JPH0312631B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は建物の上げ下げ窓、特にビル建築等
において利用する内倒し可能な上げ下げ窓に関す
るものである。

（従来技術） 従来、内倒し可能な上げ下げ窓としては、例え
ば実開昭59−13574号公報に見られるような構造
のものがある。すなわち室内側の障子について、
ガイド溝内に出没可能なガイドピンを設け、この
ガイドピンを没入させることにより、他のガイド
ピンを中心に室内側へ傾倒可能にしたものであ
る。このような上げ下げ窓について、内倒しを可
能とすることにより、換気のほかに障子室外側面
の清掃が楽に行なえるといつた利点が生じる。

しかし、従来の上げ下げ窓では窓を閉じた状態
において、室内側の障子と室外側の障子との間に
段差が生じるため、十分な水密、気密機能をもた
せることができないという問題がある。

（発明の目的） この発明の内倒し可能な上げ下げ窓は上述のよ
うな問題点に鑑み開発されたもので、上げ下げ窓
について内倒し機能のほか、窓を閉じた状態で室
内側、室外側の障子が面一あるいはほぼ面一とな
るよう構成し、水密性、気密性にも優れた多機能
の上げ下げ窓を提供することを目的としている。

（発明の構成） この発明の内倒し可能な上げ下げ窓は上枠、下
枠、および左右の竪枠とからなる窓枠に室内側障
子と室外側障子を建込んだもので、室内側障子お
よび室外側障子はそれぞれ窓枠の竪枠に設けた室
内側ガイド溝および室外側ガイド溝に沿つて上下
に昇降する。

室内側障子には左右に突出する第１摺動部材と
第２摺動部材があり、上記室内側ガイド溝内を摺
動して、室内側障子の上げ下げが行われる。

また、窓枠の竪枠には前記室内側ガイド溝に連
続して、これら室内側障子の第１摺動部材と第２
摺動部材を案内し、室外側へ水平移動させるため
の水平第１ガイド溝と水平第２ガイド溝が形成さ
れており、室内側障子を室外側へ移動させ、室外
側障子と面一またはほぼ面一とできるようになつ
ている。この状態で室内側障子および室外側障子
の室外側面を窓枠の四周に設けた気密材と当接さ
せることができ、気密性、水密性の向上が図れ
る。

さらに、室内側障子の第１摺動部材は室内側ガ
イド溝内に出没可能であり、この第１摺動部材を
引込めれば、第２摺動部材位置を支点として室内
側障子を内倒しすることができる。また、室内側
障子は室内側バランサーよつて窓枠と連結される
が、本発明で両端がそれぞれ室内側バランサーお
よび室内側障子の第２摺動部材に軸着された折曲
ガイド片を介して、これら室内側障子と室内側バ
ランサーを連結してあり、、室内側障子の室外側
への水平移動をスムーズにしている。

なお、同様に室外側障子にも室外側ガイド溝内
に出没可能な第１摺動部材と、回動の支点となり
得る第２摺動部材を設ければ室外側障子も内倒し
可能とすることができる。

（実施例） 次に図示した実施例について説明する。

第１図〜第５図はこの実施例における上げ下げ
窓の機能を示したもので、図中１は窓枠、１ａは
上枠、１ｂは下枠、１ｃは左右の竪枠、２は室内
側障子、２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄはそれぞれ室内
側障子２の上框、下框、竪框、パネル（ガラス
等）、３は室外側障子、３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ
はそれぞれ室外側障子３の上框、下框、竪框、パ
ネルである。

第１図は窓を閉じた状態であり、この状態にお
いて室内側障子２と室外側障子３は面一となつて
いる。第２図および第３図は上げ下げ状態を示し
たもので、第２図は室内側障子２だけ上げ下げし
ている状態、第３図は室外側障子３も上げ下げし
ている状態である。

第４図および第５図は内倒しの状態を示したも
ので、第４図は室内側障子２だけ内倒しの状態、
第５図は室外側障子３も内倒しの状態の場合であ
る。

第６図および第７図は窓を閉じた状態、すなわ
ち室内側障子２が室外側障子３と面一な状態にお
ける室内側障子２の上框２ａ内の様子を示したも
のである。

室内側障子２の上縁には先端に室内側第１摺動
部材３１を有する一対のアーム４０をハンドル３
８の操作により引寄せ自在とする上部グレモン装
置３７が取り付けられており、ガイドケース３９
内でアーム４０が摺動し、左右に突出する室内側
第１摺動部材３１が出没自在になつている。アー
ム４０の上面にはそれぞれ引寄せピン４１と押上
げピン４２が突設されており、これに対応して室
外側障子３の下縁には第１４図に示すカム面６０
を有する引寄せブロツク５７とカム面６１を有す
る押上げブロツク５８が下向きに突設されてい
る。旋錠時、ハンドル３８の操作によりアーム４
０が左右に押し出され、引寄せピン４１が引寄せ
ブロツク５７のカム面６０に沿つて移動し、室内
側障子２と室外側障子３とを互いに引き寄せ合う
とともに、押上げピン４２が押上げブロツク５８
のカム面６１に沿つて移動し、室外側障子３を上
方に押上げる。また、このとき室内側第１摺動部
材３１が後述する水平第１ガイド溝１５の室外側
端部のカム面２２に沿つて竪枠１ｃ内の嵌合部
（孔）２３に嵌合し、室内側障子２を室外側に引
寄せる。なお、水平第１ガイド溝１５およびカム
面２２は竪枠１ｃに固定した樹脂あるいは金属製
の連結ブロツク２１に形成されている。

この状態において、室内側障子２と室外側障子
３とは面一であり、その室外側面を窓枠１四周の
気密材取付片２０ａ，２０ｂ，２０ｃに連続して
取り付けた中空形状の気密材１８および上枠１ａ
と左右の竪枠１ｃの三方について取り付けたヒレ
状の気密材１９に圧接し、水密性、気密性を保持
するようになつている。

なお、第７図中５９は室内側障子２が室内側か
ら室外側へ移動する際のガイドローラーである。

第８図〜第１０図は障子上げ下げ状態における
室内側障子２の上框２ａ内および室外側障子３の
上框３ａ内の様子を示したものである。

室内側障子２については上部グレモン装置３７
のハンドル３８を閉じた状態の水平右向きから下
向きに回すことによりアーム４０が引寄せられ、
引寄せピン４１による室内側障子２と室外側障子
３との互いの引寄せ、および押上げピン４２によ
る室外側障子３の押上げが解除される。またこの
アーム４０の引寄せにより、室内側第１摺動部材
３１が前述の第６図の嵌合部２３より抜け出し、
水平第１ガイド溝１５を通つて竪枠１ｃの室内側
に設けられた室内側第１ガイド溝１１に納まり、
この室内側第１ガイド溝１１内を上下に摺動す
る。なお、このときアーム４０の取付基部は中央
のトリガー４３により引寄せ量が制限され、室内
側第１摺動部材３１が室内側第１ガイド溝１１か
らはずれるのを防いでいる。このトリガー４３に
よる引寄せ量の制限はつまみ４３ａを室外側へ押
すことによりトリガー４３を引込め、アーム４０
端部との係合を解除することにより行なう。

室外側障子３については、上縁にラツチ錠５６
のつまみ５６ａの操作により竪枠１ｃの室外側第
１ガイド溝１３内に出没可能な室外側第１摺動部
材５１が左右に突出し、室外側第１ガイド溝１３
に沿つて上下に摺動するようになつている。また
室内側にカム面６３を有する引寄せブロツク６２
が突設されており、施錠時に室外側障子３が押上
げられると、第２０図に示すように、このカム面
６３が上枠１ａの垂下片６４の先端に当接し、室
外側へ引寄せられる。なお、室外側第１ガイド溝
１３の上端は引寄せ溝１７として室外側に広が
り、引寄せ時の室外側に広がり、引寄せ時の室外
側第１摺動部材５１を案内するようになつてい
る。

第１１図および第１２図は障子内倒し時におけ
る室内側障子２の上框２ａ内および室外側障子３
の上框３ａ内の様子を示したものである。

室内側障子２についてはトリガー４３のつまみ
４３ａの室外側へ押した状態で上部グレモン装置
３７のハンドル３８を水中左向きまで回すと室内
側第１摺動部材３１が室内側第１ガイド溝１１よ
り引抜かれ、この状態で後述する室内側第２摺動
部材３２位置を支点として内倒しすることができ
る。

また室外側障子３についてはラツチ錠５６のつ
まみ５６ａを操作して室外側第１摺動部材５１を
室外側第１ガイド溝１３より引抜き、同様に後述
する室外側第２摺動部材５２位置を支点として内
倒しすることができる。

第１３図および第１４図は室外側障子３の下框
３ｂ内の様子を示したものである。

下端の左右には室外側第２摺動部材５２が突出
し、第６図の室外側第２ガイド溝１４内を上下に
摺動する。この室外側第２摺動部材５２は支軸５
５を介して室外側障子３に取り付けられており、
室外側障子３はこの支軸５５部分で回動可能とな
つている。また、一端を竪枠１ｃに固定したスプ
リング等からなる室外側バランサー５３が連結金
具５４を介して室外側第２摺動部材５２に連結さ
れている。この室外側バランサー５３は室外側障
子３の荷重と均り合うようにしたもので、室外側
障子３を任意の高さに留められるようになつてい
る。

第１５図および第１６図は室内側障子２の下框
２ｂ内の様子を示したものである。

室内側障子２の下縁にはハンドル４５（第１図
参照）の操作により一対のアーム４７を引寄せ自
在とする下部グレモン装置４４を取り付けてあ
る。アーム４７の下面には引寄せピン４８が下向
きに突設され、施錠時にはアーム４７がガイドケ
ース４６内を摺動し、引寄せピン４８が第１７図
に示す下枠１ｂに突設した引寄せブロツク５０に
設けられたカム面５０ａ（第２０図参照）に沿つ
て移動することにより、室内側障子２の下端を室
外側に引寄せることができる。図中４９はアーム
４７の移動を拘束するトリガーであり、室内側障
子２の下縁が下枠１ｂの上面に当接するとバネ４
９ｃが縮み、突出片４９ａが引込み、ハンドル４
５の操作により一方のアーム４７の先端が突出片
４９ａの挿通孔４９ｂを貫通できるようになつて
いる。

また、室内側障子２の下端左右両側には支軸３
２ａと支軸先端の摺動用ローラー３２ｂおよび摺
動片３２ｃとからなる室内側第２摺動部材３２が
突設され、第６図の室内側第２ガイド溝１２内を
上下に摺動できるようになつている。また一端を
竪枠１ｃに固定したスプリング等からなる室内側
バランサー３３が、連結金具３４および連結金具
３４にピン３６で回動自在に取り付けられた折曲
ガイド片３５を介して室内側第２摺動部材３２の
支軸３２ａに連結されている。この室内側バラン
サー３３は室内側障子２の荷重と均り合うように
したもので、室内側障子２を任意の高さに留めら
れるようになつている。

第１８図は竪枠１ｂの形状を示したもので、第
１９図にはその竪枠１ｂ内での室内側第１摺動部
材３１、室内側第２摺動部材３２、および室外側
第１摺動部材５１の移動の様子を示している。

室内側第１摺動部材３１および室内側第２摺動
部材３２は室内側障子２が室外側へ移動する際、
それぞれ水平第１ガイド溝１５および水平第２ガ
イド溝１６に沿つて室外側へ移動する。

このとき室内側第２摺動部材３２の支軸３２ａ
と室内側バランサー３３を連結する折曲ガイド片
３５がピン３６を中心に折曲し、折曲ガイド片３
５の室外側に突出する突部３５ａがその支点とな
つている。

第２０図は窓を閉じた施錠時における縦断面、
第２１図は障子上げ下げ状態における縦断面、第
２２図はそのときの横断面を示したものである。

施錠時、室外側障子３の上端は前述した引寄せ
ブロツク６２と上枠１ａの垂下片６４により室外
側へ引寄せられ、室内側障子２の下端は引寄せピ
ン４８と下枠１ｂ上面に取付けられた引寄せブロ
ツク５０のカム面５０ａにより室外側へ引寄せら
れ、それぞれの室外側面を四周に配した気密材１
８と下枠１ｂを除く三方に配した気密材１９に圧
接している。

また、室外側障子３と室内側障子２の召合せ部
分室外側には気密材７１を配し、水密性および気
密性を保つている。

（発明の効果） この発明の上げ下げ窓は障子の上げ下げ機能と
内倒し機能のほか、室内側ガイド溝と連続する水
平ガイド溝を通して、第１摺動部材および第２摺
動部材を室外側へ案内することにより、室内側障
子と室外側障子を面一またはほぼ面一とする機能
を有している。従つて、換気、障子室外側面の清
浄が容易で、かつ両障子を面一とすることにより
水密性、気密性の向上が図れる。また、室内側障
子を所定高さに保持するための室内側バランサー
と第２摺動部材を両端がピン接続となる折曲ガイ
ド片を介して連結してあるため、室内側障子の室
外側への水平移動がスムーズである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はこの発明の上げ下げ窓の機能
を示す室内側からみた概略の正面図、第４図およ
び第５図は内倒し機能を示す概略の側面図、第６
図は室外側障子と面一の状態における室内側障子
上框内の横断面図、第７図は同じく室外側障子下
框内および室内側障子上框内の正面図、第８図は
障子上げ下げ状態における室内側障子および室外
側障子上框内の横断面図、第９図は同じく室外側
障子上框内の正面図、第１０図は室外側障子下框
内および室内側障子上框内の正面図、第１１図は
障子内倒し時における室内側障子および室外側障
子上框内の横断面図、第１２図は同じく室内側障
子上框内の正面図、第１３図は室外側障子下框内
の正面図、第１４図は同じく底面図、第１５図は
室内側障子下框内の正面図、第１６図は同じく底
面図、第１７図は室内側障子下部の部分断面図、
第１８図は竪枠を窓枠内よりみた正面図、第１９
図は同じく窓枠内よりみた摺動部材の移動の様子
を示す正面図、第２０図は窓を閉じた状態におけ
る窓の縦断面図、第２１図は障子上げ下げ状態に
おける窓の縦断面図、第２２図はそのときの横断
面図である。 １……窓枠、１ａ……上枠、１ｂ……下枠、１
ｃ……竪枠、２……室内側障子、２ａ……上框、
２ｂ……下框、２ｃ……竪框、２ｄ……パネル、
３……室外側障子、３ａ……上框、３ｂ……下
框、３ｃ……竪框、３ｄ……パネル、１１……室
内側第１ガイド溝、１２……室内側第２ガイド
溝、１３……室外側第１ガイド溝、１４……室外
側第２ガイド溝、１５……水平第１ガイド溝、１
６……水平第２ガイド溝、１７……引寄せ溝、１
８……気密材、１９……気密材、２０ａ，２０
ｂ，２０ｃ……気密材取付片、２１……連結ブロ
ツク、２２……カム面、２３……嵌合部、３１…
…室内側第１摺動部材、３２……室内側第２摺動
部材、３２ａ……支軸、３２ｂ……摺動用ローラ
ー、３２ｃ……摺動片、３３……室内側バランサ
ー、３４……連結金具、３５……折曲ガイド片、
３５ａ……突部、３６……ピン、３７……上部グ
レモン装置、３８……ハンドル、３９……ガイド
ケース、４０……アーム、４１……引寄せピン、
４２……押上げピン、４３……トリガー、４３ａ
……つまみ、４４……下部グレモン装置、４５…
…ハンドル、４６……ガイドケース、４７……ア
ーム、４８……引寄せピン、４９……トリガー、
４９ａ……突出片、４９ｂ……挿通孔、４９ｃ…
…バネ、５０……引寄せブロツク、５０ａ……カ
ム面、５１……室外側第１摺動部材、５２……室
外側第２摺動部材、５３……室外側バランサー、
５４……連結金具、５５……支軸、５６……ラツ
チ錠、５６ａ……つまみ、５７……引寄せブロツ
ク、５８……押上げブロツク、５９……ガイドロ
ーラー、６０……カム面、６１……カム面、６２
……引寄せブロツク、６３……カム面、６４……
垂下片、７１……気密材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上枠１ａ、下枠１ｂ、および左右の竪枠１ｃ
   とからなり、前記竪枠１ｃには室内側ガイド溝１
   １，１２および室外側ガイド溝１３，１４を設け
   てなる窓枠１と、該窓枠１に建込まれ、それぞれ
   前記室内側ガイド溝１１，１２および室外側ガイ
   ド溝１３，１４に沿つて昇降可能な室内側障子２
   および室外側障子３とからなる上げ下げ窓におい
   て、 前記室内側障子２には、前記竪枠１ｃの室内側
   ガイド溝１１内を摺動し、かつ該室内側ガイド溝
   １１に対し出没自在な第１摺動部材３１と、前記
   竪枠１ｃの室内側ガイド溝１２内を摺動し、前記
   第１摺動部材３１を前記室内側ガイド溝１１から
   引抜いた状態において、該室内側障子２の内倒し
   の支点となる第２摺動部材３２とを、該室内側障
   子２の左右に突出させて設け、 前記竪枠１ｃには、前記室内側ガイド溝１１，
   １２に連続させて、前記室内側障子２の第１摺動
   部材３１と第２摺動部材３２を室外側へ案内し、
   前記室内側障子２を室外側障子３と面一またはほ
   ぼ面一な位置へ移動させるための水平第１ガイド
   溝１５と水平第２ガイド溝１６とを設け、 前記室内側障子２を該室内側障子２の荷重と釣
   り合わせて所定高さに保持するための室内側バラ
   ンサー３３を、一端を該室内側バランサー３３に
   連結金具３４を介して軸着し、他端を第２摺動部
   材３２に軸着した折曲ガイド片３５によつて、前
   記第２摺動部材３２と連結してあり、 かつ前記窓枠１には、前記室内側障子２を室外
   側障子３と面一またはほぼ面一な位置へ移動させ
   た状態において、前記室内側障子２および室外側
   障子３の室外側面に当接可能な気密材１８，１９
   を設けたことを特徴とする内倒し可能な上げ下げ
   窓。