JPH0311802Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、密閉形アルカリ蓄電池に関するもの
である。

［従来の技術］ 密閉形アルカリ蓄電池は、その極板特性により
高率放電を可能としているが、それに伴い極板か
ら集電端子への集電構造を効率よい構造にしてお
り、その構造を示す従来の密閉形アルカリ蓄電池
を第２図を参照して説明する。陰極端子を兼ねる
外装罐１内にはセパレータ２により隔離された陽
極板３と陰極板４とが渦巻状に巻き取られてなる
電極群５が収納されている。各極板３，４は幅方
向（蓄電池の軸線方向）の両端部に極性により突
出方向を違えて突出する芯材３ａ，４ａの接続部
３ｂ，４ｂを有している。リード板６及び７は、
芯材３ａ，４ａの接続部３ｂ，４ｂと対向する平
板状の平板部６Ａ及び７Ａを有している。そして
各接続部３ｂ，４ｂには対応する陽極リード板６
或いは陰極リード板７の平板部６Ａ及び７Ａの一
方の板面６ａ或いは７ａがスポツト溶接されてい
る。陽極リード板６を例にとると、該リード板は
第３図に示されるような構造を有する耐アルカリ
性金属のプレス加工打抜き板で形成されており、
一般には鉄板にニツケルメツキを施したものが用
いられている。陽極リード板６は外装罐１の開口
部を閉塞する封口蓋８に溶接され、封口蓋８に取
付けられた陽極端子９に電気的に接続されてい
る。また、陰極リード板７は外装罐１の底部に溶
接されている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記のような密閉形アルカリ蓄電池において
は、芯材３ａ，４ａの接続部３ｂ，４ｂと各リー
ド板６，７との接触部分におけるスポツト溶接箇
所以外の部分の接触が不十分になりやすいため電
気的導通が十分にとれない問題点があつた。また
溶接時には、各芯材３ａ，４ａの接続部３ｂ，４
ｂの先端の渦巻状端縁部にそれぞれ対応する各リ
ード板６，７の平板部６Ａ及び７Ａの一方の板面
６ａ，７ａを密着させて外部より加圧して押えな
がら溶接工程に移動させ、該溶接工程で接続部３
ｂ，４ｂと各リード板６，７の一方の板面６ａ，
７ａとをスポツト溶接するが、該溶接工程の移動
中に機械的振動により各リード板６，７が変形し
たり、各リード板６，７が芯材３ａ，４ａの接続
部３ｂ，４ｂから外れたり、位置ずれしたりす
る。そのため溶接を中断して各リード板６，７と
接続部３ｂ，４ｂとの位置を修正しなければなら
なかつたり、位置ずれした状態で溶接が行われて
不良製品が製造されてしまうという問題点があつ
た。

本考案の目的は、極板の芯材とリード板との接
触部分におけるスポツト溶接箇所以外の部分での
電気的導通が十分にとれ、また極板の芯材の接続
部とリード板とのスポツト溶接を容易に行うこと
ができる密閉形アルカリ蓄電池を提供することに
ある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案を、その実施例を示す第１図ａ，ｂを参
照して説明すると、本考案の密閉形アルカリ蓄電
池は、電極群５とリード板６とを有しており、電
極群５は、端部に一方の極性の極板３の芯材３ａ
が露出されて接続部３ｂを形成している。リード
板６及び芯材３ａは、磁性材料よりなり、リード
板６と芯材３ａとの少なくとも一方は、相互間に
吸着力を発生するように磁化されている。リード
板６及び芯材３ａの両方を磁化する場合でも、両
者が磁気吸引力によつて相互に吸着し合うように
両者を磁化する。そして電極群５の接続部３ｂに
リード板６が溶接されている。

［作用］ 上記のような密閉形アルカリ蓄電池において
は、極板３の芯材３ａとリード板６とが磁性材料
により構成され、且つ極板３の芯材３ａとリード
板６との少なくとも一方が相互間に磁気吸引力を
発生するように磁化されているので、各芯材３ａ
の接続部３ｂと各リード板６とが相互に吸着され
ており、その吸着により接触部分におけるスポツ
ト溶接箇所以外の部分でも接触が十分になるため
電気的導通が十分にとれる。また、溶接時には、
各芯材３ａの接続部３ｂとリード板６とを磁気吸
引力により相互に吸着させて仮止めできるので、
従来のように、芯材３ａの接続部３ｂに各リード
板６を外部より加圧して押えながら溶接工程に移
動してスポツト溶接を行わなくてすみ、芯材の接
続部とリード板との位置ずれを起こすことなく、
スポツト溶接を容易に行うことができる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面を参照して詳細に
説明する。

第１図ａ，ｂには、本考案の一実施例の要部の
構造を示してあり、本図においては、芯材３ａの
接続部３ｂを陽極リード板６に接続する場合の例
を示している。陽極板３の芯材３ａはニツケルメ
ツキ鉄板、ステンレススチール板等の磁性材料に
より構成され、陽極リード板６はニツケルメツキ
鉄板或いはステンレススチール板を磁化した永久
磁石により構成されている。この陽極リード板６
は芯材３ａの接続部３ｂを吸着する方向に磁化さ
れている。陽極リード板６の平板部６Ａの一方の
板面６ａには、陽極板３の芯材３ａの接続部３ｂ
が該陽極リード板６の磁気吸引力により所定箇所
に吸着されて該接続部３ｂの端縁部が複数個所で
スポツト溶接されている。尚、第１図ａ，ｂにお
いて、リード板６と芯材３ａの接続部３ｂとの溶
接部分を符号Ａで示す。上記実施例においては、
陽極板３の芯材３ａと陽極リード板６とが磁性材
料により構成され、且つ陽極リード板６が対応す
る陽極板３の芯材３ａを吸引するように磁化され
ているので、芯材３ａの接続部３ｂが陽極リード
板６に吸着されており、その吸着により接触部分
におけるスポツト溶接箇所以外の部分での電気的
導通も十分にとれる。また、芯材３ａの接続部３
ｂに陽極リード板６の一方の板面６ａをスポツト
溶接するには、芯材３ａの接続部３ｂが陽極リー
ド板６にその磁化力によつて吸着されるので、従
来のように、溶接工程に移動させる際に、芯材３
ａの接続部３ｂの先端の渦巻状端縁部に陽極リー
ド板６の一方の板面６ａを密着させて外部より加
圧して押えながら移動させなくても、機械的振動
により陽極リード板６が変形したり、芯材３ａの
接続部３ｂに対して位置ずれしたりすることがな
い。そのため溶接を中断することなく、スポツト
溶接を容易に行うことができる。

尚、本考案に係る蓄電池はその溶接個所の不良
率が0.02％で、従来の不良率0.3％に対して大幅
な減少が図られている。

また、上記実施例においては、陽極リード板６
を永久磁石としたが、本考案はこれに限定される
ものではなく、陽極板３の芯材３ａを永久磁石と
してもよく、また陽極リード板６と陽極板３の芯
材３ａとを共に永久磁石としてもよい。尚、陰極
リード板７の一方の板面７ａと陰極板４の芯材４
ａの接続部４ｂとの接合も、上記と同様にして行
われる。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、電極群の極板
の芯材とリード板とが磁性材料により構成され、
且つ極板の芯材とリード板の少なくとも一方が相
互間に吸着力を発生するように磁化されているの
で、芯材の接続部とリード板とが相互に吸着され
ており、その吸着により接触部分におけるスポツ
ト溶接箇所以外の部分での電気的導通も十分にと
れる。また、溶接時には、芯材の接続部とリード
板とを磁気吸引力により相互に吸着させて仮止め
できるので、従来のように芯材の接続部にリード
板を外部より加圧して押えながら溶接工程に移動
してスポツト溶接を行わなくてすみ、芯材の接続
部とリード板との位置ずれを起こすことなく、ス
ポツト溶接を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａおよびｂはそれぞれ本考案の一実施例
において極板の芯材とリード板との溶接部分を示
す断面図、第２図は密閉形アルカリ蓄電池を示す
縦断面図、第３図は密閉形アルカリ蓄電池の陽極
リード板を示す斜視図である。 １……外装罐、２……セパレータ、３……陽極
板、４……陰極板、３ａ，４ａ……各極板の芯
材、３ｂ，４ｂ……接続部、５……電極群、６…
…陽極リード板、７……陰極リード板、６Ａ，７
Ａ……平板部、６ａ，７ａ……リード板の一面、
８……封口蓋、９……陽極端子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 電極群５とリード板６とを有する密閉形アルカ
   リ蓄電池であつて、 前記電極群５は端部に一方の極性の極板３の芯
   材３ａが露出されて接続部３ｂを形成しており、 前記リード板６及び前記芯材３ａはそれぞれ磁
   性材料よりなり、 前記リード板６と前記芯材３ａとの少なくとも
   一方は相互間に吸着力を発生するように磁化され
   ており、 前記電極群５の前記接続部３ｂに前記リード板
   ６が溶接されていることを特徴とする密閉形アル
   カリ蓄電池。