JPH0318036Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は連続鋳造設備におけるダミーバー切離
装置に関する。

（従来技術） 連続鋳造機では、鋳造開始時の初期鋳片を受け
とめ、かつ該鋳片に引抜駆動力を与えるために、
ダミーバーが鋳片引抜通路内に挿入されるが、こ
のダミーバーは鋳片通路の適当な位置で鋳片から
切り離して通路外へ除去する必要がある。特に水
平部の長い連続鋳造機の場合は鋳片引抜通路の途
中位置でダミーバーの挿入、切り離し、および抜
き取りを行わなければならず、そのための装置と
して従来から種々のダミーバー装置が提案されて
いる。例えばロールセグメント全体を上下あるい
は左右に移動させることにより、ダミーバーを鋳
片先端から切り離し、下流側の鋳片搬送通路へ移
動させるようにした構造、あるいは上部のセグメ
ントフレームのみを旋回させてその間にダミーバ
ーの挿入、抜き取りを行うようにした構造等が知
られている。

（考案が解決しようとする問題点） 通常曲げ型の連続鋳造機では、鋳片通路の下部
セグメントは機床に固定されており、上部セグメ
ントがシリンダ装置等により下部セグメントに対
して上下調整可能に保持されるが、上述した従来
のダミーバー切離構造のうちセグメント全体を移
動させる構造のものは、下部セグメントが大きく
動くため、ダミーバー抜き取り後の鋳片のパスラ
インを元どおり正確に保持するのが難しく、鋳片
の厚み精度が得られない欠点がある。また上下対
となつて配列されたセグメントを１個所、ダミー
バーの挿入、抜き取り時に除去して、この位置に
巻取式のダミーバー切離装置を置き、ダミーバー
の切り離し、巻き取りを行うとともに、除去した
セグメントとの入れ替えを行うようにしたものも
あるが、これは入れ替え中の待機時間がかかり、
連続鋳造設備の稼動率を下げ、また前記と同様に
パスラインの保持、センタリングの作業が煩雑で
あるという問題がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係る連続鋳造設備のダミーバー切離装
置は、ダミーバーの切離位置に配置されかつ鋳片
通路の上流側の片端部を支点として該通路の下流
側の他端部が開閉する上部ロールセグメントと、
前記上部ロールセグメントに対向して配置されか
つ上下移動可能なダミーバー切離用下部ロールを
有する下部ロールセグメントと、前記上部ロール
セグメントの位置よりも鋳片通路下流側の上方に
配置されかつ先端が開状態での前記上部ロールセ
グメントと前記下部ロールセグメントとの間に出
入するように該鋳片通路に対して傾斜して伸縮す
るダミーバーテーブルとを有し、前記ダミーバー
テーブルは、該ダミーバーテーブルの先端が収縮
状態で前記鋳片通路の上流側へ旋回するように該
鋳片通路上方の横軸に軸支されかつ全体が該鋳片
通路の横方向へ横行するように保持されている。

（実施例） 次に、本考案を図面を参照しながら実施例につ
いて説明する。

第２図は、本考案を適用した連続鋳造設備の一
部分を破断して省略した全体側面図である。鋳型
１の下方に複数個のロールセグメント２が配置さ
れ、各々のロールセグメントは上部セグメント２
ａおよび下部セグメント２ｂが対となつて対峙
し、これらの上下部セグメントに軸支された複数
個のロール３により、鋳型１から流出した鋳片４
が挾圧され、冷却されつつ連続的に送り出され
る。最初の流出溶鋼の先端を受けとめかつ鋳片引
抜通路（パスライン）に沿つて案内するために鋳
片引抜通路の途中でダミーバー７が上下ロール間
に挿入される。ダミーバー７は鋳片引抜通路の所
定の位置で鋳片先端から切り離され、かつ通路外
へ抜き取られる。

第１図は、上述した連続鋳造設備に用いられる
本考案の実施例のダミーバー切離装置の拡大側面
図である。上部および下部セグメント２ａ，２ｂ
が対となつて鋳片通路に沿い複数個密接して配置
され、下部セグメント２ｂは図示しない機床に固
定され、上部セグメント２ａは、下部セグメント
２ｂとの間に設けられた調整用油圧シリンダ５に
よつて該下部セグメントとの間隔が調整される。
このような複数組のロールセグメントのうち、所
定位置にある１組のロールセグメント６は、他と
異なりダミーバー切離用セグメントとなつてい
る。ダミーバー切離用セグメント６の下部セグメ
ント６ｂの１個の切離用下部ロール８は、その支
持軸８ａが下部セグメントフレームに形成された
ガイド９に挿入され、該支持軸８ａ下端に取り付
けられたロール突上用油圧シリンダ１０により上
下に移動するようになつている。またダミーバー
切離用の上部セグメント６ａは、鋳片通路の上流
側端部に位置するロール１１の軸支点を支点とし
て全体が上方へ旋回し得るようになつている。こ
の上部セグメント６ａの旋回動を行わせるため
に、上部セグメント６ａとダミーバー切離用下部
セグメント６ｂのフレームまたはその支持機床と
の間に上部セグメント開閉用油圧シリンダ１２が
設けられている。

ダミーバーテーブル１３はダミーバー切離用セ
グメント６の間に出入し得るように旋回および伸
縮可能に設けられている。ダミーバーテーブル１
３内には多数のブロツク１４がリンク状にピン結
合されて収納され、その先端にダミーバー（ダミ
ーバーヘツド）７が枢着されている。ダミーバー
７の先端部７ａは、鋳片１５を引きずつていくよ
うにカギ形の形状に形成されている。

このような構成で、鋳造開始とともにダミーバ
ー切離用上部セグメント６ａが上部セグメント開
閉用油圧シリンダ１２によつて上方へ旋回して開
かれ、ダミーバーテーブル１３の先端が鋳片通路
の斜め上方から上部セグメント６ａと下部セグメ
ント６ｂとの間に伸長され、ダミーバー７がダミ
ーバーテーブル１３から押し出されて鋳片引抜通
路内へ送り込まれる（逆送）。そしてダミーバー
７の先端部７ａが鋳片１５を引きずりつつ下流側
へ移動してきてダミーバー切離用セグメント６の
位置、具体的には切離用下部ロール８の位置にき
たとき、ロール突上用油圧シリンダ１０の動作に
よりダミーバー切離用下部ロール８が上方へ突き
上げられ、これによつてダミーバー７が鋳片１５
から切り離される。ダミーバー７は直ちにダミー
バーテーブル１３内に収納されるとともに、切離
用下部ロール８は他のロール（下部ロール）と同
一高さ位置まで下降し、そのロール表面によりパ
スラインを保持する。ダミーバーテーブル１３は
鋳片通路の斜め上方（図の矢印方向）へ引き上げ
られ、切離用上部セグメント６ａは下降旋回し、
上側のパスラインを保持する。

上述の実施例で、ダミーバー切離用の上部セグ
メント６ａの旋回支持点を構成する上部ロール１
１の軸１６は、下部セグメント６ｂとの間に装着
された調整用油圧シリンダ５のピストンロツド先
端に枢着される。定常稼動時の上部および下部セ
グメント６ａ，６ｂの間隔は、前記調整用油圧シ
リンダ５および上部セグメント開閉用油圧シリン
ダ１２によつて調整されるが、上部セグメント６
ａの旋回開成時にも端部のロール１１の軸１６を
中心に旋回するので、該ロール１１と下部セグメ
ント６ｂの対向するロール１７との間隔Ａは調整
用油圧シリンダ５が動作しない限り不変である。
またダミーバーテーブル１３は先端部が前述のよ
うに伸縮するとももに、収縮状態で鋳片通路の上
方に横軸１８（第２図参照）を支点として鋳片通
路上流側へ向つて第２図の仮想線で示す如く旋回
しかつテーブル全体が鋳片通路の横方向にレール
１９に沿つて横行するように構成されているの
で、保守、点検等でダミーバーテーブル下のセグ
メントを取り替えたりする場合も容易に上方へ引
き出して取り替え作業を行うことができる。なお
下部セグメントは１個のロールのみが上下に可動
で全体は固定されているので、ダミーバー切り離
し後のパスラインのセンタリングはほとんど不要
である。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、下部セグ
メントのパスラインを一定に保持したまま、鋳片
引抜通路の途中でダミーバーを切り離してセグメ
ント外へ抜き出すことができ、またこのダミーバ
ーの切り離しおよびセグメント外への搬出を同一
セグメント位置で行うことができるので、この位
置のセグメントだけを改造すればよく、全体のセ
グメントの種類を少くできる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るダミーバー切離
装置の拡大側面図、第２図は本考案を適用した連
続鋳造設備の全体側面図である。 ５……調整用油圧シリンダ、６……ダミーバー
切離用セグメント、６ａ……切離用上部セグメン
ト、６ｂ……切離用下部セグメント、７……ダミ
ーバー、８……切離用下部ロール、９……ガイ
ド、１０……ロール突上用油圧シリンダ、１２…
…上部セグメント開閉用油圧シリンダ、１３……
ダミーバーテーブル、１５……鋳片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ダミーバーの切離位置に配置されかつ鋳片通路
   の上流側の片端部を支点として該通路の下流側の
   他端部が開閉する上部ロールセグメントと、前記
   上部ロールセグメントに対向して配置されかつ上
   下移動可能なダミーバー切離用下部ロールを有す
   る下部ロールセグメントと、前記上部ロールセグ
   メントの位置よりも鋳片通路下流側の上方に配置
   されかつ先端が開状態での前記上部ロールセグメ
   ントと前記下部ロールセグメントとの間に出入す
   るように該鋳片通路に対して傾斜して伸縮するダ
   ミーバーテーブルとを有し、前記ダミーバーテー
   ブルは、該ダミーバーテーブルの先端が収縮状態
   で前記鋳片通路の上流側へ旋回するように該鋳片
   通路上方の横軸に軸支されかつ全体が該鋳片通路
   の横方向へ横行するように保持されることを特徴
   とする連続鋳造設備のダミーバー切離装置。