JPH0326359Y2

JPH0326359Y2 -

Info

Publication number: JPH0326359Y2
Application number: JP1986061387U
Authority: JP
Priority date: 1986-04-23
Filing date: 1986-04-23
Publication date: 1991-06-07
Also published as: JPS62172867U

Description

【考案の詳細な説明】【産業上の利用分野】

この考案は、農薬噴霧器のタンク内圧を高める
ため、タンクに取り付けて使用する空気ポンプに
関し、さらに詳しくは、その送気側逆止弁に関す
る。

【従来の技術】

従来用いられているこの種の逆止弁は、弁体が
スプリングの力で弁座に押し付けられており、ポ
ンプの吐出圧が高くなつたときだけ、スプリング
が負けて弁が開くようになつている。また、弁体
と弁座の間には、パツキンないしゴムリングが置
かれ、これで空気の漏れを防いでいる。

【考案が解決しようとする問題点】

このように、従来の逆止弁はスプリングとパツ
キンが不可欠であり、これらが製造コストを引き
上げる原因の一つになつている。また、これらの
部品は薬品に侵されるなど消耗し易く、故障の原
因になるという問題もある。この考案は、従来におけるこのような問題を解
消することを目的とする。

【問題点を解決するための手段】

この考案の逆止弁は、ポンプシリンダの下端に
ある送気口を下側に空気出口を有する弁箱で囲
い、該弁箱内に弁体を上下に遊動できるよう閉じ
込め、弁体が当接する弁座を該送気口のまわりに
設けて成る。そして、該弁体は、本体部が半球形
をしており、そのまわりにつばが付いており、し
かも、全体が軟質プラスチツクで形成されてい
る。

【作用】

噴霧器のタンクに薬液を入れ、タンクを閉じて
空気ポンプのピストンを押し下げると、シリンダ
内の空気は送気口から弁箱内を通り、タンク内に
入り、タンクの内圧は大気圧よりわずかに高くな
る。このわずかの差圧により、次の吸入行程で弁
体が浮き上がるよう、この弁体はプラスチツクで
軽量につくられている。また、つばを付けて受圧
面積を大きくしている。したがつて、続く吸入行程では、弁体が浮き上
がつて弁座に当接し、弁は閉じる。このため、シ
リンダの吸気側逆止弁からだけ、シリンダ内に空
気が吸い込まれる。このようにしてピストンを押し下げるたびに、
タンク内の圧力が高くなつていく。そして、圧力
が高くなればなる程、弁体は大きな力で弁座に押
し付けられるようになる。弁体は本体が半球状をしており、弁体が傾いた
場合でも、弁座に確実に当接する。また、弁体は
軟質プラスチツクで形成され、弁座に押し付けら
れたとき、弁座の形に応じて弾性変形し、すき間
が生じにくい。

【実施例】

第２図において、符号１は噴霧器の本体をなす
タンクであり、この中に噴霧すべき薬液が入る。
符号２はタンク１の中に空気を送つて内圧を高め
るための手動ピストン式空気ポンプであり、その
本体シリンダ３はタンク１の口４から中に垂直に
差し入れられ、キヤツプ５で固定される。符号６
は、管７、ホース８を通つて圧送される薬液を霧
状に散布するノズルである。空気ポンプ２のシリンダ３にはピストン９が摺
動自在に嵌装されており、ピストン９から延びる
ロツド１０はキヤツプ５を貫き、先端にハンドル
１１が取り付けられている。ピストン９の周囲に
はゴムリング１２が装着されており、このゴムリ
ングは、ピストン６を押し下げるとき、第３図に
実線で示すようにピストン９のシール面１３に当
接してピストン９とシリンダ３内壁の間のシール
を保つ。逆に、ピストン９を引き上げるときは、
ゴムリング１２は第３図に鎖線で示すようにピス
トンのシール面１３から離れ、空気が矢印のよう
にシリンダ３内に入つて来るようになつている。符号１４はタンク１の内圧よりポンプ２の吐出
圧が高くなつたときだけ開く逆止弁である。これまで説明したところは、従来の噴霧器と変
わるところがない。次に、逆止弁１４の詳細を説
明する。第１図で、符号１５は、ポンプ２の送気口１６
を囲うようにシリンダ３の下端に設けた円筒状の
弁箱である。弁箱の底１７は嵌め込み式になつて
おり、これには空気出口１８があけられている。
この空気出口１８は、ゴミが中に入らないよう、
多数の小孔からなつている。弁箱１５の中には、弁体１９が上下に遊動でき
るよう閉じ込められている。この弁体１９は、本
体部２０が半球状で、その周囲には円形のつば２
１が付いており、全体として帽子のような形状と
なつている。符号２２は弁体１９が当接する円形の弁座であ
り、送気口１６のまわりに形成されている。弁体１９はわずかの差圧でも浮き上がつて弁座
２２に当接するよう軽量にする必要があり、この
ため、全体がプラスチツクで形成されている。ま
た、弁体１９と弁座２２の間のシールが保てるよ
う、弁体１９はわずかに弾性を有することが必要
であり、このため、弁体１９を形成するプラスチ
ツクは軟質のもの（例えばポリエチレン）が用い
られている。使用に際しては、タンク１に薬液を入れ、キヤ
ツプ５をしつかり閉じ、ハンドル１１を握つてピ
ストン９を一ぱいに押し下げる。すると、シリン
ダ３内の空気は、第１図に鎖線で示すように弁体
１９が下がつて開いている逆止弁１４を通つて、
タンク１内に押し出される。次いで、ピストン９を引き上げる吸気行程に移
るのであるが、このときは、タンク１内はわずか
であるがすでに加圧されており、しかも、ピスト
ン９を勢いよく引き上げればシリンダ３内は負圧
になり、弁体１９には差圧が働く。一方、弁体１
９はプラスチツクで軽量につくられており、ま
た、つば２１があつて大きな受圧面積を有してい
る。したがつて、弁体１９はこのわずかな差圧で
浮き上がり、弁座２２に当接し、弁１４は閉じ
る。このため、シリンダには、第３図で説明した
ようにピストン９の周囲からだけ空気が吸い込ま
れる。次いで、同じように２回目の圧縮行程が終る
と、タンクの圧力は１回目のときより高くなる。
したがつて２回目の吸気行程では、差圧が前より
大きくなり、弁体は１回目のときより大きな力で
弁座に当接する。このようにして、ピストンを何度もつけば、タ
ンク内の圧力を所望するまで高くすることができ
る。第２図に鎖線で示すように薬液の量が高く、逆
止弁１４がこれに浸つている場合は、弁体１９に
は差圧だけでなく、浮力（弁体の半球部２０の裏
に溜つている空気の浮力も含む）が作用する。し
たがつて、逆止弁１４が薬液の外に出ている場合
より条件がよく、弁１９は確実に弁座２２に当接
する。

【効果】

以上説明したように、この考案によれば次のよ
うな効果がある。 (イ) 弁体がプラスチツクで形成されているので軽
量であり、しかも、つばを有していて、弁体が
弁座から離れているとき、これに弁の上流側と
下流側の差圧が作用するので、ポンプ吸入行程
において弁体が小さな差圧で浮き上がり、弁が
閉じる。このため、従来の逆止弁につきもので
あつたスプリングが不要になる。 (ロ) 弁体の本体部を半球形にしたので弁座への座
りがよく、また、弁体を軟質プラスチツクで形
成したので、弁座に押し付けられたとき弁座の
形に応じて変形し、弁体と弁座の間にすき間が
できにくい。このため、従来の逆止弁につきも
のであつたパツキンないしゴムリングが不要と
なる。 (ハ) 薬品などに侵され、故障の原因となるゴムパ
ッキンやスプリングがないので、信頼性の高い
逆止弁が提供できる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すものであり、第
１図は逆止弁の断面図、第２図は噴霧器の断面
図、第３図はピストンの断面図である。１……タンク、２……空気ポンプ、３……シリ
ンダ、１４……逆止弁、１５……弁箱、１６……
送気口、１８……空気出口、１９……弁体、２１
……つば、２２……弁座。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

噴霧器の加圧用手動ピストン式空気ポンプ２に
用いられる送気側逆止弁であつて、該空気ポンプ
のシリンダ３の下端にある送気口１６を下側に空
気出口１８を有する弁箱１５で囲い、該弁箱内に
弁体１９を上下に遊動できるよう閉じ込め、該弁
体が当接する弁座２２を該送気口のまわりに設け
て成り、該弁体は、該弁座に当接する半球状の本
体部２０と、該本体部のまわりに設けられた、該
弁体が該弁座から離れているときに弁の上流側と
下流側の差圧が作用するつば２１から構成され、
しかも、該弁体全体が軟質プラスチツクで形成さ
れていることを特徴とする空気ポンプの逆止弁。