE ・・・・(7) ここで、d:外径(溶接まま表面) t:肉厚 s:応力 E:ヤング率 試験個数は、母材部については各4個づつ(上記の4条
件)、溶接部については各2個づつとした。
【0064】これらの試験結果を、母材部については表
1に、溶接部については表2および表3に併記した。な
お、表2および表3中、試番1、17および34は従来
のERW法による従来例、試番2、3、4、18、19
および20がV溝を形成した従来のレーザー単独溶接に
よる従来例、その他が本発明例と比較例である。
【0065】試番1、17および34から明らかなよう
に、従来例のERW法では、溶接部の耐SSC性がいず
れも劣っている。
【0066】また、試番4、7、11、12、20、2
4、29、33および39から明らかなように、溶接速
度が2m/min未満の場合には、素材帯鋼肉厚の大
小、レーザー出力の大小、V溝形成の有無および帯鋼両
エッジ部の予熱の有無に関係なく、いずれの場合も溶接
部の溶け込み形状がワインカップ状となって溶接部の耐
SSC性が劣っている。すなわち、上記(1)式がSS
C発生を防止するための必要条件であることがわかる。
【0067】肉厚が12.7mmのA鋼では、レーザー
出力が5kWの場合、試番2と試番3の対比から明かな
ように、V溝を形成した従来方法でも耐SSC性の良好
な製品が得られる最高溶接速度は高々2m/minであ
り、試番5から明らかなように、V溝を形成せず、かつ
帯鋼両エッジ部を予熱しない時には溶接速度が2m/m
inでも溶け込み不足が生じ、溶接不能であった。さら
に、試番6から明らかなように、帯鋼両エッジ部の高温
予熱時には溶接速度2m/minでの溶接自体は可能と
なるが、0.4Vt/ea(T-T0) 値が本発明で規定する
(2)式の範囲を外れているため、溶接欠陥が生じ、耐
SSC性が劣っている。
【0068】これに対し、レーザー出力が25kWで
は、試番8〜12の対比から明らかなように、帯鋼両エ
ッジ部を予熱せず、かつV溝を形成しない場合にあって
も、耐SSC性の良好な製品の得られる最高溶接速度が
4.5m/min(試番9)となり、V溝を形成したレ
ーザー出力5kWのもの(試番3)に比べて2倍以上と
いう速い溶接速度での溶接が可能であった。また、試番
13と試番14の対比から明らかなように、帯鋼両エッ
ジ部を1250℃の高温に予熱すると、耐SSC性の良
好な最高溶接速度は10m/minにまでの高速での溶
接が可能である。
【0069】さらに、試番15と試番16の対比から明
らかなように、出力25kWの大出力レーザーとV溝形
成とを組み合わせた場合には、帯鋼両エッジ部を予熱し
なくても、同一寸法のV溝を形成したレーザー出力5k
Wのもの(試番3)に比べて3.5倍の7m/minと
いう速い溶接速度でも耐SSC性の良好な製品が得られ
ている。
【0070】また、肉厚が8.6mmとA鋼に比べて薄い
B鋼では、レーザー出力が5kWの場合には、耐SSC
性の良好な製品の得られる最高溶接速度は、帯鋼両エッ
ジ部を予熱せずにV溝を形成した時で3m/min(試
番18〜20参照)であり、V溝を形成せずに帯鋼両エ
ッジ部を1200℃に予熱した時で2.5m/min
(試番21〜24参照)であるが、レーザー出力が25
kWの場合の耐SSC性の良好な製品得られる最高溶接
速度は、V溝を形成しなくても、帯鋼両エッジ部を90
0℃に予熱した時で12m/min(試番30〜33参
照)に、1200℃に予熱した時で14m/min(試
番25〜29参照)にまで上がっている。
【0071】さらに、肉厚が14.3mmと厚いC鋼で
は、レーザー出力が5kWの場合には、V溝を形成しな
いで帯鋼両エッジ部を1250℃の高温に予熱して時、
溶接速度2m/minでも溶け込み不足が発生するとと
もに、溶接部の耐SSC性の良好な溶接は不可能である
(試番35参照)が、レーザー出力が25kWの場合に
は、同様条件で溶接速度9m/minでも耐SSC性の
良好な製品が得られている(36〜39参照)。
【0072】このことは、肉厚が11.1mmの他の各
成分系のD〜M鋼を対象ににした試番42〜49の本発
明例からも明かである。
【0073】なお、ERW法での平均的な溶接速度は、
肉厚8.6mmのB鋼で10m/min、肉厚12.7
mmのA鋼で8m/min、肉厚14.3mmのC鋼で
6m/min程度であり、本発明例の大出力レーザーを
用いた場合の溶接速度は、ERW法での溶接速度に相当
し、またV溝を形成した低出力レーザー単独溶接の従来
法の約2倍の溶接速度である。
【0074】
【発明の効果】本発明の方法によれば、実管の耐SSC
性を評価するのに最も適当とされる過酷なCリング試験
でも溶接部の優れた耐SSC性を示し、H2 S環境にお
いて油井掘削用鋼管として用いて十分に満足できるER
W法での製造サイズの高強度溶接鋼管を能率よく安定し
て製造することが可能で、産業上極めて有用な効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接前のV溝形状の一例を示す図である。
【図2】V溝幅が過大時に生じる溶接ビード形状を示す
図である。
【図3】溶接速度が遅い場合に生じる溶接部の溶け込み
形状を示す図である。
【図4】オープンパイプ肉厚、溶接速度、帯鋼両エッジ
部の予熱温度およびレーザー出力がSSC発生に及ぼす
影響を示す図である。
【図5】V溝寸法とレーザービーム経路の関係を示す説
明図である。
【図6】SSC調査用試験片の採取部位を示す図であ
る。
【図7】母材部のSSC試験片の形状、寸法を示す図で
ある。
【図8】溶接部のSSC試験片の形状、寸法を示す図で
ある。
【図9】母材部試験片のSSC試験に用いた装置の概念
図である。
【符号の説明】
1 :帯鋼 2 :V溝 3 :レーザービーム 4 :V溝の肩部 5 :V溝の底部 6 :アンダーカット 7 :貫通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/54

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.20%超え、0.60
    %以下、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.10
    〜1.00%、P:0.025%以下、S:0.002
    %以下、sol−Al:0.01〜0.10%を含み、
    さらにCu:0〜0.50%、Ni:0〜0.50%、
    Cr:0〜1.20%、Mo:0〜1.00%、Nb:
    0〜0.15%、V:0〜0.15%、Ti:0〜0.
    15%、Zr:0〜0.15%およびB:0〜0.00
    50%のうちの1種または2種以上、並びにCa:0〜
    0.0050%およびREM:0〜0.01%の1種ま
    たは2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る帯鋼を、成形ロール群に通して連続的にオープンパイ
    プ状に成形し、このオープンパイプをスクイズロールで
    加圧して帯鋼両エッジを突合せ、その突合せ部にレーザ
    ービームを照射して衝合溶接して溶接鋼管となすに際
    し、下記の(1)および(2)式を満たす条件でレーザ
    ービームを照射して溶接した後、溶接シーム部または鋼
    管全体をAC3点以上に加熱してから焼入し、次いで60
    0℃〜AC1点以下で焼き戻すことを特徴とする耐硫化物
    応力割れ性に優れる油井用溶接鋼管の製造方法。 V≧2 ・・・・・・(1) P≧0.4Vt/ea(T-T0) ・・・・・・(2) ただし、a=0.0006 P :レーザ出力(kW) V :溶接速度(m/min) t :帯鋼肉厚(mm) T :帯鋼両エッジ部の予熱温度(℃) T0 :室温(℃)
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1857564A3 (en) * 2006-05-17 2013-03-27 Nissan Motor Company Limited High-Tensile steel sheet, steel sheet joining process and high-strength automotive part
CN103233164A (zh) * 2013-04-25 2013-08-07 内蒙古包钢钢联股份有限公司 一种含稀土石油钻铤钢材料及其生产工艺
KR101717142B1 (ko) * 2015-12-17 2017-03-17 주식회사 포스코 내ssc 특성이 우수한 용접이음부 열처리 방법
CN108637477A (zh) * 2018-05-11 2018-10-12 湖南大学 一种增加异种金属焊接熔池两侧凹陷的方法
JP2020120451A (ja) * 2019-01-21 2020-08-06 トヨタ自動車株式会社 コイルの接合方法

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