JPH0312818Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は軟弱地盤の不等沈下防止や盛士法面の
崩壊防止のために使用される敷網に着用してその
網目間の伸張を防止する金具に関するものであ
る。

（従来技術とその問題点） 従来から、軟弱地盤を安定させる工法として、
軟弱地盤上にシート状の網を敷設し、この網上に
盛士することにより核盛土による上載荷重を水平
方向に分散させて地盤の不等沈下を防止すること
が行われており、又、盛土法面を安定させる工法
においても同様に、盛土層間に網を敷設してこの
網を介して盛土のスリップや崩壊を防止すること
が行われている。

しかしながら、例えば軟弱地盤上に網を敷設し
たのち盛土を行う場合、土砂運搬時における重機
による局部的な荷重や軟弱地盤の弱体部に対する
集中的な荷重によつて該部の網が下方に大きく湾
曲し、その湾曲によつて一層該網部に荷重が集中
して網が伸び切れ、盛土が急激に陥没して作業が
不能になることが度々発生し、このような盛土の
陥没が生じると修復しなければならないが、その
修復に多大な時間と労力を要するという問題点が
あつた。

このため、敷網の網目間に逆Ｕ字状の止めピン
を差し込んで網の伸びを防止することが行われる
ようになつたが、網の敷設時或いは軟弱地盤の圧
密沈下等によつて網目から止めピンが容易に抜け
出し、網の破壊防止を行うことができなくなるも
のである。

本考案はこのような問題点を解消した敷網の伸
び防止用金具を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案における敷
網の伸び防止用金具は、実施例に対応する図面に
示すように、金属製細棒よりなる金具主体１の水
平杆部２の長さを敷網５の適宜数の網目６，６間
の寸法と同一長さに形成すると共にこの水平杆部
２の一端と他端とに下方に向かつて互いに相反す
る外側方向にＣ字状及び逆Ｃ字状に屈曲した係止
杆部３，４を夫々設けてなることを特徴とするも
のである。

（作用） 網５の多数箇所に、金具主体１の水平杆部２の
両端に形成した係止杆部４，５を適宜間隔を存し
た網目６，６間に挿入、係止させた状態にして軟
弱地盤等の表面に敷設し、或いは、網５の敷設
後、金具主体１を該網５の多数箇所に取付け、し
かるのち、盛土を施すと、網５が盛土による上載
荷重によつて下方に湾曲し、その時に発生する網
５の伸を網目６，６間に挿通、係止した金具主体
１の係止杆部３，４で規制して過度の伸びによる
網５の破損を防止するものである。

又、網目６，６に挿通、係止した金具主体１の
係止杆部３，４は、互いに相反する方向にＣ字
状、逆Ｃ字状に屈曲形成しているので、一方の係
止杆部３が網目６から抜け出る方向に妄動して
も、他方の係止杆部４が網目６に一層強固に係止
してその妄動を阻止し、網目６からの不測の離脱
はなくなるものである。

（実施例） 本考案の実施例を図面について説明すると、第
１図乃至第３図において、１は直径数mmの金属線
条物又は金属製細棒体を屈曲、形成してなる金具
主体で、網５の複数個の編目６，６・・・６間の
寸法に等しい長さの水平杆部２と、該水平杆部の
両端に下方に向かつて互いに湾曲する方向が平行
となるように形成された係止杆部３，４とからな
り、一方の係止杆部３は水平杆部２の一端部から
一側方にＣ字状に湾曲形成され、他方の係止杆部
４は水平杆部２の他端部から他側方に向かつて逆
Ｃ字状に湾曲形成しているものである。

従つて、これらの係止杆部３，４の先端部は、
互いに相反する方向に斜め上向きになつている。

このように形成した金具主体１を取付ける網５
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー
酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂を押圧成形して
なり、第４図に示すように、シート状物に小間隔
毎に多数の網目６，６……６を縦横に設けた構造
を有するものである。

使用に際しては、この網５の上面に縦横に適宜
間隔毎に耐伸張性の大なる織地、編組地よりなる
帯状体７，７を配設し、この帯状体７，７の長さ
方向に一定間隔毎に金具主体１を該帯状体７から
網５の網目６，６に、その両端係止杆部３，４を
挿通、係止させることにより順次取付けるもので
ある。

このように、帯状体７を配することによつて隣
接する金具主体１，１間の網部の伸びが防止さ
れ、縦横に配設した帯状体７，７によつて網５が
全体的に伸びの発生を阻止されるものである。

網５に帯状体７，７を介して多数の金具主体１
の取付けは、軟弱地盤８に網５を敷設する前に予
め行つておいてもよく、敷設後に現場作業により
行つてもよい。

こうして軟弱地盤８の表面に多数の金具主体１
を装着した網５を敷設したのち、第６図に示すよ
うに、該網５上に盛土９を行つて軟弱地盤の安定
を図るものである。

又、盛士法面を安定させる工法においても同様
にして採用すればよい。

（考案の効果） 以上のように本考案における敷網の伸び防止用
金具によれば、金属製細棒よりなる金具主体１の
水平杆部２の長さを敷網５の適宜数の網目６，６
間の寸法と同一長さに形成すると共にこの水平杆
部２の一端と他端とに下方に向かつて互いに相反
する外側方向にＣ字状及び逆Ｃ字状に屈曲した係
止杆部３，４を夫々設けてなるものであるから、
係止杆部３，４は相反する方向にＣ字状及び逆Ｃ
字状に屈曲しているので、一方の係止杆部３を網
５の網目６に挿入、係止させると、他方の係止杆
部４の先端が下向きとなつて該係止杆部４の網目
６への挿入、係止作業が容易となり、従つて、多
数の金具主体１を円滑に網５の所望箇所の網目
６，６間を跨ぐようにして装着できるのは勿論、
装着後においては、一方の係止杆部３が網目６か
ら抜け出る方向に妄動しても、他方の係止杆部４
が網目６に一層強固に係止する方向に回動して一
方の係止杆部３の妄動を阻止し、網目６からの不
測の離脱を確実になくすることができるものであ
る。

又、このような金具主体１を多数、装着した網
５を軟弱地盤の表面に敷設したのち、盛土を行う
と、網５が盛土による荷重で下方に湾曲するが、
その際、土砂運搬時における重機による局部的な
荷重や軟弱地盤の弱体部に対する集中的な荷重に
よつて該部の網が下方に大きく湾曲しようとして
も、金具主体１により網目間の伸びが阻止されて
網が切断、破損するのを防止でき、従つて、盛土
が急激に陥没して作業が不能になることもなく、
作業が円滑且つ正確に行えるものである。

さらに、このような軟弱地盤等に対する盛土の
施工時や軟弱地盤等の不等沈下によつても、金具
主体１の両端係止杆部３，４が強固に網５の網目
６に係止した状態を保持して前述したような不測
の地盤陥没や崩壊を防止できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
金具の斜視図、第２図は正面図、第３図は側面
図、第４図は網に取付けた状態の平面図、第５図
はその一部拡大縦断側面図、第６図は軟弱地盤安
定工法を示す簡略縦断面図、第７図はその一部の
拡大断面図である。 １……金具主体、２……水平杆部、３，４……
係止杆部、５……網、６……網目。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属製細棒よりなる金具主体１の水平杆部２の
   長さを敷網５の適宜数の網目６，６間の寸法と同
   一長さに形成すると共にこの水平杆部２の一端と
   他端とに下方に向かつて互いに相反する外側方向
   にＣ字状及び逆Ｃ字状に屈曲した係止杆部３，４
   を夫々設けてなる敷網の伸び防止用金具。