JPH0325673Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用座席に適した車輌用座席に関
するものである。

（従来の技術） バケツトタイプの自動車用座席のように座面に
立体感をもたせるため、座席フレームに張設され
た支持スプリングにパツド材を載装支持させて該
パツド材に被装されるシートカバーをその裏面に
取付けられた引込部材をもつてパツド材に埋込ま
れたインサートワイヤに引込固定した車輌用座席
は知られている。（例えば実公昭57−38055号公
報） （考案が解決しようとする課題） ところが、このような車輌用座席はシートカバ
ーが支持スプリングに固定されていないため、乗
降時等においてシートカバーやパツド材が支持ス
プリングより浮き上り、座面形状が崩れたり皺が
生じたりして外形形状や外観が保てないという問
題点があつた。このような問題を解決するための
考案としてはインサートワイヤをシートカバー連
繋用部と支持スプリング連繋用部とが一連に屈曲
形成されたものとして支持スプリング連繋用部の
みをパツド材の下面より露呈させ、前記支持スプ
リングに支持スプリング連繋用部を係止固定する
ようにしたものが先に出願されているが、支持ス
プリングにパツド材の下面より露呈した支持スプ
リング連繋用部を係止固定すると騒音が生じるた
め実用化に至つていない。

（課題を解決するための手段） 本考案は前記のような問題点を解決した車輌用
座席を目的として完成されたもので、座席フレー
ムに張設された支持スプリングにパツド材を載装
支持させて該パツド材に被装されるシートカバー
をパツド材中のインサートワイヤに引込固定した
車輌用座席において、前記インサートワイヤをシ
ートカバー連繋用部と支持スプリング連繋用部が
一連に屈曲形成されたものとして該シートカバー
連繋用部と支持スプリング連繋用部とをパツド材
の主体となる弾性プラスチツクスフオームよりな
る板状主体中にいずれも埋込成形されたものと
し、前記支持スプリングと支持スプリング連繋用
部とを相互間に前記板状主体の一部を介在させて
係止部材により固定する一方、前記シートカバー
の裏面所要部に取付けられた引込部材を前記イン
サートワイヤのシートカバー連繋用部に係止部材
をもつて引込固定したことを特徴とするものであ
る。

（作用） このように構成されたものは、在来のこの種車
輌用座席と同様に使用した場合、パツド材に被装
されているシートカバーが該パツド材に埋込まれ
たインサートワイヤの支持スプリング連繋用部に
係止部材をもつて引込固定されているので座面に
立体感が付与されて装飾効果に優れていることは
在来のものと殆ど変わることはないが、本考案で
はインサートワイヤがシートカバー連繋用部と支
持スプリング連繋用部を一連に屈曲形成してなる
ものであつて、この支持スプリング連繋用部と支
持スプリングとを係止部材により固定してあるか
ら、パツド材が支持スプリングより浮き上ること
がなく、前記したようにシートカバーがインサー
トワイヤのシートカバー連繋用部に引込固定され
ている点と相まち乗降時等における座面形状の崩
れや皺寄りがなくなり、長期間にわたり所要の外
形形状や外観を保つこととなり、しかも、支持ス
プリング連繋用部と支持スプリングとの係止固定
は支持スプリング連繋用部がパツド材の主体とな
る弾性プラスチツクスフオームよりなる板状主体
中に埋込成形されたものとして前記支持スプリン
グと支持スプリング連繋用部との間に前記板状主
体の一部を介在させてあるため、支持スプリング
連繋用部と支持スプリングとの直接接触による騒
音の発生が全くない。

（実施例） 次に、本考案を図示の実施例について詳細に説
明する。

１は図示しない座席フレームに複数本所要間隔
下に張設された支持スプリングとしてのＳばねで
あつて、該支持スプリング１上にはパツド材３が
載装支持されている。パツド材３はポリウレタン
フオーム等の弾性プラスチツクスフオームよりな
る板状主体４中にインサートワイヤ７を埋込成形
したものでその表面側にはシートカバー６を引込
むための溝状または穴状の凹部２が形成されてい
る。また、インサートワイヤ７は第１図および第
３図に示す第１および第３の実施例ではコ字状に
屈曲されたシートカバー連繋用部８の両側の脚端
に支持スプリング連繋用部９，９を屈曲形成した
ものとし、シートカバー連繋用部８がパツド材３
の表面近くにあり、支持スプリング連繋用部９，
９がパツド材３の裏面側にあるよう板状主体４に
埋込成形されている。さらに、第１図、第２図に
示す第１および第２の実施例においてパツド材３
に被装されるシートカバー６は表皮と褥材と裏基
布とよりなる積層表皮材をその端縁方部の表面同
志が対向した状態で裏側に突出するようワイヤ挿
込用の袋状引込布１０とともに縫着し、該袋状引
込布１０にエツジワイヤ１１を挿込んで裏面所要
部に引込部材１２が取付けられたものとし、該シ
ートカバー６は引込部材１２をインサートワイヤ
７のシートカバー連繋用部８にホグリング等の係
止部材１３で引込固定されているが、第３図に示
す第３の実施例では装飾用ボタンを引込部材２と
してこれをシートカバー連繋用部８に係止部材１
３で引込固定してある。そして、支持スプリング
１に載装支持されたこのシートカバー６付きのパ
ツド材３は支持スプリング１の所要個所とインサ
ートワイヤ７の支持スプリング連繋用部９，９間
に前記板状主体４の一部を介在させた状態で係止
されるホグリング等の係止部材１４により固定し
てある。なお、第２図に示す第２の実施例におけ
るインサートワイヤ７は２本の支持スプリング
１，１に対し１本のインサートワイヤ７ですむよ
うにしたものであるため、第１の実施例における
コ字状のシートカバー連繋用部８の中間をさらに
コ字状に屈曲してこの部分にも支持スプリング連
繋用部９ａを屈曲形成したものとしてあるが、い
ずれにしてもシートカバー連繋用部８と支持スプ
リング連繋用部９，９ａとはパツド材３の主体と
なる弾性プラスチツクスフオームよりなる板状主
体４中に埋込まれて外部に露呈されないことを必
須とする。

（考案の効果） 本考案は前記説明から明らかなように、シート
カバー連繋用部と支持スプリング連繋用部とが一
連に屈曲形成されているインサートワイヤをパツ
ド材中に埋込んでおき、パツド材に被装されるシ
ートカバーをシートカバー連繋用部に係止部材で
引込固定するとともに支持スプリング連繋用部と
支持スプリングとを別の係止部材で固定するよう
にしたので乗降時等においてシートカバーやパツ
ド材が支持スプリングより浮き上つて座面形状が
崩れたり皺が生じることがなく、長期間にわたり
外形形状や外観を保つことができるうえにパツド
材の厚みが大きくても引込固定が適確に行われ
る。さらに、屈曲した一連のインサートワイヤを
使用しての引込みであるから、シートカバーの引
込位置と支持スプリングの固定位置との位置関係
を広い範囲で選択できるのでデザイン上や製作上
の制約がなく、意匠的に優れた製品を容易に量産
できる。しかも、インサートワイヤはシートカバ
ー連繋用部のみならず支持スプリング連繋用部も
外部に露呈されることなくパツド材中にあつて、
支持スプリング連繋用部と支持スプリング間に弾
性プラスチツクスフオームよりなる板状主体の一
部を介在させて係止部材により係止固定してある
ことは構成上の特徴の１つであつて、このため、
支持スプリングと支持スプリング連繋用部の直接
接触による騒音の発生がないうえに支持スプリン
グ連繋用部が外部に露呈されていることにより起
こる早期腐食もなくなる等種々の利点もあり、従
来の車輌用座席の問題点を解決したものとして実
用的価値極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例を示す要部の一
部切欠斜視図、第２図は本考案の第２の実施例を
示す要部の一部切欠斜視図、第３図は本考案の第
３の実施例を示す要部の一部切欠斜視図である。 １：支持スプリング、３：パツド材、４：板状
主体、６：シートカバー、７：インサートワイ
ヤ、８：シートカバー連繋用部、９：支持スプリ
ング連繋用部、１２：引込部材、１３，１４：係
止部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 座席フレームに張設された支持スプリング１に
   パツド材３を載装支持させて該パツド材３に被装
   されるシートカバー６をパツド材中のインサート
   ワイヤ７に引込固定した車輌用座席において、前
   記インサートワイヤ７をシートカバー連繋用部８
   と支持スプリング連繋用部９が一連に屈曲形成さ
   れたものとして該シートカバー連繋用部８と支持
   スプリング連繋用部９とをパツド材３の主体とな
   る弾性プラスチツクスフオームよりなる板状主体
   ４中にいずれも埋込成形されたものとし、前記支
   持スプリング１と支持スプリング連繋用部９とを
   相互間に前記板状主体４の一部を介在させて係止
   部材１４により固定する一方、前記シートカバー
   ６の裏面所要部に取付けられた引込部材１２を前
   記インサートワイヤ７のシートカバー連繋用部８
   に係止部材１３をもつて引込固定したことを特徴
   とする車輌用座席。