JPH0312981Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイスクロータ（以下ブレーキデイス
クと称する）特にベンチレーテツド型のブレーキ
デイスクに関するものである。

従来の技術 従来のベンチレーテツドブレーキデイスクとし
ては、第３図、第４図に如きデイスクロータ１５
にあつては、ブレーキデイスク部２０のデイスク
１６，１７間に放射状の長リブ１９，１９が形成
され、該長リブ１９，１９の間が放射状のスロツ
ト１８，１８として冷却用の空気通路とされてい
る。また第５図、第６図に示す如き別の従来例の
デイスクロータ２５にあつては、ブレーキデイス
ク部３０のデイスク２６，２７間に数多くの円柱
状の丸リブ２９，２９が千鳥状に形成され、該丸
リブ２９，２９の間が冷却用の空気通路たるスロ
ツト２８，２８とされている。

ブレーキデイスクは、自動車等の高速回転する
車輪にそれぞれ取付けられ、高度のバランスを必
要とするため、仕上加工されたブレーキデイスク
は測定機によりアンバランス量が検査され、測定
の結果検出アンバランス量が予め定められた規格
内にあるブレーキデイスクはそのまま出荷され
る。規格を外れたブレーキデイスクに対しては、
アンバランスの重い位置を錐もみ削り取り加工等
を行つて釣合をはかつたり、逆に軽い位置に各種
のバランスウエイトを付加固着して釣合をはかつ
たりして、ブレーキデイスクのアンバランスが規
格の範囲内に収まつたものを出荷していた。

前述の、第３図、第４図に示す、従来のブレー
キデイスクのアンバランスの修正のため、バラン
スウエイトを付加固着する手段の例としては、第
３図に示す如く、Ｘ字状に両端が拡張可能でかし
め易い金属製薄板で成形されたバランスウエイト
２１をスロツト１８中に挿入し、前記バランスウ
エイト２１の中心寄端を、かしめ装置に固定され
ている硬い受け駒２２の先端に当接し、前記バラ
ンスウエイト２１の外端に外方からプツシヤ２３
を当接し、該プツシヤ２３を、連設されている流
体圧シリンダ２４に印加される流体圧により前記
バランスウエイト２１の外端に圧着し、前記バラ
ンスウエイト２１をスロツト１８内にかしめ固着
せしめる。

かくしてデイスクロータ１５のバランスを規格
内に収める。

考案が解決しようとする課題 前述の第３図、第４図に示す如き長リブ１９が
形成されているデイスクロータ１５にあつては、
車輌のブレーキ制動時にブレーキシユーまたはデ
イスクパツドと摺接するデイスク１６，１７に高
熱を発生し、熱膨張するが、前記長リブ１９に近
接するデイスク１６，１７の部分は長リブ１９に
制約されて熱膨張量が少なく、スロツト１８に該
当するデイスク１６，１７の部分は熱膨張量が大
となり、そのためより凹陥する長リブ１９に近接
するデイスク１６，１７の部分へのブレーキシユ
ー等の圧接力が弱まり、相対的により凸出するス
ロツト１８に該当するデイスク１６，１７の部分
に対するブレーキシユー等の圧接力が強くなる。

前述の通りブレーキシユー等のデイスク１６，
１７への圧接力が強くなる部分が長リブ１９と平
行するスロツト１８部分に生起しするため、長リ
ブ１９に沿う一直線の部分に熱応力および圧接に
よる応力が集中し、該部分にクラツクが発生し易
くなる欠点がある。

前述の長リブ１９に沿う一直線の部分にクラツ
クが発生するのを防止するため、長リブ１９に代
え、第５図、第６図に示す如く、デイスクロータ
２５のブレーキデイスク部３０にあつてはデイス
ク２６，２７間を継ぐため千鳥状に多数の丸リブ
２９，２９と配列しスロツト２８も直線状となら
ない構成としたものが案出された。

前記デイスクロータ２５にあつては、アンバラ
ンスが生じた場合、第３図、第４図に示す如き長
リブ１９を有するデイスクロータ１５と異なり、
アンバランスの軽い位置にバランスウエイト２１
を挿入することが困難であり、アンバランスの重
い位置の削り取り加工を行うアンバランス訂正手
段のみが行われるが、前記削り取り加工では、一
挙に必要量の削り取り加工を行い難い場合があ
り、削り取り加工の度毎に、測定機にかけてアン
バランス量の測定を行う必要があり、デイスクロ
ータ２５を、削り取り加工の工作機械と測定機と
の間を往復せしめる必要を生じ、アンバランス解
消までに時間がかかる欠点があり、また前記デイ
スクロータ２５にバランスウエイトを取付けてア
ンバランス解消せんとする場合にはバランスウエ
イト取付面の機械加工や、ボルトによる取付を行
うためにはボルト孔加工等を必要とし、加工工作
時間を要するため、デイスクロータの生産性を阻
害する欠点があつた。

前述のバランスウエイトのボルト取付に代え、
接着取付や溶着取付を行う場合でも、デイスクロ
ータの取付面の加工が必要であることに変りはな
い。

課題を解決するための手段 本考案は前述の諸課題を解決する構成のデイス
クロータを得たものである。即ち、 フランジの側縁に円盤状のブレーキデイスク部
が突設され、該ブレーキデイスク部は相対峙する
２枚のデイスクの間に冷却空気通路であるスロツ
トが形成されてなるベンチレーテツドデイスクロ
ータにおいて、前記２枚のデイスク間を連結する
リブが、前記デイスクの外縁寄りに放射方向に、
かつ円周方向において少なくとも２列に交互に千
鳥状に配列形成される断面長円状の半径方向に長
い長リブと、前記デイスクの軸心寄りに円周方向
において千鳥状に配列される断面円形の丸リブと
よりなり、前記各リブの間が冷却空気路とされて
いる構成のデイスクロータにより前述の諸課題を
解決し得たものである。

作 用 本考案のデイスクロータにあつては、ブレーキ
デイスク部のデイスク間のリブを、従来例の外縁
寄りから内縁寄りまで一体の放射状の長リブに代
え、外縁寄りに交互に千鳥状に配列する短い長リ
ブとし、軸心寄りに千鳥状に配列された丸リブと
することにより、制動時にブレーキシユーやデイ
スクパツドと摺接する際にブレーキデイスク部に
生起する熱応力や圧接応力の一直線状の集中を防
止し、分散せしめることができ、またアンバラン
スの場合、第１図に示す如く、バランスウエイト
の挿入、かしめが可能となり、且つ、かしめ加工
に際し、軸心寄りの長リブを利用することにより
かしめ装置の受け軸の装着を不要としかしめ作業
時間の短縮も可能となり、且つブレーキ制動発熱
時の放熱効果を高めることができる。

従つてクラツク発生の危険性が低減出来、アン
バランス量の修正も錐もみ削り取り加工等を行わ
ずにバランスウエイトを容易に挿入でき、アンバ
ランス量が微少でも極めて容易に修正され、然も
短時間に終了し得る。

実施例 以下本考案の構成を、第１図、第２図に示す実
施例により説明する。

フランジ５の側縁に円盤状のブレーキデイスク
部１３が突設され、該ブレーキデイスク部１３
は、相対峙する２枚のデイスク６．７の間に冷却
空気路であるスロツト８が形成されてなるベンチ
レーテツドデイスクロータであつて、前記２枚の
デイスク６，７間を連結するリブが、前記デイス
ク６，７の外縁寄りに放射方向に、かつ円周方向
において少なくとも２列に交互に千鳥状に配列形
成される断面長円状の長リブ９，１０と、前記デ
イスク６，７の軸心寄りに円周方向において千鳥
状に配列される断面円形の丸リブ１１，１１とよ
りなり、前記各リブ９，１０，１１の間が冷却空
気路であるスロツト８とされている。

前記フランジ５には、軸心に中央孔４が穿設さ
れ、その周辺に取付孔２，２が穿設され、また取
外し用のタツプ孔３が穿設されている。

図示例では前記長リブ９はデイスク６，７の外
縁寄りに、長リブ１０は前記長リブ９，９の中間
に一段と軸寄りに下つて設けられている。

アンバランス量の修正に際しては、第１図に示
す如く、従来例同様に長リブ９，９の間にバラン
スウエイト１２を挿入し、第３図に示す如きプツ
シヤ２３を有するかしめ装置により、前記バラン
スウエイト１２を圧入し、長リブ１０を、前記従
来例の受け駒２２に代えて、かしめ作用の受駒に
利用する。

バランスウエイト１２が装着されたデイスクロ
ータ１を測定機に取付けアンバランス量を測定
し、規格内のものを出荷する。

バランスウエイトは、デイスクロータ１のアン
バランス量に対応して数種類のものを予め準備し
ておく。

考案の効果 本考案は、実用新案登録請求の範囲に記載した
構成をなすものであるから、ブレーキ制動時にお
ける発熱に対して通風性が良好で放熱効果も大き
く、熱膨張も均一化され、従つて応力集中による
クラツク発生の危険性も低減される。

また、アンバランス量修正に際し、バランスウ
エイトを取付ける従来技術のものを用い、かしめ
装置およびバランスウエイトを一部改良すること
により使用可能となり、切削加工を用いることな
く、微細なアンバランス量の調整が迅速に可能と
なり、ベンチレーテツドデイスクロータの生産性
向上に役立つ諸効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例を示す第２図中−線断面
図、第２図は同上、第１図中−線断面図、第
３図は従来例を示す第４図中−線断面図、第
４図は同上、第３図中−線断面図、第５図は
別の従来例を示す第６図中−線断面図、第６
図は同上、第５図中−線断面図である。 １……デイスクロータ、５……フランジ、６，
７……デイスク、８……スロツト、９，１０……
長リブ、１１……丸リブ、１３……ブレーキデイ
スク部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フランジの側縁に円盤状のブレーキデイスク部
   が突設され、該ブレーキデイスク部は相対峙する
   ２枚のデイスクの間に冷却空気路であるスロツト
   が形成されてなるベンチレーテツドデイスクロー
   タにおいて、前記２枚のデイスク間を連結するリ
   ブが、前記デイスクの外縁寄りに放射方向に、か
   つ円周方向において少くとも２列に交互に千鳥状
   に配列形成される断面長円状の長リブと、前記デ
   イスクの軸心寄りに円周方向において千鳥状に配
   列される断面円形の丸リブとよりなり、前記各リ
   ブの間が冷却空気路とされていることを特徴とす
   るベンチレーテツドデイスクロータ。