JPH0323946Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、型枠板の内側に断熱材を配置したコ
ンクリート型枠に関するものである。

（従来の技術及びその問題点） 従来のこの種のコンクリート型枠構造は、セパ
レーターの先端ねじ軸部に受け座金を介して延長
用軸足を接続し、この延長用軸足を断熱材と型枠
板とに対して貫通させ、型枠板から突出する当該
延長用軸足の遊端ねじ軸部に型枠締めつけ具を螺
嵌結合せしめることにより、前記受け座金と前記
型枠締めつけ具との間で断熱材と型枠板とを締結
するように構成したものであつた。

このような従来の型枠構造では、断熱材を持た
ない一般的な型枠構造と比較して延長用軸足が余
分に必要であり、この延長用軸足のセツテイング
に手間がかかるばかりでなく、断熱材の厚さに応
じて長さの異なる延長用軸足が必要であり、コス
ト高になる欠点があつた。

このような問題点を解決するために、例えば実
開昭58−159353号公報に記載されたように、型枠
板とこの型枠板の内側に配設された断熱材とを貫
通するセパレーターと、前記断熱材の内側面に当
接するように前記セパレーターに外嵌され且つ当
該セパレーターに設けられた受け座金ストツパー
で受け止められる受け座金と、前記型枠板から突
出するセパレーター先端ねじ軸部に結合された型
枠締めつけ具とを備え、前記セパレーターの断熱
材の内側面近傍位置にねじ切り用小径部を形成し
て成る断熱材付きコンクリート型枠に於いて、前
記セパレーターの中間埋め込み部にアンカー用の
曲げ部を形成して、型枠解体除去時に前記断熱材
から突出するセパレーターの先端ねじ軸部を前記
ねじ切り用小径部に於いてねじ切るとき、当該セ
パレーターが共廻りするのを前記曲げ部によつて
阻止し得るように構成することが考えられた。

しかしながら、コンクリート打設時には型枠板
を外側へ押し広げようとする大きな圧力がセパレ
ーターに引張力として作用するため、前記のよう
にセパレーターに形成された曲げ部が軸方向に引
つ張られて伸びてしまい、廻り止めとしての機能
を発揮しなくなる恐れがあるばかりでなく、曲げ
部の突出量にも限度があつて、セパレーターに十
分大きな回転抵抗を与えることが困難である。こ
のため、上記の従来の構成では、セパレーターの
先端ねじ軸部をねじ切るときにセパレーターの共
廻りを確実強力に阻止することが困難であり、ね
じ切り不能な事態が生じる恐れが多分にあつた。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記のような従来の問題点を解決する
ために、前記のようなコンクリート型枠構造に於
いて、前記受け座金をコンクリートに対して回転
不能に食い込む形状とし、この受け座金と前記セ
パレーターとを、当該セパレーターに形成した凹
凸軸部を介して相対回転不能に嵌合させると共
に、前記受け座金ストツパーと受け座金との間、
又は前記受け座金と断熱材との間に着脱自在なセ
パレーター軸方向のスペーサーを介在させて成る
断熱材付きコンクリート型枠構造を提案するもの
である。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添付の例示図に基づ
いて説明すると、第１図乃至第４図に於いて、１
は受け座金、２はセパレーター、３は薄肉断熱
材、そして４は型枠板である。前記受け座金１の
中央のセパレーター貫通孔５には受け座金外側面
６に開口する適当深さの廻り止め用凹部７が直径
方向２箇所に連設されている。前記セパレーター
２には、前記廻り止め用凹部７に嵌合する一対の
受け座金ストツパー８を備えた凹凸軸部９と先端
ねじ軸部１０とが設けられている。１１は前記受
け座金１のセパレーター貫通孔５内に嵌合される
薄肉断熱材用スペーサーであつて、中央にセパレ
ーター貫通孔１１ａを備えると共に、前記廻り止
め用凹部７に嵌合し得る一対の突出部１１ｂを備
えている。

薄肉断熱材３を使用した型枠の組み立てに際し
ては、前記薄肉断熱材用スペーサー１１を予め受
け座金１のセパレーター貫通孔５内又はセパレー
ター２の受け座金ストツパー８の外側位置に嵌合
しておき、前記セパレーター２に受け座金１を、
受け座金ストツパー８が受け座金１の廻り止め用
凹部７内に嵌合し且つ前記スペーサー１１が当該
受け座金ストツパー８と廻り止め用凹部７の底面
との間でセパレーター軸方向に挟まるように嵌合
させる。そして前記受け座金１から突出するセパ
レーター先端部２ａを断熱材３及び型枠板４のセ
パレーター貫通孔３ａ，４ａに挿通させ、型枠板
４から突出するセパレーター先端ねじ軸部１０に
型枠締めつけ具１２を螺嵌結合する。この型枠締
めつけ具１２の締結により、前記セパレーター２
の受け座金ストツパー８と型枠締めつけ具１２と
の間でスペーサー１１、受け座金１、断熱材３、
及び型枠板４を締結することが出来る。

又、第５図に示すように規定厚さの断熱材１３
を使用する場合は、前記スペーサー１１を外した
状態で上記と同様に型枠を組み立てる。

第６図に示すように、前記断熱材３の内側にコ
ンクリートを打設してコンクリート壁１４を築造
したときには前記受け座金１はコンクリート壁１
４内に埋没固定されており、従つてこの受け座金
１に対し前記廻り止め用凹部７と受け座金ストツ
パー８との嵌合により相対回転不能に貫通してい
るセパレーター２は築造されたコンクリート壁１
４に対して自転不能な状態となつているので、型
枠締めつけ具１２及び型枠板４を除去した後、前
記受け座金１から突出するセパレーター先端部２
ａをねじ切ることが出来る。

このセパレーター先端部２ａのねじ切りの際に
破断箇所が一定し且つねじ切りを容易に行えるよ
うに、第１図に示すように受け座金ストツパー８
よりも先端側で受け座金１のセパレーター貫通孔
５内に位置する箇所に於いて、セパレーター２に
ねじ切り用小径部１５を形成させておくことが出
来るが、特にこの小径部１５がなくとも、受け座
金ストツパー８のセパレーター先端側基部でねじ
切ることも可能である。

又、セパレーター先端部２ａのねじ切りの際に
受け座金１がコンクリート壁１４内で回転するの
を確実に防止するために、受け座金１の外周に回
転止めのためのリブを形成したり、受け座金１の
横断面形状を楕円形や矩形等、回転止め効果のあ
る形状に構成するのが望ましい。

上記実施例では受け座金ストツパー８によつて
廻り止め用凹凸軸部９を形成したが、これに限定
されない。例えばセパレーター２に、スプライン
軸状或いは角軸状等、横断面形状が真円でない凹
凸軸部と受け座金ストツパーとを軸方向に隣接さ
せて各別に設け、受け座金１のセパレーター貫通
孔５は前記凹凸軸部に相対回転不能に嵌合する横
断面非真円形状に構成し、このセパレーター貫通
孔５にセパレーター２の凹凸軸部を嵌合させたと
き、前記受け座金ストツパーが受け座金１の外側
面６に当接するように構成することも出来る。こ
の場合には前記薄肉断熱材用スペーサー１１は、
受け座金１の外側面６と前記受け座金ストツパー
との間で挟まれるようにセパレーター２に外嵌さ
れる。

（考案の作用及び効果） 以上のように実施し得る本考案のコンクリート
型枠構造によれば、断熱材の内側にコンクリート
を打設して壁等を築造したときには、前記断熱材
の内側に当接する受け座金がコンクリートに回転
不能に食い込んでおり、従つて、この受け座金に
凹凸軸部を介して相対回転不能に貫通しているセ
パレーターもコンクリートに対して自転不能な状
態にロツクされることになり、このため、前記セ
パレーターの先端ねじ軸部を工具等で捻じつて、
当該セパレーターのねじ切り用小径部でねじ切る
場合に、セパレーターがコンクリートから離れて
共廻りすることを防止することが出来る。

しかも、セパレーター自体にコンクリートに対
する回転を止める曲げ部を設ける場合のように、
コンクリート打設時に受ける大きな引張力で前記
曲げ部が伸びてしまつて廻り止め効果がなくなつ
たり、型枠板間のコンクリート打設空間の巾が変
化するような恐れは皆無である。又、コンクリー
トに対して回転不能に食い込ませる受け座金は、
セパレーターと比較して十分に大径で大きな廻り
止め作用面を容易に構成し得るものであること、
そして当該受け座金とセパレーターとの間の廻り
止め効果は、セパレーター側の凹凸軸部とこれに
相対回転不能に嵌合する受け座金側の貫通孔と
で、作用半径が小さくとも確実且つ強力に得られ
ることとによつて、セパレーターの曲げ部でコン
クリートに対する廻り止め効果を得る場合よりも
確実且つ強力な廻り止め効果が得られ、従つて、
セパレーターの先端ねじ軸部のねじ切りに際し
て、セパレーターの共廻りを確実に防止して、当
該ねじ切り作業を容易且つ確実に行わせ得るので
ある。

而して、本考案の構成によれば、従来のような
延長用軸足を使用しないので、断熱材の厚さが変
わつたときに長さの異なる延長用軸足を使用して
対処することが出来ない。しかしながら本考案の
構成によれば、断熱材の厚さが変わつたときに、
受け座金ストツパーと受け座金との間、又は前記
受け座金と断熱材との間にスペーサーを介在させ
るか又は当該スペーサーを取り除いて対処するこ
とが出来る。

又、薄肉断熱材用スペーサーとしては、第７図
に示すように受け座金１と断熱材３との間に挟ま
れるスペーサー１６を使用することも出来る。こ
の場合、当該スペーサー１６を予め受け座金１に
係止させておくことが出来るように、例えば受け
座金１に弾性的に外嵌し得る周壁を設けたり、受
け座金１に設けられた係止孔内に密に嵌合し得る
突起を突設させておくことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦断側面図、第２図は受け座金ストツ
パー位置での縦断背面図、第３図は薄肉断熱材用
スペーサー位置での縦断背面図、第４図は同スペ
ーサーの斜視図、第５図は同スペーサーを使用し
ない場合の縦断側面図、第６図はコンクリート壁
築造後の縦断側面図、第７図は別の実施例を示す
縦断側面図である。 １……受け座金、２……セパレーター、３……
薄肉断熱材、４……型枠板、５……セパレーター
貫通孔、７……廻り止め用凹部、８……受け座金
ストツパー、９……凹凸軸部、１０……先端ねじ
軸部、１１，１６……薄肉断熱材用スペーサー、
１２……型枠締めつけ具、１３……規定厚さの断
熱材、１４……コンクリート壁、１５……ねじ切
り用小径部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 型枠板とこの型枠板の内側に配設された断熱材
   とを貫通するセパレータと、前記断熱材の内側面
   に当接するように前記セパレーターに外嵌され且
   つ当該セパレーターに設けられた受け座金ストツ
   パーで受け止められる受け座金と、前記型枠板か
   ら突出するセパレーター先端ねじ軸部に結合され
   た型枠締めつけ具とを備え、前記セパレーターの
   断熱材の内側面近傍位置にねじ切り用小径部を形
   成して成る断熱材付きコンクリート型枠に於い
   て、前記受け座金をコンクリートに対して回転不
   能に食い込む形状とし、この受け座金と前記セパ
   レーターとを、当該セパレーターに形成した凹凸
   軸部を介して相対回転不能に嵌合させると共に、
   前記受け座金ストツパーと受け座金との間、又は
   前記受け座金と断熱材との間に着脱自在なセパレ
   ーター軸方向のスペーサーを介在させて成る断熱
   材付きコンクリート型枠構造。