JPH0323658B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はドビー機に関し、特にヘルドフレーム
の昇降制御をペグカードによらず電気的に行うド
ビー機に関する。

〔従来の技術〕

ヘルドフレームを有する織機において、そのヘ
ルドフレームを昇降させるドビー機を備えたもの
は公知である。

上記ドビー機において、従来はヘルドフレーム
の昇降はドビー機内に設けた昇降用レバーの運動
をペグカードと称される、所望の開口運動に基づ
いて作成される突起状のペグの有無に関連して、
ヘルドフレームに連なるワイヤロープを作動させ
るようになつている。

〔発明が解決しようとする課題〕

このようなドビー機においては、織組織、織柄
を変更する毎にペグカードのペグを植え換える作
業が必要である。従つて、多品種少量生産におい
ては作業が面倒である。

本発明は上記問題は解決することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は磁力駆動装置の制御によつてヘルドフ
レームの昇降指示用保持フツクを作用させるドビ
ー機であつて、上記保持フツクの作用位置への変
位をカムによる機械的手段と、電磁ソレノイドに
よる磁力駆動手段とにより行い、上記機械的手段
によつて予め上記保持フツクを電磁ソレノイドに
接近する位置まで移動させ、該接近した位置で上
記電磁ソレノイドのオンにより、上記保持フツク
を吸引保持するようにしたものである。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に従つて説明す
る。

第９，１０図に消極ドビーを搭載した織機の概
略構成を示す。織機１のフレーム２，２上に架台
３を介してドビー機本体４が設置され、該ドビー
機４の出力はワイヤロープ５ａ，５ｂを介してガ
イドローラ６ａ，６ｂ，７ａ，７ｂを経て、揺動
レバー８ａ，８ｂに伝達され、該揺動レバー８
ａ，８ｂにリンクにより垂下支持されるヘルドフ
レーム９が昇降する。図示の場合は、復帰用スプ
リング１０がヘルドフレームの両サイドに配置さ
れ、ヘルドフレームの上昇をドビー機により、下
降をスプリング１０によるいわゆる消極ドビーが
示されている。

上記ドビー機４の駆動は、織機側の出力スプロ
ケツト１２と、ドビー機側の入力スプロケツト１
３がタイミングベルト１５で連結されて駆動され
る。

第１，２図にドビー機本体の内部構成が示され
る。即ちドビー機本体は周面を壁で覆われてお
り、ジヤツクレバー１１に連なるワイヤロープ５
ａの出力側のみが開口１６している。従つて、該
開口１６を除く他の部分は第１，９図の如く枠体
２２およびカバー２３によつて底面、側面、上面
が閉ざされている。

第１図、第２図において、３５ａ，３５ｂは昇
降指示手段である保持フツクで、ボークプレート
１８の可動フツク１７ａ，１７ｂと係合するフツ
ク部３６ａ，３６ｂと、そのフツク部３６ａ，３
６ｂを可動フツク１７ａ，１７ｂと係合する作用
位置と非係合状態とする非作用位置に回動する可
動部３７ａ，３７ｂからなり、これらが夫々固定
軸３８ａ，３８ｂに回動自在に設けられる。この
可動部３７ａ，３７ｂとフツク部３６ａ，３６ｂ
間にはスプリング３９ａ，３９ｂが設けられ、フ
ツク部３６ａ，３６ｂが常時可動部３７ａ，３７
ｂのストツパー片４０ａ，４０ｂに当接して一体
に回動するようにされる。可動部３７ａ，３７ｂ
にはピン４１ａ，４１ｂにてスライダ４２ａ，４
２ｂが連結され、このスライダ４２ａ，４２ｂが
固定軸４３に回動自在に設けたアクシヨンレバー
４４ａ，４４ｂの溝４５ａ，４５ｂに摺動自在に
係合される。

アクシヨンレバー４４ａ，４４ｂは、そのアク
シヨンレバー４４ａ，４４ｂを作用・非作用位置
に回動するための磁性材からなる操作部４６ａ，
４６ｂを有し、その操作部４６ａ，４６ｂに対向
して、その操作部４６ａ，４６ｂを吸引する磁力
駆動手段であるソレノイド４７ａ，４７ｂが配置
される。

またアクシヨンレバー４４ａ，４４ｂは、カム
レバー部４８ａ，４８ｂを有し、このカムレバー
部４８ａ，４８ｂ間にスプリング４９が設けられ
ると共に、補助カム５０が設けられる。

また、ソレノイド４７ａ，４７ｂは取付ベース
５１上にＵ字状のコア５２が取り付けられ、その
コア５２の両側にコイル５３，５３が反対方向に
巻付けられて形成される。

また、保持フツク３５ａ，３５ｂのフツク部３
６ａ，３６ｂ間には両フツク部３６ａ，３６ｂ
を、それぞれ非作用位置側に回動付勢するスプリ
ング５４が設けられ、またその非作用位置でフツ
ク部３６ａ，３６ｂの回動を規制するストツパー
５５ａ，５５ｂが設けられる。

補助カム５０は、駆動レバー２１を駆動するカ
ム１９の軸に連結される駆動歯車５６から中間歯
車５７を介し、その補助カム５０に連結されて被
動歯車５８よりカム１９の回転と同期して回転さ
れる。

次に上記ドビー機の作用を説明する。

先ず、昇降指示手段である保持フツク３５ａ，
３５ｂのフツク部３６ａ，３６ｂがボークプレー
ト１８の可動フツク１７ａ，１７ｂと係合する作
用位置にあるときは、ボークレバー１４が回動さ
れ、ジヤツクレバー１１を介してワイヤー５が引
き込まれ、ヘルドフレーム９が上昇され、またフ
ツク部３６ａ，３６ｂがボークプレート１８の可
動フツク１７ａ，１７ｂと非係合状態の非作用位
置にあるときは、上述と逆にヘルドフレームがス
プリング１０により降下される。

この保持フツク３５ａ，３５ｂの作用・非作用
位置へ回動させるには、その保持フツク３５ａ，
３５ｂを回動させるアクシヨンレバー４４ａ，４
４ｂの操作部４６ａ，４６ｂに対応した磁力駆動
手段であるソレノイド４７ａ，４７ｂへの通電を
柄織に応じたプログラムにより制御すればよい。

すなわち、第３図に示すように、ソレノイド４
７ａに通電されると、アクシヨンレバー４４ａ
は、そのソレノイド４７ａの磁力により、操作部
４６ａが、吸引されてソレノイド４７ａのコア５
２の先端に吸着保持され、それに応じてアクシヨ
ンレバー４４ａの溝４５ａからスライダ４２ａ及
びピン４１ａを介して保持フツク３５ａの可動部
３７ａは図示の実線の非作用位置から二点鎖線で
示した作用位置まで回動され、同時にスプリング
３９ａによりフツク部３６ａも図示の実線の非作
用位置から二点鎖線の作用位置まで回動され、ボ
ークプレート１８の可動フツク１７ａと係合しう
る状態にされる。この場合、フツク部３６ａはス
プリング３９ａにより支持され、非作用位置へ可
動できるため、ボークプレート１８の可動フツク
１７ａに衝突してもこれを逃げて係合できる。

またソレノイド４７ａの通電をしなければ、保
持フツク３５ａのフツク部３６ａはスプリング５
４の力によりストツパ５５ａに当る非作用位置ま
で回動され、同時にスプリング３９ａを介して可
動部３７ａが回動されると共にアクシヨンレバー
４４ａの操作部４６ａがソレノイド４７ａから離
される。

このアクシヨンレバー４４ａの操作部４６ａの
回動範囲（θ）は、ソレノイド４７ａの吸引力に
限界があるため僅かな角度（例えば3゜）とする
が、より確実にソレノイド４７ａの通電時に操作
部４６ａを吸着するには、本実施例に示したよう
に補助カム５０の回転にてカムレバー部４８ａを
若干押し下げ、その操作部４６ａが実線位置から
角度（α）ソレノイド４７ａ側に近づくよう機械
的に付勢させるようにしたことで、比較的小容量
のソレノイド４７ａによつて吸着が可能となる。
この補助カム５０によるアクシヨンレバー４４ａ
の回動は、保持フツク３５ａのフツク部３６ａが
可動フツク１７ａと係合しない範囲で、かつ操作
部４６ａが最大限ソレノイド４７ａに近づく位置
となるように設定する。

上記保持フツク変位の機械的補助手段であるカ
ム５０は、第３図に示すように、保持フツク３５
ａを係合位置に変位させる第１のカム面９０と保
持フツク３５ａを非係合位置に静止させておく円
弧状の第２のカム面９１とからなり、さらに保持
フツク３５ａのカムレバー部４８ａには上記カム
５０と当接するフリーローラ状のカムフオロア９
２が回転自在に軸受９３されている。なお、上記
カムフオロア９２とカム５０の第２のカム面９１
とは、保持フツク３５ａが非係合位置の時はすき
ま（Ｓ）だけ離反している。保持フツク３５ａの
フツク部３６ａが可動フツク１７ａのフツク部に
係合・離脱するタイミングは可動フツク１７ａが
第３図の最前進位置１７ａ３にある間、即ち、可
動フツク１７ａと保持フツク３５ａの係合面間に
すきま（ｘ）が生じている時間内にのみ行われる
必要があるため、保持フツク３５ａの変位に要す
る時間は限定される。

上記変位に要する時間はカム５０の回転角に比
例し、第４図〜第６図に種々のカムレバーとカム
との関係を示す。なお、カム５０はいづれも同一
の構成である。第４図の場合は第１、第２のカム
面９０，９１が直接カムレバー４８ｂに当接し、
カム面９１とカムレバー間のすきま（ｘ）がない
場合で、第１のカム面９０によつて、保持フツク
即ちカムレバー４８ｂが変位するのはカム５０が
角度（β1）回転する間である。第５図ではカム
レバー４８ｂ上のカムフオロア９４が第２のカム
面９１に当接する位置に設けられた場合で、この
場合は保持フツクの変位時間は、角度（β2）の
間であり、β2＜β1の関係である。

さらに、第６図の場合は第３図示の如くカムフ
オロア９２と第２のカム面９１間にすきま（Ｓ）
が設けられ、かつカムフオロア９２が第５図のカ
ムフオロア９４と同一径(D)である場合で、この時
の保持フツクの変位時間は角度（β3）の間であ
り、β3＜β2＜β1の関係となる。

従つて、本発明の実施例（第３図）では保持フ
ツクの変位時間が短いので、極めて短時間のヘル
ドフレーム昇降の選択制御が行える。従つて、横
糸切れ時におけるピツクフアインデイング操作の
際の織機の逆転動作時においても正転時とほぼ同
一タイミングで保持フツク３５ａを昇降させるこ
とができる。

上述の説明は、第３図では上方の保持フツク３
５ａを例に説明し、第４〜６図は下方の保持フツ
ク３５ｂの場合である。

すなわち、ソレノイド４７ｂに通電があれば保
持フツク３５ｂは作用位置に回動され、非通電時
は非作用位置にされる。また補助カム５０により
ソレノイド４７ｂにアクシヨンレバー４４ｂの操
作部４６ｂがより近づくよう回動される。

以上において、ソレノイド４７ａ，４７ｂの双
方に通電があれば、両保持フツク３５ａ，３５ｂ
は作用位置となり、ヘルドフレーム９はカム１９
の一回転中上昇したままとなり、双方非通電であ
れば下降したままとなる。またいずれか一方に通
電があれば、カム１９の一回転でヘルドフレーム
９が昇降することとなる。

このソレノイド４７ａ，４７ｂは、数列（16
列）設けられ、柄織すべきパターンによりカム１
９の回転に同期して各列のソレノイド群の各ソレ
ノイドがON、OFF制御される。このソレノイド
のON、OFF制御は、ICカードや磁気カードに予
め柄織情報を記憶させ、そのカードにより制御で
きるようにする。

即ち、第７，８図に示すように、一方のソレノ
イドボツクス２４は、取付ベース５１と該ベース
５１にねじ固定２５されたカバー２６と、該カバ
ー内にコア５２とコイル５３からなるソレノイド
とから構成される。上記ソレノイドと取付ベース
５１への取付は、例えば、第８図のようにコ字形
のコアの一部にＣ字状の凹部２７を形成し、該凹
部内にナツト体２８を回転不可に嵌着し、該状態
のコア５２を取付ベース５１に形成されるコアの
厚さと略等しい巾のスリツト２９内に挿入した
後、ベース５１裏側からボルト３０を挿入し、前
記ナツト体２８と締付け、コア５２をベース５１
側面に固定する。さらに、上記コア５２の先端は
カバーに設けた縦長の窓（第７図３１）からわず
かに突出して設けられる。なお、コア５２に巻か
れるコイル５３，５３の巻方向は反対方向とさ
れ、磁界の方向が一方向に閉ループを形成するよ
うになつている。

また、上記磁力駆動手段とヘルドフレームの昇
降選択手段との間で磁力による吸引力が作用する
空間には残留磁気の影響を減少させるための非磁
性体部材が介在してある。即ち、上記複数のソレ
ノイドのコア先端の吸着面全域には、ステンレス
あるいはナイロン等の非磁性体で形成された薄い
プレート３２が配設され、カバー２６にピン等の
固定手段で取付けられている。即ち、第７図の二
点鎖線３２で示した領域がプレートである。な
お、プレートは若干ガタツキをもつて取付けら
れ、同一場所に吸着することによる摩耗が減少す
るようになつている。

前記アクシヨンレバー４４ａの操作部４６ａが
直接コア５２に吸着されると、コイル５３に流れ
る電流をオフとした瞬間に、コア５２に残留磁気
が生じ、このため操作部４６ａのコアからの離反
に時間を要することになり、ドビーの高速回転の
障害となる。このため、コアの前面全域に非磁性
体のプレート３２を介して操作部を吸着させるよ
うにしたのである。即ち、コア先端と操作部４６
ａとはプレートの厚み分の空間を介して吸着され
ることになる。この場合、残留磁気の影響が少な
くなり、高速運転が可能となり、また、フツク部
３６ａ，３６ｂと可動フツク１７ａ，１７ｂとの
係合離脱するタイミングがとり易くなる。即ち、
このタイミングは第３図に示すように可動フツク
１７ａが、係合位置１７ａ３に到つた瞬間をねら
つてフツク部３６ａを係合位置３６ａ３又は非係
合位置３６ａ１に位置決めするように設定され
る。従つて、フツク部３６ａ３が非係合位置３６
ａ１へ移動するのに時間がかかれば、可動フツク
は最前進位置１７ａ３で長時間静止させなければ
ならず、ドビーの回転が低下するのである。

上記プレート３２の厚さは0.1〜1.0mm程度が適
当で、プレート３２の厚さを大きくするとコアの
先端と操作部４６ａ，４６ｂとのすきまが大きく
なり、吸引力が激減する。例えば実験によれば、
プレート３２の厚さが1.0mmである電圧をかける
と吸引力が5.2Kgの時、同電圧でプレート３２の
厚さを２mmとすると吸引力は1.3Kg、３mmでは0.6
Kg、４mmでは0.3Kgとなり、プレートの厚さは1.0
mm以下が良好である。

なお、上記プレート３２は第７図の如く、ソレ
ノイドボツクスの吸着面全域に渡つて設けられて
おり、多数の可動フツク、保持フツク部分に供給
されるオイルの飛散によるコア部分へのオイル付
着を防止する効果をも有している。

上記ソレノイドボツクスのカバー２６の上下面
には多数の放熱用フイン３３が形成され、該フイ
ンの断面形状は製作し易い形状に適宜変更自在で
ある。

〔発明の効果〕

以上のように本発明では、保持フツクの可動フ
ツクへの係合・離脱を磁力駆動手段により行う際
に、予め機械的補助手段であるカムによつて、保
持フツクを予め移動させ、電磁ソレノイドに接近
した状態でソレノイドをオン・オフさせるように
したので、ソレノイド自体の吸引力を補助できる
ため、小容量の電磁ソレノイドが適用可能であ
り、かつ、制御時間が短いため、織機の回転速度
に追従して保持フツクが作動可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明が適用されるドビー機のヘルド
フレーム昇降制御部の構成を示す正面図、第２図
は同要部拡大図、第３図は保持フツクの動作説明
図、第４図〜第６図はカムと保持フツクとの関係
を示す側面図、第７図はソレノイドボツクスの一
例を示す側面図、第８図は同断面正面図、第９図
は本発明のドビー機を有する織機の一例を示す概
略構成正面図、第１０図は同側面図である。 ４……ドビー機、９……ヘルドフレーム、２４
……ソレノイドボツクス、３５ａ，３５ｂ……保
持フツク、５０……補助カム、４８ａ，４８ｂ…
…カムレバー部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁力駆動装置の制御によつて、ヘルドフレー
   ムの昇降指示用フツクを作用させるドビー機であ
   つて、上記保持フツクの作用位置への変位をカム
   による機械的手段と、電磁ソレノイドによる磁力
   駆動手段とにより行い、上記機械的手段によつて
   予め上記保持フツクを電磁ソレノイドに接近する
   位置まで移動させ、該接近した位置で上記電磁ソ
   レノイドのオンにより上記保持フツクを吸引保持
   するようにしたことを特徴とするドビー機。