JPH0316538B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、円環状に形成された弾性体によつて
支持ささえ上に支承されている台座を有し、該台
座が運動方向に互に離間し且つ静止位置において
連動部材のカウンター・ストツパーからある距離
を有する２つのストツパーを具備し、連動部材は
膜内に固定されており、膜と支持ささえとが作動
空間を形成し、バランス空間が設けられ且つ作動
空間とバランス空間とが流体で満たされており、
そして絞り開口によつて連結されているような、
油圧緩衝式のエンジン・マウントに関するもので
ある。

従来の技術及び発明の解決しようとする問題点 そのような油圧緩衝式エンジン・マウントは、
米国特許明細書第2387066号から周知である。

その弾性体は直接作動空間は制限する。高い周
波数の振動が加わつた場合、それによつてマウン
トは力学的硬化を起しうることになり、従つて振
動が支持ささえ及び相接する機械部分へと伝達さ
れることになる。特に自動車においてはこの種の
振動はばたばた音を立てる振動として極めて障害
となる、目立つものである。

ストツパーとカウンター・ストツパーとは前に
述べた油圧マウントの場合流体で満たされた作動
空間の内部に配設されている。これらは比較的大
容量の流体を含んでおり、この大容量の流体はス
トツパーとカウンター・ストツパーとの間に相対
運動が起つた時には常に新たに加速されたり制動
されたりされねばならない。このことから相対運
動性に障害が加わる結果となる。そして生ずる騒
音は、所定の使用において障害のあるものと感じ
られうることになる。更に弾性体の輪郭変化、例
えば僅かな横剛性を達成するためのゴムにおける
場所的余裕を最大とする可能な緩衝を実質的に低
下させる結果となるという欠点がある。

本発明は、初めに述べた種の油圧緩衝式エンジ
ン・マウントを上述した欠点が最早生じないよう
に更に発展させるということに課題を置くもので
ある。エンジン・マウントは特に高い周波数の振
動を緩衝する時には力学的硬化から開放されるべ
きであり、そして低周波数の振動に対しては、妨
害となる騒音の発生を避けつつ良く緩衝するよう
にされるべきである。

問題点を解決するための手段 この課題は本発明によれば、特許請求の範囲の
第１項の特徴部分となる手段で解決されるもので
ある。特に有利な形状に実施態様項が関係する。

本発明により提案された態様のエンジン・マウ
ントにあつては弾性体、ストツパー及びカウンタ
ー・ストツパーが流体で満たされた空間の外側に
配設されており、且つ決してこれらの空間を制限
する壁部の構成部分を形成しないものである。流
体内に合成される圧力はそれ故最早これらの部分
には影響を及ぼさない。そして流体の柔軟さにさ
らされる応力は著しく減少されるものである。こ
れらの手段の全体によつて、緩衝メカニズムは、
振動が一定の振幅以下の場合には、弾性体を介し
て、流体が動かされることなく導かれるように達
成される。伝達の態様はこの場合にゴム特性及び
弾性体の形状付与によつて一義的に且つ単一に決
められるものである。今迄の態様のものにあつて
は、どのような周波数及び振幅の振動が起つた場
合にも、マウント内にある流体は常に一緒に動か
されねばならず、このことは力学的弾性剛性を高
め、従つて伝達特性の悪化へと導びいている。キ
ヤピテーシヨンの騒音が更に生じうるが、これは
障害のあるものとして感じられるものである。

比較的大きな振幅においてはストツパーとカウ
ンター・ストツパーとの間の離間をなくすること
により緩衝メカニズムの運動が惹き起され、そし
て所望の緩衝が発生することになる。弾性体と緩
衝メカニズムとの間の離間は、それが０から30ヘ
ルツの間の低周波数領域においてのみ消滅し、緩
衝を生じさせるように選定さるべきである。

ストツパーとカウンター・ストツパーとは空気
を抜いた空間内に目的に叶うように配設されてお
り、そして良好な相対運動が保証されるように形
成されるものである。相互の接触面の少くとも一
方は、それ故アーチ状又はレリーフ状に構成さる
べきものである。これによつて接触により行われ
る緩衝が好ましいものとなる。

弾性体の形状は決して緩衝メカニズムに何らの
影響をも持たないという長所がある。即ち弾性体
内には場所の余裕、個々の方向に一定の所望した
剛性を達成するための貫通孔さえ配設されうるも
のである。

開放路を形成する離間したストツパーとカウン
ター・ストツパーとの間には、非緩衝運動から緩
衝運動への移行を流動的に行なう緩衝層が配設さ
れうる。もしも緩衝層が軸方向に突出する弾性体
でできており、それらがストツパー及び／又はカ
ウンター・ストツパーと連結されている時にはよ
り有利なものとして効果を示す。

ストツパー及び／又はカウンター・ストツパー
は運動方向に平行に延びるガイド上に支承されう
るものであり、その際緩衝部材は摺動を制動する
ために設けられる。エンジン・マウントの負荷が
相異なる場合に生ずる台座の相異なる弾性はこれ
によつて補償され、それによつて提案された態様
でもつて達成される長所は負荷に無関係に常に存
在する。緩衝部材はエンジン・マウントの余分な
機能を妨害しなければ良い。それは特に有利な態
様のものによれば相互に押圧された摩擦板ででき
ており、それらの板は場合によつては円筒状に形
成されており且つ互に結束し合つている。

実施例及び作用 次に本発明の対象物を添付した図面に基づいて
以下に詳細に説明する。

第１図及び第２図による油圧緩衝式エンジン・
マウントは回転対称的な形状をしている。そのた
め空間を節約して自動車内に納めるものである。

エンジン・マウントは上方部分がスチール製の
回転部分によつて形成される台座１でできてい
る。これは支承すべきエンジンを固定するため表
面から垂直に入り込むねじ孔を含んでいる。下方
部分には運動方向に沿い円筒状のピンが突出し、
これは連動部材６に固定されたカウンター・スト
ツパー５を、運動方向に対して直角に延びるスト
ツパー４とある間隔を置いて取り囲むものであ
る。ストツパー４は溝の中に引掛り円形に形成さ
れたスチール製のデイスクによつて形成される。

台座１は中空円錐状に形成されたゴム製の弾性
体３によつて支持ささえ２と結合されている。支
持ささえは２つの部分に形成されており下方部分
において自動車シヤーシーに固定するために決め
られたねじピン１４を有する。液密なつばの付け
られた支持プレート１３を含んでいる。図中、支
持ささえの両側部分は、通して次の様な装置を包
含している。即ち大振幅の低周波振動を油圧力学
路で緩衝するようにする装置を包含している。

この装置として連動部材６が膜７に固定されて
おり、該膜は連動部材及び支持ささえと共同して
作動空間８を形成する。作動空間８は、絞り開口
１０によつて、バランス空間９と連結されてい
る。

バランス空間９は運動方向で作動空間８と弾性
体３との間に配設されており、そしてこの弾性体
からは、ガスで満たされた中空室１５によつて振
動技術的に絶縁されている。中空室１５は通例に
おいてはここに図示していない負荷除去開口によ
つて外気と連通しており、その結果台座１に弾性
が加わると中空室１５内には何ら圧力が合成され
得ないものである。弾性体３からはそれによつ
て、適当な力によつて常に負荷が取り除かれてい
る。弾性体３は各位置において自由に付勢される
ことが可能であり、後置され接続された緩衝メカ
ニズムの流体によつて何らの影響も受けけない。

同様に弾性体３は決して緩衝メカニズムに影響
を及ぼさない。即ちこの弾性体３の形状は任意に
変え得る。しかもそれによつて緩衝メカニズムに
何らの悪影響を生じさせないで変えられ得るもの
である。

例えばマウントの縦方向及び横方向に相異なる
ばね剛性が要求されるとした場合、これは部分的
な貫通孔又は切欠きを設ることによつて問題なく
達成されるものである。

作動空間８及びバランス空間９を連結する絞り
開口１０は螺施状を有し、そしてノズル挿入体１
６をその中でねじることによつてその状態及びそ
の断面が変えられ得るものである。両側の開口は
互に約180゜の角度で並置されており、それは２つ
のそれ相応に形成された絞り開口１０を周辺に分
配することに並びに２つの互に相並んだ作動空間
及びバランス空間を並置することを許すものであ
り、それらの空間は少くとも１つの絞り開口によ
つて連通されているものである。そうすることに
よつて、例えば流体がチヤンバーの左半分内から
右の半分の方へと移動される時水平方向にも緩衝
が存するように達成されるものである。

機能的には次のことが行われる。

高周波で小さな振幅の振動が加わると、全体の
相対運動は専ら弾性体３によつて吸収される。ス
トツパーとカウンター・ストツパーとの間には決
して運動伝達は行われない。振動はそれによつて
良好に絶縁されうるものである。

大きな振幅で小さな周波数の振動が加わるとス
トツパー４は連動部材６のカウンター・ストツパ
ー５に接するようになり、そして振動の伝達が膜
７に、従つて緩衝メカニズムに行われるようにな
る。

台座１に弾性が加わると、それによつて流体が
作動空間８から絞り開口１０を通つてバランス空
間９に押圧され、その際所望の緩衝が行われるよ
うになる。バランス空間９は弾性境界壁１１によ
つて密閉されている。付勢を取り除くとそれによ
つてバランス空間９内に含まれていた流体が、絞
り開口１０を通つて作動空間８に戻り供給される
ことになる。この場合にも適当な緩衝が行われ
る。

バランス空間９が作動空間８と弾性体３との間
に配設されているということは機能の本質にとつ
て重要なことではない。しかしそれ相当の並置は
特に費用に関して好都合な製造を可能にし且つ空
間を節約する構造を可能とする。これは従つて優
れたことである。他の配置にすることも直ちに可
能である。

第２図による態様のものは第１図によるそれと
実質的に対応するものである。ただ連動部材６だ
けが違つて形成されている。連動部材は内側に位
置し運動方向に延びるガイド面を含み、その上に
カウンター・ストツパー５を具備するアングルリ
ング１２が摩擦結合をして支承されている。例え
ば他の重さのエンジンを取り付ける際の如く台座
１に比較的強い負荷が加わるとアングルリング１
２は連動部材６のガイド面上運動方向にずれ、そ
して台座１の付勢に相当する位置に占めることに
なる。これは運転条件において常にこの位置を占
めるものである。

引続き生ずる機能は従つて第１図の態様の機能
と完全に対応する。第２図によるエンジン・マウ
ントの場合においても、ストツパー４とカウンタ
ー・ストツパー５との間に接触が起らないような
小さな振幅の高い周波数の振動は弾性体３の簡単
な弾性によつて吸収されそして絶縁される。比較
的大きな振幅の振動が起つて初めてストツパーと
カウンター・ストツパーとの間に接触が起るよう
になる。これらは前記実施態様に相当した油圧的
に作用する緩衝装置が活動するという結果とな
る。カウンター・ストツパー５は両方の場合にゴ
ム製の層を備え、而してストツパー４によつて接
触する時、騒音の発生が抑圧されることになる。

第３図は第１図のエンジン・マウントをバラン
ス空間９を通つて垂直に切つた断面図で示したも
のである。この空間は弾性的隔壁１９によつて２
つの同じ大きさの部分空間に分割されている。こ
れらの部分空間は隔壁１９を貫通する絞り開口１
０′を通して連通し、連動部材６は図示していな
い機械部分を介して同じく図示していない台座１
と連結されている。隔壁の延びに対して横方向の
この中に導入された振動は従つて連動部材６に伝
達される。これらは運動方向と反対に絞り開口を
通して流体を排除するように導びくものである。
対応する振動の緩衝はこれによつて順次起る。こ
の緩衝は垂直方向に振動が加わつた場合エンジ
ン・マウントの前記した機能に何らの影響もな
い。大きあ振幅、緩衝はこの場合にバランス空間
と作動空間を共通して取り囲む且つ連通する絞り
開口を越えて緩衝流体の過剰流によつて行われる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はバランス空間が作動空間と弾性体との
間に配設されており、且つカウンター・ストツパ
ーを連動部材にしつかりと固定しているエンジ
ン・マウントと示す断面図、第２図はカウンタ
ー・ストツパーが運動方向で連動部材上摺動可能
に支承されている第１図に相当する実施態様を示
す断面図、第３図は第１図によるエンジン・マウ
ントをバランス空間を通して横に切断した横断面
図を示すものである。 １……台座、２……支持ささえ、３……弾性
体、４……ストツパー、５……カウンター・スト
ツパー、６……連働部材、７……膜、８……作動
空間、９……バランス空間、１０……絞り開口、
１１……境界壁、１２……アングルリング、１３
……支持プレート、１４……ねじピン、１５……
中空室、１９……隔壁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 振動を緩衝するための油圧緩衝式エンジン・
   マウントであつて、該マウントで支承すべき物体
   と該マウントの支持体との間に該マウントを配設
   するための台座１及び支持部材２，１３と、導入
   される振動による運動に対処すべく前記台座と前
   記支持部材の間を連結する円環状に形成された弾
   性体３と、前記弾性体と前記支持部材の間に配置
   され、バランス空間９を形成すると共に前記支持
   部材との間に作動空間８を形成すべく前記支持部
   材に対して結合された膜部材７，１１と、前記作
   動空間と前記バランス空間が流体で満たされ且つ
   絞り開口１０によつて連結されていることと、前
   記台座に備えられ前記振動による運動の方向に互
   いに離間している二つのストツパー４と、連動部
   材６を介して前記膜部材に設けられており静止位
   置において前記二つのストツパーの間に配置され
   るカウンター・ストツパー５とからなり、前記弾
   性体３、前記二つのストツパー４及び前記カウン
   ター・ストツパー５が流体で満たされた空間８，
   ９，１０の外側に配設されており、これらを制限
   しないことを特徴とするエンジン・マウント。 ２ 前記ストツパー４とカウンター・ストツパー
   ５との間に緩衝層が配設されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項に記載のエンジン・マ
   ウント。 ３ 前記緩衝層が軸方向に突出する弾性体から出
   来ており、これらがストツパー及び／又はカウン
   ター・ストツパーと結合されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第２項に記載のエンジン・マ
   ウント。 ４ ストツパー及び／又はカウンター・ストツパ
   ーが運動方向に対して平行に延びる連動部材６の
   ガイド上に支承されており且つ摺動を抑制するた
   めの緩衝部材が設けられていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項から第３項のうちのいずれ
   かに記載のエンジン・マウント。 ５ 前記緩衝部材が互いに押圧される摩擦プレー
   トで出来ていることを特徴とする特許請求の範囲
   第４項に記載のエンジン・マウント。 ６ 作動空間８及び／又はバランス空間がそれぞ
   れ少なくとも１枚の隔壁によつて分割されてお
   り、且つ隔壁の両側を境界づける部分空間は少な
   くとも１つの絞り開口によつて連結されているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載のエ
   ンジン・マウント。