JPH0318683Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は内燃機関の可変ベンチユリ型気化器に
関する。

〔従来技術〕

いわゆるSU型の可変ベンチユリ気化器は周知
である（例えば、実開昭55−83239号の第１図、
および、実開昭59−142450号の第１図参照）。斯
る気化器においては、気化器本体に取り付けたピ
ストンハウジング内にサクシヨンピストンが気化
器の固定ベンチユリ部に対して進退自在に嵌合し
てあり、サクシヨンチヤンバ内に導入されたベン
チユリ負圧に応じてピストンが変位してベンチユ
リ面積が増減されかつ燃料が計量される。従つ
て、SU型可変ベンチユリ気化器においては、吸
入空気量の多少に拘らず空燃比が一定に制限され
る。吸気脈動によりサクシヨンピストンに自励振
動が生ずるのを防止するため、サクシヨンピスト
ンにはオイルダンパ機構が連結してある。

オイルダンパ機構では温度変化によりオイルの
粘性が変化して緩衝効果も変化するので、ピスト
ン緩衝機構としてエアダンパを用いることが提案
されている（実開昭55−83239号の第２図〜第４
図、および、実開昭59−14250号の第２図〜第４
図参照）。

急加速時等のベンチユリ負圧の急増によりサク
シヨンピストンのオーバーシユートが生じベンチ
ユリ面積が過剰となると、一時的にベンチユリ負
圧が低下して燃料が吸出されなくなる。そこで、
逆止弁を有するリリース通路をエアダンパ機構の
エアダンパ室に接続し、サクシヨンピストンのオ
ーバーシユートを防止することが提案されてい
る。（昭和60年７月16日出願の特願昭60−155081
号）。

〔従来技術の問題点〕

一般に、エンジン冷間時には燃料が吸気管壁に
液状に付着するので、気化器から供給する燃料は
多目にしなければならない。急加速時のサクシヨ
ンピストンのオーバーシユートを防止する様に構
成された前記可変ベンチユリ型気化器において
は、エンジン冷間時でかつ急加速時には、エアダ
ンパの緩衝効果が大きいので、燃料の吸い出しが
良好に行われ、十分な燃料が供給される。

しかし、一般に、気化器には加速ポンプ系が設
けてあり、急加速時には追加的な量の燃料を供給
する様になつているので、エンジン高温時かつ急
加速時のエアダンパの緩衝効果を冷間時と同様に
大きく設定した場合には、急加速時の空燃比が過
濃（リツチスパイク）となり、燃料が無駄となる
のみならず、ベンチユリ面積が狭いので吸入空気
量ひいてはエンジン出力を応答性良く増加させる
ことができない。

〔考案の目的〕

本考案は、前記特願昭60−155081号で提案した
可変ベンチユリ型気化器を更に改良し、機関冷間
時にはエアダンパ機構の緩衝効果を十分に確保し
てサクシヨンピストンのオーバーシユートを防止
し、これにより燃料の吸出し効果を高めると共
に、機関温間時にはエアダンパ機構の緩衝効果を
弱くすることにより急加速時の空燃比のリツチス
パイクを回避することの可能な、可変ベンチユリ
型気化器を提供することを目的としている。

本考案の他の目的は、エアダンパ室に流入した
燃料を逃がす様に構成された可変ベンチユリ型気
化器を提供することである。

〔問題点を解決するための手段および作用〕

本考案は、サクシヨンチヤンバ内に導入された
ベンチユリ負圧に応じてサクシヨンピストンが変
位してベンチユリ流路面積を変化させると共に燃
料を計量し、エアダンパ室を有するダンパ機構に
よりサクシヨンピストンの自励振動が防止され、
エアダンパ室から延長し逆止弁を有する第１のリ
リース通路によりベンチユリ流路面積拡張方向へ
のサクシヨンピストンのオーバーシユートが防止
される様になつた可変ベンチユリ型気化器におい
て、前記エアダンパ室内の空気を流出させる第２
のリリース通路を設け、前記第２リリース通路に
は所定温度以上で第２リリース通路を導通させ所
定温度以下で第２リリース通路を遮断する感温弁
を設けたことを特徴とするものである。

この様な構成にしたので、冷間時にはダンパ機
構の緩衝効果は大きいが、温間時には第２リリー
ス通路が導通して緩衝効果が減少するのでサクシ
ヨンピストンには冷間時に比較して速く後退し、
空燃比のリツチスパイクが防止される。

好ましくは、第１リリース通路はサクシヨンチ
ヤンバの上部とエアダンパ室とを連通するべく位
置決めし、第２リリース通路はサクシヨンチヤン
バの下部とエアダンパ室とを連通する様に構成す
る。この様にすれば、サクシヨンチヤンバ内の燃
料がエアダンパ室内に流入しにくくなると共に、
流入した燃料は第２リリース通路の導通時（温間
時）にサクシヨンチヤンバに戻される。従つて、
エアダンパ室内に燃料が溜ることが無いので、エ
アダンパの効果が損われることが無い。

〔実施例〕

次に、添附図面を参照して本考案の実施冷を説
明する。

添附図面は本考案の可変ベンチユリ型気化器を
示し、この気化器のほぼ円筒形の本体１０の内側
にはエアホーン１２とミキシングチヤンバ１４が
形成されている。エアホーン１２とミキシングチ
ヤンバ１４との間には、略々段付き円筒形のサク
シヨンピストン１６の小径部１８と本体１０の内
壁とによつて可変ベンチユリ部２０が形成されて
いる。フロート室ハウジング２２内の燃料は、メ
インジエツト２４を備えた主燃料系統と、アイド
ルスクリユ２６により調節されるアイドル系統と
により供給される。メインジエツト２４からの燃
料はニードルホルダー２８によりサクシヨンピス
トン１６のピストンロツド３０に保持された可動
ニードル３２によつて計量される。３４はスロツ
トル弁である。

本体１０にはピストンハウジング３６が固定し
てあり、サクシヨンピストン１６の大径部３８が
摺動自在に嵌合してある。サクシヨンピストン１
６の小径部１８は本体１０の側壁のボアを摺動自
在に挿通している。サクシヨンピストン１６とピ
ストンハウジング３６とにより形成されたサクシ
ヨンチヤンバ４０は小径部１８に設けた負圧通路
４２によりベンチユリ部２０に連通しており、ベ
ンチユリ部２０に生じた負圧がサクシヨンチヤン
バ４０内に導入される様になつている。本体１０
とサクシヨンピストン１６との間の環状空間４４
は大気圧室であり、通路（図示せず）を介してエ
アホーン１２に接続されている。サクシヨンピス
トン１６はスプリング４６により図中右方に付勢
されている。従つて、スロツトル弁３４が所定角
度開かれ、ベンチユリ部２０に負圧が生じ、負圧
通路４２を介しての負圧がサクシヨンチヤンバ４
０に伝えられると、サクシヨンピストン１６は左
方に移動し、負圧による力とスプリング４６によ
る力とが均衡する位置で停止する。図面にはサク
シヨンピストン１６が全閉位置にあるところが示
してある。

エアホーン１２とミキシングチヤンバ１４との
間の圧力差によりサクシヨンピストン１６には図
中時計方向のモーメントが作用し、ピストンハウ
ジング３６の軸線に対してサクシヨンピストン１
６の軸線が振れる傾向にある。従つて、サクシヨ
ンピストン１６の円滑な移動を保障するためには
案内機構が不可欠である。このため、ピストンハ
ウジング３６の内側にはガイドスリーブ４８が固
定してあり、サクシヨンピストン１６にはピスト
ンロツド３０が固定してある。図示した様に、ガ
イドスリーブ４８とピストンロツド３０との間に
はリニアボールベアリング・アツセンブリ５０，
５２を設けることが好ましい。夫々のリニアボー
ルベアリング・アツセンブリの内周面には円周方
向に等間隔に離間され軸方向に配列された４列の
ベアリングボールが露出しており、ピストンロツ
ド３０を遊びなく円滑に軸方向に摺動させること
ができる。

更に、この気化器にはサクシヨンピストン１６
のオーバーシユートを防止するためのエアダンパ
機構が設けてある。このダンパ機構はガイドスリ
ーブ４８に圧入等により固定された有低円筒形の
めくらプラグ５４を備えて成る。めくらプラグ５
４の内側にはピストンロツド３０の左端との間に
エアダンパ室５６が形成される。２つのリニアボ
ールベアリング・アツセンブリ５０と５２とは互
いに軸方向に若干離間してあり、両者の間には固
定リング５８が配置してある。このリング５８は
ガイドスリーブ４８の内側に圧入してあり、その
内径はピストンロツド３０の外径より僅かに大き
く定めてある。従つて、このリング５８の内周面
とピストンロツド３０の外周面との間にはクリア
ランス６０が形成さる。このクリアランス６０は
エアダンパ機構の絞りとして作用するもので、サ
クシヨンピストン１６の変位によりエアダンパ室
５６の容積が変化する際にはエアダンパ室５６内
の空気はこの絞り６０を通つて出入りするので、
サクシヨンピストン１６の動きが緩衝される。

サクシヨンチヤンバ４０とエアダンパ室５６と
の間には第１リリース通路６２が設けてあり、こ
の通路６２には逆止弁６４が設けてある。通路６
２の入口は図示した様にサクシヨンチヤンバ４０
の上部に開口させてある。従つて、ピストン１６
の進退に伴い通路４２を介してサクシヨンチヤン
バ４０内に燃料が流入して溜つても、その燃料が
第１リリース通路６２を通つてエアダンパ室５６
内に吸い込まれることが防止される。

また、エアダンパ室４０とサクシヨンチヤンバ
５６との間には第２のリリース通路６６が設けて
あり、この通路６６には感温弁６８が設けてあ
る。この感温弁６８はON／OFF弁であり、所定
温度以上の時に第２リリース通路６６を導通させ
てエアダンパ室４０とサクシヨンチヤンバ４０と
を連通させ、所定温度以下の時に通路６６を遮断
する様に構成されている。この感温弁６８は電磁
弁等で構成し、温度を検知して通路６６を開閉す
る様に制御してもよい。通路６６の出口はサクシ
ヨンチヤンバ４０の下部に開口しており、万一、
燃料がエアダンパ室５６内に流入した場合でも、
その燃料が第２リリース通路６８の導通時に再び
サクシヨンチヤンバ４０内に戻される様になつて
いる。

次に、この気化器の作動を説明する。

スロツトル弁３４が開かれ吸気量が増加すると
可変ベンチユリ部２０に負圧が発生し、この負圧
はサクシヨンピストン１６に設けられた負圧通路
４２を介してサクシヨンチヤンバ４０に伝えられ
る。この負圧によりサクシヨンピストンは左方に
移動し、スプリング４６による力と均合つた位置
で停止する。その結果、可変ベンチユリ部２０の
流路面積が増大する一方、ニードル３２とメイン
ジエツト２４との間の隙間が増大して燃料流量が
増加する。

急加速時の様にスロツトル弁３４が急激に開か
れると、ベンチユリ負圧も急激に上昇しサクシヨ
ンピストン１６に大きな負圧力が作用するため、
サクシヨンピストン１６は急速に左方移動してオ
ーバーシユートしようとするが、このオーバーシ
ユートはエアダンパ機構により抑制される。即
ち、サクシヨンピストン１６と共にピストンロツ
ド３０が左方に動くとエアダンパ室５６の容積は
減少し、その中の空気は圧縮される。逆止弁６４
が閉じエアダンパ室５６とサクシヨンチヤンバ４
０との間の第１リリース通路６２とは遮断されて
いるので、エアダンパ室５６内の空気は絞り６０
を通つてサクシヨンチヤンバ４０へと逃れる。絞
り６０はこの空気の流れを制限するので、ピスト
ンロツド３０、ひいてはサクシヨンピストン１６
の運動は緩衝され、サクシヨンピストンのオーバ
ーシユートが防止される。この様なダンパ機構が
無く、サクシヨンピストンがオーバーシユートし
た場合には、一時的にベンチユリ負圧が減少し、
燃料が吸い出されなくなるため、一時的に空燃比
がリーンになるであろう。

減速時にスロツトル弁３４が閉じられた時に
は、ベンチユリ負圧は減少して大気圧に近づき、
サクシヨンピストン１６はスプリング４６の作用
により右方に移動する。その際、エアダンパ室５
６の容積は増大するが、逆止弁６４が開いてサク
シヨンチヤンバ４０内の空気が第１リリース通路
６２を介して速やかにエアダンパ室５６内に流入
するため、サクシヨンピストン１６は速やかに右
方移動することができる。従つて、急減速時にス
ロツトル弁３４が急激に閉じられた場合でも、サ
クシヨンピストン１６の閉塞動作に遅れが生じる
ことが無いので、可変ベンチユリ部２０には直ち
に負圧が回復し、燃料を吸い出すことができる。
従つて、空燃比が一時的にリーンになることが無
く、適正な空燃比が確保されるので、エンジンフ
オールター（息付き）やエンジンストールを起す
ことがない。

次に、第２リリース通路および感温弁６８の作
用について説明する。機関冷間時には感温弁６８
が閉じているので、気化器は前述した如く作動す
る。

機関暖機後は、感温弁６８が開き、第２リリー
ス通路６６によりエアダンパ室５６とサクシヨン
チヤンバ４０とが連通する。従つて、絞り６０の
径を大きくしたのと同様の効果が得られ、ダンパ
機構の緩衝効果が低減する。従つて、スロツトル
弁３４の開弁に対するサクシヨンピストン１６の
追従性が早くなり、急加速時のリツチスパイクが
防止される。

〔考案の効果〕

本考案の可変ベンチユリ型気化器においては、
逆止弁付きの第１リリース通路６２に加えて、感
温弁を有する第２のリリース通路６６が設けてあ
るので、機関冷間時と温間時とでエアダンパ機構
の緩衝効果を変化させることができる。従つて、
冷間時には、急加速時のサクシヨンピストンのオ
ーバーシユートを防止して空燃比を濃くするとい
う第１リリース通路の作用を確保することができ
る。

温間時には、吸気管内壁に付着した燃料は速や
かに霧化するので、空燃比を適正に維持して燃料
消費率を改善すると共に、ベンチユリ流路面積を
大きくして気化器の通気抵抗を減らし充填効率を
高めることにより、出力を増加させることが好ま
しい。本考案の構成によれば、温間時には第２リ
リース通路６６が導通してエアダンパ機構の緩衝
効果が弱められるので、スロツトル弁の変化に対
するサクシヨンピストンの追従性が向上し、燃費
および出力を向上させることができる。

また、第１リリース通路をサクシヨンチヤンバ
の上部に開口させ、第２リリース通路をサクシヨ
ンチヤンバの下部に開口させた場合には、エアダ
ンパ室内に燃料が流入するのを防止できると共
に、流入した燃料を速かにサクシヨンチヤンバに
排出することができる。従つて、エアダンパ機構
の機能を適正に維持することができる。

【図面の簡単な説明】

添附図面は本考案の実施例の断面図である。 １０……気化器本体、１２……エアホーン、１
４……ミキシングチヤンバ、１６……サクシヨン
ピストン、２０……可変ベンチユリ部、３０……
ピストンロツド、３４……スロツトル弁、３６…
…ピストンハウジング、４０……サクシヨンチヤ
ンバ、４６……スプリング、４８……ガイドスリ
ーブ、５６……エアダンパ室、６０……絞り、６
２……第１リリース通路、６４……逆止弁、６６
……第２リリース通路、６８……感温弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ サクシヨンチヤンバ４０内に導入されたベン
   チユリ負圧に応じてサクシヨンピストン１６が
   変位してベンチユリ流路面積を変化させると共
   に燃料を計量し、エアダンパ室５６を有するダ
   ンパ機構によりサクシヨンピストンの自励振動
   が防止され、エアダンパ室から延長し逆止弁６
   ４を有する第１のリリース通路６２によりベン
   チユリ流路面積拡張方向へのサクシヨンピスト
   ンのオーバーシユートが防止される様になつた
   可変ベンチユリ型気化器において、 前記エアダンパ室内の空気を流出させる第２
   のリリース通路６６を設け、前記第２リリース
   通路には所定温度以上で第２リリース通路を導
   通させ所定温度以下で第２リリース通路を遮断
   する感温弁６８を設けたことを特徴とする可変
   ベンチユリ型気化器。 ２ 前記第１リリース通路はサクシヨンチヤンバ
   上部とエアダンパ室とを連通し、第２リリース
   通路はサクシヨンチヤンバ下部とエアダンパ室
   とを連通しており、もつて、第１リリース通路
   を介してエアダンパ室内に吸入された燃料が前
   記第２リリース通路の導通時には第２リリース
   通路を介してサクシヨンチヤンバに戻される様
   にしたことを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の可変ベンチユリ型気化器。