JPH0319391B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は斜板式ピストンポンプに関し、特にピ
ストンを揺動板に対し摺接追従させるためのシユ
ーの保持機構に関する 駆動軸を中心として該駆動軸と軸線を平行にし
て複数のシリンダが円周方向に並列され、これら
のシリンダが駆動軸に対し傾斜した揺動板と相対
回転され、各シリンダに嵌挿されたピストンがシ
リンダ内を往復動して流体を吸入、叶出する斜板
式ピストンポンプは従来公知である。かかる斜板
式ピストンポンプでは一般にピストンに結合され
たシユーを揺動板に対して摺接保持する保持手段
が必要である。この保持手段は一般に次のように
構成されている。即ち、環状板状の保持部材が揺
動板と同心に、かつその摺動面に対し適当の間隔
を配して揺動板に保持されている。この保持部材
の外周部付近には複数のピストンロツドに夫々対
応した位置にくり抜き孔が形成され、ピストンロ
ツドに球面結合されたシユーはその胴部を対応す
る上記くり抜き孔に遊嵌し、そのフランジ部を保
持部材と揺動板間に摺動自在に保持され、揺動板
と相対的に回転するに伴いシユーが保持部材のく
り抜き孔内を遊動しつつ揺動面上を摺動するよう
になつている。この公正に依れば、ピストンロツ
ドはピストンに固定されているので揺動板が傾斜
した時は、上死点又はその近傍位置にあるピスト
ンと結合するシユーは半径方向外方に偏位し、下
死点又はその近傍位置にあるピストンと結合する
シユーは半径方向内方に偏位する。このように駆
動軸に対して傾斜する揺動板とシユーとの相対回
転に伴いシユーがその軸線に対し首振り運動をす
るが、その時くり抜き孔の周縁がシユーの胴部と
当接してその首振り運動を阻止しないようにする
ためにくり抜き孔が大きい径としなければならな
い。くり抜き孔の径を大きくすると、これに伴い
該くり抜き孔を介してシユーが抜き出るのを防止
すべくシユーのフランジ部の径も大きくする必要
がある。このように従来の構成では、シユーのフ
ランジ部の寸法が大きくなりその結果揺動板の径
も大きくなり、ポンプ全体のサイズが大型になら
ざるを得なくなり、例えば、車輌用空気調和装置
の冷媒圧縮機に適用した場合は車輌内の限られた
収納スペース内への装着が困難になる。

上記問題を解決するために、本願出願人による
先の特願昭58−131336号の提案では、第１図およ
び第２図に見られるようにシユーの保持部材を第
１の保持部材１と第２の保持部材２とで構成す
る。第１の保持部材１は、駆動軸３を遊嵌する中
心孔１ａと、外周部近傍に円周方向に並列形成さ
れ、シユー４の胴部４ａより若干大径の複数のく
り抜き孔１ｂとを有し、リング状に形成される。
第２の保持部材２は第１の保持部材１の中心孔１
ａを遊貫し、揺動板５の中心孔５ａに抜け止めさ
れて嵌合する軸方向の筒部２ａと、該筒部２ａと
一体に形成され、第１の保持部材１の中心孔１ａ
より大きく、かつシユー４の運動と干渉しない程
度の外径を有する半径方向のフランジ部２ｂとか
ら成る。第１の保持部材１は対応するシユー４の
胴部４ａをそのくり抜き孔１ｂに遊嵌すると共
に、第２の保持部材２のフランジ部２ｂで保持さ
れてシユー４のフランジ部４ｂを揺動板５の摺動
面５ｂに摺接自在にかつ密接せしめ、かくしてシ
ユー４の運動と共に第１の保持部材１は揺動板５
の摺動面５ｂに平行に運動するように構成され
る。このように第１の保持部材１を揺動板５に同
心に保持せずにシユー４の運動に追従して自由遊
動するように配したから、くり抜き孔１ｂを小さ
く設計でき、前記従来の保持手段の欠点を解消で
きる。

ところで、この洗眼の構成に依れば、揺動板５
の異なる円周位置にあるシユー４は揺動板５に対
し相互に僅かに異なる偏位量で偏位するため、第
１の保持部材１のくり抜き孔１ｂの径をシユー４
の胴部４ａのそれより若干大径に設定して該シユ
ー４の偏位運動を許容するようにしている。しか
しながら、各ピストンの互いに異なる位相にある
各シユー４が往復動するに伴つて順次自身の半径
方向に偏位運動し、第１の保持部材１がシユー４
に追従する際、シユー４がその胴部４ａより若干
大径のくり抜き孔１ｂ内をあらゆる方向に動き得
るので、その胴部４ａがくり抜き孔１ｂの内周面
に接離して打音を発生させる可能性が大であると
いう問題がある。

本発明は上述の問題に鑑みてなされ、本発明の
目的とする処は、前記打音の発生を防止すると共
に、保持部材及びシユーの寸法を小さくして全体
にピストンポンプの小型化を可能にした斜板式ピ
ストンポンプを提供することにある。

上記目的を達成するため本発明に係る斜板式ピ
ストンポンプは、軸線方向に延びる複数のシリン
ダを有するシリンダブロツクと、各シリンダ内に
摺動自在に配置されたピストンと、該各ピストン
の先端に首振り自在に連結されたシユーと、前記
シリンダブロツクに対抗して配置され、該ブロツ
クと相対回転可能な傾斜と、前記各シユーを、そ
の端面を斜板に摺接させた状態で該斜板に保持す
る保持手段とを備えて成る斜板式ピストンポンプ
において、前記保持手段は、前記斜板の外周上を
摺動自在に該斜板に取付けられ、且つ前記各シユ
ーを個別に、該各シユーの端面を斜板に摺接させ
た状態で該斜板に保持する複数の保持部材を有
し、該各保持部材には、前記斜板の半径方向に延
び、前記各シユーが摺動自在に嵌合する切欠きが
形成されているものである。

以下本発明の一実施例を第３図乃至第４図を参
照して説明する。ピストンポンプ本体１０は円筒
形のケース１１ａとシリンダヘツド１１ｂとが接
合されてハウジング１１を形成し、円筒形ケース
１１ａはまた内部にシリンダブロツク１２を一体
形成している。該シリンダブロツク１２には駆動
軸１３を中心として且つ該駆動軸１３と軸線を平
行にして円周方向に並列した複数のシリンダ１４
が形成されている。駆動軸１３はハウジング１１
の略中心軸線上にあつて、一端部が上記シリンダ
ブロツク１２と中心孔１２ａにおいてボールベア
リング１５で支承され、他端部はケース１１ａの
前部（第３図において右方）を貫通し、軸端部に
プーリ１７が嵌着されている。該駆動軸１３には
該軸上を前後に摺動するスリーブ状のスライダ１
８が嵌装されており、該スライダ１８の外周には
駆動軸１３に垂直のトラニオンピン１９が植設さ
れている円板状の揺動板２０はその中心孔２０ａ
をスライダ１８上に遊嵌され、上記トラニオンピ
ン１９が該中心孔２０aaの内周面に穿設された
孔（図示せず）に嵌合して揺動板２０とスライダ
１８とが係合し、従つて揺動板２０はスライダ１
８と共に中心部が駆動軸１３上を移動し、かつ駆
動軸１３に対してトラニオンピン１９を中心とし
て駆動軸方向に傾動することができる。

また、この揺動板２０には、その反シリンダブ
ロツク側にあつて且つシリンダ１４内の特定のピ
ストン２７′の軸心の延長線上の一点近傍に配置
されたピボツト２１がブラケツト２２を介して取
付けられている。上記ピボツト２１は、ボス部２
３ａが駆動軸１３に結合されこれと一体的に回転
する腕部材２３に設けられた案内孔２４に係合さ
れ、駆動軸１３の回転が揺動板２０に伝えられる
と共に、揺動板２０はトラニオンピン１９を移動
支点とし、ピボツト２１を傾動支点として傾動さ
れる。上記腕部材２３はケース１１ａに装着され
た大型のボールベアリング２５に支承され、駆動
軸１３の前部は実質上腕部材２３を介して上記ボ
ールベアリング２５でケース１１ａに支承される
形になつている。腕部材２３のボス部２３ａの外
周には軸シール装置１６が嵌装されている。

スライダ１８の一端部はシリンダブロツク１２
の盲穴状の中心穴１２ａ内に摺動自在に嵌合し、
中心穴１２ａ内壁とスライダ１８の端面とで油室
２６を画成し、図示しない油圧供給源から該油室
２６に作動油を流入流出させてスライダ１８を駆
動軸１３上を移動させるようにしている。

一方シリンダブロツク１２に形成された同心円
上の複数のシリンダ１４には長円筒形のピストン
２７が夫々往復動自在に挿入され、該ピストン２
７の中心軸線上で且つ揺動板２０側に延出してピ
ストンロツド２８が一体的に固定され、その先端
に球体２８ａが形成されている。この球体２８ａ
には、胴部２９ａとフランジ部２９ｂとで形成さ
れるシユー２９がその球状凹部２９ｃの箇所で首
振り自在に連結されている。上記の基本構成は前
述した従来の揺動板式ピストンポンプと同様であ
る。ここで上記シユー２９を、回転しかつ揺動す
る揺動板２０の摺動面２０ｂに摺接追従させる保
持手段は本発明では次のように構成させる。即
ち、保持手段は、ピストン２７に夫々対応するシ
ユー２９（実施例では５個）の夫々を個別に、該
各シユー２９の端面を揺動板２０に摺接させた状
態で該揺動板２０に保持するる複数（５個）の保
持部材３０を有している。各保持部材３０は略Ｌ
字形断面の略矩形板状体から成り、各軸方向外周
部３０ａを成す一端部の内面には断面コ字状の溝
３０a′が形成され、揺動板２０の外周に形成され
た半径方向の環状フランジ２０ｃに摺動自在に係
合している。そして各保持部材３０は略矩形の半
径方向部３０ｂの長軸が揺動部２０の中心に指向
すると共に、該半径方向部３０ｂの内面が揺動板
２０の揺動面２０ｂと平行になるように配設され
ている。更に各保持部材３０の前記軸方向外周部
３０ａは、半径方向部３０ｂ内面と揺動板２０の
摺動面２０ｂとの間にシユー２９のフランジ部２
９ｂの厚さｔに対応する間〓が形成されるように
その流さ寸法が設定されている。半径方向部３０
ｂの半径方向内端面には揺動板２０の中心に指向
して開口する長手の切欠き３０ｃが半径方向に切
欠き形成され、該各切欠き３０ｃには、各シユー
２９の胴部２９ａが摺動可能に嵌合している。又
切欠き３０ｃの長さはシユー２９が揺動板２０の
半径方向外側及び内側にその所要最大ストローク
に亘り偏位運動するのを許容し、かつ離脱させな
い長さに設定される。

又各保持部材３０の外周部３０ａ外面には、各
保持部材３０を揺動板２０に係合保持するリング
部材３１を摺動自在に嵌合する円弧状溝３０ｄが
形成されている。

上記保持部材３０は、夫々その外周部３０ａ内
面の溝３０a′を揺動板２０の外周の環状フランじ
２０ｃに係合し、同じく外周部３０ａの円弧状溝
３０ｄにリング部材３１を嵌合させ、かつその半
径方向部３０ｂ内面と摺動面２０ｂとの間にシユ
ー２９のフランジ部２９ｂを介在保持させて揺動
板２０に対し周方向に摺動自在に嵌合するので各
シユー２９は揺動板２０に対して相対回転、かつ
半径方向偏位が可能であると共に保持部材３０と
共に周方向への偏位も自在にされる。

以上の如く構成された本発明の揺動板（斜板）
式ピストンポンプの作動について次に述べる。図
示しない外部の駆動源からの動力によつてベルト
を介してプーリ１７が回転され、駆動軸１３に回
転が伝えられる。この時油室２６等により成る油
圧制御機構を作動させなければスライダ１８は図
示しないスプリングの作用で第３図において左方
に偏位しており、揺動板２０はピス２１を支点と
して垂直の中立位置をとつている。この中立位置
においてすべてのピストン２７はシリンダ１４の
上死点位置に位置するように設定されている。そ
して中立位置にあつては回転する揺動板２０は揺
動しないから、ピストン２７はストロークせず、
従つて流体の吸入、叶出はなされない。次に制御
機構を作動させスライダ１８を図上右方に移動さ
せていくと、揺動板２０はピポツト２１を支点と
して傾動し、これに従つてピストン２７の下死点
位置が図上右方に移動してピストンのストローク
長が増大し、揺動板２０が最大傾斜角をとる時ピ
ストン２７は最大ストロークとなり最大叶出量が
得られる。上述のように揺動板２０の中立位置に
てピストン２７が上死点位置にある構成としたの
で、揺動板２０の傾斜角が小さい時、ピストン２
７はその上死点位置、即ちシリンダの破圧縮空間
の容量が最小の位置から吸入ストロークを始める
から叶出量が僅かであつても圧縮流体の圧縮効率
が低下することがない。

このように、揺動板２０の傾斜角度を変えるこ
とにより叶出量を零から最大まで無階段に可変制
御できるため、エンジンとの接続において定容量
型ピストンポンプのごとき断続クラツチが不要に
なる。上記作動に際し、ピストンロツド２８の端
部と首振り自在に連結されたシユー２９を揺動回
転する揺動板２０と摺動追従させピストン２７に
ストロークを与える保持手段は保持部材３０によ
る。即ち、各保持部材３０は、揺動板２０の外周
上を摺動可能であると共に、その切欠き３０ｃに
より各シユー２９の胴部２９ａに嵌合して各シユ
ー２９の端面を揺動板２０の摺動面２０ｂに摺接
されると共に各シユー２９にその半径方向の移動
を許すから、各シユー２９は揺動板２０に対する
各異なる位相において自由に首振り運動しながら
揺動板２０に対して相対回転し、ピストン２７に
ストロークを与える。このように揺動板２０が回
転する際に、各保持部材３０は揺動板２０の外周
上を独立して摺動すると共に、各シユー２９は各
保持部材３０の切欠き３０ｃに沿つて揺動板２０
の半径方向にのみ移動する。従つて、各シユー２
９が各切欠き３０ｃに接離して打音を発生させる
可能性が小さい。

第５図は保持部材の別の実施例を示し、前記実
施例と対応する構成要素は同一の符号をもつて示
してある。この保持部材３０′は、前記実施例の
保持部材３０と略同様の略Ｌ字形断面の略矩形板
状体から成り、その軸方向外周の一端３０′ａに
は内方折曲げ部３０′a′が形成され、該部３０′
a′が揺動板２０の外周部の反保持部材側の面に摺
動可能に係合されている。その他の構成、即ち、
折曲げ部３０′a′を揺動板２０の外周部に係合し
た時、半径方向部３０′ｂの内面３０′b′は揺動板
２０の摺動面２ｂと平行に延び、かつ該内面３
０′b′と摺動面との間にシユー２９のフランジ部
２９ｂの厚さｔに対応する間〓が形成され、又半
径方向部３０′ｂには揺動板２０の中心側に指向
して切欠き３０′ｃが形成される構成は前記実施
例の保持部材３０と変りない。この保持部材３
０′を揺動板２０の外周部に摺動可能に保持する
には周縁部を軸方向に折曲げ形成した環状の枠部
材３１′を保持部材３０′の外周部に嵌装し、該枠
部材３１′を揺動板２０の反摺動面側の面に複数
のボルト３２によりねじ止めする。この保持部材
３０′作用及び効果は前記実施例の保持部材３０
と同様であるので説明を省略する。

尚前記実施例では静止するシリンダに対し揺動
板が駆動軸によつて回転され、かつ容量が可変の
可変容量型揺動板式ピストンポンプについて説明
したが、揺動板が静止しシリンダが駆動軸により
回転されるタイプ及び揺動板の傾斜角が固定され
た定容量のピストンポンプについても同様に適用
可能である。

以上説明したように本発明によれば、斜板がシ
リンダブロツクに対し相対回転する際に、各保持
部材は斜板の外周上を独立して摺動すると共に、
各シユーは各保持部材の切欠きに沿つて斜板の半
径方向にのみ移動するので、各シユーが各切欠き
に接離して打音を発生させる可能性が小さく、静
粛な運転が可能となる。また、保持部材は従来の
単一板状のものに比し極めて小形軽量となりポン
プ本体の小形軽量化が達成される。

更に複数個に分割形成された各保持部材が軽量
のため、シユーに働らく保持部材の慣性力が制限
し、シユー及びロツドの耐用性が増大する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願出願人の先の提案に係るピストン
ポンプの要部縦断面図、第２図は第１図の―
線に沿う矢視断面図、第３図乃至第５図は本発明
の実施例を示し、第３図は第１の実施例の縦断面
図、第４図は第３図の―線に沿う要部矢視断
面図、第５図は第２の実施例の要部縦断面図であ
る。 １０……揺動板式ピストンポンプ、１２……シ
リンダブロツク、１４……シリンダ、２０……揺
動板（斜板）、２７……ピストン、２９……シユ
ー、３０，３０′……保持部材、３０ｃ，３０′ｃ
……切欠き。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 軸線方向に延びる複数のシリンダを有するシ
   リンダブロツクと、各シリンダ内に摺動自在に配
   置されたピストンと、該各ピストンの先端に首振
   り自在に連結されたシユーと、前記シリンダブロ
   ツクに対向して配置され、該ブロツクと相対回転
   可能な斜板と、前記各シユーを、その端面を斜板
   に摺接させた状態で該斜板に保持する保持手段と
   を備えて成る斜板式ピストンポンプにおいて、前
   記保持手段は、前記斜板の外周上を摺動自在に該
   斜板に取付けられ、且つ前記各シユーを個別に、
   該各シユーの端面を斜板に摺接させた状態で該斜
   板に保持する複数の保持部材を有し、該各保持部
   材には、前記斜板の半径方向に延び、前記各シユ
   ーが摺動自在に嵌合する切欠きが形成されている
   ことを特徴とする斜板式ピストンポンプ。