JPH0324844B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「技術分野」 本発明は、内視鏡検査あるいは治療の際、体腔
内圧を自動的に調整するようにした体腔内圧調整
装置に関する。

「従来技術およびその問題点」 内視鏡の検査あるいは治療の際には、体腔、例
えば胃壁を進展させ、あるいは対物レンズ表面を
清浄にするために、送気パイプを介して送気する
ことが行なわれる。ところがこの送気ガスが胃内
に充満すると、胃壁が過度に進展し、細管が破れ
て出血したり、胃の異常な緊張状態でゲツプが発
生する等して患者に苦痛を与え、さらに胃壁が伸
展するため微細な粘膜の変化を忠実に捕えること
ができず、内視鏡下の胃炎診断治療において正確
さを欠く等の付都合が生じる。

このため従来の内視鏡においては、鉗子チヤン
ネルを手動開閉弁を介して吸引装置（吸引ボト
ル）に連通させていて、患者の状態を見ながら、
術者がこの手動開閉弁を操作することにより、体
腔内圧が上昇し過ぎないようにしている。しかし
例えば大腸の検査では、胃に比べて壁面が弱いた
め、内圧が高まり過ぎると危険なことがあり、特
に苦痛を訴えるのを遠慮しがちな若い女性の場合
には、大腸壁の破裂という最悪の自体が生じるこ
とも考えられる。

いずれにしても、従来の内視鏡検査では、体腔
内圧の上昇抑制および制御は、術者の経験に頼つ
ているのが実情であり、体腔内圧を一定に保持し
ようという発想は存在しなかつた。

「発明の目的」 本発明は、従来の内視鏡についてのこの問題点
の発見に基づき、内視鏡検査あるいは治療におい
て、体腔内圧を一定範囲に制御し、患者の苦痛を
柔げることを目的とする。

「発明の概要」 本発明は、体腔内に通じる送気パイプと鉗子チ
ヤンネルを有し、送気パイプは送気気ポンプに、
鉗子チヤンネルは吸引装置に連通する内視鏡にお
いて、さらに、鉗子チヤンネルを手動開閉弁より
上流側で分岐させた自動吸引パイプを設け、この
自動吸引パイプに、鉗子チヤンネル内の圧力を検
知する圧力センサによつて吸引状態が制御される
吸引ポンプを有する自動吸引装置を接続したこと
を特徴としている。

この自動吸引装置によれば、特別な操作を要す
ることなく、送気ポンプを連続駆動したまま、体
腔内圧力を一定の範囲に制御することができる。
他方、従来の吸引装置は、体腔内の汚物を吸引す
る際等に使用される。

この自動吸引装置を用いれば、送気ポンプを常
時駆動し、送気パイプから体腔内に常時送気する
ことが可能とる。送気パイプは、通常イメージフ
アイバ先端の対物レンズ表面に向けて開口してい
るため、対物レンズを常時清浄にして、明瞭な観
察像を得ることが可能となる。

送気パイプに送気する送気ポンプおよびこの自
動吸引装置は、内視鏡の照明用フアイバの電源ユ
ニツトに設けると、内視鏡システムを一部修正す
るだけで、本発明装置を得ることができる。すな
わち本発明装置は、システム全体を変えることな
く、安価に実現できる。

「発明の実施例」 以下図示実施例について本発明を説明する。内
視鏡本体１１には、体腔内に達する送気パイプ１
２と、鉗子チヤンネル１３が設けられている。こ
の他、像観察のためのイメージフアイバ、照明用
フアイバ等の周知の要素が組み込まれるが、本発
明装置の要旨に関係がないので、図示を省略して
いる。送気パイプ１２の先端は、前述のようにイ
メージフアイバ先端の対物レンズに向けて開口す
る。

鉗子チヤンネル１３は、手動開閉弁１４および
吸引パイプ１５を介して吸引装置１６に連通して
いる。手動開閉弁１４は、操作ボタン１４ａを押
すと開き、鉗子チヤンネル１３を吸引装置１６に
連通させる。吸引装置１６は吸引ボトル１６ａと
吸引ポンプ１６ｂとからなつている。この吸引系
統は、主に体腔内の汚物を吸引ボトル１６ａ内に
吸込む際に使用されるもので、従来品にも備えら
れている。

照明用フアイバに照明光を与える光源ユニツト
２０は、本来の照明ランプ２１の他に、本発明の
特徴とする送気ポンプ２２、および自動吸引装置
３０を備えている。送気ポンプ２２は、ライトガ
イドケーブル２３内を通る送気パイプ２４および
送気送水切換弁２５を介して、上記送気パイプ１
２と連通している。送気送水切換弁２５は、操作
ボタン２５ａを押さない状態では、常時送気ポン
プ２２からの空気を送気パイプ１２に送り、操作
ボタン２５ａを押すと、送気ポンプ２２からの空
気に乗せて、水を送るものである。水タンクは示
していないが、空気流に乗せて水を送る技術は内
視鏡分野では周知である。また本発明は、送水機
構の構成、あるいはその有無を問うものではな
い。

自動吸引装置３０は、鉗子挿入口２６に通じる
自動吸引パイプ３１を介して鉗子チヤンネル１３
と連通している。すなわち、自動吸引パイプ３１
は、手動開閉弁１４より上流側において、鉗子チ
ヤンネル１３から分岐している。この自動吸引装
置３０は、鉗子チヤンネル１３内圧力、すなわち
体腔内圧が一定の範囲に収まるように吸引量を制
御するもので、圧力センサ３２と、制御回路３３
と、吸引ポンプ３４を備えている。圧力センサ３
２は、体腔内圧力を検知し、その圧力が一定の範
囲に収まるように、制御回路３３を介して吸引ポ
ンプ３４を制御する。圧力センサ３２の設定圧力
は調整可能である。吸引ポンプ３４の制御は、オ
ンオフ制御、開閉弁の開閉制御、吸引量の連続制
御にいずれによつてもよい。

上記構成の本発明装置は、内視鏡検査中におい
て、送気ポンプ２２を連続駆動し、送気パイプ２
４および送気送水切換弁２５を介して送気パイプ
１２から連続送気する。体腔内圧は送気量の増大
に伴ない上昇するが、この圧力が一定値に達する
と、圧力センサ３２がこれを検知し、制御回路３
３を介して吸引ポンプ３４を駆動する。するとこ
の吸引ポンプ３４による吸引作用、つまり体腔内
からの排気により、体腔内圧は下降する。そして
体腔内圧が一定値以下となつたら、吸引ポンプ３
４による吸引を停止し、あるいは吸引量を下げ
る。以上の吸引制御を連続的に行なうことによ
り、体腔内圧を一定の範囲に制御することができ
る。そして、体腔内の汚物の吸引は、以上の制御
とは別に、手動開閉弁１４および吸引装置１６を
介して行なうことができる。実験によれば、圧力
センサ３２の設定圧力に対し、±10％程度の狭い
圧力範囲に体腔内圧力を制御することができた。

「発明の効果」 以上のように本発明は、吸引装置に手動開閉弁
を介して連なる鉗子チヤンネルを、該手動開閉弁
より上流側において分岐させて自動吸引パイプを
設け、この自動吸引パイプに、体腔内圧を自動的
に調整できる、上記手動操作の吸引装置とは別の
自動吸引装置を接続したので、従来の吸引装置や
その手動開閉弁を操作することなく、自動的に体
腔内圧の調整ができる。このため内視鏡検査にお
いて従来、患者の訴えや表情を読み取る術者の経
験にまかされていた体腔内圧の調整を自動的に行
なうことができる。よつて特に体腔壁の薄い大腸
等の検査を安心して、かつ患者の負担を軽減した
状態で、行なうことができる。また術者から見れ
ば、体腔内圧の増減、特に異常な増加について常
時気を配るという必要がなくなるため、その負担
が軽減され、その能力を検査あるいは治療に集中
することができる。したがつてより正確な検査、
適切な処置に寄与するものである。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の内視鏡の体腔内圧調整装置の実施
例を示す系統接続図である。 １１……内視鏡本体、１２……送気パイプ、１
３……鉗子チヤンネル、１４……手動開閉弁、１
６……吸引装置、２０……光源ユニツト、２１…
…照明ランプ、２２……送気ポンプ、２４……送
気パイプ、２５……送気送水切換弁、２６……鉗
子挿入口、３０……自動吸引装置、３１……自動
吸引パイプ、３２……圧力センサ、３３……制御
回路、３４……吸引ポンプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 体腔内に通じる送気パイプと鉗子チヤンネル
   を有し、送気パイプは送気ポンプに、鉗子チヤン
   ネルは手動開閉弁を介して吸引装置に連通する内
   視鏡において、 上記鉗子チヤンネルを上記手動開閉弁より上流
   側で分岐させた自動吸引パイプと； 上記鉗子チヤンネル内の圧力を検知する圧力セ
   ンサと； この圧力センサの検出圧力に応じて吸引状態が
   制御される吸引ポンプを有し、上記自動吸引パイ
   プに接続された自動吸引装置と；を有することを
   特徴とする内視鏡の体腔内圧調整装置。 ２ 特許請求の範囲第１項において、自動吸引装
   置は、送気ポンプとともに、内視鏡の光源ユニツ
   トに設けられている内視鏡の体腔内圧調整装置。