JPH0326100Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内容器と外容器とを組合せて成る二
重構造飲料容器に関するものである。

近年、飲料に於いても消費者の嗜好の多様化に
合わせて多種多様な製品が市販されるようにな
り、飲料容器としても中味に応じた種々の形態、
機能を持つことが要求されている。一般に飲料容
器としては、ガラス瓶、金属缶、合成樹脂製容
器、紙容器及びそれらの組合せ容器などがある
が、燃焼カロリーが低く、しかも燃焼時に有毒ガ
スを発生しないため焼却処理が容易であるとの利
点から、紙を主体とする合成樹脂加工紙製容器が
広く利用されるようになつた。

合成樹脂加工紙製容器は、容器の壁構造が１つ
であるいわゆるシルグルウオール容器と、二重壁
構造のダブルウオール容器とに大別され、更にダ
ブルウオール容器は、一般に外容器が合成樹脂加
工紙からなり、内容器が合成樹脂フイルムの袋で
あるいわゆるバツクインボツクス或いはバツクイ
ンカートンと、内容器が合成樹脂シート成型品で
ある二重構造容器とがある。しかし、バツクイン
ボツクスは構造が複雑なために製造作業が煩雑で
あると共に、飲料の注ぎ出しに従つて内袋が不定
形に収縮し、飲料の一部が注ぎ出せない欠点があ
る。これに対して、内容器が合成樹脂シート成型
品である後者の場合は、内容器開口部先端を外容
器開口部外側にかぶせるという単純な構造である
ため、バツクインボツクスのような欠点はない。

ところで、この後者の二重構造容器についてみ
れば、容器の製造時に内外両容器間の空気を逃が
しながら嵌合する必要上、従来の二重構造容器の
形状は上広がりのテーパーを有する内外両容器の
重ね合せによる截頭円錐状に限られている。この
ため、実開昭49−147201号公報に提案されるよう
に、外容器の底部を省略して、嵌合を容易にする
と共に、外容器の形状についての自由度がある、
外見のみ二重構造の容器が知られている。しかし
ながら、これらの二重構造容器においては、内外
両容器の接合は、外容器にフランジを設け、内容
器の先端をフランジに巻き込み、かしめることに
よつてのみ行われている。従つて、容器の形状に
漸新性を持たせることが難かしく、また内外容器
の一体性に不安があり、特に外容器のフランジ先
端切口が露出しているので水の浸透により外容器
が膨張してしまうおそれがあつた。

本考案はこれらの欠点を改良した二重構造飲料
容器を提供するものであり、外容器については表
裏両面に熱可塑性樹脂層を有する板紙で形成する
と共、内容器については熱可塑性樹脂で形成し、
これらの内外両容器を外容器の内周面と外周面と
で熱融着し一体化したものであり、前記内容器は
その外周面下部が外容器の内周面と接触しないよ
うに底部を小さく形成すると共に、この内容器の
外方へ折り曲げた上端部と外容器の外周面、並び
に内容器の外周面上部と外容器の内周面上部を
夫々熱融着したことを特徴する。

以下本考案を図面に基づいて詳細に説明する。
第１図は本考案の１実施例を示す二重構造飲料容
器の斜視図、第２図はその縦断面図である。図面
に示す通り、本考案に係る二重構造飲料容器は、
外容器Ａと、これに嵌合する内容器Ｂとから構成
されている。

この内容器Ｂの外周面は、外容器Ａの上部内周
面にのみ接触しており、内容器Ｂの中部から下部
は外容器Ａより大きいテーパーを有し、外容器Ａ
に接触しない構造を有している。このため内容器
Ｂは外容器Ａに嵌合するとき、両容器間隙の空気
が逃げ易く、容易に嵌合することが出来ると共
に、内外両容器上部の接触面で熱融着により一体
化することが出来る。なお、外容器Ａがテーパー
を有するときは、内容器Ｂの下部のテーパーを外
容器Ａのテーパーより大きくすれば良い。内外両
容器の接触面は、熱融着作業性及び二重構造容器
としての一体安定性を考慮して、容器上端からそ
の直下に５〜15mm程度の幅とするのが良い。内容
器Ｂのテーパーは自由に設定出来るが、外容器Ａ
との間隔が広すぎると、二重容器の外形に比較し
て内容積が少なくなり容器としての一体感が損わ
れるので、最大離間点で0.5〜3.0mmの範囲が好適
である。

内容器Ｂの上端部３は外容器Ａの開口部切口４
に於て外方に折り曲げてこの切口４を覆い、更に
外容器Ａの外周面に重ね合せて熱融着される。尚
内容器Ｂとして予め上端部３を折り返した樹脂成
型品を使用しても良い。

従つて、本考案に係る二重構造飲料容器は外容
器の内外両面で熱融着されることになる。

容器には上蓋５を取けて密封容器とすることが
でき、この場合熱融着のできる素材で上蓋を構成
すると良い。又、底蓋６は外容器Ａの形成時に周
壁と一体の素材を折り曲げて形成しても良いし、
別体の素材を接着しても良い。

本考案の内容器Ａを形成する熱可塑性樹脂及び
外容器Ｂの熱可塑性樹脂層の材料としては、ポリ
エチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニ
ルアルコールなどを例示することができるが、特
に内容器Ｂについては内容物に直接接触するの
で、食品衛生上無害な合成樹脂を選ぶと共に内容
物を保護するために酸素、水蒸気、炭酸ガスなど
の遮断性に優れた樹脂を選ばなければならない。
この点、上記熱可塑性樹脂の各特性を組合せた多
層の積層樹脂成型品を内容器Ｂとして使用すれ
ば、遮断性、熱融着性及び強度のいずれも満足す
ることができる。尚、熱融着性の面からは、内容
器と外容器とを同一樹脂により熱融着させること
が望ましい。

熱融着は一般に用いられる熱板法などの外部加
熱法、または高周波シール、超音波シールなどの
内部加熱法によつて行うことができ、外容器の内
外面の熱融着を一工程で行う方法が良い。

このように得られる二重構造容器は、内容器と
外容器との一体化が外容器の内外両面に於ける熱
融着により行われるため、下記の利点を有する。

(1) 輸送保管などの取扱い時の外力に対して強固
である。

(2) 内容器が単一の成型品であるため、内容物が
漏出するおそれがない。

(3) 外容器を形成する板紙の切口が被覆されてい
るため、この切口からの水の浸透がない。

(4) 上蓋を装着した密封容器としての使用にも適
している。

(5) 外容器形状選択の自由度が高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す斜視図、第２
図は第１図の縦断面図である。 Ａ……外容器、Ｂ……内容器、３……内容器の
上端部、４……外容器の開口部切口、５……上
蓋、６……底蓋。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 表裏両面に熱可塑性樹脂層を有する板紙から
   成る外容器に熱可塑性樹脂から成る内容器を嵌
   合して成る二重構造飲料容器に於いて、前記内
   容器はその外周面下部が外容器の内周面と接触
   しないように底部を小さく形成すると共に、こ
   の内容器の外方へ折り曲げた上端部と外容器の
   外周面、並びに内容器の外周面上部と外容器の
   内周面上部を夫々熱融着したことを特徴とする
   二重構造飲料容器。 (2) 内容器が多層の積層熱可塑性樹脂成型品から
   成る実用新案登録請求の範囲第１項記載の二重
   構造飲料容器。