JP3608912B2 - 自動変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばFF車等に搭載され、エンジン側の前方から後方に向かって、順に、エンジンの駆動力が入力されるトルクコンバータ、このトルクコンバータにより回転駆動されるオイルポンプ、トルクコンバータの出力を複数の変速段に変速して出力する変速機構に設けられ、オイルポンプの吐出圧で係合制御される複数の摩擦係合要素のなかの1つの第1摩擦係合要素、変速機構の出力を出力するカウンタドライブギヤ、このカウンタドライブギヤを回転自在に支持するセンターサポート、および変速機構の第1摩擦係合要素以外の他の摩擦係合要素が配置されているトルクコンバータを備えた自動変速機の技術分野に属し、特にオイルポンプをよりコンパクトに形成した車両搭載性のよい自動変速機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車等の自動変速機においては、複数の回転要素を有するプラネタリギヤユニットおよびこれらの複数の回転要素をそれぞれ係合または係止させるクラッチやブレーキからなる複数の摩擦係合要素を有する自動変速機構を備えた自動変速機が種々開発されている。この自動変速機は、摩擦係合要素の係合および非係合を適宜制御してプラネタリギヤユニットの複数の回転要素の回転をそれぞれ制御することにより、自動変速制御を行うようになっている。
【0003】
このような従来の自動変速機の一例として、第1軸においてプラネタリギヤユニットと摩擦係合要素とからなる自動変速機構により入力を変速し、その出力を第1軸のほぼ中央部から出力ギヤを介して取り出し、第2軸fを介してデファレンシャル装置の第3軸に伝達する自動変速機が例えば特開平3ー181644号公報等において提案されている。
【0004】
図7は、この公報に開示されている自動変速機を模式的に示すスケルトン図である。
図7において、自動変速機Aは、図示しないマニュアルシフト弁によりP,R,N,Dの各レンジのなかの1つが選択設定されると、図示しない油圧制御回路における各ソレノイドバルブのオン・オフ信号の組み合わせにより、図8に示すように主変速機部aの各クラッチC0〜C3、各ブレーキB1〜B2および各ワンウェイクラッチF0〜F1が、選択設定されたレンジに対応して係合または非係合となる。これにより、プラネタリギヤユニットbの、サンギヤ、リングギヤ、ピニオンギヤ、キャリヤ等の回転要素の回転が制御され、トルクコンバータT/Cを介して入力軸である第1軸dに入力されるエンジン駆動力が変速されて、自動変速機Aの中央部に配置されるカウンタドライブギヤeから出力されるようになっている。なお、図8において○は係合を表し、×は非係合を表している。
【0005】
このカウンタドライブギヤeからの出力は第2軸fのカウンタドリブンギヤgに伝達され、更にこの第2軸fからデファレンシャル装置hの第3軸の左右のデファレンシャル軸i,jに伝達される。
【0006】
ところで、近年このような自動変速機は可能な限り全体にコンパクトに形成して車両搭載性を向上させることが、ますます厳しく求められている。特にFF車においては、自動車のエンジンルームが限られた比較的狭い空間であり、しかもこのエンジンルーム内には自動変速機の他にエンジンやディファレンシャル装置等の他の種々の装置および部品が配設されているため、自動変速機を少しでもコンパクトにすることはきわめて重要な意味があるものとなっている。
【0007】
そこで、前述の公報に開示されている自動変速機Aにおいては、コンパクト化の構成の1つとして、次のような構成が採用されている。すなわち、図9に具体的に示すように、自動変速機Aは、そのフロント側(すなわちエンジン側)からリヤ側へ順に、トルクコンバータT/C、自動変速機用のオイルポンプO/P、クラッチC2およびブレーキB1、カウンタドライブギヤe、センターサポートc、および主変速機部aの残りの構成要素がそれぞれ配置された構成とされている。このようにカウンタドライブギヤeを主変速機部aのほぼ中央部に配置することにより、このカウンタドライブギヤeと噛合するカウンタドリブンギヤgが設けられる第2軸fの軸長をより短くしている。
【0008】
また、エンジン側の第1軸d側において、クラッチC2およびブレーキB1をカウンタドライブギヤeよりフロント側に配置することにより、カウンタドライブギヤeを第2軸fのカウンタドリブンギヤgに噛合させるために生じる、カウンタドライブギヤeよりフロント側でトルクコンバータ(T/C)との間の空間mが有効に活用されている。
【0009】
このように自動変速機Aの各構成要素が配置されることにより、第1軸dおよび第2軸fの軸方向の寸法を短くすることができ、その分自動変速機Aはコンパクトになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の自動変速機における軽量化およびコンパクト化の要求はますます厳しくなっているが、この厳しい要求に応えるためには、前述のようにコンパクトに形成された自動変速機Aにおいても、更に可能な限りコンパクトにすることが求められる。
【0011】
そこで、自動変速機Aの更なるコンパクト化の1つとして、オイルポンプO/Pのコンパクト化が考えられる。このオイルポンプO/Pは、一般にはギヤポンプで構成されているが、このオイルポンプO/Pについて検討すると、従来から行われている設計方法では、オイルポンプO/Pのギヤ室の最外径の寸法αがその自動変速機Aに必要なオイルポンプO/Pの吐出容量等から決定されているとともに、オイルポンプO/Pのボディカバーnの寸法が、このボディカバーnを自動変速機Aのケースoに取り付けるためのスペース等から決定されている。すなわち、オイルポンプO/Pのボディカバーnの寸法は、このボディカバーnを取り付ける自動変速機Aのケースoの寸法に関係して必要以上に大きく決定されている。このように決定される理由は、オイルポンプO/Pのボディカバーnの寸法が、本来ギヤ室の最外径の寸法αに関係して決定されるものであるが、このボディカバーnを取り付ける相手側の自動変速機AのケースoがクラッチC2およびブレーキB1、カウンタドライブギヤe、センターサポートc、および主変速機部aの他の構成要素を収容する関係上、その寸法が、寸法αに関係して決定されたボディカバーnの寸法より大きくならざるを得ないためである。
【0012】
そこで、自動変速機Aのケースoの寸法をより小さくすることにより、このケースoの寸法に合わせて設定されるオイルポンプO/Pのボディカバーnの寸法をより小さくすることが考えられる。
【0013】
しかしながら、従来の自動変速機Aでは、発進時に係合する外径の大きなクラッチC2がオイルポンプO/Pとカウンタドライブギヤとの間に配置されているため、自動変速機Aのケースoの前方開口部βは、その寸法を大きくせざるを得ないため、単純に小さくすることはできない。このため、従来の自動変速機Aでは、オイルポンプO/Pのボディカバーnも、その分必要以上に大きくなっており、自動変速機全体の重量が増大する結果となっている。特に、従来の自動変速機Aでは、オイルポンプO/Pのボディカバーnが鋳鉄の鋳物部品であるため、このボディカバーnの寸法増大は、自動変速機Aのアルミ製のケースoに比べると、重量増加をもたらす影響が大きくなる。
【0014】
更に、一般に従来の自動変速機AにおけるオイルポンプO/Pのボディカバーnには、図示しないが潤滑油が流動する潤滑油路が形成されている場合が多々あるため、この潤滑油路を形成するためのスペースが必要となり、これによってもボディカバーnが大きくなっている。
【0015】
したがって、前述の公報の自動変速機Aでは、近年の自動変速機のコンパクト化の厳しい要求に対してある程度応えてはいるが、必ずしも十分に応えているとはいえない。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、オイルポンプのボディカバーをできるだけ小さくして、全体的により一層軽量かつより一層コンパクトにできる自動変速機を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、エンジン側の前方から後方に向かって、順に、エンジンの駆動力が入力されるトルクコンバータ、オイルポンプ、トルクコンバータの出力を複数の変速段に変速して出力する変速機構に設けられる複数の摩擦係合要素のなかの1つの第1摩擦係合要素、変速機構の出力を出力するカウンタドライブギヤ、ケースの軸方向中間位置に形成されて前記カウンタドライブギヤを回転自在に支持するセンターサポート、および前記第1摩擦係合要素以外の他の摩擦係合要素が配置されている自動変速機において、少なくとも、前記変速機構、前記第1摩擦係合要素、前記カウンタドライブギヤ、および前記第1摩擦係合要素以外の他の摩擦係合要素が前記ケース内に配置されているとともに、前記複数の摩擦係合要素のうち、前記第1摩擦係合要素のみが前記センターサポートより前方の前記ケース内に配置されており、更に、前記ケースの前方開口部に前記オイルポンプが取り付けられており、前記第1摩擦係合要素が、前進1速時および後進時のいずれでも係合しない摩擦係合要素であることをことを特徴としている。
また、請求項2の発明は、前記第1摩擦係合要素以外の他のすべての摩擦係合要素が前記ケース内で前記センターサポートより後方に配置されていることを特徴としている。
【0018】
更に、請求項3の発明は、前記オイルポンプがクレセントレスのギヤポンプで構成されていることを特徴としている。
更に、請求項4の発明は、自動変速機の潤滑油必要箇所に潤滑油を供給するための潤滑油路の入口が、自動変速機の後端部に設けられていることを特徴としている。
【0019】
更に、請求項5の発明は、前記複数の摩擦係合要素は少なくとも3つの第1ないし第3クラッチであり、前記第1摩擦係合要素は1速時または後進時に係合しない第1クラッチであり、前記第1摩擦係合要素以外の他のすべての摩擦係合要素は少なくとも前記第2および第3クラッチであり、これらの第2および第3クラッチは前記センターサポートより後方に配置されており、前記2つの第2および第3クラッチの各油圧サーボの各サーボピストンがダブルピストン構造に形成されていることを特徴としている。
【0020】
更に、請求項6の発明は、前記第2クラッチが、前進発進時にそのサーボピストンによって係合される第2摩擦係合部材を有しているとともに、前記第3クラッチが、後進発進時にそのサーボピストンによって係合される第3摩擦係合部材を有しており、更に前記第2摩擦係合部材が前記第3摩擦係合部材の内周側に配置されているとともに、前記第3クラッチの係合圧が、前記第1クラッチの係合圧より大きく設定されていることを特徴としている。
【0021】
【作用および効果】
このように構成された請求項1ないし6の各発明の自動変速機においては、第1摩擦係合要素が前進1速時にまたは後進時に係合しないことからそのトルク容量は比較的小さいので、第1摩擦係合要素の外径を小さくすることができる。そして、この小径の第1摩擦係合要素のみをケース内でケースの軸方向中間位置に形成されたセンターサポートより前方のオイルポンプとカウンタギヤとの間に配置することにより、自動変速機のケースの、オイルポンプが取り付けられる前方開口部はこの小径の第1摩擦係合要素を挿嵌できる径があればよいことになり、このケースの前方開口部の径を小さくすることができる。このように第1摩擦係合要素の外径の小径化とケースの前方開口部の小径化とに相俟って、この前方開口部に取り付けられるオイルポンプの径を小さくできる。これにより、オイルポンプのボディカバー等のポンプケースもコンパクトに形成することができるようになる。
特に、請求項2の発明においては、第1摩擦係合要素以外の他のすべての摩擦係合要素がケース内でセンターサポートより後方に配置されることから、自動変速機の後方部が前方部と比較して拡大するようになる。しかし、従来から、一般に自動変速機のケースはアルミ製のケースで構成されており、このように自動変速機のケースを軽量なアルミ製にすることにより、ケースの前方開口部の小径化を図ることができるようにしながら、自動変速機の後方部が拡大しても、重量がそれほど増大しなく、自動変速機の全体としての軽量化が妨げられることはない。
【0022】
そのうえ、オイルポンプのポンプケースは、従来から、通常は鋳鉄製の鋳物で形成されるため、比較的重量が大きくなっているが、このようにポンプケースがコンパクトに形成されることからオイルポンプの重量を効果的に低減できるので、ボディカバー等のポンプケースの軽量化を確実に図ることができ、その結果自動変速機A全体の軽量化に大きく寄与することができる。
【0023】
また、請求項3の発明においては、更に、オイルポンプO/Pをクレセントレスに形成することにより、クレセントのためのスペースが不要となる。これにより、オイルポンプのギヤ室の小径化を図ることができ、その分オイルポンプの軽量化を図ることができる。その場合、オイルポンプをクレセントレスにすることが、自動変速機のケースのオイルポンプ取付部を小径化する際に何ら障害になることはない。
【0024】
更に、請求項4の発明においては、潤滑油を自動変速機の後端部から供給することにより、オイルポンプのポンプケースに形成されている潤滑油路を削減することができ、その結果潤滑油路を形成するためのスペースを不要にできるので、オイルポンプのポンプケースのコンパクト化および軽量化をそれぞれ図ることができるようになる。その場合、前述と同様に潤滑油を自動変速機の後端部から供給することが、自動変速機のケースのオイルポンプ取付部を小径化する際に何ら障害になることはない。
【0025】
更に、請求項5の発明においては、1速時にまたは後進時に係合しない第1クラッチ以外の他のすべてのクラッチをセンターサポートより後方に配置することにより、自動変速機の後方部が前方部と比較して拡大するようになる。しかし、従来から、一般に自動変速機のケースはアルミ製のケースで構成されており、このように自動変速機のケースを軽量なアルミ製にすることにより、自動変速機の後方部が拡大しても、重量がそれほど増大しなく、自動変速機の全体としての軽量化が妨げられることはない。
【0026】
また、第2および第3クラッチの各サーボピストンをダブルピストン構造とすることにより、自動変速機の軸方向の長さを短縮することができ、自動変速機の更なるコンパクト化および軽量化を図ることができる。
【0027】
更に、請求項6の発明においては、前進発進時に係合する第2クラッチの摩擦係合部材が、後進時に係合する第3クラッチの摩擦係合部材の内周側に配置されているので、第2クラッチの摩擦係合部材の摺動部の外径が小さくなってその摺動抵抗が小さくなるとともに、第3クラッチの摩擦係合部材の摺動部の外径が大きくなってその摺動抵抗が大きくなる。このため、第2クラッチの摩擦係合部材の係合の応答性が第3クラッチの摩擦係合部材の係合の応答性よりよくなり、しかも第2クラッチの摩擦係合部材の係合時に第3クラッチの摩擦係合部材の引きずりが生じない。
【0028】
そして、前進発進時に第2クラッチの摩擦係合部材が係合することにより、自動変速機が前進発進段にセレクトされた場合の自動変速機の応答性が向上し、急発進時にも車両は確実に発進できるようになる。また、この結果、第2クラッチのすべりが減少し、急発進時にもこの摩擦係合部材の耐久性を良好に確保できるようになる。
【0029】
更に、第3クラッチの摩擦係合部材の係合時の摺動抵抗が第2クラッチの摩擦係合部材の摺動抵抗より大きいが、後進段での第3クラッチの摩擦係合部材の係合圧が前進段での第2クラッチの摩擦係合部材の係合圧より大きく設定されているため、後進時の係合応答性が良好に確保される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の自動変速機の実施の形態の一例を示す断面図、図2はこの例の自動変速機を模式的に示すスケルトン図、図3はこの例の自動変速機の各要素の各レンジでの作動状態を示す図である。なお、図3において、○は係合を表し、×は非係合を表している。また、以下の本発明の説明において使用される各クラッチの記号C1,C2,C3および各ブレーキの記号B1,B2は、前述の公報に記載されている従来の自動変速機の各クラッチC1,C2,C3および各ブレーキB1,B2とは何ら対応していなく、互いに異なるものである。また、本発明の第1、第2、および第3クラッチは、それぞれこの実施の形態の第2のクラッチC2、第1のクラッチC1、および第3のクラッチC3に対応する。
【0031】
図1および図2に示すように、本例の自動変速機Aは、エンジンクランク軸1と同軸上に配設された第1軸の入力軸2、第2軸のカウンタ軸3および第3軸のアクスル軸4a,4bの3軸を有しており、入力軸2上にはロックアップクラッチ(L/C)5を有するトルクコンバータ6および自動変速機構7が配設され、またカウンタ軸3上にはカウンタ機構8が配設され、更にアクスル軸4a,4b上にはディファレンシャル装置9が配設されている。
【0032】
自動変速機構7は遊星歯車機構を備えており、この遊星歯車機構はシングルプラネタリギヤ10およびデュアルプラネタリギヤ11とを組み合わせたプラネタリギヤユニット12を備えている。シングルプラネタリギヤ10の第2サンギヤS2に噛合するシングルプラネタリギヤ10のピニオンとデュアルプラネタリギヤ11のリングギヤR1およびデュアルプラネタリギヤ11のショートピニオンP1にそれぞれ噛合するデュアルプラネタリギヤ11のピニオンとが、共通のロングピニオンPとして一体に構成されている。また、ロングピニオンPおよびショートピニオンP1を支持するキャリヤが両プラネタリギヤ10,11の共通のキャリヤCRとして一体に構成されている。更に、デュアルプラネタリギヤ11の第1サンギヤS1は入力軸2の外周に相対回転可能に支持される第1中空軸13に一体に形成されているとともに、シングルプラネタリギヤ10の第2サンギヤS2は第1中空軸13の外周に支持される第2中空軸14に一体に形成されている。
【0033】
そして、入力軸2と第1中空軸13すなわちデュアルプラネタリギヤ11の第1サンギヤS1とが第1の(フォワード)クラッチC1を介して連結されており、また入力軸2と第2中空軸14すなわちシングルプラネタリギヤ10の第2サンギヤS2とが第3の(リバース)クラッチC3を介して連結されている。また、第2サンギヤS2が第1のブレーキB1によりケース14に係止可能にされているとともに、その一方向回転時に第2のブレーキB2によりこの第2のブレーキB2に直列的に配設された第1のワンウェイクラッチF1を介してケース15に係止されるようになっている。
【0034】
更に、キャリヤCRが第2のクラッチC2を介して入力軸2に連結されているとともに、第3のブレーキB3によりケース15に係止可能にされており、しかも第3のブレーキB3に並列的に配設された第2のワンウェイクラッチF2によりその一方向回転時にケース15に係止されるようになっている。そして、デュアルプラネタリギヤ11のリングギヤR1がケース15に回転可能に支持されているカウンタドライブギヤ16に連結されており、このカウンタドライブギヤ16が自動変速機構7の出力部材となっている。
【0035】
また、カウンタ機構8は、カウンタ軸3に支持された、カウンタドライブギヤ16に噛合するカウンタドリブンギヤ17および同じくカウンタ軸3に支持された、このカウンタ機構8の出力部材となる減速ギヤ18を備えている。
【0036】
また、ディファレンシャル装置9はギヤマウントケースとなるデフキャリヤ19および左右サイドギヤ20a,20bを備えている。このデフキャリヤ19にはリングギヤ21が固定されており、このリングギヤ21がカウンタ機構8の減速ギヤ18と噛合して最終減速機構を構成している。また、左右サイドギヤ20a,20bがそれぞれ左右アクスル軸4a,4bに連結されている。
【0037】
このように構成された自動変速機Aは、図示しないバルブボディ内のマニュアルシフト弁による設定されるP,R,N,D,2,Lの各レンジにて、図示しない油圧制御回路における各ソレノイドバルブのオン・オフ信号の組み合わせにより、図3に示すように各クラッチC1〜C3、各ブレーキB1〜B3および各ワンウェイクラッチF1〜F2の各レンジに対応するものが係合して、Dレンジにおける各変速段1ST〜4TH、2レンジにおける各変速段1ST〜3RD、およびLレンジにおける各変速段1ST〜2NDがそれぞれ得られるようになっている。
【0038】
以下にその動作について説明する。
I. ドライブレンジ(Dレンジ)
N→Dシフトを行うために、マニュアルシフト弁がドライブレンジ(Dレンジ)の位置に設定される。
【0039】
Dレンジにおける1速状態においては、第1のクラッチC1が係合されるとともに、第2のワンウェイクラッチF2が係合される。この状態では、入力軸2の回転が第1のクラッチC1を介して第1サンギヤS1に伝達されるとともに、更にショートピニオンP1に伝達され、更にこのショートピニオンP1の回転がロングピニオンPに伝達される。このとき、ロングピニオンPは第2サンギヤS2を空転させながら正方向に回転する。また、ロングピニオンPの回転により、共通のキャリヤCRが逆方向に回転しようとするが、第2のワンウェイクラッチF2がキャリヤCRをその逆方向回転に対してケース15に係止させるので、キャリヤCRは回転を阻止される。このため、リングギヤR1が正方向に大きく減速回転され、この回転がカウンタドライブギヤ16から取り出されて、カウンタ機構8のカウンタドリブンギヤ17に伝達される。これにより、Dレンジの1速が達成される。
【0040】
更にカウンタ機構8において、カウンタドリブンギヤ17の回転がカウンタ軸3を介して減速ギヤ18に伝達され、更にリングギヤ21を介してディファレンシャル装置9のデフキャリヤ19に減速されて伝達される。そして、最後にこのデフキャリヤ19の回転が左右サイドギヤ20a,20bを介してそれぞれ左右アクスル軸4a,4bに伝達される。
【0041】
Dレンジにおける2速状態においては、第1のクラッチC1の係合状態が保持される。また、第2のブレーキB2が係合されるとともに、第1のワンウェイクラッチF1が係合される。この状態では、前述の1速と同様に入力軸2の回転が、第1のクラッチC1、第1サンギヤS1、およびショートピニオンP1を介してロングピニオンPに伝達される。このロングピニオンPの回転により、第2サンギヤS2が逆方向に回転しようとするが、第2のブレーキB2が係合されているとともに、第1のワンウェイクラッチF1が逆方向の回転に対して係合するので、第2サンギヤS2は回転を阻止される。このため、キャリヤCRが正方向に回転するとともに、リングギヤR1が正方向に回転し、このリングギヤR1の回転がカウンタドライブギヤ16から取り出されることにより、2速が達成される。
【0042】
Dレンジにおける3速状態においては、第1のクラッチC1の係合状態および第2のブレーキB2の係合状態がそれぞれ保持される。更に、第2のクラッチC2が係合される。この状態では、入力軸2の回転が第1のクラッチC1を介して第2サンギヤS2に伝達されるだけでなく、第2のクラッチC2を介してキャリヤCRに伝達される。このため、第1サンギヤS1とキャリヤCRとが正方向に一体に回転するので、ショートピニオンP1およびロングピニオンPがともにキャリヤCR、第1サンギヤS1、および入力軸2と一体的に回転するが、それぞれ自転はしない。このとき、第2のブレーキB2が係合していても第1のワンウェイクラッチF1が正方向回転に対して係合しないので、ロングピニオンPが入力軸2まわりに回転しかつ自転をしないことから、第2サンギヤS2が正方向にロングピニオンPと一体に回転するとともに、リングギヤR1もロングピニオンPと一体に正方向に回転する。すなわち、リングギヤR1は入力軸2と一体に直結回転する。このリングギヤR1の回転がカウンタドライブギヤ16から取り出されることにより、3速が達成される。
【0043】
Dレンジにおける4速状態においては、第2のクラッチC2の係合状態および第2のブレーキB2の係合状態がそれぞれ保持される。また、第1のクラッチC1が解放されるとともに、第1のブレーキB1が係合される。この状態では、入力軸2の回転が第2のクラッチC2を介してキャリヤCRに伝達されるが、第1サンギヤS1が入力軸2から遮断されるので、入力軸2の回転は第1サンギヤS1には伝達されない。したがって、キャリヤCRが入力軸2と一体に回転するとともに、このキャリヤCRの回転により、ロングピニオンPおよびショートピニオンP1がともに入力軸2まわりに回転する。このとき、第1のブレーキB1が係合していて第2サンギヤS2が回転しなく、更に第1サンギヤS1が入力軸2から遮断されてフリーとなっているので、ロングピニオンPおよびショートピニオンP1がともに自転し、第1サンギヤS1が空転する。ロングピニオンPの入力軸2まわりの回転および自転により、リングギヤR1が入力軸2より高速度で正方向に回転する。このリングギヤR1の回転がカウンタドライブギヤ16から取り出されることにより、入力軸2の回転をオーバードライブした高速回転の4速が達成される。
【0044】
II. リバースレンジ(Rレンジ)
N→Rシフトを行うために、マニュアルシフト弁がリバースレンジ(Rレンジ)の位置に設定される。
【0045】
Rレンジでは、第3のクラッチC3が係合されるとともに、第3のブレーキB3がともに係合される。この状態では、キャリヤCRが第3のブレーキB3の係合により固定されている。また、入力軸2の回転が第3のクラッチC3を介して第2サンギヤS2に伝達される。この第2サンギヤS2の回転により、ロングピニオンPが逆方向に回転するとともに、キャリヤCRが回転しないのでリングギヤR1が逆方向に減速回転する。このリングギヤCRの逆回転がカウンタドライブギヤ16に取り出される。
【0046】
III. パーキングレンジ(Pレンジ)およびニュートラルレンジ(Nレンジ)
マニュアルシフト弁がパーキングレンジ(Pレンジ)またはニュートラルレンジ(Nレンジ)の位置にそれぞれ設定される。
【0047】
PレンジまたはNレンジでは、いずれのクラッチ、いずれのブレーキ、およびいずれのワンウェイクラッチも係合されない。この状態では、入力軸2の回転はカウンタギヤ16には伝達されなく、アクスル軸4a,4bは回転しない。
【0048】
IV. セカンドレンジ(2レンジ)
マニュアルシフト弁がセカンドレンジ(2レンジ)の位置に設定される。
【0049】
2レンジにおける1速状態においては、前述のDレンジの1速の場合とまったく同じであり、Dレンジの1速と同様の、2レンジでの1速が達成される。また2レンジの2速状態においては、前述のDレンジの2速の場合に更に第1のブレーキB1が係合される。この状態では、前述のDレンジの2速の場合に対して第2サンギヤS2が正、逆いずれの方向にも回転を阻止される。これにより、2レンジでの2速が達成され、エンジンブレーキが作動するようになる。2レンジの3速状態においては、前述のDレンジの3速の場合と同じであり、Dレンジの3速と同様の、2レンジでの3速が達成される。
【0050】
V. ローレンジ(Lレンジ)
マニュアルシフト弁がローレンジ(Lレンジ)の位置に設定される。
【0051】
Lレンジにおける1速状態においては、前述のDレンジの1速の場合に更に第3のブレーキB3が係合される。これにより、比較的大きなブレーキ力のエンジンブレーキが作動するようになっている。またLレンジの2速状態においては、前述の2レンジの2速の場合とまったく同じであり、2レンジの2速と同様の、Lレンジでの2速が達成され、エンジンブレーキが作動するようになっている。このエンジンブレーキのブレーキ力はLレンジの1速時のエンジンブレーキより小さい。更にLレンジの3速状態においては、前述の2レンジの3速の場合とまったく同じであり、2レンジの3速と同様の、Lレンジでの3速が達成される。
【0052】
ところで、本例の自動変速機Aでは、カウンタドライブギヤ16のエンジン側すなわち前方側に第2のクラッチC2が設けられているとともに、残りの摩擦係合要素である第1および第3のクラッチC1,C3、第1ないし第3ブレーキB1,B2,B3および第1および第2ワンウェイクラッチF1,F2が、それぞれカウンタドライブギヤ16の後方に配置されている。第2のクラッチC2は、図3から明らかなようにDレンジの3速および4速、2レンジの3速およびLレンジの3速において係合し、他の変速段では係合しないようになっている。その場合、第2のクラッチC2が係合するDレンジの3速では、第2のクラッチC2とともに第1のクラッチC1も係合し、入力軸2からのトルクは第1のクラッチC1と第2のクラッチC2とで分担するようになる。また、第2のクラッチC2が係合するDレンジの4速では、トルクコンバータ6がエンジン出力トルクをほとんど増幅しないので、トルクコンバータ6からのストールトルクが入力軸2には伝達されない。
【0053】
したがって、この第2のクラッチC2は大容量を要求されない。すなわち、第2のクラッチC2は、軸方向寸法および径方向寸法がDレンジ1速時および2速時、またはRレンジに係合するクラッチおよびブレーキより、ともに小さく設定されている。そして、この寸法の小さい第2のクラッチC2がカウンタドライブギヤ16の前方に配置されることにより、自動変速機Aのケース15の第2のクラッチC2と対向する部分および前方開口部(すなわち、オイルポンプO/Pの取り付け端部)βのケース15が入力軸2側により近づいた状態となり、ケース15のこれらの部分がより一層コンパクトに形成されている。
【0054】
そして、図4に示すようにこの前方開口部βのケース15に、オイルポンプO/Pのボディカバー22のフランジ状部22aがボルト23により取り付けられているが、ケース15がコンパクトに形成されていることから、このオイルポンプO/Pのボディカバー22のフランジ状部22aの外径の寸法も短縮されている。このオイルポンプO/Pのボディカバー22内には、図1および図5(b)に示すように入力軸2と同軸に配設された、外歯24aを有するドライブギヤ24と、このドライブギヤ24に偏心して配設された、内歯25aを有するドリブンギヤ25とからなるギヤポンプが配設されている。その場合、ドライブギヤ24とドリブンギヤ25とは、一側で外歯24aと内歯25aとが噛合し、その反対側で外歯24aの歯先円と内歯25aの歯先円とがほぼ接するように配置されている。すなわち、本例のギヤポンプは、図9に示す従来の自動変速機にも用いられている、噛合側と反対側の互いに離隔した側の外歯24aと内歯25aとの間に配設されたクレセントpが省略されたクレセントレスに形成されている。
【0055】
このように、オイルポンプO/Pがクレセントレスに形成されることにより、クレセントpのためのスペースが不要となるので、オイルポンプO/Pのギヤ室42(図5(b)に図示)の小径化を図ることができ、その分オイルポンプO/の軽量化を図ることができる。その場合、オイルポンプO/Pをクレセントレスにすることが、ケース15のオイルポンプO/Pの取付部を小径化する際に何ら障害にならない。
【0056】
更に、ボディカバー22のフランジ状部22aおよびケース15の、このフランジ状部22aに対向する部分には、オイルポンプO/Pの吸入孔26、オイルポンプO/Pの吐出孔27、ロックアップクラッチ5のオン時の作動油の流動孔28、ロックアップクラッチ5のオフ時の作動油の流動孔29、および第2のクラッチC2の係合時に油圧サーボ30に供給される作動油の流動孔31がそれぞれ穿設されている。
【0057】
今、前述の図9に示す従来の自動変速機と同様に発進時に係合する第1のクラッチC1、あるいは後進時に係合する容量の大きな第3のクラッチC3を配設した場合と、本発明の発進時および後進時に係合しない容量の小さな第2のクラッチC2を配設した場合とを比較検討すると、前者の場合は、これらの第1または第3のクラッチC1,C3の容量が大きいことから、それらの外径が大きくなるため、図4および図5(a),(b)にそれぞれ二点鎖線で示すように自動変速機Aのケース15の第1または第3のクラッチC1,C3と対向する部分および前方開口部βが入力軸2から遠ざかった状態となり、ケース15のこれらの部分がより大きく形成される。したがって、このケース15に合わせて形成されるボディカバー22のフランジ状部22aの内外径も大きく形成されるようになる。
【0058】
これに対して、後者の本発明の場合は、発進時および後進時に係合しない容量の小さい第2のクラッチC2をオイルポンプO/Pとカウンタドライブギヤ16との間に配設しているので、その外径が小さくなるため、図4および図5(a),(b)にそれぞれ実線で示すように自動変速機Aのケース15の第2のクラッチC2と対向する部分および前方開口部βが入力軸2により近づいた状態となり、ケース15のこれらの部分がより小さく形成される。したがって、このケース15に合わせて形成されるボディカバー22のフランジ状部22aの内外径もよりコンパクトに形成されるようになる。その場合、オイルポンプO/Pのギヤ室42の最外径の寸法αは、その自動変速機Aに必要なオイルポンプO/Pの吐出容量等から決定されるため、前者および後者のいずれの場合でも同じに設定される。このように、オイルポンプO/Pのギヤ室42の最外径の寸法αが同じであるにもかかわらず、前者の場合はボディカバー22のフランジ状部22aの内外径が大きく、後者の場合はフランジ状部22aの内外径が小さくなるので、前者の場合はボディカバー22等のポンプケース43が無駄に大きく形成せざるを得ないのに対して後者の本発明の場合はボディカバー22等のポンプケース43を無駄なく、よりコンパクトに形成できる。
【0059】
そのうえ、本発明の自動変速機Aは、従来の一般的な自動変速機と同様にオイルポンプO/Pのボディカバー22等のポンプケース43が鋳鉄製の鋳物で形成されているので、このようにボディカバー22等のポンプケース43をよりコンパクトに形成できることから、ポンプケース43の軽量化を効果的に図ることができ、その結果自動変速機A全体の軽量化に大きく寄与することとなる。
【0060】
更に、本例の自動変速機Aでは、第2のクラッチC2の軸方向寸法が、容量の大きな他のクラッチ等の摩擦係合要素の軸方向寸法より小さいので、この寸法の小さい第2のクラッチC2がカウンタドライブギヤ16の前方に配置されることにより、カウンタドライブギヤ16を後方に移動させなくても、カウンタドライブギヤ16と第2のクラッチC2との間に空間δが形成されるようになる。この空間δ内には、カウンタドライブギヤ16に一体に設けられたパーキングギヤ32が第2のクラッチC2と径方向にオーバラップすることなく配置されている。カウンタドライブギヤ16は、その後部の筒状軸部16aが軸受41を介してケース15のセンターサポート40に回転可能に片持ちで支持されている。このように、パーキングギヤ32がカウンタドライブギヤ16と第2のクラッチC2との間に配置されることにより、パーキングギヤ32が第2のクラッチC2に干渉することなく、カウンタ軸3を入力軸2に近づけることができる。しかも、カウンタドリブンギヤ17も後方に移動させる必要はないので、カウンタ軸3からなる第2軸の軸長が長くなることはなく、従来の自動変速機の第2軸と同じかそれより短縮することができる。
【0061】
また、入力軸2の後端部2aには第1の潤滑油導入孔33が穿設されており、この第1の潤滑油供給孔33は入力軸2の中心に穿設された軸方向の第2の潤滑油導入孔34に連通しているとともに、自動変速機Aの後端部のケース15に穿設された潤滑油供給孔35に連通している。これらの第1および第2の潤滑油導入孔33,34と潤滑油供給孔35とは、潤滑油を自動変速機Aの各潤滑油必要箇所に導入するための潤滑油路の一部を構成しており、自動変速機Aの後端部の潤滑油供給孔35がこの潤滑油路の入口を構成している。そして、ケース15の潤滑油供給孔35から供給された低圧の潤滑油が、第1および第2の潤滑油導入孔33,34を通して各潤滑油必要箇所に導入されるようになっている。
【0062】
このように、潤滑油を自動変速機Aの後端部から供給することにより、オイルポンプO/Pのポンプケース43に形成されている潤滑油路の数を削減することができ、その結果潤滑油路を形成するためのスペースを確保しなくてもよいので、オイルポンプO/Pのポンプケース43のコンパクト化および軽量化をそれぞれ図ることができるようになる。その場合、潤滑油を自動変速機Aの後端部から供給することが、ケース15のオイルポンプO/Pの取付部を小径化する際に何ら障害になることはない。
【0063】
更に、図1に示すようにこの例の自動変速機Aにおいては、前進発進時に係合する第1のクラッチC1の油圧サーボの第1サーボピストン36と後進時に係合する第3のクラッチC3の油圧サーボの第3サーボピストン37とがダブルピストン構造に形成されている。これを具体的に説明すると、図6に詳細に示すように第3のクラッチC3の油圧サーボのドラム部材44が、軸方向に延びる大径側筒状部44aおよび小径側筒状部44bと、径方向に延びてこれらの大径側筒状部44aおよび小径側筒状部44bの両一端部間を連結する平板状部44cとから有底筒状に形成されているとともに、平板状部44cの内周端が入力軸2に連結、固定されている。
【0064】
このドラム部材44内には、第3のクラッチC3の第3サーボピストン37が配設されており、この第3サーボピストン37は、ドラム部材44とほぼ同形状の有底筒状に形成されており、軸方向に延びる大径側筒状部37aおよび小径側筒状部37bと、径方向に延びてこれらの大径側筒状部37aおよび小径側筒状部37bの両一端部間を連結する平板状部37cとから構成されている。そして、第3サーボピストン37の小径側筒状部37bが、この小径側筒状部37bを貫通する、ドラム部材44の小径側筒状部44bの外周面に、Oリング45により油密にかつ軸方向に摺動可能に配設されているとともに、第3サーボピストン37の大径側筒状部37aがドラム部材44の大径側筒状部44aの内周面に、シール部材46により油密にかつ軸方向に摺動可能に配設されている。
【0065】
また、この第3のクラッチC3の第3サーボピストン37の大径側筒状部37aの内周側には、第1のクラッチC1の第1サーボピストン36が配設されており、この第1サーボピストン36は、第3のクラッチC3の第3サーボピストン37とほぼ同形状の有底筒状に形成されており、軸方向に延びる大径側筒状部36aおよび小径側筒状部36bと、径方向に延びてこれらの大径側筒状部36aおよび小径側筒状部36bの両一端部間を連結する平板状部36cとから構成されている。そして、第1サーボピストン36の小径側筒状部36bが、この小径側筒状部36bを貫通する、入力軸2の外周面に、Oリング47により油密にかつ軸方向に摺動可能に配設されているとともに、第1サーボピストン36の大径側筒状部36aが第3のクラッチC3の第3サーボピストン37の大径側筒状部37aの内周面に、シール部材48により油密にかつ軸方向に摺動可能に配設されている。
【0066】
このようにして、1つの筒状のドラム部材44の内周側に第3のクラッチC3の筒状の第3サーボピストン37を配設し、更にこの第3のクラッチC3の筒状の第3サーボピストン37の内周側に第1のクラッチC1の筒状の第1サーボピストン36を配設したダブルピストン構造が構成されている。なお、第3サーボピストン37の大径側筒状部37aの先端に対向して、第3のクラッチC3の多板の摩擦係合部材38が配設されていて、第3サーボピストン37の移動によりこれらの多板の摩擦係合部材38が互いに摩擦係合されるようになっている。このとき、第3サーボピストン37の移動では、第3のクラッチC3の摩擦係合部材38のみが係合するようになっている。また、第1サーボピストン36の大径側筒状部36aの先端に対向しかつ第3のクラッチC3の摩擦係合部材38の内周側に位置するようにして、第1のクラッチC1の多板の摩擦係合部材39が配設されていて、第1サーボピストン36の移動によりこれらの多板の摩擦係合部材39のみが互いに摩擦係合されるようになっている。
【0067】
更に、本例の自動変速機Aにおいては、カウンタドライブギヤ16の前方に容量の小さな第2のクラッチC2を配置し、残りの容量の大きな第1および第3のクラッチC1,C3および第1ないし第3のブレーキB1〜B3をカウンタドライブギヤ16の後方に配置していることにより、自動変速機Aの後方部が前方部と比較して拡大するようになるが、自動変速機Aのケース15がアルミ製のケースで構成されているので、自動変速機Aの後方部が拡大しても、重量がそれほど増大しなく、自動変速機Aの全体としての軽量化が妨げられることはない。
【0068】
更に、第1および第3のクラッチC1,C3の第1および第3サーボピストン36,37をダブルピストン構造とすることにより、自動変速機Aの軸方向の長さを短縮することができ、自動変速機Aの更なるコンパクト化および軽量化を図ることができる。
【0069】
更に、第1のクラッチC1の摩擦係合部材39が第3のクラッチC3の摩擦係合部材38の内周側に配置されることにより、この摩擦係合部材39の摺動部の外径が小さくなってその摺動抵抗が小さくなるとともに、摩擦係合部材38の摺動部の外径が大きくなってその摺動抵抗が大きくなる。このため、前進発進時に係合する第1のクラッチC1の摩擦係合部材39は、後進時に係合する第3のクラッチC3の摩擦係合部材38が係合する係合圧より低い係合圧でかつ滑らかに係合するようなるので、摩擦係合部材39の係合の応答性が摩擦係合部材38の係合の応答性よりよくなり、しかも摩擦係合部材39の係合時に摩擦係合部材38の引きずりが生じることはない。
【0070】
そして、前進発進時には第1のクラッチC1の摩擦係合部材39が係合するため、自動変速機Aが前進発進段にセレクトされた場合の自動変速機Aの応答性が向上し、急発進時にも車両は確実に発進できるようになるとともに、急発進時にも摩擦係合部材39の耐久性を良好に確保できるようになる。
【0071】
更に、第3のクラッチC3の摩擦係合部材38の係合時の摺動抵抗が摩擦係合部材39の摺動抵抗より大きいが、後進段での摩擦係合部材38の係合圧が前進段での摩擦係合部材38の係合圧より大きく設定されているため、後進時の係合応答性が悪化することはない。
【0072】
なお、前述の例では、オイルポンプO/Pとカウンタドライブギヤ16との間に第2のクラッチC2を配置するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1速時または後進時に係合しない摩擦係合要素であれば、他の摩擦係合要素を配置することもできる。
【0073】
また、本発明は前述のギヤトレーンに限定されるものではなく、1速時または後進時に係合しない、比較的小容量の係合要素を配置できるギヤトレーンであれば、どのようなギヤトレーンにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる自動変速機の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す自動変速機を模式的に示すスケルトン図である。
【図3】図1に示す自動変速機の各クラッチ、各ブレーキ、および各ワンウェイクラッチの各レンジでの作動状態を示す図である。
【図4】図1に示す自動変速機のオイルポンプ/0の部分を示す部分拡大断面図である。
【図5】図4に示す自動変速機の部分を軸方向から見て示し、(a)は自動変速機のケースの前方開口部を示す図であり、(b)はボディカバーを示す図である。
【図6】図1に示す自動変速機の後部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図7】従来の自動変速機を模式的に示すスケルトン図である。
【図8】図7に示す従来の自動変速機の各要素の各レンジでの作動状態を示す図である。
【図9】図7に示す従来の自動変速機を部分的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…エンジンクランク軸、2…入力軸、2a…入力軸2の後端部、3…カウンタ軸、4a,4b…アクスル軸、5…ロックアップクラッチ(L/C)、6…トルクコンバータ、7…自動変速機構、8…カウンタ機構、9…ディファレンシャル装置、10…シングルプラネタリギヤ、11…デュアルプラネタリギヤ、12…プラネタリギヤユニット、15…ケース、16…カウンタドライブギヤ、17…カウンタドリブンギヤ、22…オイルポンプO/Pのボディカバー、22a…ボディカバー22のフランジ状部、24…ドライブギヤ、25…ドリブンギヤ、26…オイルポンプO/Pの吸入孔、27…オイルポンプO/Pの吐出孔、28…ロックアップクラッチ5のオン時の作動油の流動孔、29…ロックアップクラッチ5のオフ時の作動油の流動孔、30…第2のクラッチC2の油圧サーボ、31…油圧サーボ30に供給される作動油の流動孔、33…第1の潤滑油導入孔、34…第2の潤滑油導入孔、35…潤滑油供給孔、36…第1サーボピストン、37…第3サーボピストン、38…第3のクラッチC3の摩擦係合部材、39…第2のクラッチC2の摩擦係合部材、40…センターサポート、42…ギヤ室、43…ポンプケース、C1…第1の(フォワード)クラッチ、C2…第2のクラッチ、C3…第3の(リバース)クラッチ、B1…第1のブレーキ、B2…第2のブレーキ、B3…第3のブレーキ、F1…第1のワンウェイクラッチ、F2…第2のワンウェイクラッチ、O/P…オイルポンプ
Claims (6)
- エンジン側の前方から後方に向かって、順に、エンジンの駆動力が入力されるトルクコンバータ、オイルポンプ、トルクコンバータの出力を複数の変速段に変速して出力する変速機構に設けられる複数の摩擦係合要素のなかの1つの第1摩擦係合要素、変速機構の出力を出力するカウンタドライブギヤ、ケースの軸方向中間位置に形成されて前記カウンタドライブギヤを回転自在に支持するセンターサポート、および前記第1摩擦係合要素以外の他の摩擦係合要素が配置されている自動変速機において、
少なくとも、前記変速機構、前記第1摩擦係合要素、前記カウンタドライブギヤ、および前記第1摩擦係合要素以外の他の摩擦係合要素が前記ケース内に配置されているとともに、前記複数の摩擦係合要素のうち、前記第1摩擦係合要素のみが前記センターサポートより前方の前記ケース内に配置されており、更に、前記ケースの前方開口部に前記オイルポンプが取り付けられており、
前記第1摩擦係合要素が、前進1速時および後進時のいずれでも係合しない摩擦係合要素であることを特徴とする自動変速機。 - 前記第1摩擦係合要素以外の他のすべての摩擦係合要素が前記ケース内で前記センターサポートより後方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動変速機。
- 前記オイルポンプがクレセントレスのギヤポンプで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の自動変速機。
- 自動変速機の潤滑油必要箇所に潤滑油を供給するための潤滑油路の入口が、自動変速機の後端部に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の自動変速機。
- 前記複数の摩擦係合要素は少なくとも3つの第1ないし第3クラッチであり、前記第1摩擦係合要素は1速時または後進時に係合しない第1クラッチであり、前記第1摩擦係合要素以外の他のすべての摩擦係合要素は少なくとも前記第2および第3クラッチであり、
これらの第2および第3クラッチは前記センターサポートより後方に配置されており、前記2つの第2および第3クラッチの各油圧サーボの各サーボピストンがダブルピストン構造に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の自動変速機。 - 前記第2クラッチは、前進発進時にそのサーボピストンによって係合される第2摩擦係合部材を有しているとともに、前記第3クラッチは、後進発進時にそのサーボピストンによって係合される第3摩擦係合部材を有しており、更に前記第2摩擦係合部材が前記第3摩擦係合部材の内周側に配置されているとともに、前記第3クラッチの係合圧が、前記第2クラッチの係合圧より大きく設定されていることを特徴とする請求項5記載の自動変速機。
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