JPH0322594Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動変速機を有する自動車において、
変速を行わせるために用いられる車速に対応した
油圧を得るためのガバナの駆動装置に関するもの
である。

（従来技術） いわゆるトルコン車と通称されている車におい
ては、負荷と車速に応じて自動的に変速するよう
にした自動変速機が使用され、この自動変速機は
一般にトルクコンバータ、多段変速トランスミツ
シヨンおよび油圧制御装置を有している。この場
合、油圧制御装置により多段変速トランスミツシ
ヨンの変速作動やトルクコンバータのロツクアツ
プ作動が制御されるのであるが、この制御を負荷
と車速に応じて行なわせる方法としては、例えば
エンジンのスロツトル開度と車速を電気的に検出
し、この検出信号により電磁弁等を作動させて得
た油圧により油圧制御を行なう方法や、エンジン
の吸気負圧を油圧に変換して得たエンジン負荷に
対応する油圧と、変速機の出力軸等により回転駆
動されるガバナにより得た車速に対応する油圧と
により油圧制御を行なう方法等がある。

このような自動変速機として、例えば特開昭58
−17251号に開示されている変速機がある。この
自動変速機はトルクコンバータ、遊星歯車式トラ
ンスミツシヨンおよび油圧制御装置からなり、変
速用の車速に対応した油圧を得るためのガバナを
トランスミツシヨンのアウトプツトシヤフトに設
けたドライブギヤにより回転駆動させるようにな
つている。

このようにアウトプツトシヤフトにガバナのド
ライブギヤを設けるには、スペースの制約を受け
てドライブギヤ径をあまり大きくとることができ
ないことが多く、ドリブンギヤ径を小さくするに
も限度があるのでドライブギヤとドリブンギヤの
ギヤ比をあまり小さくできない、すなわちドリブ
ンギヤの増速をあまり図ることができない。ガバ
ナは遠心力を利用して作動するものでありドリブ
ンギヤと直結するガバナ回転軸速度をあまり上げ
ることができない時には、ガバナに使用される回
転ウエイトを大きくして遠心力を大きくせねばな
らず、ガバナが大型・重量化するという問題があ
る。

また、特開昭58−131452号には比較的大径のガ
バナドライブギヤの配置が示されているが、変速
機の摩擦要素等が多数配置されるギヤトレイン内
部に配置されており、他の部品と干渉しないよう
考慮する必要があり、軸方向に伸びてしまうとと
もにギヤトレインの構造の複雑化を生じてしま
う。

（考案の目的） 本考案は、自動変速機において変速用に使用す
る車速に対応した油圧を得るためのガバナを、ス
ペース上の制約を受けない位置に設け、高回転で
使用できるようにしたガバナ駆動装置を提供する
ことを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案のガバナ駆動装置は、デフギヤを保持し
て回転するデフハウジングの外周部であつて、上
記デフギヤの取付部と、デフピニオンを支持する
ピニオンシヤフトの挿通部との間にこのデフハウ
ジングの回転軸と同軸にドライブギヤを設け、こ
のドライブギヤをデフケースおよびデフハウジン
グとで形成される空間内に配設し、該ドライブギ
ヤにより回転駆動されるドリブンギヤによつてガ
バナが回転されるようになつていることを特徴と
するものである。

（考案の効果） 本考案によれば、径の大きいデフハウジングの
外周部にドライブギヤを設けているので、ドライ
ブギヤ径を大きくすることができ、ドリブンギヤ
の増速が容易である。このため、ドリブンギヤに
直結するガバナの回転軸を高速回転させることが
でき、ガバナの回転ウエイトを小さくしてガバナ
を小型・軽量化できる。

また、ドライブギヤをデフギヤ、デフケースお
よびデフハウジングとで形成される空間内つまり
デツドスペース内に配設したので、スペース上の
制約を受けず構造の複雑化を伴うこともない。さ
らに、デフアレンシヤル装置のデフハウジングの
外周部にドライブギヤを取り付けたことにより軸
長が長くなることはなく、取付けも容易に行なえ
るものである。

（実施例） 以下、図面によつて本考案の実施例を説明す
る。

第１図は本考案によるガバナ駆動装置を有する
自動変速機の一例を示す断面図、第２図はこの変
速機の動力伝達要素を模式的に示す概略図であ
り、第１図および第２図を並用して説明する。

エンジン（図示せず）の出力軸と直結するコン
バータカバー１にトルクコンバータ２のインペラ
２ａが接続されていて、エンジン回転とともにイ
ンペラ２ａが回転される。トルクコンバータ２
は、インペラ２ａ、ワンウエイクラツチ２ｄを介
して静止固定されるステータ２ｂ、トランスミツ
シヨン入力軸４と直結するタービン２ｃからな
り、インペラ２ａに伝えられたエンジン出力が内
部流体を介して負荷に応じて速度が調整されター
ビン２ｃからトランスミツシヨン入力軸４に伝え
られる。なお、高速走行時にはコンバータカバー
１とトランスミツシヨン入力軸４との間に置かれ
両者を断続するロツクアツプクラツチ３が作動さ
れて接続され、エンジン出力がそのままトランス
ミツシヨン入力軸４に伝達される。

一方、トランスミツシヨン入力軸４の内部空洞
にトランスミツシヨン入力軸４に対して回転自在
にPTO軸５が配され、このPTO軸５は先端スプ
ライン５ａを介してエンジン出力軸と係合すると
ともに、後端スプライン５ｂを介して油圧ポンプ
６と係合している。このため、エンジンにより
PTO軸５を介して油圧ポンプ６が駆動され、こ
こで得た油圧が油圧制御装置（図示せず）に供給
される。

トランスミツシヨン入力軸４は、トランスミツ
シヨンのコーストクラツチ７およびワンウエイク
ラツチ１４と、フオワードクラツチ８とを並列に
介して第１サンギヤ２４と連結するとともに、リ
バースクラツチ９および２＆４ブレーキ１０を介
して第２サンギヤ２５と連結する。さらに、トラ
ンスミツシヨン入力軸４は３＆４クラツチ１２を
介して、第１ピニオン２２および第２ピニオン２
３を回転自在に支持するプラネタリキヤリア２６
と連結し、このプラネタリアキヤリア２６にはワ
ンウエイブレーキ１３とＬ＆Ｒブレーキ１１が設
けられている。第１ピニオン２２は第１サンギヤ
２４と噛合し、第２ピニオン２３は第１ピニオン
２２および第２サンギヤ２５と噛合するとともに
リングギヤ２１とも噛合し、ラビニヨタイプ遊星
歯車機構が構成されている。

トランスミツシヨンの変速は、上記クラツチ群
およびブレーキ群による摩擦係合要素を、油圧制
御装置からエンジン負荷と車速に応じて供給され
る油圧により適宜選択作動させることによつて行
なわれ、これによつてラビニヨタイプ遊星歯車機
構での動力伝達径路を複数段に切換え、トランス
ミツシヨン入力軸４の回転を変速してリンクギヤ
２１に伝える。リングギヤ２１はアウトプツトギ
ヤ３０と連結しているため、変速されたトランス
ミツシヨン入力軸４の回転はアウトプツトギヤ３
０に伝わることになり、このようにして、変速作
動がなされる。

トルクコンバータとトランスミツシヨンとの間
に位置するアウトプツトギヤ３０は、回転自在な
アイドラギヤ３１を介してデフアレンシヤル装置
のデフギヤ３２と噛合していて、このデフギヤ３
２は４個のデフピニオン３６ａ，３６ｂ、３７
ａ，３７ｂを回転自在に保持するデフハウジング
３３の外周部に固定されている。デフハウジング
３３はデフギヤ３２よりトルクコンバータ側に突
出し両端がベアリング３４ａ，３４ｂにより支持
され、デフギヤ３２に対応する位置からトルクコ
ンバータ側に順次縮径するデフケース５０内でデ
フギヤ３２と一体に回転する。このデフケース５
０は、上記トルクコンバータ、遊星歯車機構およ
びこれの動力伝達経路を切換える摩擦係合要素と
しての上記クラツチ、ブレーキ群を有するトラン
スミツシヨンを収容するミツシヨンケースに対し
て第１図に示すごとく一体的に付設されている。

また、前記デフハウジンク３３内にデフハウジ
ング３３の回転方向と直角にピニオンシヤフト３
５がピン３８によつて固定され、このピニオンシ
ヤフト３５上に回転自在に第１デフピニオン３６
ａ，３６ｂが取り付けられ、この第１デフピニオ
ン３６ａ，３６ｂと噛合して第２デフピニオン３
７ａ，３７ｂがデフハウジング３３の回転軸と同
軸に取り付けられている。この第２デフピニオン
３７ａ，３７ｂは内径に設けられたスプラインに
よつてそれぞれ右および左用アクスルシヤフト
（図示せず）と係合される。このため、エンジン
回転が変速されて伝わるアウトプツトギヤ３０の
回転は、アイドラギヤ３１を介してデフギヤ３２
に伝わつてデフハウジング３３を回転させ、デフ
ハウジング３３から第１デフピニオン３６ａ，３
６ｂおよび第２デフピニオン３７ａ，３７ｂを介
してアクスルシヤフトに伝わる。

このデフハウジング３３の外周部には、デフギ
ヤ３２の取付部と第１デフピニオン３６ａ，３６
ｂを支持するピニオンシヤフト３５の挿通部との
間に、デフハウジング３３と同軸で一体回転する
ガバナのドライブギヤ４０が取り付けられ、この
ドライブギヤ４０はデフギヤ３２とデフケース５
０およびデフハウジング３３とで形成される空間
Ｂ内に配設されている。なお、このドライブギヤ
４０が外れるのを防止するため、ピニオンシヤフ
ト３５の両端がデフハウジング３３の外周部に突
出していて、このピニオンシヤフト３５によりド
ライブギヤ４０の側面を押さえている。

第３図は、第１図において矢印Ａ−Ａで示す線
に沿つてドライブギヤ３３およびガバナを断面に
して示す図である。デフハウジング３３の外周に
取り付けられたドライブギヤ４０はこれと噛合す
るドリブンギヤ４１を増速して回転させる。ドリ
ブンギヤ４１は一端がピン４２によつてガバナシ
ヤフト４３と結合していて、両者がデフケース５
０に支持されて同軸回転する。ガバナシヤフト４
３のドリブンギヤ４１と反対側の端部には、遠心
力に応じて支点４４ａ，４５ａを中心として外方
へ拡がるようになつたガバナウエイト４４，４５
が取り付けられていて、このガバナウエイト４
４，４５は通常、スプリング等により軸心の方へ
引つ張られている。ガバナシヤフト４３と共に回
転されてガバナウエイト４４，４５が遠心力によ
り支点４４ａ，４５ａを中心として外方へ拡がる
と、内端４４ｂ，４５ｂは図中左方へ動く。

このため、ガバナシヤフト４３内に配されたス
プール４６の右端４６ａがガバナウエイト４４，
４５の内端４４ｂ，４５ｂにより押されてスプー
ル４６は左方へ移動する。スプール４６はガバナ
シヤフト４３に形成された２つのスプール孔４３
ａ，４３ｂと軸方向摺動自在に嵌合する２つのラ
ンド４６ｂ，４６ｃを有しており、スプール孔４
３ａ，４３ｂと２つのランド４６ｂ，４６ｃに挾
まれる部分に形成されたスプール室４８はガバナ
シヤフト４３の入口孔４７ａを介して、デフケー
ス５０に形成された入口通路４７と常時連通す
る。

一方、ガバナウエイト４４，４５に遠心力が作
用していない時は、ランド４６ｂがガバナシヤフ
ト４３の出口孔４９ａを塞ぎスプール室４８と孔
４９ａとの連通を遮断している。ガバナシヤフト
４３が回されガバナウエイト４４，４５に遠心力
が作用すると前述のように内端４ｂ，４５ｂがス
プール４６の右端４６ａを押してスプール４６は
左動し、ランド４６ｂにより塞がれていて出口孔
４９ａがスプール４６の左動につれて徐々に開口
され、スプール室４８と出口孔４９ａとが連通す
る。出口孔４９ａはデフケース５０に形成された
出口通路４９と連通しているので、スプール４６
の左動に応じてスプール室４８と出口通路４９と
が連通する。

入口通路４７には油圧制御装置により定圧に保
たれた油が供給されていて、この油が入口孔４７
ａを介してスプール室４８内に充満しスプール室
４８内を定圧に保つ。ここで、ガバナシヤフト４
３が回転し、ガバナウエイト４４，４５に作用す
る遠心力によりスプール４６が左動すると、スプ
ール室４８から出口孔４９ａを介して出口通路４
９に油が流れ、しかもその量は出口孔４９ａの開
口面積の大きさに対応する。出口孔４９ａの開口
面積の大きさは、スプール４６の左動量に対応
し、結局はスプール室４８から出口通路４９に流
れる油量はガバナシヤフト４３の回転数、すなわ
ち車速に対応することになる。出口通路４９に流
れた油は下流側にオリフイスを設ける等して、油
量に対応した油圧を得るようになつていて、最終
的には車速に対応した油圧を得ることができるの
である。この油圧が油圧制御装置に供給されて、
自動変速のための信号として使用される。

以上説明したガバナ駆動装置においては、ドラ
イブギヤ４０の径を大きくできるので、ドリブン
ギヤ４１の増速が容易であり、このためガバナウ
エイト４４，４５は小さくても十分な遠心力を得
ることができ、ガバナの小型軽量化が図れるので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるガバナ駆動装置を有する
自動変速機の一例を示す断面図、第２図はこの変
速機の動力伝達要素を模式的に示す概略図、第３
図は、第１図の自動変速機の一部を矢印Ａ−Ａに
沿つて切断して示す断面図である。 ２……トルクコンバータ、３……ロツプアツプ
クラツチ、４……トランスミツシヨン入力軸、５
……PTO軸、２１……リングギヤ、３０……ア
ウトプツトギヤ、３２……デフギヤ、３３……デ
フハウジング、３５……ピニオンシヤフト、３６
ａ，３６ｂ……デフピニオン、４０……ドライブ
ギヤ、４１……ドリブンギヤ、４３……ガバナシ
ヤフト、４４，４５……ガバナウエイト、４６…
…スプール、５０……デフケース、Ｂ……空間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 トルクコンバータ、 該トルクコンバータと同軸上に配置され、エン
   ジン負荷と車速に応じて油圧制御装置により操作
   される複数の摩擦係合要素と、これら摩擦係合要
   素により動力伝達経路が複数段に切換えられ変速
   を行なう遊星歯車機構とを有するトランスミツシ
   ヨン、 前記トルクコンバータとトランスミツシヨンと
   の間に位置するトランスミツシヨンのアウトプツ
   トギヤにより駆動されるデフギヤが外周部に固定
   されるとともに、該デフギヤより前記トルクコン
   バータ側に突出したデフハウジングを有するデフ
   アレンシヤル装置を備えた自動変速機を有する自
   動車において、 前記デフハウジングを、前記トルクコンバータ
   とトランスミツシヨンとを収容するケースに付設
   され、前記デフギヤに対応する位置から前記トル
   クコンバータ側に順次縮径するデフケース内に回
   転自在に支持するとともに、 前記油圧制御装置に、車速に応じた油圧を供給
   するためのガバナのドライブギヤを、前記デフハ
   ウジングの外周部であつて前記デフギヤの取付部
   とデフピニオンを支持するピニオンシヤフトの挿
   通部との間に、このデフハウジングの回転軸と同
   軸に設け、このドライブギヤを前記デフケースお
   よびデフハウジングとで形成される空間内に配設
   したことを特徴とする自動変速機のガバナ駆動装
   置。