JPS6132121Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内燃機関（以下エンジンともい
う）用可変ベンチユリ気化器に関し、特に低吸入
空気量時の空燃比の変動を減少させ、アイドリン
グ安定性を向上させたダウン・ドラフト式可変ベ
ンチユリ気化器（以下単に可変ベンチユリ気化器
という）に関するものである。

従来、スロー系を有していない可変ベンチユリ
気化器では、アイドリング運転におても燃料は全
てベンチユリ部に吐出されている。しかしエンジ
ンの低吸入空気量域の吸入空気は流速も低く、ま
た燃料ノズルとサクシヨン・ピストン端面との距
離も短いため、吐出された燃料の一部は吸入空気
の流れに乗れずサクシヨン・ピストン端面に附着
し、壁面流となつて下方に流れ、サクシヨン・ピ
ストン端面の下端に集つて液滴となる。特にエ
ア・ブリードを行なつている場合、ベンチユリ部
に吐出される燃料の速度が高くなり、サクシヨ
ン・ピストン端面上に倒達する燃料の割合が多く
なる。溜つた燃料液滴は間欠的にスロツトル・バ
ルブ上に落下し、不規則にエンジン吸気管内に導
びかれる。以上のような過程によつてエンジンの
燃焼室に供給される混合気の空燃比は時間的な変
動を伴い、アイドリング回転数の安定性を悪化さ
せていた。通常この対策として、上記空燃比の時
間的変動の影響を受けにくい比較的高いアイドリ
ング回転数を設定しているが、このため燃料消費
率が悪化していた。

この考案は、上記問題点を解決するため、低吸
入空気量運転時において、可変ベンチユリ気化器
のサクシヨン・ピストン端面に燃料液滴を溜らせ
ないで、連続的に吸気管に流して空燃比の変動を
減少させた可変ベンチユリ気化器の提供を目的と
している。

この考案を実施例の図面に基づいて説明する
と、第１図の可変ベンチユリ気化器本体１におい
て、２はフロート・チヤンバ、３は吸気通路、４
はスロツトル・バルブ、５はベンチユリ部であ
る。６は燃料通路で、フロート・チヤンバ２から
ベンチユリ部５に連通している。燃料通路６の途
中に燃料ジエツト７が装着されている。ベンチユ
リ部５はスロツトル・バルブ４の上方に、吸気通
路側壁３ａとサクシヨン・ピストン８の底部端面
８ａとで形成されている。サクシヨン・チヤンバ
９は、気化器本体１に設けた筒体とその内壁面に
接して摺動可能なサクシヨン・ピストン８とで形
成されている。サクシヨン・チヤンバ９の内部に
は圧縮スプリング８ｂが挿入され、サクシヨン・
ピストン８を常時吸気通路側壁３ａの方向に押し
ている。サクシヨン・ピストン８の底部端面８ａ
には負圧連通口９ａが設けられ、サクシヨン・チ
ヤンバ９とベンチユリ部５とを連通している。ま
た、サクシヨン・ピストン８の摺動フランジ部背
面と気化器本体１との間には大気チヤンバ１０が
設けられ、吸気通路入口附近に設けられた大気連
通口１０ａを通つて大気が導入される。サクシヨ
ン・ピストン８のベンチユリ部５に面した底部端
面８ａの中心には、メータリング・ニードル１１
が取り付けられ、その自由端部は燃料ジエツト７
の内径内側に挿入されている。

前記燃料ジエツト７は、後流部に燃料計量のた
めのジエツト部７ａを備え、またベンチユリ部５
への開口端は燃料ノズル７ｂとしてベンチユリ部
５内へ突出し、下方に向いた開口切欠き７ｃを有
する。開口切欠き７ｃの面積は、低吸入空気量時
の燃料およびブリード・エア混合気の通路とし
て、絞に効果を生じない程度の大きさとする。

第２図の２１はトラツプ・プレートで、円板部
２１ａとガイド部２１ｂからなり、メータリン
グ・ニードル１１に摺動可能に挿通されている。
円板部２１ａは燃料ノズル７ｂ開口端に対向し、
これより大きい外径の円形平面を有している。ト
ラツプ・プレート２１とサクシヨン・ピストン底
部端面８ａとの間には圧縮スプリング２２が挿入
され、トラツプ・プレート２１を常時メータリン
グ・ニードル１１の先端方向に押している。メー
タリング・ニードル１１の長手方向中間位置に段
差状のストツパ１１ａが設けられ、トラツプ・プ
レート２１の最前方位置を規制している。サクシ
ヨン・ピストン８が前進して低吸入空気領域に来
たとき、このストツパ１１ａの位置にあるトラツ
プ・ブレート２１の前面が燃料ノズル７ｂ開口端
と接する。

また、この実施例を気化器１は、吸気通路３上
流に開口を有し、燃料ジエツト７のジエツト部７
ａより下流に出口を設けたエア・ブリード通路１
２を有している。その途中には絞り面積を変化さ
せるアクチユエータ１３および１４が設けられ
て、エンジンの運転条件に合わせてエア・ブリー
ド量を制御している。

上記のように構成された可変ベンチユリ気化器
１がアイドリング状態で作動すると、サクシヨ
ン・ピストン８およびメータリング・ニードル１
１は、第３図の停止位置から第４図に示すアイド
リング位置にきて、トラツプ・プレート２１は燃
料ノズル７ｂ開口端に押された状態で燃料ノズル
７ｂ正面開口を塞いでいる。エンジンの吸入空気
量が増えるにつれて、サクシヨン・ピストン８お
よびメータリング・ニードル１１は後退するが、
トラツプ・プレート２１は圧縮スプリング２２に
よつて前方に押されたまま、燃料ノズル７ｂ開口
端と接している。これは第１図または第２図の状
態である。この状態はトラツプ・プレート２１が
ストツパ１１ａに当つて最前方位置で摺動を停止
するまで続く。これは第５図の状態である。以上
のアイドリングないし低吸入空気量運転領域で
は、吐出された燃料はトラツプ・プレート２１に
衝突してサクシヨン・ピストン８の方向への運転
は阻止され、燃料ノズルの下方に向いた開口切欠
き７ｃからベンチユリ部５下流へ吐出される。そ
して燃料の大部分は吸入空気に混合され、また一
部はトラツプ・プレート２１に面した吸気通路側
壁３ａ上の壁面流となつて、吸気管に連続的に流
入する。さらに吸入空気が増え、サクシヨン・ピ
ストン８が後退すると、今度はトラツプ・プレー
ト２１もストツパ１１ａの位置でメータリング・
ニードル１１とともに後退し、燃料ノズル７ｂ開
口は完全に開いた状態となる。燃料はサクシヨ
ン・ピストン８の方向にも吐出されるようになる
が、途中でトラツプ・プレート２１の前面に衝突
し拡散して吸入空気と十分に混合し、霧化されて
（図示しない）吸気管に流入する。上記の場合、
トラツプ・プレート２１に附着した燃料も、プレ
ートの面積が小さいため、順次液滴となつて吸入
空気と混合され、連続的に吸気管へ流入する。こ
れは第６図の状態である。

この考案は以上説明したように、可変ベンチユ
リ気化器のメータリング・ニードルに摺動可能に
挿入されたトラツプ・プレートを設け、圧縮スプ
リングによつて低吸入空気量運転領域で燃料ノズ
ルと接する位置に保持したことによつて、サクシ
ヨン・ピストンが前進して低吸入空気量ないしア
イドリング運転領域にあるとき、トラツプ・プレ
ートが吸気通路内に突出た燃料ノズルの正面開口
を塞いで、吐出燃料がサクシヨン・ピストン端面
に附着するのを防止して連続的に（図示しない）
吸気管に流し込むので、空燃比の時間的変動が減
少し、アイドリング安定性が向上する効果があ
る。従つて、従来のようにアイドリング安定性の
ためにアイドリング回転数を高く設定する必要が
なく、エンジンの燃料消費率を向上させる効果が
ある。

エンジンの吸入空気量が増大して、トラツプ・
プレートが後退し、燃料ノズルの正面開口が開か
れると、燃料はサクシヨン・ピストン端面の方向
に吐出されるが、途中でトラツプ・プレートに衝
突して拡散され、吸入空気と混合、霧化されて効
率よくエンジンへ供給されるので、エンジン気筒
間の混合気分配にも有利となり、エンジン出力を
向上させる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案による可変ベンチユリ気化器の実
施例を示し、第１図は縦断正面図、第２図はその
要部の縦断面図、第３図ないし第６図は吸入空気
量の変化に対するトラツプ・プレートの作用説明
図である。 ５……ベンチユリ部、７ｂ……燃料ノズル、７
ｅ……開口切欠き、１１……メータリング・ニー
ドル、１１ａ……ストツパ、２１……トラツプ・
プレート、２２……圧縮スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロート・チヤンバからダウン・ドラフト式の
   吸気通路のベンチユリ部に連通する燃料通路に設
   けられた燃料ジエツトと、内燃機関の負荷状態に
   応じてベンチユリ部を横切つて進退するサクシヨ
   ン・ピストンと、基部をサクシヨン・ピストン底
   部に取り付けられ、自由端部の移動により前記燃
   料ジエツトのジエツト部面積を制御するメータリ
   ング・ニードルとを有する内燃機関用可変ベンチ
   ユリ気化器であつて、前記燃料通路の開口端から
   ベンチユリ部内に突出し下方に向いた開口切欠き
   を有する燃料ノズルと、この燃料ノズルの開口端
   に対向しこれより大きい外径形状の平面を有し前
   記メータリング・ニードルに摺動可能に挿通され
   たトラツプ・プレートと、このトラツプ・プレー
   トとニードル基部との間に挿入され、トラツプ・
   プレートを低吸入空気量運転領域で燃料ノズルと
   接する位置に保持する圧縮スプリングとを設けた
   ことを特徴とする可変ベンチユリ気化器。