JPH0324226B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、赤外光利用の局部温熱療法用赤外
光照射部の構造に関する。

〔従来の技術〕

固形癌の治療において、癌が正常体温より若干
高い温度に特異的に弱いという事実が発見されて
いる。癌の治療において設定される温度域は、42
℃〜43℃であるが、大体41℃〜45℃位の範囲が用
いられる。この温度域以下では熱の効果が不十分
であり、この温度域以上では正常組織も障害を受
け癌に対する治療が損われる。このような温熱療
法をレーザ光（他にハロゲンランプの赤外光、キ
セノンランプの赤外光、以下これらを代表してレ
ーザ光という）を利用して行おうとする試みがな
されている。又、胆管等に腫瘍ができ、胆管が詰
つてしまつた場合に、胆管等の狭窄部に留置形プ
ロステイセスを挿入し、胆汁の流通阻害を解消す
る手段が採られている。

〔解決しようとする問題点〕

従来は、狭窄された胆管の流通を図るための留
置形プロステーセスの技術と胆管にできた腫瘍の
治療とは別個独立に行われていた。

そこで、この発明は胆管の末端部に狭窄を来た
したときに胆汁の流通が阻害されるのを防止する
ために留置形プロステーセスを胆管の狭窄部に挿
入して胆汁の流通を図ると同時に、胆管にできた
腫瘍を温熱療法で治療することができる局部温熱
療法用赤外光照射部の構造を提供することを目的
とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上述の目的を達成するため、この発明は、赤外
光出射装置から出射される赤外光を導く導光フア
イバを外装チユーブでおおい、外装チユーブ先端
に導光フアイバと接続された加温筒体を設け、加
温筒体内に導光フアイバ先端から照射される赤外
光により加温される液体を封入し、液体又は加温
筒体に温度センサーを設け、加温筒体の中空部に
留置形筒体を着脱可能に嵌め込み、加温筒体の中
空部並びに留置形筒体に多数の小孔を形成したも
のである。

〔作用〕

この発明では、内視鏡を用いて赤外光照射部を
臓器内へ挿入し、狭窄された患部に留置形筒体を
挿入して胆管の胆汁等の流通を図るとともに、加
温筒体を赤外光により封入された液体を介して加
温し当該腫瘍個所に温熱療法を施す。

〔実施例〕

以下にこの発明の好適な実施例を図面を参照し
て説明する。

第１図に示す実施例において、赤外光出射装置
１（第３図参照）から出射される赤外光、例えば
レーザ光を導く導光フアイバ２を外装チユーブ３
でおおい、外装チユーブ３の先端に導光フアイバ
２の先端が接続された加温筒体４を設けてある。
加温筒体４を構成する材料としては、金、銅、ア
ルミニウム等の熱伝導性に優れた材料を用い、錆
を防止するための処理、例えば鍍金やアルマイト
加工等を施す。この加温筒体４の外周面にはフツ
素樹脂をコーテイングし、生体との剥離性を向上
させてある。この加温筒体４内に導光フアイバ２
の先端から照射されるレーザ光により加温される
液体５を封入してある。この液体５に導光フアイ
バ２の先端がシールされて挿入してある。またこ
の液体５に温度センサー６を挿入してある。図中
符号７は液体５を封入するためのシーリング材で
ある。この温度センサー６は液体５の温度を感知
するようにしてもよいし、加温筒体４の温度を感
知するようにしてもよい。この温度センサー６と
しては、サーミスタ等が用いられ、１若しくは２
以上設けてある。加温筒体４の中空部４Ａにはテ
フロンチユーブ等から成る留置形筒体７を着脱可
能に嵌め込んである。さらに、加温筒体４の中空
部４Ａ並びに留置形筒体７に多数の小孔４Ｂ…
…，７Ｂ……を形成してある。

前記加温筒体４は二重壁構造とし、外周中空部
に液体５を封入し、液体５内へ導光フアイバ２の
先端をシールして挿入し、加温筒体４の内壁に内
装チユーブ８を設けてある。留置形筒体７は胆管
等の狭窄部に挿入され体内に留置させておくこと
ができるため、後日回収するに便利なようにこの
留置形筒体７に可撓線条材９を取付けてある。

第１図の如く構成されたものは、内視鏡１０を
使用して、胆管１１の腫瘍１２で狭窄された個所
へ挿入される。狭窄された胆管１１が開くことに
より、胆汁を加温筒体４の小孔４Ｂや留置形筒体
７の小孔７Ｂから排出することが可能となる。ま
た内装チユーブ８を図示しない吸引装置に接続
し、胆汁を吸引することが可能となる。さらに、
第２図に示す挿入状態において、導光フアイバ２
の先端からレーザ光を出射し、液体５を加温する
ことによりに加温筒体４を所定の温度範囲に加温
し腫瘍１２に対し温熱療法を施すことも可能とな
る。

第３図は、加温筒体４の加温範囲を制御する手
段の一例を示すものである。加温筒体４に設けた
複数の温度センサー６は、増幅器１３に接続して
あり、増幅器１３で増幅された信号は基準温度と
の比較演算回路１４に送られ、比較演算回路１４
からの信号はレーザ光等の赤外光制御回路１５に
送られ、この制御回路１５からの命令により赤外
光出射装置１から出射するレーザ光等を調節す
る。また、比較演算回路１４からの信号は温度モ
ニタ１６に送られ、温度モニタ１６により加温筒
体４の加温範囲を目視できるようになつている。
また、比較演算回路１４は基準温度設定回路１７
からの信号を受けている。加温筒体４の温度が所
定の範囲を越えたときには、赤外光出射装置１か
ら出射されるレーザ光等のパワーダウンを図り、
あるいは赤外光出射装置１に設けられた図示しな
いシヤツタを閉じたりすればよい。レーザ光等の
パワー調整やシヤツタのオン／オフを図るには、
第３図に示す手段以外の手段も採用可能であるこ
とは勿論である。

留置形筒体７を体内に留置するときには、内装
チユーブ８内に特殊鉗子１８を挿入し、鉗子１８
により留置形筒体７を加温筒体４から取外す。

第２図に示す状態において、内装チユーブ８を
使用し、生食水を注入し、患部の洗浄を行うこと
も可能である。

図示した実施例では胆管にできた腫瘍の治療に
用いたが、尿路や生殖器に適応することもできる
ことは勿論である。なおまた、内視鏡を用いるの
みならず、人体を切開して当該照射部を使用する
ことも可能である。

〔効果〕

以上説明したように、この発明は、赤外光出射
装置から出射される赤外光を導く導光フアイバを
外装チユーブでおおい、外装チユーブ先端に導光
フアイバと接続された加温筒体を設け、加温筒体
内に導光フアイバ先端から照射される赤外光によ
り加温される液体を注入し、液体又は加温筒体に
温度センサーを設け、加温筒体の中空部に留置形
筒体を着脱可能に嵌め込み、加温筒体の中空部並
びに留置形筒体に多数の小孔を形成したので、狭
窄された胆管等に使用して胆汁の流通を図ること
が可能になるとともに、当該胆管にできた腫瘍に
加温筒体で温熱療法を施すことが可能となる。ま
た、加温筒体の中空部に留置形筒体を着脱可能に
嵌め込んであるので、所定時間温熱療法を施した
後は、留置形筒体を加温筒体の中空部から取外し
て体内に留置しておくことも可能である。

また、加温筒体を二重壁構造とし、外周中空部
に液体を封入し、液体内へ導光フアイバの先端を
シールして挿入し、加温筒体の内壁に内装チユー
ブを設けたものにあつては、内装チユーブを介し
て生食水の供給や種々の器具の挿通が可能とな
る。また、留置形筒体に可撓線条体を取付けたも
のにあつては、一旦体内に留置した留置形筒体を
この可撓線条体によつて経内視鏡的に回収するこ
とが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の好適な実施例を示す赤外光
照射部の断面図、第２図は狭窄された胆管に赤外
光照射部を挿入した状態を説明する図、第３図は
温度制御を図る一例を示すブロツク図、第４図は
留置形筒体７を体内に留置させておく一手段を示
す簡略断面図である。 １……赤外光出射装置、２……導光フアイバ、
３……外装チユーブ、４……加温筒体、５……液
体、６……温度センサー、７……留置形筒体、４
Ｂ，７Ｂ……小孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 赤外光出射装置から出射される赤外光を導く
   導光フアイバを外装チユーブでおおい、 外装チユーブ先端に導光フアイバと接続された
   加温筒体を設け、 加温筒体内に導光フアイバ先端から照射される
   赤外光により加温される液体を封入し、 液体又は加温筒体に温度センサーを設け、 加温筒体の中空部に留置形筒体を着脱可能に嵌
   め込み、 加温筒体の中空部並びに留置形筒体に多数の小
   孔を形成したことを特徴とする局部温熱療法用赤
   外光照射部の構造。 ２ 加温筒体を二重壁構造とし、外周中空部に液
   体を封入し、液体内へ導光フアイバの先端をシー
   ルして挿入し、加温筒体の内壁に内装チユーブを
   設けたことを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の局部温熱療法用赤外光照射部の構造。 ３ 留置形筒体に可撓線条材を取付けたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項に記載
   の局部温熱療法用赤外光照射部の構造。