JPH0313565Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、気化器を備えたエンジンにおける蒸
発燃料処理装置に関するものである。

〔従来技術〕

従来より、第２図に示すように、エンジンの気
化器１のフロート室２の上部に連通するインナベ
ント３とアウタベント４とを設け、インナベント
３は吸気通路５のベンチユリ部６の上流側に連通
する一方、アウタベント３は蒸発燃料通路７を介
してキヤニスタ８のパージ室８ａに連通し、エン
ジン停止時には、ベント切換弁９により、インナ
ベント３を閉じてアウタベント４を開き、エンジ
ン停止後のエンジン雰囲気温度の上昇に伴なつて
発生するフロート室２内の蒸発燃料を、キヤニス
タ８内の吸着エレメント８ｂにより吸着するよう
にした気化器付エンジンの蒸発燃料処理装置は知
られている（実公昭47−42721号公報参照）。

この種の蒸発燃料処理装置として、キヤニスタ
８のケーシング８ｃに一体的に設けたダイヤフラ
ム作動のパージコントロール弁１０を備えてお
り、エンジンの運転時には、スロツトル弁１１下
流の吸気負圧を負圧通路１２によつてパージコン
トロール弁１０に作用させてパージ室８ａと吸気
通路５とを連通するパージ通路１３を開き、キヤ
ニスタ８に吸着された蒸発燃料を吸気通路５にパ
ージさせるようにしたものが従来より知られてい
る。

なお、第２図において、１４は燃料タンク（図
示せず）の蒸発燃料をキヤニスタ８に導く蒸発燃
料通路である。

ところで、上記の蒸発燃料処理系において、エ
ンジンの始動にともなつてアウタベント４がベン
ト切換弁（開閉弁）９により閉じられるので、蒸
発燃料通路７内の蒸発燃料はパージされず、一部
が液化されることがある。上記の蒸発燃料通路７
には、接続に便利であるため通常アウタベントホ
ースと呼ばれるゴム製ホースが用いられており、
ゴム製ホースは中間がある程度ためむので、上記
のように液化した燃料は、たわんだ部分に溜まる
ことになり、運転、停止を繰返すうちに、燃料で
蒸発燃料通路７が液シールされ、また該通路７を
形成するゴム製ホースが溜つた液体燃料で膨潤し
て劣化し、極端な場合には目詰りを発生する。か
かる液シールや目詰りが発生すると、エンジン停
止後のエンジン雰囲気温度の上昇に伴なつて発生
する蒸発燃料がキヤニスタ８側に抜けなくなり、
フロート室２の内圧を上昇させて、気化器１から
吸気通路５に燃料が流出してしまうといつた問題
を惹起する。

〔考案の目的〕

本考案は、上記従来の構造では、エンジンの運
転中はフロート室とキヤニスタとを連通する蒸発
燃料通路のフロート室側が開閉弁で閉じられ、蒸
発燃料通路が完全なデツドスペースとなつて蒸発
燃料が溜つてしまうことに着目してなされたもの
であつて、蒸発燃料通路としてゴム製のアウタベ
ントホースを用いても液シールや目詰りを発生す
ることがない構造を備えた気化器付エンジンの蒸
発燃料処理装置を提供せんとするものである。

〔考案の構成〕

このため、本考案は、エンジン停止時開閉弁に
よつて開かれる気化器のフロート室とキヤニスタ
とを連通する蒸発燃料通路のフロート室側の部分
を金属製通路部として形成し、残りの通路部分を
ゴム製ホースとする一方、上記金属製通路部に、
一端をスロツトル弁下流の吸気通路に連結したパ
ージ通路を連結するとともに、エンジン停止時に
はスロツトル弁下流の吸気通路と金属製通路部と
の連通を遮断する一方、エンジン運転時にはエン
ジンの運転状態に応じて両者を連通させてスロツ
トル弁下流の吸気負圧を上記金属製通路部に作用
させる開閉弁を設けて構成したものである。

〔考案の効果〕

本考案によれば、エンジンの停止時に気化器フ
ロート室の蒸発燃料をキヤニスタに導くアウタベ
ントホースが、エンジンの運転時にはパージ通路
の一部となるので、エンジン停止時にアウタベン
トホース内にこもつた蒸発燃料がエンジンの運転
開始にともなつて確実にパージされ、液体燃料が
アウタベントホース内に溜まることがなくなり、
また、万一液体燃料がアウタベントホースのたわ
み部に溜まつたとしても、パージ時の高い吸気負
圧によつて吸い出されるようになり、アウタベン
トホース内での液シールやアウタベントホースの
劣化を招来することはない。

また、パージ通路との連結部は金属製の通路部
としたので、この通路部に液体燃料が多少残留し
ても燃料に対して金属は安定なので、この部分で
の劣化を生ずることもない。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図を参照して具体
的に説明する。

なお、以下の説明において、第２図のものと同
一のものには同一の参照番号を用いる。

第１図に示すように、本実施例では、気化器１
のフロート室２に連通するアウタベント４に対し
て、金属製（例えばSUS）の比較的短尺の連結
通路部材１５を設け、この連結通路部材１５の一
端をアウタベント４に例えばネジ結合によつて結
合する一方、他端にはキヤニスタ８に連通するゴ
ム製のアウタベントホース１６の一端を連結す
る。上記金属製連結通路部材１５の途中には、一
端がスロツトル弁１１下流の吸気通路５に連通す
るパージ通路１７との連結部１５ａが設けられ、
この連結部１５ａに取付けたパージコントロール
弁１８を介して、上記パージ通路１７の他端を連
結部１５ａに連結している。このパージコントロ
ール弁１８の負圧室１８ａは、全閉位置にあるス
ロツトル弁１１より僅か上流に開口する負圧通路
１２に連通され、エンジンの運転開始に伴なつて
スロツトル弁１１が僅かに開かれると、強い吸気
負圧がパージコントロール弁１８の負圧室１８ａ
に作用し、コイルスプリング１８ｂのバネ力に抗
して、パージコントロール弁１８が開作動される
周知の構造を有している。

上記の構造において、作用を説明すると、ま
ず、イグニツシヨンスイツチI_g−SWがオフされ
たエンジンの停止時には、インナベント３がベン
ト切換弁（開閉弁）９によつて閉じられ、アウタ
ベント４が開かれる。なお、エンジンの停止時に
は、スロツトル弁１１が全閉されるので、パージ
コントロール弁１８は閉作動される。このため、
エンジンの停止後のエンジンの放熱に伴なう温度
上昇によつて発生する気化器１のフロート室２内
の蒸発燃料は、アウタベント４、連結通路部材１
５、アウタベントホース１６の経路でキヤニスタ
８のパージ室８ａに導かれ、キヤニスタ８の吸着
エレメント８ｂによつて吸着され、外部に放出さ
れることはない。

次に、イグニツシヨンスイツチI_g−SWをオン
して、エンジンの運転を開始すると、ベント切換
弁９がバツテリＢに接続されて、今度はアウタベ
ント４を閉じインナベント３を開く。また、スロ
ツトル弁１１が低開度に開かれると、スロツトル
弁１１下流の吸気負圧がパージコントロール弁１
８に作用してパージコントロール弁１８が開作動
される。したがつて、キヤニスタ８に吸着されて
いた燃料は、スロツトル弁１１下流の高い吸気負
圧によりアウタベントホース１６、連結通路部材
１５、開作動されたパージコントロール弁１８、
パージ通路１７の径路で、吸引され、スロツトル
弁１１下流の吸気通路５にパージされる。

このため、アウタベントホース１６の内部に滞
溜していた蒸発燃料は、このパージ作用によつて
確実に一掃され、たまたま、アウタベントホース
１６のたわみ部に液体燃料が溜つたとしても、液
体燃料はエンジンの運転開始時の強い吸気負圧に
よつて強制的に吸引されるので、溜まり続けると
いつたことがなく、したがつてアウタベントホー
スの劣化を生ずることがなく、またアウタベント
ホースの目詰りを生ずることはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例にかかる気化器付エン
ジンの蒸発燃料処理装置の概略説明図、第２図は
従来の装置の概略説明図である。 １……気化器、２……フロート室、３……イン
ナベント、４……アウタベント、８……キヤニス
タ、９……ベント切換弁、１１……スロツトル
弁、１５……連結通路部材、１６……アウタベン
トホース、１７……パージ通路、１８……パージ
コントロール弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン停止時にはフロート室をゴム製のホー
   スを介してキヤニスタに連通するとともに該フロ
   ート室とエアベントとの連通を遮断する一方、エ
   ンジン運転時にはフロート室とキヤニスタとの連
   通を遮断するとともにフロート室とエアベントと
   を連通する開閉弁を備えた気化器付エンジンにお
   いて、一端をスロツトル弁下流の吸気通路に連結
   したパージ通路の他端を、開閉弁と上記ホースと
   の間の通路であつて気化器本体もしくは該本体と
   一体的に設けた金属製通路部に連結するととも
   に、エンジン停止時には上記スロツトル弁下流の
   吸気通路と金属製通路部との連通を遮断する一
   方、エンジン運転時にはエンジンの運転状態に応
   じて両者を連通させてスロツトル弁下流の吸気負
   圧を上記金属製通路部に作用させる開閉弁を設け
   たことを特徴とする気化器付エンジンの蒸発燃料
   処理装置。