JPH0317139Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、収納保持した食品をそのまま電子レ
ンジ等で加熱調理することのできる調理用食品収
納容器に関するものである。

〔従来の技術〕

高周波加熱装置、所謂電子レンジにあつては、
被加熱品に対する均一にしてムラのない加熱が要
求されており、この要求を充たすべく例えば内部
にスタラーフアンを設けて撹拌する構成とした
り、被加熱品に乗載させる部分をターンテーブル
として被加熱品を回転移動させ、誘電加熱する手
段が採られている。

しかしながら、このターンテーブルに被加熱品
を乗載させる構成にあつては、被加熱品の周方向
に沿つての加熱には均一性を発揮するものではあ
るけれども、径方向に沿つては加熱ムラが生じ、
中心部の加熱が確実に達成されない欠点があつ
た。

この点を解消するべく、実公昭57−029273号公
報の如く、ターンテーブルの回転パターンを変換
させて均一化を図る手段が考えられているが、タ
ーンテーブルの上に直接に乗載されている被加熱
品の底部の加熱が不充分なものとなると云う問題
が生じていた。

そこでさらには、実公昭58−023195号公報の如
き考案が提案されている。ここでは、ターンテー
ブルの中央に所定直径の孔を開孔し、上方からの
高周波の一部を被加熱品に照射することは勿論の
こと、他の一部をターンテーブルの孔を貫通させ
て電子レンジの底壁内面に反射させ、反射した高
周波を再度孔を貫通させて被加熱品の底部に照射
させ、加熱せんとするものである。

これらの従来の装置は、上述したような種々の
工夫を凝らすことにより、所期の問題点を或る程
度解決するものではあつたが、構成が複雑であ
り、従来の装置を改良して利用できる性質のもの
ではない、といつた多くの不都合、不経済があつ
た。

この点に鑑み、電子レンジで加熱調理する食品
を収納する容器自体に工夫を凝らすことも考えら
れる。

例えば実公昭51−2367号公報は、被加熱品を収
納する容器に改良を加える技術が開示されている
が、簡易な容器であるべき容器の構成が複雑とな
り、成形に手間のかかる欠点はまぬがれ得なかつ
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、上記した従来の欠点、不都合を解消
するべく考案された調理用食品を収納する電子レ
ンジを使用しての加熱調理に有利な調理用食品収
納容器であつて、電子レンジの構成を改良するも
のではなく、被加熱品を収納する容器内で電子レ
ンジの高周波を反射させることにより、加熱ムラ
を解消し、均一加熱が達成できるようにし、しか
も簡単かつ廉価に成形できるようにすることを目
的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

以下、本考案による調理用食品収納容器を、本
考案の実施例を示す図面を参照しながら説明す
る。

本考案の調理用食品収納容器１は、合成樹脂で
成形される有底筒体であつて、筒壁２の下端に、
内方に突出する形態で底壁３を連設し、この底壁
３の外表面に、電子レンジの高周波を容器１内に
反射させる金属皮膜４を配して、構成されてい
る。

容器１内に突出する底壁３の突出形態は、その
突出高さとか形状が限定されるものではないが、
この底壁３の外表面に配置された金属皮膜４が照
射される高周波を収納されている食品に向かつて
より有効に反射することができるように、できる
だけ大きな表面積を持つことができる形態に成形
されることが望ましい。

底壁３の外表面に設けられた金属皮膜４は、そ
の成形手段が限定されるものではなく、真空蒸着
を利用して成形しても良いし、例えばアルミ箔で
所定形状に予め成形されたものを底壁３に組付け
て構成したものであつても良い。

ただ、この金属皮膜４は金属性であるために、
食品衛生の観点から容器１内に収納された食品に
直接接触しないようにする必要があり、それゆえ
底壁３の外表面に設けられるものとしている。

〔作用〕

上記した構成にあつて、容器１を電子レンジ内
に収納して高周波をかけると、高周波は、容器１
の筒壁２を透過して容器１内の食物を誘電加熱す
るが、底壁３は容器１の内方に突出していて外表
面に金属皮膜４が配されているので、この金属皮
膜４によつて反射し、食物を再度誘電加熱するの
である（図面で矢印によつて示す）。

すなわち高周波は指向性が強いために食物に対
する照射は直線的であり、照射部分への誘電加熱
な確実に達成するものの非照射部分には有効な加
熱が行われず、ここに加熱ムラの原因があつたの
であるが、本考案では、反射させることによつて
食物の大部分に高周波を照射して加熱できること
になるので、加熱ムラを極力解消しエネルギーの
利用を最大限に生かすことができるのである。

このように、本考案容器１は、その底壁３外表
面に金属皮膜４を設けて照射された高周波を反射
するようにしているので、容器１内に収納された
食品に対して加熱調理を達成する高周波源が上下
２ケ所となることになり、これによつて食品全体
により均一に高周波を照射できるようになるので
ある。

この場合、金属皮膜４は底壁３の形状に従つて
容器１内に突出した形態で位置することになり、
このため金属皮膜４によつて反射される高周波の
反射方向は格一化されることがなく、もつて食品
のより均一な加熱を達成できると共に、突出した
形状により、より大きな面積で食品に対向できる
ので、この金属皮膜４で反射された高周波による
食品の加熱は極めて効率の良いものとなる。

〔実施例〕

第１図の実施例にあつて、筒壁２と底壁３とは
別途に合成樹脂によりインジエクシヨン成形さ
れ、底壁３は筒壁２下端に嵌め込み固定される
が、底壁３における中央部は、頂部５と筒部６と
による有頂筒形状に内方に屈曲突出しており、底
壁３の外表面である頂部５の下面と筒部６の内周
面とに前記金属皮膜４が配されている。

また、第２図の実施例では、底壁３を半球状に
内方に陥没成形して構成している。

さらに、第３図の実施例では、筒壁２と底壁３
を一体に真空成形して容器１を構成するものであ
り、真空成形前の合成樹脂製シートの段階で所定
部分に金属蒸着を施しておき、この金属蒸着部分
が底壁３部分となるように真空成形するのであ
る。

第１図および第３図図示実施例のように、底壁
３を円錐台形状に設定した場合、金属皮膜４によ
つて反射される高周波は、比較的その反射方向が
一定し、底壁３の上方に反射される傾向が強いも
のとなるため、加熱調理したい食品がこの底壁３
の頂板上方に位置するものの場合に有効であり、
これに対し第２図図示実施例のように底壁３が球
弧状になつている場合には、金属皮膜４によつて
反射される高周波はあらゆる方向にほぼ均一に反
射されることになるので、容器１内の食品全体を
均一加熱したい場合に有利である。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案の調理
用食品収納容器は、電子レンジに収納して調理し
た場合、均一な加熱が達成できるので、美味にし
て風味のある調理を成すことができ、電子レンジ
を機械的、電気的に改良するものではないので、
従来の電子レンジをそのまま使用することがで
き、構成が簡単であつて廉価な成形が容易である
等、多くの優れた作用効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の断面図である。第２図は他の
実施例を示す断面図である。第３図はさらに他の
実施例を示す断面図である。 符号の説明、１；容器、２；筒壁、３；底壁、
４；金属皮膜。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製有底筒体の筒壁下端に、内方に突出
   する形態で底壁を連設し、該底壁の外表面に、電
   子レンジの高周波を反射させる金属皮膜を配して
   成る調理用食品収納容器。