JPH0318079Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、薄肉片状の成形品を圧縮成形する場
合にも好適な粉末圧縮成形機に関する。

〔従来の技術〕

回転盤の臼取付け部に取付けられた臼内におい
て成形した成形品を、上記臼取付け部の上面に押
し出す場合にサンドイツチ方式を採用する回転式
粉末圧縮成形機が従来提供されている。

この方式は、上杵および下杵をこれらの間に成
形品を挟んだままで、同時かつ同量上昇させる方
式であり、その上昇は下杵を案内する押し上げ軌
道が担当する。この際において上杵はその上下動
を案内する上カムから外れていて自重、または上
記押し上げ軌道による押し上げ力よりも弱い力の
ばねの加圧作用で、成形品の挟持状態を保持する
ようになつている。

この種の方式は、自立性が良くない成形品、例
えば薄肉片状を呈する超鋼チツプなどを成形する
場合に採用され、以上のようにして押し出された
成形品はスクレーパではなく真空吸着式の取出し
装置で転倒させずに、回転盤外に取出されるよう
になつている。

そして、以上のようなサンドイツチ方式と真空
吸着式取出し装置とを用いる従来の成形機にあつ
て、上杵の上下動を案内する上カムは、これを支
持する固定の上フレームに対して複数の連結ねじ
を介して連結されているとともに、上カムと上フ
レームにわたつて複数の位置決め用のノツクピン
が設けられ、これらノツクピンと上記連結ねじと
によつて、上カムは移動不能に固定されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、同じ成形機であつても、圧縮成形の
際における下杵の高さ位置を、下側の加圧ローラ
の昇降により調節することで、高さが異なる成形
品の圧縮成形が可能となることは知られている。

そこで、上記のようにサンドイツチ方式でかつ
真空吸着により成形品を取出すものにおいて、高
さの異なる成形品を圧縮成形しようとした場合、
成形品の高さの変化に伴つて、回転盤の臼取付け
部上面に成形品全体の押し出しが完了する位置に
対して、成形品から上杵が離れる位置がずれる。
したがつて、成形品の押し出し完了位置と上記取
出し装置の真空吸着位置とがずれてしまい、成形
品が転倒してその自動取出しが困難となる。

このような事情から、従来の成形機は一品種の
専用機として実現されているのが普通であり、汎
用性に欠けるという問題があつた。

なお、従来の成形機において、高さが異なる成
形品を成形できるような対応策としては、臼取付
け部上面に押し出しを完了された時点に合せて上
杵を離すための補助カム部材を、上カムの上杵押
し上げカム面に重ねて取付ける場合がある。しか
し、このような対策は、上杵押し上げカム面に補
助カム部材の取付け用の加工を必要としたり、補
助カム部材を製作したりする手間が必要があり、
調整作業としては極めて面倒である。そればかり
でなく、上杵押し上げカム面に補助カム部材を重
ねる側でしか調整ができず、したがつて、成形品
の高さが大きくなる場合にしか対応できないとい
う問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、回転盤の臼取付け部に取付けられた
臼内において圧縮成形した成形品を、上杵および
下杵間に挟んだままで上記臼取付け部の上面に押
し出してから、上記下杵の高さ位置をそのままに
して上記上杵を上昇させると同時に、真空吸着式
取出し装置により上記成形品を上記回転盤外に取
出すようにした回転式粉末圧縮成形機において適
用される。そして、本考案は上記従来の問題点を
解決するために、上記上杵の上下動を案内する上
カムが取付けられる固定の上フレームにカム支持
部を設け、このカム支持部にその中心を中心点と
する円上に位置して円弧状をなす長孔を複数設け
るとともに、上面が上記カム支持部の下面に接触
する上記上カムに上記長孔と夫々対向するねじ孔
を複数設け、上記各長孔を夫々別々に挿通して上
記ねじ孔に螺合する複数の連結ねじを介して上記
上カムをその周方向に回動調節可能にして上記上
フレームに取付け固定したことを特徴とする。

〔作用〕 本考案によれば、上杵の上下動を案内する上カ
ムは上フレームに対して回動不能に固定されては
おらず、周方向に回動調節可能に設けられてい
る。そして、この上カムの回動調節は、複数の連
結ねじを緩めてから、これらのねじを上フレーム
の長孔の範囲で移動させて、再び連結ねじを締付
けることにより、容易に行なえる。なお、調節位
置での上カムの動き止めは、上記連結ねじの締結
力で上カム支持部の下面に対して上カムの上面が
圧接されるから、これら両面間での摩擦抵抗によ
つてなされ、したがつて、連結ねじの締付けによ
り上杵の上下動に伴う上カムの不用意な回動が防
止されることは勿論である。この上カムの周方向
に沿う回動は、高さが小さい成形品を成形する場
合には回転盤の回転方向前側に向けて行い、ま
た、高さが大きい成形品を成形する場合には回転
盤の回転方向後側に向けて行う。そして、このよ
うな上カムの回動調節により、成形品全体の押し
出し完了位置と上杵が成形品から離れる位置とを
確実に合致させることができ、真空吸着式取出し
装置の真空吸着による成形品の自動取出しを可能
とできる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図中１は固定の上フレーム、２は同じく固
定の下フレームで、これらは上下フレーム１，２
間にわたつて固定の中心軸３が取付けられてい
る。上フレーム１には加圧ローラ４が取付けられ
ているとともに、下フレーム２には加圧ローラ５
が上下に移動調節可能に取付けられている。

上フレーム１の下端部には円板状のカム支持部
６が設けられており、この支持部６の下面には上
カム７が、その周方向に回動調節可能に複数の連
結ねじ８を介して支持されている。つまり、カム
支持部６には円弧状をなす複数の長孔９が、上カ
ム支持部６の中心を中心点とする同心円上、例え
ば本実施例では同一円上に位置して設けられてい
るとともに、上カム７には上記長孔９と夫々対向
するねじ孔１０が複数設けられている。そして、
長孔９にはその上側から上記連結ねじ８が夫々挿
通され、これらのねじ８はねじ孔１０に螺合され
ており、その締付けによつて上カム７をカム支持
部６の下面に支持している。したがつて、カム支
持部６と上カム７と間には、上カム７の回動を妨
げるノツクピンは設けられていない。なお、上カ
ムの動き止めは、上記各連結ねじ８の締結力で上
カム支持部６の下面に対して上カム７の上面が圧
接されるから、これら両面間での摩擦抵抗によつ
てなされるものである。そのため、後述する上杵
２１の上下動に伴う上カム７の不用意な回動を防
止できることは勿論のこと、上記各連結ねじ８を
緩めることにより、上記圧接状態を消失させて上
記摩擦抵抗を減じ得るから、上カム支持部６に対
して上カム７を回動できる。また、上フレーム１
におけるカム支持部６の上方部は連結ねじ８を操
作するに十分な空間部が確保されている。上カム
７の周縁部にはカム部７ａが形成されているとと
もに、このカム部７ａにおける成形品の押し出し
位置には上杵押し上げカム面７ｂ（第２図参照）
が形成されている。

下フレーム２の上面には軌道支え１１が固定さ
れており、このホルダ１１には下杵案内部材が支
持されている。下杵案内部材は、低下器１４（第
１図参照）、この低下器に連なる重量調節軌道
（図示しない）、この調節軌道と上記加圧ローラ５
との間に設置された渡し軌道、成形品Ａの押し出
し位置において配置された押し上げ軌道１２（第
２図参照）、および上下に移動調節可能な渡し軌
道１３（第２図参照）等である。渡し軌道１３は
加圧ローラ５と押し上げ軌道１２との間に設けら
れている。押し上げ軌道１２の上面は、渡し軌道
１３側から序序に高くなる押し上げカム面１２ａ
と、このカム面１２ａの上端に連なる水平カム面
１２ｂとで形成されている。

また、上記上下フレーム１，２間には中心軸３
を中心にして回転される回転盤１７が設けられて
いる。なお、第１図中１８は夫々軸受メタルを示
しているとともに、回転盤１７はその外周面に設
けた歯車部１７ａに歯合する図示しない駆動歯車
を介して回転されるようになつている。そして、
回転盤１７の臼取付け部１７ｂには、中心軸３の
中心を中心点として描かれる同一円上に位置し
て、等間隔毎に多数の臼１９が取付けられてい
る。さらに、回転盤１７に設けた上杵案内孔２０
には、下端部が臼１９に挿脱される上杵２１が上
下方向に沿つて摺動自在に取付けられている。こ
れらの上杵２１は上部側面にロール２１ａを有し
ており、このロール２１ａを上記上カム７のカム
部７ａに転接させることによつて上下動されるよ
うになつている。しかも、回転盤１７に設けた下
杵案内孔２２には、上端部が臼１９に挿入された
下杵２３が上下方向に摺動自在に取付けられてお
り、この下杵２３はその下部側面に取付けたロー
ル２３ａまたは下端面を上記下杵案内部材に転接
または摺動させることによつて上下動されるよう
になつている。なお、第２図中１５は粉末供給器
を示している。

上記臼１９および上下杵２１，２３により成形
される成形品Ａは自立性が良くない製品、例えば
第３図に示すような将棋のこま状をなす五角形の
薄肉片状の超鋼チツプで、このような成形品Ａの
全体は、下杵２３が上記押し上げ軌道１２の押し
上げカム面１２ａと水平カム面１２ｂとの境界部
分に達した際に、丁度臼取付け部１７ａの上面に
押し上げられるようになつている。

そして、この押し上げが完了する位置には真空
吸着式の取出し装置２４が配置されている。この
取出し装置２４は第４図に示すように、例えば上
記回転盤１７の回転に同期して回転駆動される転
送体２５と、この転送体２５の周面に開口する吸
着口を有して上記転送体２５の回転の途中で臼取
付け部１７ａの上面に押し出された成形品Ａに上
記吸着口を近接対向する吸着通路２６と、上記転
送体２５を回転自在に支承する固定軸２７と、こ
の固定軸２７内に形成された吸気通路２８と、こ
の通路２８に負圧を及ぼす真空排気機器２９と、
上記固定軸２７の周壁に形成され上記吸気通路２
８を吸着通路２６に連通させて吸着口が成形品に
対向する位置に転送体２５が回転した際に上記成
形品Ａを負圧により上記吸着口に吸着させ、かつ
転送体２５が成形品Ａの搬出位置に回転した際に
おいて吸着通路２６に対する連通を遮断して負圧
を解除させる連通孔３０とを備えて形成されてい
る。なお、第４図中３１は搬出位置に設けられた
搬出手段である。

上記構成の成形機は第２図中イの圧縮成形位置
で示すように、上下の加圧ロール４，５間を上下
杵２１，２３が通過する際に、これら上下杵２
１，２３を互いに接近するように軸線方向に移動
させる。これにより臼１９内に取込まれた粉末が
圧縮されて、第５図に示すような成形品Ａが形成
される。

この成形後、第２図中ロの位置で示すように、
下杵２３は渡し軌道１３に案内されて押し上げ軌
道１２の押し上げカム面１２ａに至り、このカム
面１２ａに沿つて押し上げられる。一方、上杵２
１のロール２１ａは上カム７のカム部７ａより上
方に離れており、したがつて、上杵２１は上記下
杵２３の押し上げ力により成形品Ａとともに押し
上げられる。つまり、成形品Ａは上下杵２１，２
３に挟まれたままで押し上げられるものである。

そして、第２図中ハの位置で示すように、下杵
２３が押し上げ軌道１２の押し上げカム面１２ａ
と水平カム面１２ｂとの境界部に至つた時点で、
成形品Ａ全体が回転盤１７の臼取付け部１７ａ上
面に押し出される。同時に上杵２１のロール２１
ａが上カム７の上杵押し上げカム面７ｂに当接す
る。そして、この時点以降、下杵２１は水平カム
面１２ｂを摺動して、その高さ位置が変化するこ
とはないが、上杵２１は上カム７の上杵押し上げ
カム面７ｂに沿つて上昇して、成形品Ａから離さ
れる。一方、真空式取出し装置２４の転送盤２５
の回転により、その吸着通路２６の吸着口は第２
図中ハの時点にタイミングを丁度合せて、臼取付
け部１７ａの上面に全体が押し出された成形品Ａ
に近接対向して、この成形品Ａを吸着する。

したがつて、この吸着と同時またはその直後に
上杵２１が形成品Ａから離れるとともに、成形品
Ａは転送盤２５の回転により回転盤１７外に自動
的に取出されるものである。

なお、その後は、第２図中ニの位置で示す状態
を経て、そのまま粉末供給器１５が設置されてい
る粉末供給位置に至り、次の成形を開始する。

ところで、以上の動作説明において成形される
成形品Ａの高さをＨとし、これよりも高さｈが小
さい成形品を成形する場合には、下側の加圧ロー
ラ５および渡し軌道１３を第２図中二点鎖線で示
すように上昇させる公知の調整を行い、かつ上カ
ム７をその周方向に回動調節することによつて対
応できる。上カム７の回動調節は、複数の連結ね
じ８を緩めてから、これらのねじ８を上フレーム
１の長孔９の範囲で移動させて、再び連結ねじ８
を締付けることにより、容易に行なえる。

このような上カム７の回動調節により第２図中
二点鎖線で示すように、上杵押し上げカム面７ｂ
は回転盤１７の回転方向（第２図中矢印で示す）
前側に変位される。なお、高さが大きい成形品を
成形する場合には回転盤の回転方向後側に向け
て、上カム７を回動調節すればよい。

そして、以上の回動調節により、上記高さＨ，
ｈの差ｌにもとずいて第２図中ロ，ハの位置で示
すように、上杵２１の高さ位置が上記寸法ｌ分だ
け下がるにも拘らず、それに対応して上カム７の
回動調節により、その上カム押し上げカム面７ｂ
の高さ位置が第２図中二点鎖線に示すように下げ
られているので、第２図中ハに示す位置、つまり
成形品Ａ全体の押し出し完了位置から上杵２１を
上カム７で押し上げることができ、それ以前にお
いて上カム７が成形品Ａから離されることがな
い。

つまり、以上のようにして成形品Ａ全体の押し
出し完了位置（なお、この位置は固定であり、そ
れに合せて真空吸着式取出し装置２４が設置され
ていることは既述の通りである。）と、成形品Ａ
から上杵２１が離れる位置とを正確に合致させる
ことができるから、この位置と真空吸着式取出し
装置２４の真空吸着位置とがずれることが防止さ
れ、したがつて、成形品Ａを自動的に回転盤７外
に取出すことができる。

なお、上記一実施例は以上のように構成した
が、本考案の実施に当つては、考案の要旨に反し
ない限り、回転盤、臼取付け部、臼、上杵、下
杵、真空吸着式取出し装置、上フレーム、上カ
ム、長孔、連結ねじ等の具体的な構造、形状、位
置等は、上記一実施例に制約されることなく、
種々の態様に構成して実施できることは勿論であ
る。

〔考案の効果〕

上記実用新案登録請求の範囲に記載の構成を要
旨とする本考案によれば、成形品の高さに応じて
上カムを回転盤の回転方向の前側または後側に向
けて回動調節でき、それによつて、高さが異なる
成形品の成形において、成形品全体が回転盤の臼
取付け部上面に押し出される位置と成形品から上
杵が離れる位置とを、簡単な操作で確実に合致さ
せることができるから、この位置と真空吸着式取
出し装置との位置ずれを防止できる。このような
調整機能を備えることによつて、汎用性が高い回
転式粉末圧縮成形機を提供できるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は一部
の縦断側面図、第２図は杵を配列した円周面を縦
断してこれを平面に展開して示す作用説明図、第
３図は成形品の斜視図、第４図は真空吸着式取出
し装置の略平面図である。 １……上フレーム、６……上カム支持部、７…
…上カム、８……連結ねじ、９……長孔、１０…
…ねじ孔、１７……回転盤、１７ａ……臼取付け
部、１９……臼、２１……上杵、２３……下杵、
２４……取出し装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 回転盤の臼取付け部に取付けられた臼内におい
   て圧縮成形した成形品を、上杵および下杵間に挟
   んだままで上記臼取付け部の上面に押し出してか
   ら、上記下杵の高さ位置をそのままにして上記上
   杵を上昇させると同時に、真空吸着式取出し装置
   により上記成形品を上記回転盤外に取出すように
   した回転式粉末圧縮成形機において、 上記上杵の上下動を案内する上カムが支持され
   る固定の上フレームにカム支持部を設け、このカ
   ム支持部にその中心を中心点とする円上に位置し
   て円弧状をなす長孔を複数設けるとともに、上面
   が上記カム支持部の下面に接触する上記上カムに
   上記長孔と夫々対向するねじ孔を複数設け、上記
   各長孔を夫々別々に挿通して上記ねじ孔に螺合す
   る複数の連結ねじを介して上記上カムをその周方
   向に回動調節可能にして上記上フレームに取付け
   固定したことを特徴とする回転式粉末圧縮成形
   機。